『ミッドナイト』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『ミッドナイト』
からん
ウィスキーのグラスが鳴る
ミッドナイトの静寂から
現実に引き戻された
ああ もうこんな時間か…
時計の針は0時を少し過ぎていた
読んでいた手紙をテーブルへ置く
長い間、音信不通だった母からの手紙だ
わたしへの謝罪と後悔を綴った手紙は
わたしには、なんとも無機質に感じられた
ウィスキーを口に含み味わう
ミッドナイトの静寂に身を任せて
今夜は少し酔っていたい気分だ
母への返事は、まだ書けそうにない
今日は沢山話せることができた 久しぶりの学校で「お久しぶりです」って声かけてもらって水筒を持ってもらった
1人で帰ってる時俯きながら歩いてたら話しながら門まで送って貰った、なんだかんだ来てくれるのが優しいです
1年生の子達がいたから門でさよならだったけど幸せだったよ「明日も元気に来てくださいって」
今日の思い出は宝物になりました
僕にとって真夜中は自分の時間だ。
嫌なことがあっても、一人静かに曲でも聴いて落ち着いてその日の出来事を振り返る。
楽しいことがあったなら、その楽しいことを思い出しながら、もっと楽しそうなことを探して、気持ちをさらに上げる。
良いことも悪いことも、静かな夜の中で過ごす僕のスパイスになっている。
ミッドナイト、真夜中脳みそが反射で返してきたのは深夜東京の六畳半~と確かyamaが歌うタイトルに春という文字が入っていたあの曲だった。
こういう連想ゲームってその人の通ってきた文化が表れるから友人と無駄話して会話が途切れてからのそういえばさ…⚪⚪ってどう思う?のような突拍子もない話題転換が好きだ。本人の中では何かしら脳細胞がそれまでの会話を元に繋がっていて、私にはそれがピンときていない。つまりそこに私の知らない友人のピースがあることに他ならない。ここで一つ問題なのは、そのニューロン接続のきっかけをどのタイミングで問いただすかだ。N=5もない小さな私の交友関係に限った話ではあるのだが、最善手と思われる「直後に、えっ?何で?と聞き返す」これは然して必ずしもよい結果をもたらすとは限らない。なんとなく?と答えられ本人すら脳の整理が追いついてない場合や起点があまりにしょうもなく隠そうすることがあるのだ。そのため、ある程度会話をしその後に質問すると本人の思考がまとまり返してくることや、饒舌に口を滑らせること、そもそも会話中で自白することもあるのだ。しかし、しかしこれにも罠がある今度は私が楽しくなってきて聞くのを忘れたり、相手も話し始めをすっかり忘れていることがあるからだ。こうなると、常にテキストベースで会話のログを保存し、分かってる範囲で私たちの会話の意図を紐付け機械学習させ気になるところの予測程度でいいから覗いてみたくなるが、教師データも足りないし得られた結果も真実とはずれがあるだろうから会話の中でしか得られない栄養素は会話の中で得るしかないのだと思う。
という訳でこのアプリ始めました気軽に話しかけてね~!と締めようと思ったら特に会話を行う機能は無いらしい。ぼちぼちよろしく!
ふと目が覚めた。
今は何時なのだろうか。
窓から覗く一つの星は、僕にほほ笑みかけるように輝いている。
あぁ、彼女にもう一度会いたい。
お題:ミッドナイト
「ここの道、出るらしいよ。」
助手席の彼女は呟くように言う。
時刻は夜の11:50。
遊園地ではしゃぎすぎてついつい閉園まで遊び尽くした帰り道だった。
「ちょうど0時。一台のバイクが追い越していくんだって。」
「バイク?」
「うん。それでそのバイクに乗ってる人はね。」
首がないんだって。
そう言うと、口の端を吊り上げた。
「僕が怖い話苦手なの知ってて言ってるでしょ。」
まったく。
悪戯を楽しむように笑う彼女を横目で見る。
さっきまでは疲れて仮眠をとってたので、少し元気そうなのは嬉しかった。
今の話もきっと長時間運転してる僕が眠くならないように話してくれたんだろう。
なんだかんだで優しいんだよなぁ。
……そういうことだよね?
