『不完全な僕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「不完全な僕」
そもそも不完全なのが当たり前なので、何をもって「僕」なのかが、わからない。この題名そのものが、破綻している。不完全であることを前提として生きる。どれだけ齢(よわい)を重ねたとしても、人は不完全である。若い人を前に多少、偉くなったように感じても、死ぬ瞬間まで、成長し続ける、そんな背中を見せるだけで良い。
本当に意識の進化した人は、自分の価値観を押しつけることはない。自分もまた、この世の全てを理解しているわけではない。そう悟っているからだ。この世の森羅万象から学びとる気概もなく悟ったような気になっているとしたら、それこそ間違いに違いない。
完全などない。それは不可能だ。生きている限り達成できない。そして死がやってきて、生まれかわり、また振り出しに戻り、最初からやり直すのだ。例外なく、全ての人がそうなのだ。残された人生の時間も学ばなければいけない。何故なら、生まれかわり、また振り出しに戻るけれど、今生で頑張った記憶を持って、果たせなかった使命を自分の魂に思い出させるためだ。
私は決して忘れない。来世では、必ず世を動かす地球人となってみせる。仮に手遅れとなっていても、その時に何が起こるのか、この目で必ず見てやる。そして、この記憶を宿したまま、生まれ変わってみせる。
香水
ふっと香る。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
そのたびに振り返ってしまう。香りの主を探してしまう。
こんなところにいるはずがないのに。
例えば冬の間中つけていたマフラーから。
例えば戯れに抱きしめていたぬいぐるみから。
貴方の香りがするたびに、言いようのない愛しさと寂寥感が襲ってくる。
「この匂い好き」
「つける?」
もらった小瓶は、二度と開けることはない。
次に好きになるのは、香水をつけない男がいい。
言葉はいらない、ただ・・・
そっと腕を広げる。
そうすると君はちょっと困った顔をして、立ち上がってこちらへ歩いてくる。同じくらい広げた腕を脇の間に入れて、背中に回してくれる。ぎゅうっと背中にしがみつくと、君も腕の力を強める。ぎゅうぎゅう。薄い体の抱き心地は正直悪いけれど、くっついてるところからじんわりと温かくなって、ほうっと息が溢れた。不安が溶けて消えて、腕の力を抜く。
それでもまだぴったりとくっついたまま、体温と幸せを感じた。
完璧な人間になりたい。
完璧な人間は失敗しない。
誰にも笑われない自分でありたい。
誰もが願う境地でありながら、誰にも達成されない願い。
完璧って何?
不完全の基準ってどこ?
もうやめよう。
自分の人生にレッテルをはらなくていい。
今の自分に評価なんていらない。
頭の中の思考の戦争を終わらせて、自分という敵から自由になろう。
それだけで、世界は平和だ。
不完全な私なんて、どこにも居ないじゃない。
『不完全な僕』2023.08.31
家を継いだからには、完璧でなくてはならない。
三代目として、この家を護らなくてはならない。
本来なら兄が家督を継ぐはずだったが夭折してしまい、次男である自分が跡目を継ぐこととなった。
祖父の代からの悲願である、地位の向上を目指すため、今日も大名方に講義をする。
しかし、元々、病がちで憂鬱気味な自分に、そんな重圧に耐え切れるはずもなく。
講義のあと、ゲェゲェとえずいていると、あの方が声をかけてくれた。
「大丈夫か?」
上様の側仕えの彼は、優しく背中をさすってくれた。
「具合が悪いなら、断ってもよかったのだぞ」
そんな気遣いに申し訳なく思ってしまう。
完璧でない自分は、完璧であらなくてはいけない。
弱音が口をついて出てしまったら、
すると彼は、穏やかに笑って、
「この世に完璧な人間なんていない。俺だって、完璧じゃないからな」
そう言った。
何事もそつなくこなし、剣術も一等級で、頭がよく人当たりも良い彼がそう言った。
意外だと思ったが、なんとなく納得してしまい、心が軽くなった。
彼もまた、完璧ではないのだ。
けっきょくいっぱいしあわせ!
