『三日月』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「三日月見てるとクロワッサン食べたくならない?」
情緒もへったくれもない一言に脱力したが、徐々に笑いが込み上げる。
その日から三日月を見るとクロワッサンが食べたくなる魔法にかけられた。
__________
「ねえ、月見て?」
「今見てたよ。クロワッサン食べたくなるね。」
「わかる!同じこと思った!」
電話でそう答えるあなた。
…僕に魔法をかけたことを忘れているらしい。
あなたが魔法をかけたんだと説明したらどんな反応するかな。
僕の話よりお土産のクロワッサンに興味津々なんだろうな…なんて思いながらあなたの待つ家に帰る。
240109 三日月
【三日月】
「三日月ってさ、影薄くない?」
突然、友人が言った。あの冬の夜。僕は意味が分からず、
「影が薄いって?」
と問いかけた
「だってよ、大体のポエムとか歌の歌詞とか、本に登場する月って『満月』じゃん!人狼だって『満月』になると変身する。…ほ〜ら、『満月』が関係している。だから、影が薄いってこと。」
「嗚呼……」
何も返せなくて、一人悩み抱え込む。
「そうかな?私はそう思わないけどなー。」
彼女は答えた。
「だってさ、月が満ちるには、『三日月』ってどうしても必要じゃない。『三日月』ってさ、確かに影が薄いけど、『始まり』っていう大事な時期だから。しかも、月って、満月も美しいけど、影になっている部分だって、よく見れば美しいことよ。」
「…そんなものか。」
「そんなもの…なのかな?」
影が薄い存在でも、よく見つめていれば
そこから『美しさ』を見出すことができる
ということを、彼女から教えて貰ったことを
美しき『三日月』を見る度に思い出す
僕は、他人と向き合い、美しさを見つけ出すことができているのだろうか?
あの月のように
美しさを探す冒険を始めているだろうか?
「うさぎって大変だよな」
珍しく化学部部室にやってきた幽霊部員くんが、部室の本の山に埋もれながら言った。
はて、本の山に動物図鑑などあっただろうかと覗き込めば、彼が読んでいたのは月の本だった。うちは化学部だというのに、一つ前の顧問が科学部と勘違いして置いていった本だ。そういえば、処分に困って山の中に混ぜていた気がする。
いやしかし、それで何故うさぎの話になるのだろう。逡巡し、思い至ったのは月のクレーターだった。
「まさかキミ、月にうさぎがいると思っているタイプか?」
思わず口にすれば、彼は不思議そうな顔で首を傾げた。
「いるだろ、うさぎ。満月の時見えるだろ」
「小学校の理科から学び直した方がいいぞ」
「なんでだよ……俺はうさぎが大変だって話をしてんだぞ」
自分の意見を曲げる気はないらしい。無知もここまでくると可愛ささえ感じる。
「分かった。一旦うさぎがいると仮定しよう。それで、何が大変なんだ?」
「月って満月になる前に欠けてる日とかあるだろ。三日月とか、半月とか」
三日月や半月を知っているのに、何故クレーターを知らないのだ。というツッコミは、私が心の中で十回唱えたのでしないでほしい。
「その時って、うさぎは月を追い出されてるわけだろ? で、満月になったら戻って……大変だろ?」
この言葉がトドメだった。私は頭を抱えて唸った。
「…………私は今、キミにどうクレーターや月の満ち欠けの原理を伝えるべきか悩んでいるんだが」
「は? なんて? 化学オタクの言葉、難しすぎて分かんねー」
「化学(ばけがく)ではなく科学の領域だし、これは義務教育の範疇の知識で……ああ、もう分かった。こうしよう。今日の夜、三丁目の公園に集合だ」
「なに、月でも見んの?」
「ああ。本来ならばうちの部の活動内容には入らないのだが、特別だ。キミに月について徹底的に叩き込んでやる」
今度は反対方向に首を傾げる幽霊部員くん。
徹夜にならなければいいが、と窓の外を見る。暗くなってきた空に、三日月がぽつりと浮かんでいた。
新月で暗い夜を過ごしているとき、月の真向かいの星には何が見えているのだろうか。
