『ミッドナイト』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ミッドナイト
夜更け頃、ポストが鳴った。焦る様なバイクの音がした。私は起き上がることを拒んだ。昨日も雨が降っていた。バイト帰りに洗濯物がかかっている家をちらほらと見たため、災難だと思った。
私はふと、考えることがある。途方もない話や、何にもならない話。そして、今のような雨降る夜には、一日の境目について、考えることがある。
日付が変わる時、私の身に変化があるのは後悔の念だけで、理屈的に変わったことを説明できない。恐らく、世界単位で見たとしても、日付が変わる瞬間を好意的に捉えるのは、新年だけだろう。それでも残酷なまでに時間は進んでゆく。時間が解決する問題もあるが、問題の大半は殆ど、時間が止まれば解決すると思う。
1人寂しい夜にはまた、縋るように途方もない話をする。
液晶の光を消し、眠りについた。
#ミッドナイト
―――
『腹減ったな』
そう言う此奴に着いてきたのは、何故だったか。
街明かりが沈んでいるからか、吐いた息がより白く見え
室内で暖まった身体から、熱が逃げていくのが分かった
辛うじて、手袋のままポケットに突っ込んだ手はマシだと思う
「...お前は、家で待ってても良かったんだぞ?」
玄関口以来の、此奴の声。
普段なら俺一人に買いに行かせるくらいなのに、しおらしく聞いてくる様子が、なんだがおかしかった。
「ふっ、丁度俺も夜風に当たりたかったんだよ」
「ふーん...こんなさみぃのに」
「お前だって、甘味欲しさに出てんじゃねぇか。また血糖値上がるぞ」
「あーあー聞こえない聞こえなーい、最近は落ち着いてっからいーの」
「まぁマジでダメなら殴ってでも止めるから良いんだが」
「いや怖ぇよ?...クシュッ」
そうして話していると、くしゃみが一つ
「おい、だから手袋しろつったろ」
「いやすぐ見つからなかったし、手袋一つ無かったって良いかなってよ〜...ヘクシュ...!」
「言わんこっちゃねぇな...」
顔を見てみると、鼻先がほんのりと赤い。
寒いから当然か...多分俺も似たようなもんだろうしな。
そんな事を思いながら、俺は此奴に片手を差し出した
「......飴ちゃんは持ってねぇ〜よ?」
「違ぇだろ、手だよお前の」
貸せ、っと無理やり手を取り、一緒に上着ポケットへと突っ込んだ。
「...いや、なにこれ」
困惑気味に聞かれる。
その顔は、先程見た時より赤く見える。
「...つか、なんかその、ほら、あの...」
「何時ものハキハキしたテメェはどうした?お眠か?」
「うるせぇな...!普段こんな事しねぇだろうが...!!」
恐らく怒っているのだろが、振りほどかれなければ相手は満更でも無い。
...っと、何かしらの本に書いてあったのを思い出し、いつもの感じで続けた。
「何時もはお前が恥ずかしいとか言うから我慢してんだ。こんな人気のねぇ時間でくらい良いだろ」
「恥ずかしいとは言ってねぇだろ!」
「じゃあこれからは真昼間でもやるぞ?」
「ぐっ...」
俺がそう言うと、折れた様でそれ以上は何も言われなかった。
......此奴は嫌がるからやらねぇが、本当は周りに見せつけてやりてぇと思う。
本人に自覚は無いが、変な所でモテやがるから。
だったらせめて、こう言う二人きりの時に慣らしをするくらい許して欲しい。
そして続けて行けば、真昼間でも折れるだろう
「はぁ...ったく、早く菓子買って帰るぞ」
そう言うと、此奴は足早に手を引かれた。
...まぁ、今はこれで十分だ
と、俺は歩数を合わせる様に踏み出す。
ミッドナイト...とか、何とか。
空に浮かぶ星々が俺らを見てる様だと...有り得ない妄想をしながら。
「俺は少しくれぇ寄り道してもいいんだがな」
「俺は早く買って食いてぇからダメだ!」
貴方の言葉に傷ついた日。
貴方を言葉で傷つけた日。
そんな日の夜は、なかなか自分の心と意思疎通が取れなくなって、思うように明日の準備が出来なくなる。
それでも、明日のために、鞄を整理して、明日のやるべき事を考えて、アラームをセットして……。
あとは、明日のために、明日に備えて、寝るだけなのに。
貴方との思い出にしがみつく私が、それを許してくれない。
時計を見る。もう日付は変わっている。
つい最近の貴方との思い出が、1日という壁で隔てられた。
今日はきっと、貴方とのいい思い出が、増える日に。
