【三日月】
「三日月ってさ、影薄くない?」
突然、友人が言った。あの冬の夜。僕は意味が分からず、
「影が薄いって?」
と問いかけた
「だってよ、大体のポエムとか歌の歌詞とか、本に登場する月って『満月』じゃん!人狼だって『満月』になると変身する。…ほ〜ら、『満月』が関係している。だから、影が薄いってこと。」
「嗚呼……」
何も返せなくて、一人悩み抱え込む。
「そうかな?私はそう思わないけどなー。」
彼女は答えた。
「だってさ、月が満ちるには、『三日月』ってどうしても必要じゃない。『三日月』ってさ、確かに影が薄いけど、『始まり』っていう大事な時期だから。しかも、月って、満月も美しいけど、影になっている部分だって、よく見れば美しいことよ。」
「…そんなものか。」
「そんなもの…なのかな?」
影が薄い存在でも、よく見つめていれば
そこから『美しさ』を見出すことができる
ということを、彼女から教えて貰ったことを
美しき『三日月』を見る度に思い出す
僕は、他人と向き合い、美しさを見つけ出すことができているのだろうか?
あの月のように
美しさを探す冒険を始めているだろうか?
【雪】
「…誰にだって子供心はあるよ。」
数年前、後輩に言われた「冷静な人」って、だから僕はあんなふうに返したんだ。
僕が帰省したことを祝福するかのように
雪が降り始めた。
わあ、雪だ。ついに冬が来たんだ。
って僕も心から喜んだ
大人はみんな雪が降ると、
交通が止まるだの、買い物に行くのが困難だの
不満ばかりを口に出すが、僕は違った
雪があるからこそできる遊び、
足跡をつけたあの喜び、
非日常を少しだけ体験出来る
雪は人に無邪気を与える魔法だと僕は信じている
だからきっと、
”あのちょっぴり静かな後輩”もはしゃぐんだろうな
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『雪を待つ』の続編みたいになった…
【クリスマスの過ごし方】
一人暮らしをして、
初めてのクリスマスがやってきた
今日は大学の部活の仲間たちといつも通り練習して
帰り際に
『メリークリスマス!良いお年を』
と祝福の言葉をかけた
その後、家に帰って 私は
「ひいらぎかざろう」「久しく待ちにし」
「もろびとこぞりて」「サンタが町にやってくる」
を鼻歌で歌いながら、帰省の準備と
ちょっぴり豪華なご飯を作った
ちょっぴり寂しいけど
気分はすっかりクリスマスに染まっているの
【ゆずの香り】
今日は冬至 特別祝う日でもない
僕はいつも通り会社に行き、
いつも通り仕事をこなし
いつも通り帰る
なんの変化もない日常だった
スマホを開くと 母親からLINEが届いている
そうか、来週は帰省するんだった
風呂に入ろう いつも通りシャワーで済ませよう
そう考えて浴室に行った
何もしていないのに、ゆずの香りがした
懐かしいな
いつもこの日母はゆずの皮を風呂に入れていたな
その姿は歳をとるうちにどんどん小さくなった
寂しさを思い出した
来週の帰省が楽しみになった
お土産何にしようかな?
少し楽しいバスタイムが始まった
【大空】
大空を見ると、いつも思い浮かぶのは
努力家の君だった
自分の好きなこと、将来の夢明るい未来に向かって
大空に羽を伸ばしている君が隣にいると
私は不安になった
だらしない私の隣にお手本となる君がいていいのだろうか?と
でも、君みたいになりたくて、私も羽を伸ばす
でも、君みたいに立派じゃない
私もまっすぐ前を見て 胸を張って
大空を羽ばたいているいる君みたいになるために
私は今日大空を羽ばたく一歩を踏み出した