『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
何か嫌なことあったんでしょ? 見ればわかるよ。同じ穴の狢なんだから。何年お仲間やってると思ってんの、そっちだって言ってたじゃん、共感者だって。あんまナメないでよ。
大丈夫、別に何も言わないってば。もちろんバラしもしない。言われたくないならね。
だからその、何も思ってない風にするの、今くらいやめな? 押し込めて終わりにする気だったのは分かるけど、吐き出せる時は吐き出したらいいじゃん。いいでしょ? 教えてよ。ほらちょうど、話せる相手ここにいるんだからさ。
お題:何気ないふり
私はあなたを振り向かせるために
どんな考えを持つのだろうか
遠くに去ってゆく
雪の田んぼ道
白く染まる直前の
アスファルト
竹林
私の頭のかなはあなたしかいない
こたつに入り
心を温める
たまには、星を見に行こうか、なんて。
外を見つめて、あなたが言う。
珍しい───。
目を丸くしてあなたを見れば。
視線はそわそわ、お庭の方に。
つけっぱなし、明るい車の前で、
ぴょんぴょん跳ねる影ひとつ。
なるほどね───。
小さく笑って、小走りに。
星のお皿を片手に持って、
荷物を探す、あなたに語りかける。
あいもかわらず───。
何気ないふりが苦手なんだね
そんな私の言葉に笑みを一つ。
照れくさそうに頬を掻いて、あなたは言った。
「君と一緒で嬉しいよ」
肩にかけられるお気に入りのコート、
今さら感じる温かさに、少しだけ頬を染めて。
車に乗った私達は。
何気ないまま、星空の下を走り出した。
何気ないふり
人間は、人が嫌がる事をしたがる 卑怯な生き物だ。
だから悪口を言われても、何気ないふりをしなければならない。
新たな悪口を言われないようにするために。
何気ないふり(オリジナル)
私、40代女。隠れオタクである。
職場に、それと一見わからないグッズを飾り、ひとりニマニマするのが日課である。
本日、職場のご年配のおじ様が持つ鞄に目が釘付けになった。
その鞄は、先日発売になった、90年代マイナーロボットアニメの復刻グッズであった。
その鞄、表にキャラ絵もなければアニメ名の記載もない。作中に出てくる鞄のデザインを再現しつつ、その世界の世界地図と紋章をさりげなく刻印してあるオシャレ革鞄で、私の大好きな、わかる人にしかわからないグッズであった。
ちなみにこの鞄、結構高かったので、私は推しキャラの紋章キーホルダーとシールしか買っていない。
(え?嘘、あの人もオタクなのかしら)
彼とは知り合い程度で、深く話をした事はない。
この職場にアニオタがいると聞いた事もない。
もっとも、私も隠しているので、実はいるのかもしれないが。
彼と作品の話がしたくてソワソワしたが、話しかける直前に思いとどまった。
(いや、待てよ。あの歳でアニオタとかあるか?誰かからプレゼントされて知らずに使ってるとか、あるかも?ここで作品名でも言おうものなら私がオタバレするのでは?)
私は慎重に、何気ないふりを装って声をかけた。
「あ、佐藤さん、鞄変えたんですねー。格好良い!それ、どこで買ったんですか?」
我ながら白々しい。
彼は顔をあげて私を見て、にこりと笑った。
「ありがとう。孫がネットで買ってくれてね」
(あっっぶねぇ!!お孫さんだったーー!!)
私は冷や汗をかいた。
(っっかぁーっ!!90年代アニメなのに若い子が知ってるとか、渋い趣味してんなぁ!!お孫さんとお友達になりてぇーー!!)
私は内心叫び散らかしていたが、表では平然を装った。
「お孫さん、良い趣味してますね」
ブランド品でない事は知っているので、その辺りは避けて言う。すると、彼は少し戸惑ったように、
「あ、いや、これは僕が欲しくて孫にネットで買ってもらったんだ」
と言った。
(え?)
私は目が点になった。
しかし、ぬか喜びはまだ出来ぬ。彼がアニメグッズと知らずにネット検索してデザインだけで選んだ可能性も少しはある。
(ある、か?)
