『ルール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
人間がミステリー的なそんな感じの展開で死ぬ話です。グロテスク及び詳細の描写はありません。特に解決もしてません。
「この場に探偵はいない。そういうルールのはずだ」
屋敷の主人が悲痛な声で叫んだ。
静寂を破ったそれを皮切りに、招かれた客たちがそろりそろりと続きを口にした。
「そうとも、そうとも」
「我々は推理を口にしてはならない」
「凶器を確定させてはならない」
「犯人を示してはならない」
誰も彼もが遠巻きにいっとう大きなシャンデリアを囲んでいた。その下敷きになった、顔も伺えぬ被害者の身元すら知ろうとしなかった。
外は季節はずれの大雪予報のままに夏の嵐よりも吹きすさんでいて、屋敷への路は絶たれている。すべての重たいカーテンが引かれた。すべての外と通じる窓戸口が鍵で閉ざされた。それでも煙突からか、通気口からか、雪花が紛れてくるほどだった。
やがて細々と続いた声も再び静けさを取り戻す。彼らは主人も含めて沈痛な面持ちでお互いの顔を見合わせるしかなかった。
この場に探偵はいない。いてはならない。なぜならそういうルールで集まったから!
この日、交流会と聞いて集まった反探偵同盟の面々は自らがすすんで探偵の真似事をするなど、まさに死んでも嫌だった。しかしながら、みな人殺しのいる場所から逃げ出したくもある。
どの顔も忙しなくぎょろぎょろと目を動かして差し出す贄を見極めた。誰かが〝汚れ役〟をやらねば疑心暗鬼が終わらないことを誰もが察していたからだった。
なにせ、数時間前、屋敷の主人は乾杯の音頭でこのように告げて客の笑いを取ってしまったので。
「──少なくともこちらのシャンデリアは今朝から何度も確認しております。ええ、ええ、まったく落ちるわけがない」
彼は最後にはこう締め括った。
「我々の中に殺人鬼がいるわけでもなければ、探偵の出番などありませんからね! 反探偵同盟の夜に!」
ああ、そうしてグラスの音が懐かしい記憶に感じるほどの、長く苦しい一夜が始まったのだ。
死んではいけない
これはルールだ
誰が決めたことではないが
死んではいけない
これがルールだ
どんなにか辛くて惨めでも
死んではいけない
死んではいけない
死んではいけない
それでも生きてゆかなくては
『ルール』
空想して遊ぼうとすると、思い付く風景というのが
四方地平線まで草しかない草原に、彼方へ続く細い一本道があり、その傍らに、私は倒れている。
カバンを所持していたので、どういう状況か分かるかと開けて中を見ると、簡単な地図があり、この先道を進むと、小屋があるらしい。
そこへ行くとどうなるのか不明だが、ここでこうしていても始まらない、草しか無いから。
私が空想しているんだし、私が次の展開を考えればいいのだが、考えているというより、既にあるはずの展開を眺めている感覚なので、何も思い付かなければ、そこで止まる。
一本道を歩いて行くと、道の側に長細い小屋が見えてきた。近寄って見ると田舎の木造の駅の待合室のような建物だ。中に入る。誰もいない。殺風景な部屋。椅子に座る。
そこで、また止まる。
それでも次の展開を考える気にはなれない。どこかの別世界で実際に起こっていることなのだが、どうも時間の感覚がこちらと違うので、先に進むのが遅いだけなのだ。
たぶん、死後に私が行く世界なんだと思う。予告編なり、事前説明だと思う。あるいは、早めに始まっている。
それで、ここで何をどうすればいいのか、相変わらず分からない。
『白線』
白い線が引かれる ここから先は欲深い方々の垢だらけ 入らない方がいい 見ないに越した事はない 線があったら跨ぎたくなるものだけど 立ち入り禁止と誰かに聞いた ルールだからと誰かに聞いた 特に大きな疑問は浮かばなかった ルールという言葉は強い
多くの人はルールの中の笑い方を知っていた
【ルール】
誰かが言った。ルールは破る為にある、と。
ルールって、言葉で明確にされているものを守るって感じ。
けれど暗黙の了解とか、空気を読むみたいな明言されていないルールもある。
そう考えると、ルールを守るのって案外難しい。
何よりダメと言われるとやりたくなることってあるし、
そういう人間の心理みたいなものってあると思う。
その心理にもちゃんと名前があるんだって。
カリギュラ効果って言うらしい。
みんな、知ってた?