〈不完全な僕〉
ぼくのまわりには、完全な人ばっかり。
ほかのひとはぜんぜん完全じゃないって言うかも
だけど。
それでも、ぼくよりは完全なんだよねぇ。
ある人は他の人に「声が大きすぎてうるさい!!」
ってよく言われてるけど。
それでもその人は声が大きいのを活かしていっぱい
指示とかしてくれるから、ぼくもたすかってるん
だよねぇ。
まあ、確かにうるさいけど。
ある人は他の人に「早口すぎ!!」ってよく言われてるけど。
でもそれって、それだけ頭のかいてんも早いってことでしょ?
よくぼーっとしゃうぼくには出来ないことかもなぁ。
半分ぐらい聞き取れなくてもう1回聞いてるけど。
ある人は他の人に「気分屋すぎ!!」なんて。
でもそれもやっぱり、ちゃんとやる気を持って色んなことに取り組んでるんだと思うんだよね。
その気分によく振り回されてるのはぼくもだけど。
ぼくは確かにほかのひとよりできないことがあるかもだけど。
でもそれはほかのひとも一緒かもね。
まあそのぶん、それぞれみんなほかのひとよりできることもあるからねぇ。
なんだっけ、隣の芝は青い?みたいな。
ぼくは完全じゃないってぼくは思ってても。
ほかのひとにはぼくみたいに完全にみえてるかも!
だよねぇ〜。
ひさしぶりになんだか難しいことを考えちゃった。
まあぼくはおいしいごはんが食べれて、いっぱいねれたらしあわせ!
ぼくが完全でも完全じゃなくても、
ごはんはおいしいしねれるからねぇ〜。
不完全な僕を愛してほしい。
やることも後回し、自分で決めたことも頑張れない。
朝起きることですらやっと。そんな何も出来ない自分を愛してほしいなんて、高望みすぎて笑えてくる。
それでも、誰かに愛されたい。
ずっと変わらない愛を注いでほしい。
どうか、僕を愛して。
「不完全な僕」
不完全な僕、でもそれは完全な僕。
完璧だと思っても、必ずどこがにボロがある。
それもやっぱり、不完全で完全な僕。
不完全で、完全な僕らを愛そう。
目が覚めた時、僕は不思議なカプセルの中にいた。
腕を動かすと、液体がまとわりつく感覚がした。
顔には酸素マスクが装着されていた。
気がつくと、カプセルの前に白衣を着た人物が現れた。
『01』
それが、僕に付けられた名前だった。
やがて体にまとわりついていた液体が足元から流れてゆき、カプセルの扉が開いた。
それから僕は、毎日毎日、白衣を着た人達に歩くことや食べることなど、「普通」の人間の生活を教え込まれた。
その人たちは黒い仮面を被っていて、表情が全く見えなかった。
そして僕は、外の世界に連れ出されるようになった。
とは言っても、必ず誰かが付いてきていて、決められた範囲外には出られないようになっていたのだが。
カプセルの中で目覚めたあの日から3年後。
僕はいわゆる「普通」の人間と同じように生活するようになった。
家は予め用意されていた。
会社に就職し、一人の女性と結婚した。
しかし、何となく察していた。
これは、あの人たち、白衣の人たちに元々用意されていた道なのだと。
ーーそれでも、何も感じなかった。
モニターには、例の01の姿が映し出されていた。
モニターの前には、5人の白衣の人物が並んでいる。
その中には、01の「妻」の役を担っている女も混ざっていた。
5人は無表情でモニターの前から去っていった。
後に残されたのは、1部の報告書。
そこにはこう書かれていた。
ーー実験失敗
・会話、表情に人間味が感じられない
・感情がない
「不完全だったか。」
「ああ。一体何が足りなかったのだろうか。」
「やはり人工人間というのは、難しいな。」
「01は私が処理しておきます。」
こんな会話をしながら、5人の科学者が真っ白い廊下を歩いてゆく。
完璧な人工人間を作るために。
世界を作りかえるために。
01という少年には愛が足りなかった。
2023/8.31 不完全な僕
#不完全な僕
僕に性別はない。
ないというよりかは決めてないの方が近いけど
だけどみんなはこんな僕をおかしな目で見る。
そんなにいけないことかな、
完全じゃない
不完全な部分も含めて
僕は100点満点の僕
「不完全な僕」
誰かと合わせて完全になることが出来たら、1人の時は不完全でもいいよね?