私の葛藤を知ってか知らずか、彼は首を傾げ、
「永野さんはこれ、知ってると思ったんだけど」
と、爆弾発言をかましてくれた。
「え、な、なんで」
「君の机に置いてあるアレコレ、アニメやゲームのグッズでしょう。結構マニアだよね。このアニメも知ってるんじゃないかと思ってたんだけど?」
「…知ってます…大好きです」
私は観念して、彼と固い握手を交わしたのであった。
最初に言う。きっと私は恵まれている。
反対に、「しんどい」「生きたくない」
友達はそういう。
私のことを信頼しているからだと思う。
私は「そっか」と聞くことしか出来ない。
共感をしてはいけない。
私は彼女より幸せなのだろうから。
でも、心の底には埃が溜まっているから、
それを気づかせないように、今日も聞き専にまわる。
今日も幸せになるように
何気ないふり 𓈒𓏸𓐍 𓇢
「幸せな結末を」
とある女の子が言った。
「私は一人でええ。」
酷く傷つきボロボロになった自身の体を見下ろし
震える唇を強く噛み締め言った。
「泣かんとって」
目には涙が溜まり、溢れてしまいそうだった。
自分に声をかけた言葉なのかもしれない。
「泣かんといてよ」 その声は微かに怯えを含み
微かに空へと響いて消えた。
女の子がいた。
生まれは兵庫県。育ちも兵庫県。
黒色髪を肩の上で切り揃えた髪の毛をなびかせ歩く。
前髪はサイドに分け、いわゆるセンター分け。
服は脛あたりまである黒色に白色の小さな花が書いているワンピース。
海辺を、足を砂に沈めて一人で歩く。
風が潮をのせて吹き、微かに髪の毛を揺らす。
家族はもういなかった。
昔海で流されていった。
一人きり。
彼女は「海」。名前だ。
親を殺した海と同じ名前。
皮肉のように感じてしまったりするが親は海が大好きで、広く夢のある海と同じ「海」という名前がよかったという。
海は学校に行く。
よくみるセーラー服に身を包み高校に行く。
もう支えてくれる人はいなかった。
海辺の学校。窓を開けると潮風に乗ってかすかに海の匂いがする。
先生はいい人。優しくて時には厳しい先生。
「光示先生。今日暇ですか。」
「海。先生は生徒と遊びに行きません。」
何度も海は先生を遊びに誘った。だって好きだから。
「ええやんか。光示先生彼女おらんの?」
「いや居ないけど。」
「なるほど非モテか。」
「海ー。海はいけないことをいいました。」
「ごめんごめん。光示先生。許してや」
「はぁ。今日は親御さんの命日でしょ。早く帰ってあげて。」
「はいはい。親に伝えとくわ。先生と付き合いましたってー」
「やめろやめろ。先生社会的に死ぬわ。」
「へへへ。」
雑談程度の会話。それでもすごく楽しい。
親の命日を知っているのは、今私は3年生で1年のとき
に親が死んだから。
まだまだ私を子供としてみてるけどそれでいい。
先生と笑えるなら。
3年生の教室は1階の端の方。端の方にも門があるから
帰るときはすぐに学校から抜け出せる。
田舎の学校で生徒は少ない。だから担任の先生も
ずっと光示先生だった。
想いを持ち始めたのは親が死んだとき。
葬式のとき式場の外でずっと立っていた。
さすがに入るのは良くないと思った。と言って外に
ずっといた。夏の終わりが近づいているとはいえまだまだ暑苦しいのに。私に言いたいことがあったって。
「海。海は一人になったって思ってる?」
「事実じゃないですか。」
「確かにね。でもね海には僕がいるよ。」
「先生?」
「うん。まだまだ知り合って時間はたってないけど
僕は海を近くで支えていける。」
「先生が?」
「そうだよ。先生も随分昔に親を亡くしてね。
あの頃は辛かったな。一人になったと思って死んだ親をどうして一人にしたんだと恨んでしまったよ。
大好きな親だったんだけどね。自分に嫌悪感を抱くようになったのはその時からだった。」
「今はどうなんですか?」
「沢山の仲間が僕を支えてくれたよ。
はじめは友達に名前を呼ばれるのも一人じゃないと
言ってくる教師も大嫌いだった。
でもねだんだん気付いた。僕は1人じゃないってね。
勝手に1人だと思い込んで、嫌悪感を抱いて。
バカらしくなったんだ。親のことを恨んでもきっと親は気にもしてない。だから嫌悪感を抱くのもお門違いだって。