月が一ヶ月くらいで満ち欠けをしているということは自明の理であるが、地球だって日の当たる位置が24時間かけて徐々に変わっているのだし、月視点では地球だって満ち欠けしていることになる。将来、人類が月に住むことになったとして、地球の満ち欠けを見て時間を測るようなことがあったなら面白いな、なんて。
:三日月
空が暗くても君はきれいだ
たとえどこかがかけていても
「三日月」
お題:三日月
幼い頃から隣に住んでるふたつ上のお兄ちゃん。誰にでも優しくて、勉強もできて、背も高い。誰からも好かれる、私とは対極にいる人。
だけど本当はお兄ちゃんは運動が苦手で、生活スキルが皆無で、そして鈍感なのを、私だけが知っている。
そんなお兄ちゃんに私は、恋をしている。物心が着いた時にはもう好きだった。でもその気持ちにお兄ちゃんが気付いてくれることは、ない。
お兄ちゃんはずっと、私を可愛い妹だと思ってるから。現に私がいくら好きって言ったってお兄ちゃんは『兄弟のような存在として』好きだと解釈されて相手にしてもらえない。
きっとこれから先もずっとお兄ちゃんとの関係は変わらないんだろうな。そんなことを思って見上げた月は私の心を表すかのように欠けていた。
――今日も、私は三日月だ。
一人だと座れない
きっと 滑り落ちてしまうから
だから、 ねぇ
一緒に座ろう
2024/01/09_三日月
寒い冬の夜空に
三日月と共に星が光る
この穏やかで綺麗な空気
夜空に輝く
月と星は人の心太陽は心の太陽の温かさ
月が好きだ
愛を感じる
もし 月に会えるなら
月は
あなたはとても頑張った
いつかその頑張りが
帰って来る日がくるからと
私の一番の味方で
よかったですねと
私の出来事を
祝福してくれるだろう
もらいそこねた愛を
受け取る夜
月は母
三日月
月が綺麗ですね
なんて素敵な表現だろう
意味を知ると
この月が三日月か満月かなんて
どうでもよくなる
素敵な景色を見たときに
感動するのと同時に
一緒にその景色を見たい人の顔が浮かぶ
娯楽が溢れた今の時代だからこそ
身近にある小さな幸せを噛み締めたい
2024.01.09
#三日月
むしゃっ。
齧り付いたまん丸の柏餅
もちもちの食感を
ゴクり
「はぁ... ... うまぁ。」
もう一個齧り付いて気付く。
「お前は美味そうな三日月だ。」
良いな。
美味い餅は美味そうな三日月にもなれる。
さておき俺は。
飯食ってねぇけど、まぁ。
コレ食ったから良いだろ。
さ、寝るか。
今日はもう何もしたくねぇ。
「三日月」
三日月🌙に感じる
神秘的な魅力は
見えるはずのものが見えない
影にあるのだと思う
人も一緒で
影のある人に
不思議と神秘的な魅力を
感じ そして惹かれる
題 : 三日月
冬になると、学生時代のことを思い出す。
部活帰りに友達と寄るコンビニが好きだった。
練習を終えたあとに、学校から近いコンビニでピザまんを買う。自転車の横で座りながら何気ない会話をする。
「あ、今日の星すごく綺麗だよ」友達が言った。
見上げると、私の目は沢山の星よりも、細くしなやかに弧を描くの三日月が映った。
あの時見た三日月は、今も私の頭に鮮明に残っている。きっとこの先も忘れることのない景色だろう。
月の満ち欠けは人の心のよう。
昼間は輝いて見えないけれど
その姿はどんな時にも美しい。
海のしぶきを浴びて、三日月岩が夜に光る。
「母さんの機嫌が悪い時は、よくここに来るんだ」
服が濡れるのも構わず、彼女は岩へ歩み寄る。
右頬にできたばかりのアザが痛々しい。
「風邪引くよ」
もう帰ろう、とは言えなかった。
私にも彼女にも、心休まる家なんてない。
彼女は慈しむように三日月岩をなでる。
「この岩はね、長い間波にさらされて、柔らかい岩盤が削られてできたんだって」
闇色の地平線から、私たちを誘うように波の音が押し寄せる。
「ねえ、削られた岩はどこに行ったと思う?」
「海の中、かなあ」
彼女は、岩をなでた手のひらを見つめる。
「私、母さんの子供じゃないの」
岩から剥がれたカケラが、彼女の手の上できらきら光っている。
