『不完全な僕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「完全な僕には価値があります。
多くの人が僕の力を求めます。
とても嬉しいことです。
僕の力は有限です。
一度でも使えば、もうあなた以外の誰も僕を必要としてくれません。
そして、使えば使うほど、身を削り、汚れ、いずれは力尽きることになるでしょう。
けれど、僕を必要とするただ1人のあなたが僕を使い続けてくれなければ、ただ無為に死ぬこととなります。
一度でも僕の力を使えば、僕は不完全な僕となるのです。
恨みはしません。
必要とされるのは本望です。
ただ、一度使うなら、この身朽ちるまで必要としていただけたなら。
あなたにほかに望むことはありません。
……いえ。たとえ、あなたが使い続けてくれなかったとしても。
恨み言など言いません。
僕はあなたが使ってくれる次の日を黙して待つのみです。」
これが、ある朝、机の上のノートに書かれていたことだ。
普段は書かれているものを消していく彼が、唯一書いたこと。
私が消しゴムの文字を見たのは後にも先にもこの時ばかりだった。
自分に何が足りないかわかってる
つもりだけどどうすればいいか
よくわからない
自分で考えることもやめてしまった
不完全な僕は
このまま一生を過ごすのか
いつかここという時に
力を発揮することができるのか
神様に試されてるみたいで怖い
"ひとつのパーツが欠けている"
"身体の一部が動かない"
"感情が故障している"
ボロボロだ、欠陥品だと
ゴミ捨て場に投げ捨てたれた日の夜
「大丈夫。君はこれからヒーローになれるよ」
差し伸べられた手と不確かな希望が降り注いだ
それは
完全なる満月と呼応して
煌々と輝いていた
-2nd story-
「貴女はお留守番よ、シンデレラ!舞踏会へは行けないわ!」
継母と姉に弾き飛ばされて床に転がる
歯を食いしばって虐めに耐える顔を作ろうとしたところで
芝居は中断
皆んなに頭を撫でられた
「こんな可愛い子を虐めるのが辛い、耐えられない!」
「はぁ!?」
完全なシンデレラを演じられる日は来るのか?
代役で不完全な僕は困惑した
#不完全な僕
不完全な僕
ずっと完璧を目指してきたけど
よくよく考えれば完璧ってなんだろう
私にとっては完璧でも他の人から見たらそれは不完全
100%完璧になんてなれない
それでも完璧を目指してしまう
認めてほしい 誉めてほしい 受け入れてほしい
完璧を目指し続けた私を
私はいつまでも
完璧を目指す不完全であり続ける
そんな貴方が愛おしいのだと
どうやって伝えていけばいいだろうか
もしも貴方が完璧超人なんかになってしまったら、
私、なんにもしてあげられないじゃないの
私がここに居ていい理由も残しておいて欲しい
身勝手な私の、酷い我儘なのかもしれないけど
『不完全な僕』
8/31 「不完全な僕」
大魔王、と呼ばれる者がいた。
積極的に都に攻め入ることはなかったが、数百年を生き、人をさらっては儀式に使い、己の研究に没頭しているという。討伐に向かって生きて帰った者はいなかった。
今日もまた、勇者と呼ばれる者たちが大魔王のもとに辿り着いた。
「わしは完全な存在になる」
大魔王はそう言った。
「そのための犠牲になってもらうぞ」
激しい戦いの末、やはり勇者たちは敗れ去った。大魔王は血にまみれた両手を掲げる。
「わしは完全な存在になる。―――かつてのように、もう一度だけ…」
大魔王は苦しげに、はるか昔に亡くした伴侶を想ってつぶやいた。
「婆さんや…」
(所要時間:9分)
理想は幾通りもあって、全てになれる訳じゃないって、解った気で居た。
でも、理想としていた自分を体現した他人を見る度に、悔しくて、妬ましくて。
かと言って努力している訳じゃない。
気まぐれで、怠惰で、惰性的で。
良いとこなんて、これっぽっちも見つからない自分が大嫌いで。
”不完全な僕”は、いつか完全になれるのだろうか?
