『不完全な僕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「完全」とは何を指すのだろう。
私は、何があっても揺るがない状態のことだと思う。
全ての選択肢の中から、最良のみを厳選した、これ以上ない最良の姿だと思うのだ。そしてある種、それは既にヒトではない。
ヒトは生きている。生きている限り、成長する。成長する限り、最良の選択は同じ問でも日々変わってゆく。
我々ヒトは「完全」に憧れる。完全な姿は考える必要がない。これ以上より良くなる必要がないから。私達は「不完全」で不安定だからこそ、よりよくしようと努力し、成長する。そうやってコミュニュケーションをとってきたし、そうやって発展をしてきた。私達は不完全であるからこそ美しいのだ。
「不完全な僕」
完全な僕なんていない。
完全な僕になろうとし続ける不完全な僕でいてね。
私も完全な私になろうとし続ける不完全な私でいるよ。
悲しい顔しないで。
楽しいことよ。
不完全な僕は、いつも何かが足りない。
完璧にはほど遠く、欠けた部分を抱えたまま、
生きている。
でも、その不完全さが、僕を僕らしくしているのかもしれない。
誰かに認められたくて、何度も背伸びをしてみる。
でも、結局、自分に嘘をつくことはできないんだ。
不完全なままでいいと、心のどこかで感じているから。
不完全な僕
「ただいま……」
昨日までは宛先のいたその言葉は虚しく響く。
人ひとり分がなくなった部屋では僕だけが取り残された様だった。
妙に疲れて料理する気もなかったので、昨日の残り物を温める。ぼうっと回る皿を見ていると、指先で何かが光っていることに気が付いた。彼女とのペアリング。いつか、薬指にも着けるのかなんて笑っていたことを思い出す。レンジの明かりでシルバーがオレンジになっていた。
冷蔵庫のマグネットは君と出かけたときにお土産で買ったこと。マグカップはお互い好きなデザインにしたのに似たものを選んでしまったこと。クッションやぬいぐるみを選ぶのはいつも君だったこと。
部屋を見れば、僕の半分なんじゃないかってくらい君との思い出ばかりだった。
いや、本当に、僕の心で君は半分を占めていて、君が出ていってしまったときから僕の心は半分なくなっている。
この喪失感は自分自身がなくなってしまったから、そういうことなのだ。
これから僕は不完全になる。
不完全な僕
恋の仕方がわからない
こんな僕だけど愛してくれますか
言われて嬉しかった
そんなこと言ったら僕だって恋の仕方わからないし
不安にさせてばっかりだと思うよ
こんな不完全な僕でもいいのなら
僕も君も泣きながら抱きついたよね、
これからも楽しい毎日を過ごそ!大好き!
歪なようで
でもそれが完全体で
いつまでもできあがることはない
でもそれが大正解
間違いです
間違ってます
そう吐き捨てたのに
それこそ正常だと
「みんな」が言う
苦しいな
死にたいな
こんな思いすんなら
もう諦めたいな
僕がいつまでも駄目だと言われんのは
それでいいと思えないから
だけど立ち止まっちゃったら
なんもつくれないから
生きてるだけでいいとか
生きてりゃいいことあるとか
そゆこと言うおっさんに吐き捨てる
じゃあ僕と同じもんつくるか
僕よりすごいもんつくってみろ
死にたいから
生きてられる
きもいまま
また眠る
僕は完璧な人間にはなれないと思っている。
成績も普通、運動神経がいい訳でもない、人間関係は良くも悪くもない。
きっと大人になっても大部分は変わらないだろう。
なら完璧になったと言えるのはいつだろう?