ほら、「完璧な人はいない」って言うし。
苦手なこととか出来ないことって人それぞれあるけど、それと同じように得意なこと、出来ることも人それぞれ。
友達、親友、恋人、家族…どんな関係でもいい。
自分の不得意な部分を補ってくれる人と一緒にいれたらいいよね。
ただ、嫌いな食べ物だけは同じであれ。
そこだけは補っちゃダメだ。
どうしてって?
お互いの嫌いな食べ物が食卓に並んだら嫌じゃん。
そんな私の苦手なものは、高いところの物を取ったり、しまったりすること。
見た目の成長も心の成長も不完全な私を完全にしてくれる出会いを楽しみに生きる
それまでに少しでも不完全を無くせるように
〜不完全な僕〜
不完全な僕だけど
一緒にいると愛おしさを感じられます
不完全な僕だけど
ともに成長する喜びを感じられます
不完全な僕だけど
二人で涙しあい、苦い思いをできます
不完全な僕だけど
あなたを笑顔にすることができるでしょう
完全じゃないからこそ、一緒に居たいって思えるのです。
だから不完全な僕と手を繋いで歩きませんか?
不完全な僕
完璧じゃなくて良いんじゃないかなと思います。
完璧って疲れるし、周りからのプレッシャーが強そう。
君は天才だ! すごい奴だよ!!
と褒め称えられるのは悪い気はしないけれど、その分
"次も彼、彼女なら出来る"とか次回への期待度が高そう。
誰かの嫉妬も刈りそうだし、良いこととばかりではない気がする。
それに、、、疲れそうだし。
こんな事を考えるから自分は不完全な奴と思われがちですが、今が幸せだから別に良いかな。
あ、やる時はやりますよー!
『夏に死ぬ』
「夏が終わるね」
「……そうだね」
そう彼女に言われて初めて、今日が八月三十一日だということに気がついた。
こうやって太陽が出ていても、二週間前の肌が焼けるような暑さは無い。やかましい蝉はアスファルトの上に転がっている。ほんのりと爽やかな風が吹く。
「そうだね」
思わず同じ相槌が出る。
本当に、夏は終わってしまうようだった。
「嫌だなぁ」
彼女は空を仰ぐ。
「どうして?」
答えを待っているうちに、雲がゆっくりと太陽を覆う。あたりは少しだけ暗くなって、彼女はそれが悲しいのか顔を歪めた。
「私は、夏を越せないから」
夏を越す。
そんなの当たり前だと思った。
今日を超えて、明日を迎えたら九月一日だ。喚く蝉も、巨大な入道雲も、焦げたアスファルトも、風鈴も、蚊取り線香も、花火も。全てを淡い色の季節に閉じ込めて、僕たちは先へ行けるのだ、と。
彼女は残るつもりなのだろうか。そんな儚い思い出と一緒に、この季節に。
「死ぬの。この季節で」
まさか!と僕は彼女の顔を見る。
嘘をついているようには見えなかった。濁った空の色が、彼女の透明色の瞳を突き刺している。どこまでも真っ直ぐに。
「残らないんだよ。夏は」
彼女は空を見たまま呟く。
「喚く蝉は死ぬし、巨大な入道雲はバラバラになっていわし雲になるし、風鈴も、蚊取り線香も、花火も、青い袋に入れられて、もう私達の元には戻って来ないんだよ」
サンタクロースを信じ込んでいる子供に言い聞かせるように、でもそれにしては無感情な声で彼女は、
「そうやって、私も死ぬ」
こちらを見て笑った。
彼女の、あの真っ直ぐな瞳だけが全然笑っていない。ぬたりと生暖かい風が僕をなぜる。思わず腕をさする。鳥肌が立っていた。
「あなたも、死ぬ?」
彼女がこちらに手を差し伸べる。
僕はゆっくりと首を振った。
「そっか。残念」
雲が散り、再び太陽が顔を出す。
「行こう」