……でもきっと、いつまでたってもないものねだりしていくんだろうなって、思ってる。
不完全な僕
仲間が死んでいく。一人、また一人と倒れていく。
いつかに勝利を誓った友人も、罵ってきた人間も、皆死んでいた。
「良かった……! まだ生存者がいた……」
魔物の笑みを切り裂いた青年は、もう死んでしまいたいと願う僕を救い、抱きしめた。
「なぜ、助けてくれたんですか」
数日後。様子を見に来た青年に問う。その質問に青年は一瞬鳩が豆鉄砲でもくらったような顔をした後、笑顔で答えた。
「ただ目の前で人が死ぬのが嫌なだけだよ。これまで散々見てきたからって、諦めたくはなくてさ」
「……僕は……そう思えなかった」
仲間が悲鳴をあげていた。助けてくれと叫んでいた。何度も何度も自分の名前を叫んでいたのに、自分は脚を動かそうだなんて思えなかった。死んでいく仲間を見て、自分もこのまま死のうか、だなんて思っていたくらいなのに。
「―――いいんじゃない? 」
「え」
困惑だとかそういう感情が来るよりも前に頭が真っ白になった。
「それはきっと、誰もが通る道だよ。俺にもあった」
「でも……」
「あの子たちが死んでいい理由はない。震えながらも世界のためにと剣を握って魔物に立ち向かった。その結果死んでしまったのは悲しいことだよ。でも、その惨劇がなければきっと僕はここにいない」
『あの子たち』を思い出しているのか、青年は目を瞑っていた。
しばらくして目を開いたけれど、その表情はなんとも表しがたいものだった。
「君は……もう一度剣を取ろうと思えるかい? 」
目の前の青年は、今も魔物と戦う先輩たちは皆これを乗り越えたのだろう。きっと死者をはっきりとその目に映しながら、駆けている。
あの時自分は目の前で死ぬ仲間や友人を助けたい、と思っていた。でもそれ以上に『生きたい』と思ったのだ。まだ、まだまだ生きたいと。でも助けようともしなかった自分がそんなことを思うのがおかしくて、『死にたい』と思い込むようにした。
「走り続けられるでしょうか。弱い、んですけれど」
「弱い、と自分を卑下するのは良くないよ。……カッコつけてるようだけれど、まだ不完全、と言った方がまだいい。……まぁ、昔僕がそう思ったり、言ったりしていただけなんだけれど」
苦笑いして、頬を紅潮させて。耐えきれなくなったのか、小さな声で『ごめん』とか言ったり。
そんな彼が少し面白くて、思わず笑ってしまった。救ってくれた時の彼はかっこよかったが、こういう部分もあるらしい。
「……ありがとうございます。いつかの貴方のように、僕もそう思うようにします。……まだ、不完全と」
「あ、ああ……! なんだかとても恥ずかしいけれど……嬉しいよ。はは……」
僕はまだ不完全だ。誰かを助けに行くほどの勇気も実力もまだない人間。
けれど、けれど……いつか彼のようになれたのなら。いつか、誰かに彼のような言葉を言えるようになれたのなら。
「良かった! まだ生きている人がいた……!! 」
不完全な僕
(ワールドトリガー夢創作)
「拓磨」
「なんだ」
「呼んだだけ」
「あァ?」
生まれてから、ずっと一緒の幼馴染の、呼び慣れている、けれど飽きることはない名前を呼ぶ。随分背丈は越されたけれど、変わらず隣にいてくれるのに安心する。疑いもしない。多分これから先も一緒だ。
「寂しいなら寂しいって言えや」
上からヘッドロックをかけられる。ゲラゲラ笑いながら、腕を叩く。解放されて、顔を見合わせる。鏡のように笑ってくれる君がいる。
「で?なんだよ」
「マジで呼んだだけ」
「なんだそりゃ」
呆れた笑いに変わる。優しさも含まれる、その笑顔が好きだった。
「ノリ」
「なに」
「呼んだだけだァ」
また顔を見合わせて笑う。こんな日々がずっと続けばいいと思う。そのためなら、戦うことも厭わない。自分の半身と呼べる友がいることを、俺は誇りに思ってる。
※タイトル通りに着地しませんでした。すみません。
不完全な僕は
不完全な道を
ぶつかりながら
ゆっくり進んでいく
泣いて笑って
歌ったりしながら
「不完全な僕」
#209
「不完全な私」
不完全な私
あの子のようになりたい?
