眠井

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まぶたを閉じる。

からだからぬけおちていく。
ないはずの鱗が。
ないはずの殻が。
ないはずの羽が。
はらはらと落ちていく。

もっている気になっていたものを、失った気になって、
喪失感を感じている。

失われる感覚こそあれど、
僕はどこかから補充されるのだろうか。
いつか、なくなってしまうのかも。
もとから、いないのかも。
半分溶けながら、存在している。

まぶたをひらく。

空間がある。部屋がある。空気はここに充満している。

ひとまず、ここにいる。世界がある。
少なくとも自分は、自分がこの世界のどこにいるのかわかっている。
それくらいで、存在しててもいいのかも。
夏が終わり、秋が来る。

8/31/2024, 4:11:37 PM