ふと考えた時に「死ぬ時ではないだろうか」と。
きっと死ぬ時は後悔が頭をよぎる瞬間がある、でもその時に「でも、いい人生だった」と思えたらそれは完璧な人生だったと言っていいのではないだろうか。
僕はまだまた不完全な人間のまま生きていく。
目を覚まさないその時まで。
薄くファンデーションを塗って、淡い口紅を付け、髪を整える。鏡に写るのは完全な僕。思春期の荒れた肌を、唇を感じさせないような見目の僕だ。他の同級生よりも、小綺麗だ。シワを伸ばした制服に袖を通し、今日も学校に向かう。朝食は取らない。どうせ無駄になるから。
教室の扉を開くと、十数もの目が僕を向いた。水を打ったように、そして何も無かったように目を背ける。皆は完全な僕わ目に写そうとしない。いつものことだ。寂しさを胸に席へ行くと机には悪口、椅子に画鋲が撒かれている。多分、油性だ。当分落ちない。周りからクスクスという笑い声が聞こえる。気まずくて、いたたまれなくて、教室から逃げ出した。走って、走って、トイレに駆け込む。朝食を取らなくて正解だった。どうせ、吐き出してしまうのだから。あぁ、完全な僕が台無しだ。
不快感を負いながら、手洗い場で顔を濯ぐ。鏡を見ると、そこには化けの皮が剥がされた僕……不完全な僕が、いた。
不完全な僕
不完全な完成形
今をつくるのはいつだって
過去の誰かの
思いで、夢で、後悔で、想像で、欲で、人間味である。
良くも悪くも。
いま、わたしは
満点の星空や明け方の空を
ひどく何も無い平らな地で
飽きるほど見つめていたい。
なんて面白い矛盾だこと。
お題:不完全な僕
何か一つ欠けているだけで完全が不完全になってしまう。
この言葉は事実。
でも、もしも何か一つ欠けている僕、「不完全な僕」が完全な僕だったら、どう?
人間は完全じゃないんだよ。
かと言って絶対に不完全じゃない、例えるならもうお空に行っちゃった人達かな。
産まれて、自分の人生が始まって、楽しいことがあり、悲しいことがあり、自分の人生が完結する。
一人一人の人生が物語。
でも、あなただけの物語。
全ての輪郭が曖昧にぼやけて、隣り合うものとものの色が滲んでいる。僕の目から見える世界は、いつだってこの形が正常だった。
それをはじめて知った君は「あまり目がよくないんだね」とあわれむように声色を落としたっけ。
それでも良かった。
だってその代わりと言ってはなんだけれど、僕の耳は君よりもずっと遠くの音までよく聞こえたし、僕の鼻は君の感情の機微まで判別できるほどよく利いた。
君は僕の足りない部分を補って、僕もそれに答える形で君の知り得ないことを教えてあげる。
僕たちふたりが一緒にいれば、きっと敵うものなんて何もないと思えた。
世界をようやく自分の意思で認識できるようになった時から、君は僕のそばにいた。
初めて君を見た時、僕の目に君は、ちっともわからない音の羅列をごにゃごにゃと発する、大きい、知らないいきものに映った。ただ、そういえば最初からいやな匂いはしなかったっけ。
君は僕の汚れた毛並みを気遣うようにそっと触れて、抱き上げてくれた胸元でなんだか鼻の奥がツンとなるような温かさに包まれたことを覚えている。
感触も、匂いも、僕自身とは何もかも違うのに、落ちないように寄せた体から聞こえてきた心臓の鼓動だけは一緒だった。それは今もずっとそうだ。
それから君が長い時間を費やして、辛抱強く歩み寄ってくれたお陰で、僕は随分君に近付けたような気がする。
身体はもうすっかり大きくなって、今や君を追い越してしまった。似た肌色をさらけ出したすべすべの地肌が君と同じように覗いている。
食器の使い方も上達したし、他とは違って大きくて目立つらしい耳の隠し方だって身につけた。何より君と同じ言葉を使って意思疎通ができるようになった!
