ゆきんこ

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2/26/2024, 11:38:13 AM

君は今、何をしてるんだろう。
料理?読書?あるいは散歩だろうか?
……なんて、もうとっくに君はいないのに考えてしまう。まだ、実はひっそり生きててほしいと願ってしまう。
こんな未練だらけの俺を見たら、君はきっと笑うだろう。

お題:君は今

1/9/2024, 2:53:38 PM

お題:三日月

 幼い頃から隣に住んでるふたつ上のお兄ちゃん。誰にでも優しくて、勉強もできて、背も高い。誰からも好かれる、私とは対極にいる人。

 だけど本当はお兄ちゃんは運動が苦手で、生活スキルが皆無で、そして鈍感なのを、私だけが知っている。

 そんなお兄ちゃんに私は、恋をしている。物心が着いた時にはもう好きだった。でもその気持ちにお兄ちゃんが気付いてくれることは、ない。

 お兄ちゃんはずっと、私を可愛い妹だと思ってるから。現に私がいくら好きって言ったってお兄ちゃんは『兄弟のような存在として』好きだと解釈されて相手にしてもらえない。

 きっとこれから先もずっとお兄ちゃんとの関係は変わらないんだろうな。そんなことを思って見上げた月は私の心を表すかのように欠けていた。

 ――今日も、私は三日月だ。

8/20/2023, 2:23:24 PM

陰から見ているだけでよかった。
たまに言葉を交わすだけでよかった。
連絡が取れるだけでよかった。
仲良くしてもらえるだけでよかった。
一緒にいられるだけでよかった。
君の笑顔を見られていればそれでよかった。

……はずなのに。

もうすぐ虹の橋を渡っていく君と、
もっとくだらないことで笑い合いたいと思ってしまった。
もっと色んな景色を見たいと思ってしまった。
もっとずっと過ごしていきたいと思ってしまった。
もっともっと、君が望まない延命治療を施してでもおじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒に過ごしていきたいと願ってしまった。

でも、それを願うことすらもう、難しいのだといつもに増して弱々しい君の鼓動がいっている。

だから、さよならの前に言うね。
『今まで一緒にいてくれてありがとう。君と出会えてからずっとずっと幸せだったよ。だから、ゆっくり休んで。』

8/17/2023, 3:08:11 PM

 昔から物を捨てられない性分だった。
 壊れたおもちゃ、どこのものか分からない紙袋、死んだ犬の首輪に何かわからない落書きをした紙まで、どこからどう見てもいらないであろうものでも捨てられずに取っておいてしまう。……でも、こんなものまで残してしまうだなんて。

 元彼にこっぴどく振られたのが3日前。贔屓目でみてもかなり仲のいいカップルだったと思う。友達にもお似合いだって言ってもらえたし、お互いに手に取るように相手の気持ちがわかった。
 なのに、突然、なんの前置きもなく別れを告げられた。なんで?なんで?どうして?何を聞いても彼は「ごめん」と返事をしただけだった。
 別れてからはLINEに既読すらつかない。そうなってやっと捨てられたんだと自覚し始めた。
 こうなっちゃったらもう、彼に貰ったものは全部捨てよう。そう思い立って仕分けを始めたはいいものの。
 彼にもらった靴、お揃いで買ったコップ、誕プレにくれた大好きなキャラのキーホルダー……全部が全部大好きで大切な思い出が甦ってきて捨てられない。しっかりと分別していたはずなのにいつの間にか「必要」の箱がぱんぱんに詰まっていた。気がつけば結局全部「必要」の箱に詰めて仕舞っていた。
 そこまでしてようやく私は物だけじゃなくて彼への気持ちすらも捨てられず大切に仕舞ってしまったのだと気がついた。
 ……こんなことになるのなら、ものを捨てられるように特訓しておくべきだった。今更そんなことを考えてももう、後の祭り。きっと私はこれからも彼への気持ちをぶら下げたまま生きていくのだろう。

8/6/2023, 1:27:19 AM

 ぼくが小さい頃、母がたまに大きな教会へ連れていってくれた。もう10年以上も前の事だからあまり多くは覚えていないけれど、2階にたくさんの楽器が置いてありそれを自由に弾くことができたことだけは今でも鮮明に覚えている。
 思い返せば、今のぼくの音楽好きはあの時身体に刻まれていたのかもしれない。曲も弾き方も何もわからないなりに適当に音を奏でるのはとても楽しく、気持ちが良かったのだ。
 引っ越した今でも街で教会を見かけるとあの楽しかった楽器演奏や綺麗な鐘の音を思い出す。

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