お題『安心と不安』
夜更けの部屋は静かで、カーテンの隙間から街灯の光が細く伸びていた。
ソファに並んで座る二人の距離は近いのに、七海の胸の内には言葉にしづらいざわめきがあった。
「……どうかしましたか、猪野くん」
七海がそう尋ねるより早く、猪野は七海の手を取った。その掌は少し熱を帯びていて、体温だけで心臓が落ち着くのを感じる。
「考え事してたでしょ。最近さ、そういう顔多い」
「いえ。仕事のことを少々……」
微笑みでごまかしたつもりだったが、猪野は納得しなかったらしい。七海の手をぎゅっと握り直す。
「七海サン、なんでそんな不安そうなの?」
その率直さに、七海は一瞬言葉を失った。
年下の恋人に弱さを見せるのは、正直、少し怖い。
「……君は若い。これから出会いも多いでしょうし、本当に私が隣にいてよいのか、君の未来を奪っているのではないか、と」
口に出した瞬間、不安が形を持ってしまった気がした。七海は視線を落とす。
すると、猪野が小さく笑った。
「そんなの、いいに決まってるじゃないですか」
猪野は七海の顎に指を添え、やさしく顔を上げさせる。
「安心してください。俺が好きなのは七海サンだけ。年齢とか関係ない」
「……本当ですか」
「本当です。むしろさ、不安になる七海サンも可愛いって思ってる。だって、不安になるくらい俺のこと大切に思ってくれてるってことでしょ?」
そんなことを真っ直ぐに言われて、七海の胸がきゅっと締め付けられる。
同時に、ふわりと温かいものが広がった。
「ずるいですね、君は」
「そうかもしれません」
猪野はそう言って、七海を抱き寄せる。胸に顔を埋められ、七海は小さく息を吐いた。
「……君がそう言うなら、不安も悪くありませんね」
「でしょ? 不安があるから、安心もわかる」
猪野の腕の中は、驚くほど落ち着く場所だった。
年上としての自負も、不安も、すべて受け止められている気がした。
七海はそっと猪野の背に腕を回し、静かに微笑んだ。
「では今夜は、この安心に甘えさせていただきます」
「どうぞ。気が済むまで」
重なった体温が、夜の静けさをやさしく満たしていった。
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
1日と1日の狭間
時計の針が、ぴたりと止まった。
針は接着剤でくっついたかのように、動かなくなる。
自身の部屋で目覚めた少年は、その時計を不思議そうに見ていた。
茶色の髪が、寝癖でひどい方向に曲がっている。
壊れたのかな?と独り言を呟き、枕側に置かれたスマホをいじる。
しかし、何度も画面をタッチしても、自身の顔を写すだけだ。
少年はシャッドダウンをし、電源をつけようとするも、何も反応がない。
まるで壊れてしまったかのようだった
少年は、真っ暗な室内を明かり無しで歩き出した。
見慣れた部屋も、暗闇の中ではお化け屋敷のように感じてしまう。
なんとか手すりを掴み、両親の寝ている1階に降りる。
すると、階段の目の前に広がっている玄関の扉が、少しだけ開いていることに気がついた。
微かに月明かりが、そこから漏れ出している。
不用心だな、と鍵を閉めようと扉に近づいた。
手を伸ばし、シルバーの取っ手を掴む。
その瞬間、ドアが開かれ、顔面に扉がぶつかった。
「うわっ!」
おでこに痛みを覚えながら、少年は後ろに倒れ込む。
いたた、とおでこを抑えながら開け放たれた扉を見やった。
そこには、誰かが居た。
それは成人男性ほどの大きさで、倒れ込む少年を見下している。
二本の足に、二本の腕。
しかしその皮膚は、スライムのような緑色だった。
服はボロボロで、殆ど着ていないのと同義だ。
目は虚で、開け放たれた口に歯なんてものは無い。
「あぁ…あぅ…」
その言葉は、目の前にいるそれが、ゾンビであることを証明してしまった。
少年は叫び声を上げ、立ちあがろうとするも、腰に力が入らない。
ゾンビは脚を引き摺りながら、少年に少しずつにじり寄る。
その手が、少年のおでこに触れようとする。
しかしそんなことは起こらなかった
目を瞑っていた少年が目を開けると、そこにはゾンビの姿はおらず、代わりに女性が立っていた。
金髪を肩下まで伸ばし、右目が髪で隠れている。
水色の眼の下には深いクマが描かれ、不健康そうな顔でニヤリと笑っている。
ヤンキーのように片手で待っていたのは、ふざけた色をしたピコピコハンマーだった。
「大丈夫かい、少年?