夏の太陽に照らされた彼女はあまりにも美しく、そして今にも消えてしまいそうな陽炎のように儚かった。
本当は彼女の手を取ろうと思った。
そのまま彼女と、夏に死にたいと思った。
けれど今ならはっきり『間違いだ』と言える。
彼女は、夏の記憶として死ぬのにあまりにも似つかわしく、それに対して僕は、こうして死ぬにはあまりにも不完全だった。
「不完全な僕」
完全なんてないのに、
自分でつくりあげた完全に対して、
達せていないと、悩んで病んで。
自分の心を1番不にしてるのは、
僕なんだよなあ。
#30
もっと素直に
もっとやさしく
もっと格好良くいたいのに
不完全な僕は
君を名前で呼ぶことさえできない
(不完全な僕)
今日、不愉快だと感じた瞬間があった。それは、ネットでよく流れてくるポエムの中の一文だった。死んでも、周りに迷惑をかけるだけで意味が無いのだと。自分でも理由は分からないが、酷く気持ちを逆撫されて気分が悪かった。
だが、数分もすると感情の昂りは落ち着いた。自分はこの時、第三者目線で珍しく感情的になったと俯瞰していた。
そして、自然と口角は弧を描くように上がっていて自分は笑っているようだった。この時の自分の感情に名をつけるのなら、図星という言葉がピッタリだろう。だからこそ、イラつくのだ。何も知りもしない人間が、まるで理解したかのように物語るのがあまりにも不完全な僕を苛立たせる。
想像で語るな、語るなら経験を積め。
お終い
僕が不完全だからあきれられたのかもな。
まだ覚えてる。というかずっと忘れないあの日のこと。
僕たちが出会って5年目記念日のとき、同棲しようって君に話した。返事がくるまでの数十秒がとてもどきどきでさ。
きみの答えは、お願いしますって
そのときの僕は絶対に世界で1番の幸せものだったと思う。
少し日にちが経って不動産屋に行くことにしたよね。
正直僕は君と一緒に過ごせるならどこでもよかった。
けど君がにやにやしながら楽しそうに見てるから僕も間取りとか外観がおしゃれなものとか気になってさ。
決め手はコンビニ近く。
僕と君らしいよね笑
このときの僕たちは未来しか見えてなかった。
初めて鍵を開けたあの日。
顔を見合わせて嬉しくて君のことが愛おしくて。
窓を開けて部屋は段ボールだらけだったけど
2人でコーヒーなんか飲んでさ。
不完全な僕だったけどせめて忘れないでほしい。
君への愛は本物でここにあったんだってこと。
僕に残されたのはきみとのぬくもりがまだ残っているこの部屋だけ。
僕がもっと完璧だったらもっと先まで続いていたのかな、。
不完全な僕
人は本来障害などなければ完全な状態で生まれてくるのでしょう。後の不摂生などで心身を不完全なものにしてしまう。
アイデンティティの問題で、人は不完全な自分を感じるのではないでしょうか?自我が固まれば、自分を不完全なものとは思わないでしょう。それはそれで、問題がありそうですが、他人が見て不完全な自分は単に相手側のエゴイズムだったりする場合が多いと思えます。
変わって不完全な僕はやはり未熟なコンプレックスではないでしょうか。
人は本来完全な状態であるはずなのに、むしろ社会の方が太古の昔から永久に不完全なものなのではないでしょうか?
不完全な僕というより未完成な我々という方が適確ではないでしょうか。
徳博
不完全な僕
あの失恋のお陰で、
僕はめっきり生気がない
彼女が居なければ、僕は不完全だった
今もよく自覚している
彼女さえ居なければ、
僕は僕の完全を知ることなんてなかったのに