あの子綺麗、かわいぃなりたい?
あの人はこんな人
私はこんな人
完璧なんてどこにある?
「君は僕にないものをたくさん持ってる」
これがあいつの口癖だった。
嫌味ではなく、羨望の眼差しで言った。
そうじゃない。
釣り合うかどうかじゃないんだ。
頑張らなくて良い、変わらなくて良い。
なぁ、
俺はそのままのお前がほしかったんだよ。
僕はずっと不完全な僕を許せなかった。なにをしても中途半端で人並みにできることとできないことが混在していて、特別なにかが出来るわけでもなかった。常に他人からの評価を求めて、認められたくて、足掻いていた。
でもそんな僕に、「誰にでもいいところ、悪いところはあるんだよ。自分で気付いてないだけ。」と伝えてくれたのは彼女だった。もちろんすぐに信じられるわけが無い。自分は不完全、だから要らない、どうせ彼女もそんな僕が嫌になってすぐに離れていく、ずっとそう思っていた。
しかし彼女はずっと一緒にいてくれた。不完全な僕を許してくれた。だから僕は他人から認められることよりも、先に自分が自分自身を認めようと思えるようになった。
今の僕がいるのは紛れもなく彼女のおかげ。今はどこでなにをしてるのかな。もう会うことは無いだろうけど人生を変えてくれた大切な人。君がどこかで生きているなら僕も生きていけるよ。ありがとう、
(題目しらず)
闇のなかを電車が走る
架道橋から眺めるそれは
窓から漏れた微かな光(ひ)が
横に流れる線路を照らし
おぼろ電車と揺れる線路が
ゆらゆらぼんと流れていく
淡く儚いその光景を
過ぎ去りしあとも眺めゆく
不完全な僕
「完璧なあなたと結婚したい」
だけど私にはここらあたりがあった
『不完全な僕』の
不完全な僕
自分の半生を振り返ると、失敗ばかりが脳裏をよぎる。
残念ながら恥ずかしい記憶が多い。
それでも甥っ子が生まれてからの僕の人生はとても輝いている。
不完全な僕を大切に思ってくれていることが伝わるからだ。
きっと僕が甥っ子たちを愛している気持ちが伝わっているのだろう。
まだ小さい甥っ子たちに生きる素晴らしさを教えてもらっている。
不完全な僕
勉強が苦手で
人前で話すのが苦手で
周りに合わせがちで
家族にわがままで
人任せ
そんな僕は
不完全
困ってる人を助けられて
悲しんでる人の気持ちがわかって
人を傷つけることが嫌いで
相手の気持ちを尊重できる
そんな僕は
不完全
不完全だから
分かることがあって
考えがあって
いい所がある
不完全でいいじゃないか
「もっと弟を見習いなさい」
「勉強したの?」
「部活なんてやってる暇無いわよ」
僕は中学生なんだけど、幼い頃から"完璧"を目指せと言われ続けて生きてきたんだ。
僕は完璧を求めることに意味が無いと思うんだけど。
僕は完璧じゃない今の僕自身が一番しっくりくるからさ。
勝手だけど、ここで僕の生き方を語ろうか。
完璧を追い求めるよりも大切なことが、
絶対あるはずで。
周りの環境、人々、自然、それと、自分。
一日一日を大切に生きた方が、
絶対良いはずで。
不完全だからこその悩みもあると思う。
でもその悩みも、僕自身でいられてる、
大事なパーツの一つなのかな、
ってね。
_2023.8.31「不完全な僕」
不完全ゆえ成長し完全よりも先の彼方へ。
「よし、完璧だ。」
「やっと完成した!!」
周りは、みんな褒めてくれた。
だけど僕は、不完全だった____
不完全な僕
コンベアの上で目が覚める。
周りを見ると、なにかの部品が落ちている。
それを見て他のやつは笑っていた。
出来損ないだ、出来損ないだって。
僕の部品だと決まった訳でもないのに。
僕はこうやって起きているというのに。
そんな時、君に出会った。
そうやって傷ついてきたから、あなたは優しいんだね
そう言ってくれた。
僕は気づいた。
君の優しさに。
そしてその理由に。
僕は彼女を守ると決めた。
優しさの足りない出来損ないから。