私が倒していなければ、君はこの夢の中で永遠にゾンビとして、生きる所だったぞ。」
女性はハンマーを持っていない手を、少年に伸ばす。
「さぁ、ゾンビになりたくないのならこの手を取れ。
私が、現実に帰るのを手伝ってやろう。」
困惑しながら、少年はその手を取った。
お題『ミッドナイト』×『ゾンビ』
*妖怪ウォッチ3をプレイした人なら、きっと後半の女性が分かるはず…
ミッドナイト
夜は犯罪が起こりやすいだろう。人の目を気にせずに好き勝手出来てしまうからだ。犯罪は決して夜だけではないが、人の目というのは悪いことをしようとしている人も気にしてしまうものなのかも知れない。犯罪を防ぐには人などを感知したら電気が付く装置を家の前に置いたり、防犯カメラを設置するのが有効だ。
犯罪では人の目は抑止力になるものの、普段の学校生活などでは人の目を気にせず、公共の福祉を守りつつ自由に過ごすのが良い。これから人の目を気にせず自由に書いていこうと思う。初めまして。
題:ミッドナイト
真の暗闇が さっと 森を包む
キラキラと瑞々しい
木々だったものから
妖しくまとわりつく
木々へと
変わってゆく
少し前までは
騒々しい 〇〇の鳴き声
今は
重々しい ⬜︎⬜︎の鳴き声
聞こえてくる
真の暗闇が どんより 森を包む
月明かりも暗い真夜中。
川上からどんぶらこっこどんぶらこっこ。
ミッドナイト川下りの大きな桃が流れていきます。
…もちろん拾われませんよ。
(ミッドナイト)
桃太郎のオマージュ、タイミングが悪いようです。
ミッドナイト
この時間、私は寂しくなる。
孤独を感じる。
恐怖を感じる。
だから、この時間に起きないように音楽をかけて寝る。それが私の日常だ。
人によっては楽しい時間。
人によっては働いてる時間。
人それぞれ時間は同じでも動きが違う。
この世界は面白い。
「ミッドナイト」
私にとっては
少しだけ特別な時間帯。
日付がかわる時間。
明日を迎えてしまった
少しだけ特別な時間。
明日を迎えられなかった方達が
切に願った明日かもしれないから。
明けてしまうのが惜しい夜のことを「アタラヨ」というのだという。
漢字はどう書くのと聞いたら、彼はおもむろに私の手を取った。それから先細りのひとさし指で、私の手のひらの上に、その字を書いてみせたのだった。
「こう書くんだよ、わかった?」
そんなふうに問われたけれど、私は肌にふれる彼の体温ばかり気にして、せっかく教えてくれた漢字をまともに見ちゃいなかった。そのせいで、どんな漢字だったか思い出そうとしても、まるで思い出せない。
あのときちゃんと聞いておけばよかった。辞書をひけば正しい漢字が書いてあるんだろうけど、彼から教えてもらわなければ意味がない。けれども彼が私に「アタラヨ」という言葉を教えてくれたあの夜は、たしかに明けるのが惜しい夜だった。
いまはどうだろう、わからない。彼が隣にいなければ、朝を朝とも思えない。だから今日も、いつかの体温の記憶を抱きしめながら、目を閉じるのだ。深い深い夜の底で、いつまでもあなたを想っている。
【テーマ:ミッドナイト】
洗濯機が壊れた。
修理には3日はかかるとのことで。
24時間営業のコインランドリー
今日から3日間お世話になります。
かごに入った服の上に本を乗せて
靴は面倒だからサンダルにしようか
そんなこんなで辿り着く。
とそこには先着の社会人が一名
毎日来てます?