ルール
ただ自由を求めただけだった。
ルールばかりのこの国で、それに苦しめられ、辛い思いをしてきた者がたくさんいた。
そんな人たちと手を取り合って、新しく国を作り上げた。自由になるための国だった。ルールなんて存在しない、なんでもできる国を作りたかった。
たった一つ、この国に存在するルールは『ルールを作らないこと』だった。自由を手に入れた民は好きなように生きた。起きる時間も寝る時間も、好きなこともやりたいことも、誰にも指図されずにその自由を謳歌した。
そんなあるとき、事件が起きた。とある男が一人の女性を刺したのだ。不幸なことに女性は命を落とした。
そんな事件に民は男を裁くように訴えかけた。しかし、裁くはずのルールすら、この国にはなかった。みんなが絶望する中、男は笑っていた。
そうして、民たちは多数決をとり、男を裁いた。ルールなんてなかったこの国に、ルールが一つできた。
老人がそう話終えると、旅人は未だに不思議そうな顔をしていた。
自由な国、と呼ばれるこの国に興味を持ち、訪れたはずのこの国はルールであふれていた。おそらく訪れたどの国よりもたくさんのルールがあった。
「こんなにもルールがあっても、まだ自由の国と言えるのでしょうか?」
旅人の純粋な問いに老人は微笑んで答えた。
「もちろん、今でもこの国は自由な国だよ。ルールを破らなければ何をしてもいい。私たちが経験したあの自由は狂気そのものだよ」
ルール____
わたしの自己ルール
一つ目
相手はどんな状況であり、どんな心情であり、どんな環境にいるのかを理解しなければ人を傷つける権利など得られない。相手の全てを理解できる人などこの世にいない。だから、わたしも人を傷つけることはできないし、しない。
二つ目
被害者だけを見ていれば上辺だけを見ているのと一緒。だから、視野を広げて加害者の気持ちにも寄り添わなければならない。だからと言って加害者の味方になるわけでも被害者の味方になるわけでもない。わたしは、どっちが悪いかとか、どっちの方が辛いかとか、そんなものを比べて公平な判断ができるほどの人間じゃない。ただ、辛い人の支えになれればいいと思っているだけ。
三つ目
一つ目のルールをわたしは無意識に破っているだろう。だから、その分人に優しくする。無意識に傷つけるのはもうしょうがないと以前割り切った。「このとき、もしかしたらわたしは相手を傷つけできたかもしれない」とあるかもわからない罪悪感に潰される。この三つ目のルールは自分のためにあるんだ。人に優しくする。それは、唯一わたしにとっての自己肯定感となる。
この村のどこかにあるという財宝を求めて
私は一人はるばるやってきた
「村の外れの森にある洞窟には絶対に入ってはいけない」
数日滞在する旨を伝えると
村の長にそう忠告された
複雑な迷路になっていて出て来られなくなるだとか
さらには恐ろしい怪物が潜んでいるだとか
いかにも胡散臭いことを言っていた
活気がまるでなく風が吹けば飛んでいきそうな村だ
洞窟について村民へ情報を伺う
噂によると
道を間違えなければ帰って来られるそうだが定かではなく
そもそも怪物を恐れて誰も立ち寄らないらしい
私は道具屋でロープを買い占めた
崩れ落ちそうな店でロープもボロボロだったが問題は無い
すぐに自前のランプを持って洞窟へ向かった
買ったロープを繋ぎ合わせて近くの木に結び
もう片端を体に結んだ
聞いたとおり洞窟の中は複雑に入り組んでいて
ロープがなければ脱出は困難だろう
柔らかい土の感触を得ながらいくつもの分かれ道を進み
しばらくして行き止まりにたどり着いた
地面に散らばっているものを照らした瞬間
頭に強い衝撃を受けて私は倒れた
この村に来たことを後悔した
ここには怪物しかいない
意識が遠のき
おびただしい数の骸の中で私は眠りについた
~ルール~
ルール
守らなければ
いけないとは思っていても
抜け道を探したくなる
決められたことを
どう捉えるかは自分次第
すごく外れることはしないけど
ちょっと位は外れたい
そんな風に思ってしまう
付き合ってる中で絶対必要なものなのかな、、
#ルール
題 ルール
本が読めなくなりました。
嘘だとお思いになるでしょう、そんな馬鹿なことあるはずないと思うでしょう。でも本当なんです。
高校二年生になった時分、私は突然、本が読めなくなりました。目を失った訳でも、偶然、両目が同時に麦粒腫(モノモライ)になったわけでもありません。
⋯⋯ いえ、日本語は理解出来るのです、例えば、「平成」と書かれていれば、それは年号だと分かるのです。しかし、「平成26年10月7日、太郎は東の山へと向かった。古より残されしモノノケを倒し、世界に平和を取り戻すためである」と書かれると、途端に理解できなくなるのです。つまりは脳がバカになっていました。
それというのも神経衰弱によるものです。新たなクラスとなって、私は、新たな友人たちを信用出来なかったのです。仕方の無いことでした。けれど私には、それが、冤罪にもかかわらず与えられた、天からの罰のように思えたのです。