まだたどたどしい発音でも、君は優しく頷いて、ゆっくりと噛み砕いて、理解してくれる。会話をしてくれる。君の優しさを理解できたこと! それが何より嬉しかった。
欲を言うならば、君がよく静かに見つめている「本」の中身を自分で読むことが出来ればもっといいのに。読んで聞かせるには長すぎる、と断られるのはそう珍しいことではなかったから。
それに、そう言う君からはたまに、何か、もやもやと煮え切らない匂いがする。大したことじゃないけれど、その正体を知りたいとも思った。
「今日は恐ろしい怪物がやって来るから、もうお眠り」
月に一回、いつもよりずっと早い時間に、君にそうやって寝室まで連れていかれる日。
君は心配性だから、僕が怪物に見つからないようにと隙間なくぴったりカーテンをしめて、僕の額にひとつおやすみのキスを落としてから部屋を出ていく。
僕が意識を夢の中に沈めるまで、ずっと扉の前に感じる君の気配は、僕のことを守ってくれているのだろうか。
僕は君よりずっと世界を知らないから。君と暮らすこの家と、周りに広がる森や町のうち、ほんの少しだけ。君がくれる安心だけを受け取って生きている。手を引いて、照らしてくれる道だけを歩んで生きている。
だから今日もそうするつもりだった。
おやすみの挨拶を君に返して、まだあんまり眠くないと訴える瞼を大人しく閉じて、暗闇の中で柵を飛び越える羊の数を数えて待つ。
そうしたらじきにふわふわと思考が解けていくから。
でも。外に、知らない複数の足音が現れた。
怪物が来たんだ。そう思って布団を深くまで被り、息を潜める。どうか過ぎ去るようにと願っていた足音たちは、この家の近くでその動きを止めた。
ドアを荒々しく叩く音。君の気配が、息が、慌てたようにそちらへ駆けて行く。
じっと、ほとんど息を止めていたと思う。自分は今、いないものであると言うように。
ガシャンと物が壊れる音。ぎゃあぎゃあと責め立てる怒号。今まで君が遠ざけてくれていた騒音が押し寄せている。その中に、君を聞き分けた。嗅ぎ分けた。
「やめて」と。「ここにはいない」と。平穏を、僕を守る言葉が。痛みと拒絶と深い悲しみを抱く匂いが。
僕の胸をひどく叩いた。
恐怖に震える体を奮い立たせて、ベッドから飛び上がる。君の言いつけを破るのは心が傷んだけれど、ここで積み上げてきた幸せが壊される方がもっと嫌だ。
寝室を駆け出して、玄関へ一直線。
勢いよく開け放った扉の先、真っ先に目に飛び込んできたのは、こちらに背を向ける、怪我を負った君と、それを囲む何人もの人影。
それから、遥か上、木々の隙間を抜けて全てを照らす白い光。
僕のぼんやりした目にも焼き付くような真ん丸のそれは、途端に僕の全身の毛をざわざわと逆撫でさせた。
うるさかった人間たちの声がぼわっと一度籠ったかと思えば、次の瞬間にはもう何も判別できないくらいに騒がしく鼓膜をふるわせる。
隠して、うまく取り繕えるようになっていた外側が、君と違うものになっていく。
抑えようと深く吸い込んだ空気は、知らない匂いで充満して落ち着かなかった。歯を食いしばる。
恐怖はいつの間にか抑えようのない怒りになっていた。
「化け物が!」「人に化けた野蛮な獣め!」
頭の中で反響する怪物の声がうるさくてうるさくて、苦しくて。整理のつかない感情をむきだしにして、全てを追い払いたくてがむしゃらに手を振り続ける。
いやな匂い。声が減るたびに頭の中はすっきりするけれど、代わりに鼻を曲げたくなるような、思わず眉をしかめるような匂いで満たされていく。それを振り払うように、なくすために今度は口を裂けんばかりに開いて、そうしたら、
「────めて! お願い、お願いだから止まってよ、ねぇ────!!」
間近に迫った塩っぱい匂い。温かくて、鼻の奥がツンとなるような。僕を、呼ぶ言葉。
周りが随分静かになってからようやく、僕の耳は聞きなれた声を拾ってくれた。
毛むくじゃらの僕を引き留めるようにしがみついて、これ以上ないくらいにぼろぼろと涙を零し続ける君をじっと見下ろす。惨状なんて見なくてもわかる。
怪物は僕だった。
急激に冷めた熱は精神的な痛みとなって襲いかかる。
胃の中のもの全てを吐き出しそうな気持ち悪さと、未だ残る身体中のざわめきが僕の感情をぐちゃぐちゃにかき乱す。
違う。違うんだ、僕は、君を守りたくて。
言い訳は覚えたはずの言葉にならず、あやふやなうめき声として吐き出されるばかりだった。
人でありたかった。人間に、なりたかった。
君がそう導いてくれたように、守ってくれたように。
今更どうしたって叶うことのない願いを涙として溢れさせながら、抱きしめ返す資格のない腕を垂らした。
あるいは。
僕がちゃんと怪物であれたなら。
煌々と輝く月の輪郭をはっきりと捉えて、最後まで何もかもを忘れて暴れるだけの獣に成り下がれたのなら、僕はこの苦しみを覚えずに済んだだろうか。人に、君に、救いようのない化け物として終わらせてもらえただろうか。
唯一同じだった命の鼓動も、今や自分のものだけ酷くいびつに聞こえた。
全てが中途半端だったせいで。
「ごめん……ごめん、ね」
月夜への遠吠えだって嗚咽に呑まれて満足にできやしない。誠意を持って君の目を真っ直ぐと見据えることさえもできない。
せめてこんな僕に今まで寄り添ってくれた君には精一杯の愛と恩返しを。
したかった。
【不完全な僕】
「不完全な僕」って言うけど、そもそも「完全な僕」って、存在しますか?