3日間だけです、洗濯機が壊れて。
あ、期間限定
話してみればどうやら似た境遇のようで
残り24分
急げば間に合う寝坊、見える範囲だけの掃除、
用のないコンビニ入店、寝るのを惜しんだ夜更かし…
ピーピーピーピー
どうでも良い一人暮らしの全貌を
慰めあっていたら洗濯が終わった
一足先に帰りますね。
ミッドナイト
御縁があったなら
また会いましょう
ミッドナイト
頭か後ろにどんな言葉がつくかで、世代が分かる気がする。
湾岸、シャッフル、ブルー、ラン·····。
私は湾岸だったなぁ(笑)。
END
「ミッドナイト」
24時を過ぎても寝なくなった。朝は起きれないけど、子どものうちはどうか許して。
あの人に会えた今日が終わらないでほしいの。
【ミッドナイト】
🌿みなさん、お久しぶりでございます🌿
新年の投稿依頼の詩のお届けですが、その前に詩についてお話をしてみようかと思います。
これは、人生で二度ほど経験した不可思議な体験談に基づいて詠んでいます。その不可思議な出来事とはなにか。
私が運転する車で、稲川淳二氏の「稲川淳二の怪談ナイト」を終えて、出張先の宿舎へ向けて二時間以上ある道のりを走っている時のこと。
仙台の明るい街を背にしたのはもう随分と前のこと。いま、私は怪談ナイトを共にした相方と共に東北地方の某県某市へむけて山手の道を進んでいる。怪談ナイトの雰囲気や怪談を振り返りながら、二人で他愛もない話に盛り上がっていると、前方右手に青い屋根の一軒の平屋の民家が見えてきた。時刻は二十三時をすぎているが、部屋内や風呂場と思える室内照明が明々と灯り、家の周辺は湯気か霧で白く霞んでいる。
「遅くまで仕事をして、今しがた帰ってきたのだろうか。これから熱い湯に浸かって身体を癒すのだろうか」
そんなことを助手席の相方と話しながら家へ近づいていく。遠目にはあまり良く分からなかったが、近づくにつれてその霧の濃さに気づけば、私はたちまち視界を白い空間に奪われた。
「霧にしても、なんでここだけ? 湯気ならこんなに白くならんよね?」
助手席の相方とこの状況を訝しがりながら、安全のために徐行運転で通過する。視界が明けるまで数十秒を要しただろうか。
霧をぬけた途端に先程まで感じていた緊張感や不安から解き放たれ、胸を撫で下ろす。徐行を続けながら助手席の相方に今のはなんだったのだろうと、目を配りながら訊くでもなく声をかけてみた。しかし、相方から返ってきたことばは私をさらに不安にさせたのだ。
「なにを言っているんです? というか、なんで急にゆっくり走り始めたんです?」
彼は何を言っているのだろう、今の状況なら誰でも同じ対応をするはずだ。視界がほとんどなく、元の速度で走っていれば事故を起こしかねない。
私は彼に対して勘の悪い奴だなどと、呆れながら今の状況を話して聞かせた。しかし、彼からの応えはまたも的はずれなもので、私の感情を揺さぶる。
「あの...、家? 家ですか? そんなもの無かったですよ。それに、霧なんてないですよ! それなのに急に家がどうの、霧がどうのって話し始めて、僕の問いかけを無視し始めるし。急にブレーキをかけてゆっくり走り始めるし、なんなんですか?」
私は私がみたものを、いまあったことを彼に説明した。しかし、私が見ていたものは彼には見えておらず、彼は霧の中での会話などしていないという。私の不可解な言行に何度も声をかけたが、私はまるで反応を示さず、ただただゆっくりと走っていたのだという。
車を止めて、ふたりで後ろを見るが暗くてよく見えない。明るい時間に通ることがあれば、その時に確認してみよう、そう互いに見あって宿舎へと戻った。
翌週の金曜日。出張先から仙台の自宅へ帰るため、相方とふたり、あの夜に不思議な体験をした道を走っていた。あの夜、右手に家が見え、左手はうっすらと畑のようなものが見えていた。ならば、今度は走行車線側、左手に見えてくるはずだ。そう話しながら道をゆくがいけども見当たらない。
ーー結局、その家も畑も何もかもが見つからなかった。通る道は間違えようのない一本道。枝道もなく、国道をそれてこの道に入ると、暫くはこの山手の一本道になる。しかし、何も無かった。道や地形は、仕事で毎日通る道のため、頭に入っている。あの夜、運転しながらみた地形がどの辺か、私も彼もわかっている。
記憶している地形の辺りに来ても家がない。そのまま山を抜けても、家は見つけられなかった。いいや、家が建つ余地などなかったのだ。竹林やうっこうとした木々の壁があるだけで、家が建つような敷地など存在しなかった。