「私は三日月岩から生まれたの。長い間削られて、海でばらばらになって、もう一度陸に上がっても良いかなって思ったから、寄せ集まっていのちになった」
指で押すと、カケラはあっけなく砕けた。
「だからもう、海に帰ってもいいかなあ、って」
彼女の声に涙が混じる。
私は涙ごと彼女を抱きしめる。心が砕けてしまわないように。
【みかづきの子ども(お題:三日月)】
「三日月」
僕の師匠は魔女なんだ。それもとっても偉大なる大魔女だ。え?師匠の事を知らないの?家から出られなくて毎日三日月ばかり見ていた?じゃあ、毎日見ているその三日月と一緒に師匠の事を教えてあげるね。
師匠は昔、魔女狩りによって新月の日に処刑されるはずだったんだ。だけど、師匠は僕と大人になるまで一緒にいてくれるって約束をしてくれたから新月が来ないようにずっと三日月のままにしてくれたんだ。それも魔法の杖で一振で!凄いでしょう、僕の師匠は。だからさ、君も一緒に師匠の所へ行こう。もう食べる物の心配も、寒さに振るえながら寝る必要も、怖いおじさんに怯える必要も無いんだよ。さあ、僕の手を取って。目を閉じて。再び目を開けた時には幸せな世界が広がっているから。おやすみ、僕のーー。
三日月
夜空に白々と浮かぶ三日月…冷たい月の光で、余計に寒々しい…中原中也の詩の中で、一つのメルヘン?だったか、月の光が云々あったな…萩原朔太郎の詩集で、月に吠え白るってあったような…竹取物語もあったな…なんて、月は、色々あったな…って思い乍ら、白々しい三日月を見上げる…満月の様な華やかさは無いけれど、儚さと切なさが心に刺さってくる…
三日月‥貴方様災いや病気から守ってくれると古くから信じられているけれど、それは単なる祈りに過ぎなかった、貴方様は願いも叶えてくれんですよね??三日月様、私の願いをそろそろ聞いてくださってもいいんじゃないですか?
三日月様私の願いはただ一つです
天国にいるあのコに会いたいです、お願いします。三日月様、お願いです私に幸運なんていらないですただただ
あのコに会いたい
ただそれだけ
三日月を見ると不安になる。
満月が来るまであと半月しかないことが分かるから。
あの青白く不気味に光る円形が空の上に現れる日が恐ろしくてならない。
近頃満月が近づくにつれて少しずつ体調を崩すようになってきたが、きっとそれは年々僕の満月を恐れる心が大きく膨れ上がってきているせいなのだと思う。
「身体の弱い母の見舞い」という言い訳もいつかは通用しなくなるんだろうな。なんていったって僕のルームメイト達はとっても頭が切れるから。
だけど本当の理由は絶対に教えられない。教えたくないんだ。だって知られてしまったら、せっかく学校に行くことを許されたのに、せっかく友人になれたのに、何もかもが全て台無しになってしまうのだから。
こんな僕が居場所を求めることが間違いだったんだ。
…ずっとそう思っていた。
だけど、その考え自体が間違っていたと教えてくれたのは他でもないルームメイト達。僕の、親友。
生きてていいんだって、絶対に離れないって、全力でぶつかって体当たりで教えてくれた。
今では三日月を見ると少しわくわくするようになってきた。だって満月の日になれば誰も知らない、僕達だけの、四人だけの秘密の時間がやってくるのだから!
#三日月
独白 2024/1/9
帰省から帰ってきて1日。
仕事と距離を置いて考えて、分かったことがある。
人にものを聞くのがだいぶ苦手だ。
コミュニケーションがどうとかで聞きたくないわけじゃなく、聞くまでの思考の紆余曲折がとにかく疲れる。
私は慎重なわりに粗忽者なので、見返して自分のミスに気づいて直したりが結構ある。
質問も人に聞いた後に自己解決してしまうのが嫌。気の置けない仲ならいいんだけど。
なのでその前に散々考えて、そのうちに解決すればまだいいけど、あり得ないようなパターンも考えてしまって疲弊する。(そして時間がかかっている)
なんというか、気負いすぎてる感じがある。
今年は肩の力を抜いていくのも目標にしたいな。
人生諦めも肝心、楽に生きてこ〜