それに僕がようやく笑えるようになって親友といつもどうり話をしたときアイツの顔ったら。ハハッ。すごく面白い顔してた。」
「そう。なんですね」
「うん。…今は分からなくてもいいから、少しずつ受け入れていってほしい。先生は、友達は、思ってたよりも近くにいて、親御さんたちも好き亡くなった訳じゃない。きっと親御さんたちも海には笑っていてほしいよ。」
私は涙が止まらなかった。
親が死んでから止まっていた私の時間が動き出した。
そんな気がした。
私の背中をさする先生の手がお母さんの暖かい手と
お父さんの少し固くなった手を微かに思い出させた。
これが私が先生に恋したきっかけだ。
今思うとあのときの先生はすごく、かっこよかった。
愛してる。
先生も友達も。町の人も。
高校に入って、新しい友達ができた。
親友と言える友達ができた。
茶色のがかった髪の毛を肩の上で切り揃え、前髪は
頭の上でピンでとめている。いわゆるポンパドール。可愛らしい女の子の「御幸」
大好きでだいすきで、私は今幸せだ。
ある日。
学校で5時間目の授業を受けていたとき。
世界史の勉強で所々寝ている生徒もいた。
今日は歴史の担当である光示先生がお休みで、変わりに新人らしい女の先生が授業をうけもっていた。
突然放送が響いた。
「校庭に怪物が侵入しました。教室にいる先生と生徒の皆さんは扉と窓を直ちに施錠。扉の前に机を重ねてください。生徒は1ヵ所に集まり先生は生徒を誘導してください。全員落ち着いて行動してください。
繰り返します――」
その瞬間緊張感が教室に漂った。
努めて落ち着いて放送する教頭先生の声が聞こえる。
我にかえった先生と生徒が率先して窓をしめ、机を動かす。みんな焦りがにじみ出ている。
だって怪物が侵入してきたら一番に入ってくるのはおそらく端で扉の近いこの教室だから。
施錠し終わり端にみんなで固まった。
カーテンをしめ、扉の方にみんな注目している。
放送がなった。
ジー。
放送がなる前の微かな電子音。
これは避難訓練で何度も聞いた。
怪物が校舎に入ってきたのだ。
ガンッ。ガンッ。
壁になにか金属のようなものが当たる音。
おかしい。いま廊下には誰もいないはず。
ドンッ。ドンッ。
扉を叩かれる。
バンッ。
扉が開いた。鍵をかけていたのにどうして。
この校舎は古くなっていた。だから鍵が壊れたのだ。
そこにはボロボロになった服を着ていて、
金属バットを持った「なにか」がいた。
目は赤く、体は魚と鳥とトカゲと人間が微妙に混じったような容姿。
そうか。これが。
何度も話だけは聞いた。怪物。
怪物はおもむろに言った
「みんなみーんな。死んじまえよ。」
そう言ってバットを振りだした。
それが女の先生に当たった。
先生は床に落ちていった。
キャーッ。
教室が一気に恐怖に包まれた。
どうにかしなければ。そう思った。
微かに持っている勇気を持って。
先生がくれた愛と勇気を。
手を痛いぐらい握りしめた。
「なぁ。あんたさぁ。いい加減にしたほうがええんとちゃうん。」
「はぁ?」
「怪物がなんや。バットがなんや。
あんた生臭いなぁ。生ゴミでも食ったん。」
「はぁ?」
私は走り出した。これでも陸上部エース。
扉を抜けて校庭に走っていった。
授業で習った。怪物は圧倒的な身体能力をもっている。きっと殺されてしまうだろう。
怪物は狙い通り私を追って校庭にでてきた。
どうやら今の世のなか「愛奪還組」とやらがいるらしいがきっと間に合わない。
すると3年生の教室の窓が開いた。
「海―。待ってよっ―」
御幸だ。叫ぶような声だ。泣き声混じりだ。
私は答えた。
「御幸―。生きてや」
この声は御幸にとどいただろうか。
私は自分に訴えるようにいった。
「私は私という物語が最後に「幸せ」で締め括られるなら。私は一人でもええ。一人で逝ってもええ。」
「泣かんとって。」「泣かんといてや」
涙が溢れてしまいそうだ。
どうかどうか御幸がたっくさん生きられますように。
光示先生も私の勇姿を聞いて惚れ直してくれるかな。
なんて考えたり。
「幸せやったなぁ―――」
怪物は校庭の真ん中で立ち尽くした。
血まみれになった。体とバット。
立ち尽くしている間に愛奪還組が到着したようだ。