ご飯が食べられなくなりました。
人間不信は、私の望とはウラハラに、深い所まで来
ていたのです。しかし世間というものは、世間の敵を嫌います。私は一所懸命、敵ではないと、笑って、笑って、笑っていました(それが世間のルールだからです)。初夏に差し掛かったのをいいことに、お弁当を食べられないのを、「夏バテのせいよ」と、友人(本当に?)に笑っていました。
おそらく信頼していた家族にも、惨めな私を知られたくなくて、寂しさを隠していました。学校以外の時間は、ほとんどを涙とともに過ごしました。イジメられた訳でも、暴力に会った訳でも、何も無いのに、寂しくて、部屋で独り泣いていました。
しかし母というものは存外偉大でして、私の秘密などアッサリ見抜くのです。夏バテという言い訳は、母には通用しませんでした。ご飯を食べられない以外にも、私の異常を何かしら感じ取っていたのでしょう。
それでも私は、意地を張って話そうとしませんでした(恥ずかしい話ですが、私は、自分でナントカしなければと思い込んでいたのです、そんなはずは無いのに)。しかし母は、無理やりにでも私に口を割らせるようでした。何度も問いただされる内に、私はついに、涙とか嗚咽とかとともに、苦しみを吐き出したのです。
母は、学校を休んでもいい、と言ってくれました。けれど私には、母の本心を見抜けないはずがなく、それも少しだけ相まって、「1度休んだら、きっと元には戻れないから」と、今まで通り、学校に行くことにしました。私はそういう、変にプライドが高くて、真面目で、面倒臭いニンゲンなのです。
結局のところ、母に話したところで、現状は何も変わりませんでした。学校ではいつも、他人を信じられず、毎日毎日、友人(本当ではない)と過ごさなければならない休み時間が億劫で、早く終われと願っていました。そういう状況が、卒業まで続きました。
しかし、もしあの時、母が気づいてくれなかったら、私はおそらく、世間の言うところの、社会的脱落者となっていたのでしょう。今思えば、世間で生きることを諦めなくて良かったと思えるのです。
卒業してから半年以上経って、私はようやく、やっと、200ページの新書を読み切るまでになりました。読み終わると同時に、涙が出ました。
私は、本が読めるようになりました。
これは、私の経験をほとんどそのまま書いたものです。
本が読めなくなる、ご飯が食べられなくなる。日常の当たり前が、少しずつ欠けていって、やがて何もできなくなる。そして、友人も家族もいるのに、私はひとりぼっちなのだと盛大な勘違いをする。そんな勘違いをしたまま、自分が自分を深いところまで沈めていくんです。
歯磨きが出来ない人、お風呂に入れない人、電車に乗れない人。
どうか、世間が当たり前と決めつけていることをできない人がいたとしても、笑わないであげてください。
ルール
ハンディという言葉がある。おそらく英語だと思うが、制裁と関係がある言葉だ。生まれながらハンディを背負う人がいる。気の毒だと思う。障害を持って生まれるわけだ。小学生の頃は運動会で障害物競争をした。障害をもった子供たちのクラスもあった。身近に障害者と一緒に暮らしていた。しかし、高校受験で選抜され障害者とは距離を置くようになった。急に大人になったようで得意になった。しかし、その後に経済的な障害があることを知った。身体障害、知的障害、精神障害、経済障害。人生にはいろいろな障害がある。社会も障害者に理解を示すようになって来ている。
【ルール】
我が家には、夕食に関するルールがある。名付けて「食べる人作る人洗う人」方式。要するに、家族内の分業制である。ただし、父と我が相方の2人は常に「食べる人」。私と母の2人が交互に調理と片付けを担当することになっている。
少し前までは、私が夕方まで仕事で出ている日は母が調理担当、それ以外の日は私が作るということにしていた。片付けの担当は決めずに「気が向いた人がやる」ということにしていた。が、なかなか2人とも気が向かず(そりゃそうですよね)、翌朝痺れを切らした母が朝食の準備とともに片付けを済ませてくれていた(ごめんね母ちゃん)。
これでは何とも不公平で、母のご機嫌も大層よろしくないので最近このルールが一部改訂された。私が仕事が休みの2日間は「母が調理で私が片付け」、それ以外の5日間は「私が調理で母が片付け」。これで今のところはなかなか上手くいっている。
ちなみに、今日は私がオムライスと春雨スープを作り、食後すぐに母が片付けてそれぞれの任務は完了さした。明日は担当が逆転する。家族みんなで美味しいものを美味しく食べるために、ルールを守って楽しい食卓にしたいものだ。
あ、たまに父や相方が作る「めっちゃ手の込んだカレー」はすごぉ〜く食べたいなぁ。もっとも、台所もめっちゃ手の込んだ散らかり方するんだけど…
ルールに従って誠実に生きること。
ルールってなに?
