【三日月】
「三日月ってさ、影薄くない?」
突然、友人が言った。あの冬の夜。僕は意味が分からず、
「影が薄いって?」
と問いかけた
「だってよ、大体のポエムとか歌の歌詞とか、本に登場する月って『満月』じゃん!人狼だって『満月』になると変身する。…ほ〜ら、『満月』が関係している。だから、影が薄いってこと。」
「嗚呼……」
何も返せなくて、一人悩み抱え込む。
「そうかな?私はそう思わないけどなー。」
彼女は答えた。
「だってさ、月が満ちるには、『三日月』ってどうしても必要じゃない。『三日月』ってさ、確かに影が薄いけど、『始まり』っていう大事な時期だから。しかも、月って、満月も美しいけど、影になっている部分だって、よく見れば美しいことよ。」
「…そんなものか。」
「そんなもの…なのかな?」
影が薄い存在でも、よく見つめていれば
そこから『美しさ』を見出すことができる
ということを、彼女から教えて貰ったことを
美しき『三日月』を見る度に思い出す
僕は、他人と向き合い、美しさを見つけ出すことができているのだろうか?
あの月のように
美しさを探す冒険を始めているだろうか?
1/9/2024, 3:01:10 PM