あれはいったい、なんだったのだろうか。数年後、地元へと帰った私は、兄を助手席に乗せて車を運転していた。あの夜に起きた出来事と全く同じことが私たちを迎え、またも不可思議な体験をしたのだった。
オチなどなく、ただただ訳の分からない体験を持ち前の詩のスキルで、私が得意とする詩へ昇華したものが、今回おとどけする詩でございます🍀
ーーそれでは、どうぞ🍊
『ありて、ずれる』
宵闇の
静寂に響く
畏怖の語らいに
ひとたび落ちる
熱と息
身振り手振りの宣説が
ひとひとの心を強く
鷲掴む
遠旅の道なかで
今しがたの怖話に
冷めぬ熱
眠る街を背に
深く沈む闇夜の懐
掻き入れば
内燃の声が無方へ
駆け巡る
薄気味悪さに
宛てなく打ち返す
戦慄の声音
漆黒に霞む青屋根の
小さく佇む平家屋
白霧に抱かれて
奇しく灯り
目を奪う
屋根へと伸びる銀首と
白息を吐き止めない
双口は深闇のなかに
ひときわ目立ち
釘付ける
白幕の内へ潜れば
視界はなく
焦燥と危惧の念に
歩みが遅ぶる
惨憺の心に
ひとり言を投げるれど
虚しく返る言はなし
冷ややかな空気が
肌を撫で
悪寒に身体を
大きくさすり
舵輪を握って
堪忍ぶ
幾拍と長く感じる
時も過ぎ
白闇の外へ抜け
深い溜め息
旅連れは
輪を握る横顔に
訝しむ
道ゆく二人
共する時に
耳目する世界が
分かたれる
暫しのち
いつぞやの家屋を探すも
ついに無し
家建つ隙間も
ーー遠になく
「ミッドナイト」
日付が変わる瞬間を待ちわびた
今日という日をリセットしたくて
「ミッドナイトってさあ、なんかリッチじゃない?」
突然友達がそんなことを言い出した
言ってる意味がわからないね
「何がリッチだって?」
「いや、わかんないけど、言葉の響きとか雰囲気とか!」
本人もわかってないんかい
なんか曖昧なこと言ってるし
じゃあこっちは同意も否定もしかねるよ
「たとえばさ、モーニングはもちろん身近で親しみやすい感じじゃん」
「もちろんってなんだよ
共通認識みたいに言われても困るよ」
この友達はそういうところあるんだよね
自分の感覚を常識だと思っちゃうところ
身近とか言われても、私にはまったく理解できないんだけど
「アフターヌーンは、リッチまでいかないけど、なんかお洒落に食事してるイメージでしょ?」
でしょ?じゃないよ
また当然のことみたいに
というかお洒落な食事のイメージって……
「それアフターヌーンティーの影響じゃない?」
「あっ、そうかも!」
ハッとした表情をしたと思ったら、理由がわかってスッキリしたのか、爽やかな笑顔になった
「それでさぁ、ナイトはシュッとしたかっこよさみたいな、そんな感じだよね」
曖昧すぎて言ってることが理解できない
シュッとしたかっこよさって何?
と言いたいところだけど、これはなんとなくわかる気がする自分がいる
「忍者とか暗殺者とか、闇に潜んで仕事を遂行、みたいなイメージ?」
「そうそう!
まさにそれだよ!
なんだ、わかってるじゃん!」
友達は嬉しそうだけど、わかったのはナイトだけだし、これは友達の好みをある程度知っていれば簡単なことだ
「それで、その謎の感性だとミッドナイトはリッチってことなんだね」
「その通り!」
やっぱりわかんないな
私なんて深夜アニメしか浮かばないよ
「ミッドナイトのリッチ感がやっぱり、特別な気がして好きなんだよね」
どう考えても理解するのは難しいな、その感覚
感性なんて人それぞれなんだけど、どういう経緯でそういう感覚になったのかものすごく気になる
友達関係をずっと続けてれば、いつか理解できる日が来るのかな
まあ別に、気にはなるものの、理解できなくてもいいと思ってるのも事実だけどね
題名:ミッドナイト
(昨日の続き)
パンッ……………
「…は?どういう…。」
知らない誰かがそう言う。
スポンジで出来た弾のようなものが腹に当たっていて、その誰かは苦しそうだ。
「これが僕がやったという証拠はないだろう?見ただろ?上から銃を持った人が。この人はこうやって僕に冤罪をなすりつけている。分かったなら追いかけるのは止めろ。」
知らない誰かは口角を上げている。
なぜ。
また逃げないとなのか?
「これも一種の演出かな?君を捕まえるまでこの世界は変わらない。私だって、争いたくはないんだけれどね。」
「それって…?」
知らない誰かは指でパチンッと鳴らす。
「リハーサルはおしまいだ。」
───────────────────────
続きはどこかで。
キ
ュ
ン
鳴
き
の
魔
法
瓶
真
夜
の
居
間
冴
ゆ
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