大きなゴーグルを着けた男が怪物を銃で撃ち抜いた。
怪物は呆気なく倒れていった。
その横から黒い長い髪を高い位置で一つに括り、男の子と同じ大きなゴーグルをかけた女の人が髪をなびかせ走っていった。
「ごめんなさい。」
女の人は動かなくなった海を抱き泣いた。
女の人の隣で男もその隣で拳を握りしめた。
これを御幸は目に焼き付けた。
黒髪の女の人はもう亡くなっているのだとは知らずに。
御幸は産まれながら死んだ者が見えるのだ。
その後光示先生は海の話を聞き、
瞬きすることなく、涙を流したという。
先生の左手薬指には新品のような指輪が光っていた。
初めてだった。愛奪還組に自ら志願する者は。
17歳。
訓練をすることなくすぐに戦場へ行く事になった。
「御幸」 銃を扱う男の隣で拳をふるう。
生まれ持った力を発揮し、愛奪還組にてエースである
春来の横で言葉通り拳を振るった。
生きるため。海の愛を受け継ぐために。
#何気ないふり
逆境もよし、順境もよし。
どんな状況でも、肩の力を抜いて、自然体で。
前略
春の雨が静かに降り、桜の花びらがひとひら、またひとひらと地へと落ちてゆく様子を眺めておりますと、なぜだか貴方と会えぬ日々のうちに、少しずつ心細くなってゆく私の心に似ているようで、思わず笑ってしまうのでございます。
本当は、このような手紙に私の想いなど交えないで、ただ穏やかな日々のことだけを綴れたならよいのでしょう。けれど、それではどこか味気ないように感じられてしまい、気がつけば筆はいつも貴方のもとへと向いてしまうのです。
貴方とまみえない時間は、思っていたよりもずっと寂しいものですね。差し支えないふりをして、何でもない顔で日々を過ごしておりますけれど、本当は少しだけ、いいえ、ずいぶんと、貴方を恋しく思っております。
ここまで誰かを想うなど、昔の私に話したなら、きっとありえないと笑われてしまうでしょう。けれど今では、この気持ちを手放すことの方が、よほどありえないことのように思えてなりません。
もしも、この想いが貴方と相容れないものであったならその時の私は、どのような顔で日々を過ごしていたのでしょうか。このように筆を執ることも、きっとなかったことでしょうね。
どうかこの手紙も、何気ないものとしてお読みくださいませ。けれど、ほんの少しだけ、貴方に甘えてしまっている私のことを、微笑ましく思っていてくださいな。
まだ春とはいえ、冷える日もございますゆえ、どうかお身体を大切になさってくださいませ。
草々
【何気ないふり】
拝啓、特別な人へ。
何気ないふりをしてみせていたの、貴方の前でだけはね。
ちょっと流行りの遊びをしてみたり、ファッションに気を使ってみたり。十代の女の子にとっては普通のことでしょ? 勉強漬けだった私にとって、そういう系は全然触れてこなかっただけにどっぷりはまっちゃった。ときどき遊んでばっかりって怒られちゃっても、楽しかった。青春よね。いろいろとメリハリつけて頑張っていたつもりでも、心ない人からの悪口はあるものね。
貴方の前では、いつでもにこにこの道化になっていた。私の愛する彼には弱みを吐いて、貴方には元気なところを見せていた。それでうまくやれていたのだから、彼にも貴方にも感謝しなければならないわね。本当にありがとう。
貴方の女王より
「何気ないふり」 #322
あなたが、あの子の隣にいるときも
他の子が、あなたのことを話すときも
あなたは気づいたはずなのに、手を振り返してくれないときも
平気じゃないよ
でも、何もないようにふるまわないといけないの
「ふり」なだけなんだよ
しんどいよ。
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
何気ないふりで探った君の過去
知りたかった訳じゃない拒絶されたかった
拒絶もされず流され 笑えないのに味噌汁がいい匂い
嬉しい時は、何気なく一緒に喜んでくれる。
楽しい時も、何気なく一緒に楽しんでくれる。
風邪を引いた時は、何気なく心配して少しだけ世話を焼いてくれる。
疲れていれば、何気なくいつもより少し良いお茶を入れてくれる。
落ち込んでいれば、何気なくいつもより高価で美味しいお菓子を買ってきてくれる。