難しいんだわルールって。
ルールがあってそれを無視して悪事をしても
同情とか共感される理由があれば
ルールなんて関係なくなっちゃうもん。
ルールなんてあくまで仮定で
結局は全部人による。
自分が過去に身内を亡くしていたら
「早くに身内を亡くした」という言葉を聞くだけで
過去を思い出し、涙が溢れる。
そうすると感情的になっちゃうでしょ?
ルールなんかよりもっと厳しくて、恐いのは
『人の感情』だよね。
ルールなんって
なくなって仕舞えばいいのに
そう思った
なんの鎖もなくただただ
自由に生きたかった
家のルール
そんなの要らないのに
なんで要らないのをわざわざ付けるの?
これがあるから、それがあるから
僕は自由に羽ばたけないし、どこにも行けない
本当、家族なんて嫌いだ。
だって、血のつながりのあるただの他人に
なんで僕は、そんやつに縛られなきゃいけないのさ
本当、嫌いだ、ルールなんて大っ嫌いだ
ルール
僕と貴方の、きまりごと
もう縛られることはないはずなのに
あの時よりも
貴方のことを気にしてる
君との未来が約束されるなら
どんなルールもぶち壊してやる
どんな世界にも、どんなことにも、決まり事はあるよね~。
それを無視したり、平気で破ったりしたらどうなるか、なんて、きっと誰もが知ってることで。
ーーーでも、ボクには関係ないんだよねぇ。
決まり事は、実は穴だらけって知ってる?
だからこうなったんだし、こうなることも想定できたはずなんだよね~。
それができなかった時点で、ボクはその”ルール”から外れてるって訳。
……間違ってはいないよ?
だって、ボクには過去と今しかないんだから、ねぇ?
ルール
[ルール]
気怠げな空気の中で、貴女は緩慢な動きで俺の手に触れる。
「どうかした?」
「……違うなぁ、って思ったの」
「違うって、何が?」
「あの人の手と、君の手は違うなぁ、って」
「どう、違うの…?」
「君の手は私を愛してくれる、やさしい手。大好き」
貴女と目が合い、どちらともなく唇を重ね合わせる。
ただ唇を重ね合わせるだけの子供騙しの口付けが、さっきまでの行為よりも気持ちが良くて、ずっとこうしていられたらいいのに。
「俺も貴女の手が好きだよ」
この指先で求めている人が俺じゃないとしても、貴女が俺を捨てたとしても貴女を愛し続ける。想い続ける。
隣に居られなくても、触れられなくても、俺は貴女が好きだよ。きっと二度と貴女以上に愛せる人と出会えない。
(だから、どうか……)
彼女に俺の想いが悟られませんように。
そして、どうか。
どうか、俺への罪悪感を貴女が抱きませんように。
『ルールを決めようよ』
『そう、私達の中の唯一で、絶対的なルール』
『何かって?』
『別れる時は、必ず私を憎むこと』
「分からないことや聞きたいことがあったら手を挙げて質問してください。」
「はーい!せんせー結婚してるのー?」
「そういったことはあまり聞いてはいけませんよー。まだ結婚はしてません。」
ねえ先生。
いまここで手を挙げて、わたしのこと好き?って聞いたら、先生は教えてくれるの?
#ルール