存在するとしても、それは人間ですか?
完全って何ですか?
というか、不完全だと自認している人の方が圧倒的多数だと思うけど。
「不完全な僕」って言うことで、自分は特別なんだと演出してるんですか?
でも全然特別じゃないから。
むしろ普通。お前は普通なの!
昔、「不完全」に酔ってる人に絡まれた事を思い出した。自称・不完全な僕は、大概ただの面倒くさい普通の人だよ。
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完璧な人なんて、架空の人だと思います。
例えば、容姿端麗で頭脳明晰、でも足が臭い、とか。
優れた5ツールプレイヤーで性格も良い、でも足が臭い、とか。
誰でも何かしら欠けている所があって、だからこそ窮屈でなく生きていけるんじゃないでしょうか。
ゆるゆると生きようぜ!
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ついでにもうひとつ。
此処を読んでいて薄毛に悩んでる方はいらっしゃいますか?
実は私、異性の髪なんですが、フサフサよりも禿げ散らかしてる方が好きなんですよ。
いやもう、本当に。
私は子供の頃から髪が太くて量も多く、それでもうずっと苦労しているんです。なので恐らくなんですが、私の遺伝子が薄毛を求めているのではないかと。
だから、自分では欠点だと思う事でも、他方では美点と捉える人もいて、そしてそれを求める遺伝子もあるんですよ。
だから大声で叫びたい。
薄毛に悩むなんて勿体無い。
堂々と禿げていろ!
中途半端だよねって
自分は分かっているけれど
何とかしようと行動しても
すぐには変わらない性格で
努力してるつもりでも
他人からの評価は得られない
瞬間的に見せつけないと
結果として残さないと
私はずっと悔しくて
イラつき、苦しんで
何が正解かわからないまま
完璧を求めてる
それこそ不完全
何に期待していたんだろう
不完全な僕
不完全な僕がいるとすれば完全な僕もいる訳で、でも完全・完璧なんてものは視点を少し変えれば無くてそれこそ見る人によって欠陥は絶対に存在しているし、でもだからといって不完全なままで自身を他人に晒すのではなくその人にとっての完全に出来る限り近付けて猫を被り続ける。人によって態度変えてはいけないとかよく言われたけどそんなん無理やんとか思いながら何も考えず発言したりしてたら周りには冷たい視線を浴びせられたり輪の中から外れたりしてつまんなくなる。みんな猫被ってるから自分も被らないといけない、みんな被ってなかったら被ることが異端になるからありのままを出せばいいけど世界はそんなに簡単にはなってないらしいから頑張って猫被ってみんながみんなのアイドルみたいなものになり続けれる世界が平和なのかもしれない。
不完全な僕
【不完全な僕】
人は不完全だからいい。
完璧な人になると他人から妬まれたり、つまらない人間だと思われて孤立してしまう。
不完全だから人生が楽しいんだよ。
今まで生きてきて、そういう言葉をよく聞く。
しかし、どんなに、そのことが分かっていても完璧を追い求めてしまう。
なぜ自分は完璧にできないんだろ…?
なぜあの人にはできて自分にはできないの…?
