お題:三日月
幼い頃から隣に住んでるふたつ上のお兄ちゃん。誰にでも優しくて、勉強もできて、背も高い。誰からも好かれる、私とは対極にいる人。
だけど本当はお兄ちゃんは運動が苦手で、生活スキルが皆無で、そして鈍感なのを、私だけが知っている。
そんなお兄ちゃんに私は、恋をしている。物心が着いた時にはもう好きだった。でもその気持ちにお兄ちゃんが気付いてくれることは、ない。
お兄ちゃんはずっと、私を可愛い妹だと思ってるから。現に私がいくら好きって言ったってお兄ちゃんは『兄弟のような存在として』好きだと解釈されて相手にしてもらえない。
きっとこれから先もずっとお兄ちゃんとの関係は変わらないんだろうな。そんなことを思って見上げた月は私の心を表すかのように欠けていた。
――今日も、私は三日月だ。
1/9/2024, 2:53:38 PM