涙が頬を伝えば、何気なくただただ一緒にいてくれる。
悲しみが心を覆っても、何気なくただただ一緒にいてくれる。
怒りが頭の半分を支配すれば、何気なく驚かせて怒りを消してくれる。
そんな貴方を、私も同じように何気なく包み込みたい。
何気なく甘やかしたい。
何気なく笑わせたい。
何気なく寄り添いたい。
何気なく。さりげなく。
この世界の悪を制しているのは、正義ではない。
それは、より研ぎ澄まされた悪である。
悪を為すことは、決して容易ではない。
頂に立つためには、
冴えた知と、冷徹な計算が求められる。
そしてその頂は、正義を装うのではなく、
真に善良な者たちを、疑いなきままに駒として用いる。
清らかさだけでは、悪を出し抜くことはできない。
無垢のままでは、守りきれないものがある。
だからこそ、
何気ない顔のまま、したたかに振る舞う必要がある。
それでもなお、
護るべきものだけは、どうか見失われませんように。
「綺麗なままじゃいられない。
でも、何のために汚れるのかは忘れるな。」
題 何気ないふり
・・·・・· 何気ないふり ・・· ・・·・・· ·・・·・・·・・·・・ ·・・·・・· ・・ ·・・
·・・·・・·・・·・・·・・· ・ Je suis en train d'écrire. ・·・・· ·・・·・・·・・・・·
自分にとって
ショッキングなことがあっても
何気ないふりをして
努めて冷静に振る舞う
理由を聞かれるのもしんどいし
周りに驚かれるのも辛い
でも1人になった時に
押し寄せてくる感情の波が怖い
何気ないフリ
何気ないフリ、私には無理だ。顔にすぐ出てしまうので、何かあるなとわかってしまう。そういう時は余計なことを言わずに、過ぎ去るのを待つことにしている。
昔いた会社の先輩で、嘘がつけない人がいた。その人に質問すると目が泳いでしまうので、私以上にバレてしまう。でも憎めないキャラクターなので、嘘をついても許してしまう。
別の後輩は、仕事で雑な作業をしても、他の人がやった、自分じゃないという。でも名指しした人の作業の仕上がりは袋を左畳みで、その後輩は右畳みなので、明らかに違う。それでも彼は自分じゃないと言い切ってしまう。左畳みだろうが、右畳みだろうがそこが問題なのではない。綺麗に袋が畳まれていれば問題ないのだ。
それでも自分じゃないというので、彼の目の前で仕上がりの違いを指摘して、必要最低限の箇所だけ直して、作業を続ける。いつも間違いをした時はその場で指摘をしないといけない。
ペットと同じで、いたずらを見かけたらその場で叱らないと理解できない。後から叱っても忘れているので、ペットには伝わらない。彼に指摘をするときは現行犯で捕まえないととぼけてしまう。
昔にいた会社は変わった人が多かったので、苦労したと思う。面白いこともあったのでチャラになっている。
もう一度、一緒に仕事をしたいかと言われればNOだ。何気ないフリができる人間は、そうそういないと思う。
そこにいるのは気になる彼女。
俺の事には気がついてないみたい。
どうしようかな。
声をかけたいけど、不自然じゃない?
周りにいる人達はそんなの気にしないメンバーかな。
ひとりになってくれたら声掛けやすいと思っていたら、みんなの話から少し離れた。
今のうちに何気ないふりをして彼女に話しかけようと思って、彼女のそばに近づく。
「あ、こんにちは!」
俺の声に気がついて、可愛らしい笑顔を向けてくれる。
「こんにちは!」
ああ、やっぱり。
この笑顔は俺の胸を暖かくしてくれる。
おわり
六八三、何気ないふり
私とあなたは似ていると思った。
でもそれは似ているんじゃなくて、私があなたを見て育ったから、無意識に私があなたを真似していたんだと思う。
似ている感情をあなたと共有したかった。ずっとおんなじ世界で生きることを夢見てた。
自分の生きている場所から逃げられる、すべて我慢できる。そのために。そうやって生きてきて、だんだん現実が見えてきて、あなたが私の作った幻だって気づいた。
気づいたらボロボロボロボロ崩れちゃって、あなたは共有なんて望んでいないんだってわかった。
ずっと夢見てた。理想のまんま生き続けられたらよかった。苦しみは全部あなたとの幸せのためにあると思っていた。