そんな気持ちが自分を襲う。
リンネは「ホモ=サピエンス」、ベルクソンは「ホモ=ファーベル」だと人間を定義づけようとした。
もし今、自分が人間を定義づけるのならば、「人間は完璧を追い求める生き物である」と言うだろう。
完全を何故求めるのか。
不完全を何故許せないのか。
完璧を愛し、曖昧を憎むのは
己の欠点を言葉に押し付け背負わせて
自分が正しいと思い込みたいからだろう。
形を誤認する度に
はみ出した心は切られ
何時か、君の言う失敗作になる
不完全な僕はそれを楽しみにしているよ。
ー 不完全な僕 ー
はぐれ馬を探して旅してもう三日目になる。丘をいくつも越えあちこちさまよい、身体は疲れ切っていた。
夜の気配が濃くなってきて、スレンは馬を降りて岩陰に腰を下ろした。今日はもう、ここで夜を明かすしかない。愛馬の前脚と後ろ足をロープで繋いで放すと、ひょこひょこ歩いて近くで静かに草を食み始めた。賢い馬なのでスレンを置いてどこかへ行ってしまうことはないが、ここまで来て万が一にでもこの馬ともはぐれてしまったらもうおしまいだ。
ごろりと寝転んで伸びをする。秋の草原は春や夏よりも水分が失われ草も乾いていたが、それでも大地は厚く柔らかく太陽の香りがして、スレンの身体を受け止めてくれた。空には欠けた月が浮かんでいる。ぼんやり見上げながら、明日はどうしようか考えた。
遊牧民であるスレンたち家族にとって、家畜は財産であり食糧であり、中でも馬は一番の友であり家族の一員だった。決して裕福ではない小さな一家は、一頭一頭を大切に扱ってきた。放牧の際に二頭はぐれてしまい、スレンが探しに出かけたのも当然のことだった。
「もうちょっと、近くで見つかると思ったんだけどなあ」
ぼんやり呟くと、答えるように愛馬が尻尾を揺らした。笑って声をかけ手招きするが、相棒はつれない態度だった。それがいっそうおかしくて笑うと、ひとりの笑い声は夜空に吸い込まれ、岩に染みこんで消えてしまった。今頃家族は、にぎやかにかまどを囲んで夕食を食べている頃だろう。早いところ馬を見つけて、家に帰りたかった。
スレンは両親とまだ小さな弟妹三人と暮らしている。上の姉は嫁いで家を出たが、スレンはまだまだ、跡取りである弟が十分に家の仕事ができるようになるまで、両親と一緒に生活を支えなければならない。家が懐かしいのは人恋しさだけでなく、自分抜きで仕事が回っているのか気になって仕方ないせいでもある。
荷物の中から保存食と水袋を出した。からからに乾いた干し肉とチーズをかじって口の中で柔らかくしながら、とりとめなく思考は巡る。
それでも、きっとスレンがいくら心配しても、両親は上手くやっているだろう。小さいと思っている弟や妹も、スレンの不在にむしろ張り切って仕事を手伝っているだろうし、あっという間に大きくなる。
それなら、それならおれはどうして、いつまで、こんなふうに暮らしていくんだろう。
どうしようもないことを考えそうになったが、水を飲もうとして一気に現実に引き戻された。水がもう残り少ない。どこかで補給しなければ、とうてい家まで帰れない。さてこの辺りに遊牧民の宿営地はあるのか、井戸はあるのか、それとも街があるのか。ずいぶん遠くまで来たのでよく分からないが、明朝丘の上からあちこち眺めてみよう。立ち上る煙の一筋でも見つけられたら運がいい。
満たされないことを憂うより、日々を生き抜くことの方が優先される。生活は少し厳しくて忙しい方がいい。余計なことを考えなくて済むから。
もう一度大地に横たわると、すぐに睡魔が疲れた身体に忍び寄ってきた。うとうとして最後にぼんやり見上げた空に、不完全な月がしらじらと浮かんでいた。
不完全な僕
9月1日、婚活日だけど僕(私)は、車の免許を取得していない。
9月1日、岩崎台倶楽部グラスグラスという愛知県の日進市の結婚式会場で婚活がある。
車を持っていないと行けれない距離
重要なことを見下ろした………
みよし商工会集合だと思ったのに、みよし商工会では
なかった。
岩崎台倶楽部グラスグラスで集合だった………
ショックすぎる………
地下鉄も、まだ無理だし、心臓がバクバクする
そして、立食も。立ちながら食事できるのか?
職場パーティでも立食だったけれど途中から座って食べた。
不完全な僕(私)だな………
まるで、子供大人の性格の私だ。
だとすると、死柄木弔の性格も子供大人の性格だ。
性格が似ているなら、考え方も似てるかもしれない
すごく迷いが生じる
母は、服を買うとき、デザインや色に迷ったら
買わない。という。私も、服で迷ったら買わない。
今回の婚活会場が、岩崎台倶楽部グラスグラス
場所が遠い、地下鉄も無理
迷いが生じる
現地に行ったとしても、彼氏となる人が
私が車に乗って親が運転しているところを目撃したら…
きっと、その人は、幻滅するだろう。
もしも、婚活会場が豊田市の名鉄トヨタホテルで
開催されるなら、職場のイベント、母校のイベントで
名鉄トヨタホテルで開催されるから慣れているし、
地下鉄も乗らなくて良い。
岩崎台倶楽部グラスグラスでの婚活
元々、知らなかった。誘われて応募して
当選した。
未来が見えないだけで、その時点で縁がないんだろうか?
だから、結婚しても良いけれど、赤ちゃん産むのを
諦めなさい。
親戚でも、そうだったから
いつ来るんだろう?
恋愛する時代が
結婚する時代が………
とにかく恋愛して結婚したい
健常者、障害者、関係なく
[誠実で優しくて、包容力のある男性と付き合いたい]
仕事を通して、毎日、家事のような仕事ばかりする。
掃除、皿洗い、洗濯干しなど
イオンで赤ちゃんと一緒にショッピングする夫婦を見かけるようになった。
なんだか、未来の自分を想像しちゃう自分がいる。
きっと、家庭を持ったら楽しいんだろうな………
だけど、私の元彼2人に
韓国アイドルツワイスのモモのような顔がよかった
女優の山本美月のような人と付き合いたかった
2人とも、
モモと、山本美月のような顔、スタイルが良かったんだね。ごめんね?私がブサイクな顔で。
元彼2人の、
モモと山本美月の言葉が私の心に傷つけられた。
そんなに美人で可愛い女性と恋愛したいの?
それなら、芸能界に行けば?と、
イライラした。
信頼していたのに裏切られた気分………
だけど、私にとって、赤ちゃんを産むハードルが
とても高い気がしてきた。
親戚の間で、今の私のような女性が妊娠して難産して
死亡したと聞いたし、
私の未来を心配して、
そう言ってくれているかもしれない。
嬉しい言葉だけど、私は、まだ素敵な恋愛していない
好きなことをする
紫式部を参考にして
私も、彼女のように、オリジナル恋愛小説を書くのが
楽しい。
オリジナル小説を書くのが、今の私の趣味
大丈夫
為せばなるんだから
まぶたを閉じる。
からだからぬけおちていく。
ないはずの鱗が。
ないはずの殻が。
ないはずの羽が。
はらはらと落ちていく。
もっている気になっていたものを、失った気になって、
喪失感を感じている。
失われる感覚こそあれど、
僕はどこかから補充されるのだろうか。
いつか、なくなってしまうのかも。
もとから、いないのかも。
半分溶けながら、存在している。
まぶたをひらく。
空間がある。部屋がある。空気はここに充満している。
ひとまず、ここにいる。世界がある。
少なくとも自分は、自分がこの世界のどこにいるのかわかっている。
それくらいで、存在しててもいいのかも。
夏が終わり、秋が来る。
不完全な僕
僕には、9才の年の離れた、夜斗という弟がいた。
真っ黒で大きな瞳。白色のすべすべな肌。ゆっくりと美しい動作で凛とした声。穏やかで透明な夜斗の心に、全ての人が惹かれていった。
そんな弟が、
愛らしかった。
僕みたいな“不完全”に手を差し伸べてくれたのは夜斗だけだったから。
「ねぇ、夜斗。なんで僕と居てくれるの?」
「えー、お兄ちゃん…」
僕が疑問に思っていたことを口にしてみると、夜斗はむすっ、と頬を膨らませた。
「え、何…?なんかした?」
「したもんっ!」
夜斗は少し不機嫌そうに口を尖らせる。
「だってぇ…お兄ちゃんってさあ………僕のことどう思ってる?」
「好きだよ?」
当たり前。僕の大切な世界にたった一人の弟なんだから。、と僕が真顔で考えていると、夜斗がそっぽを向いて口を開く。
「……お兄ちゃんのこと、僕も好き」
「嬉し〜夜斗好きー!」
「…いつか分かってよね、鈍感」
「え、何を?」
僕が問うと、夜斗は少し微笑む。
「好きの意味」
不完全な僕でも、好いてくれる人はいた。
不完全でも、過ごしてて幸せだなって感じれる。
きっとそれが不完全かどうかより、もっと大切なことだから。
「好き」