「それでね、そのバイクちょうど0時に見られるから巷ではこう呼ばれてるらしいの。」
ミッドナイト・ライダーって。
呟く彼女を横目で見ると意地の悪い笑みが顔いっぱいに広がっていた。
そして僕の顔をみると、体をくの字に曲げてくつくつと笑い始めたのだった。
「そんなのでないって。そんなのでない。」
運転に集中する。
二車線の道路は閑散として、僕の車のヘッドライトだけが夜道を照らしていた。
時計を見ると11:57。
0時まで後少し……。
「出るわけない。そもそもどこの地点とかで出るわけでもないのにピンポイントで来るわけない。」
出ない。出ない。出ない。
ひたすら考えていたその時だった。
バックミラーに光が反射する。
その光は……ライト一つ分だった。
思わずブレーキを踏む。
減速した僕の車に構わず、そのバイクは僕の車の横を通り抜け……
そのまま走り去って行った。
「ふぅ……。」
のろのろと走る車の中で思い出す。
あのライダーが僕の車を追い越す時、その時の頭は。
あった。
普通の、実在する人だった。
もう一度ため息をついて彼女を見ると、ついに堪えられなくなったのか大声で笑い始める。
無気力に前を向く僕の視線の先では先ほどのバイクが米粒ほどの大きさになり、次第に消えて行った。
……まあよかった。
出会わなくて。本当に。
アクセルを入れると車がゆっくり加速する。
車が元のスピードに戻るくらいまでずっと、彼女は笑っていたのだった。
残業した後の帰り道
疲れすぎて、半分寝ながら歩いていた
外はいつもより寒くて
僕はポケットに手を突っ込みながら
ポツポツと歩いている
ちかっ ちか、、、 音が鳴っている
あれっ?ここどこ
ボーとしながら歩きすぎたせいか
いつの間にか知らない道に来てたみたいだ
周りを見ると
等間隔に設置された電灯のみで
他には、暗闇と
監視しているのかってぐらいのたくさんの星達
あれもしかして死んだ?
なんだか怖くなって自分の頬を強く捻ってみる
いっ痛い
これゆめじゃないんだ
〇〇くん
線が細くて綿菓子みたいなあまい声が聞こえた
ーーーちゃんだ
高校の頃からずっと好きだった
ーーーちゃん
1年前から連絡が取れなくなったから
もう会えないと思ってた
嬉しい
嬉しい
嬉しい
嬉しい
ーーーちゃんが僕に笑いかけてくれてる
体温が一気に上がっていく
僕に近づいて
手を引いて暗闇に連れて行こうとする
手が触れるだけでもどうにかなりそうなのに
距離が近い
あぁーやばい
やっぱりずーーーと陰から見守って良かった
電話を毎日かけてて良かった
毎年彼女の誕生日に、僕の血が入ってるお菓子を
渡して良かった
ーーーちゃんは
一時期、僕を避けてるみたいだったけど
照れ隠しなんだよね?
そんなことを考えてたら
僕の手をひいて歩いていたーーーちゃんが振り返った
その後
僕を
抱きしめた
シアアセな気持ちでいっぱいになる
幸せすぎたのかなんだか眠くなる
幸せすぎてドーパミンが出たのかな?
意識が徐々に遠のいていく
ーーーーーちゃり
完全に意識がなくなる前
僕のポケットから五円が落ちた
五円玉はくるくるまわる
電灯と暗闇と星達に見守られながら
ずーーーーーと回り続ける
外から窓を打つかすかな音に気づいて、引手に手をかける。
一本の街灯に、細かな雨粒たちが照らされていた。
――夜遅くに降る雨は、きらい。
心を寄せてはいけないとわかっていて止められず、いろいろ失った哀れな過去の自分自身を思い出すから。
求め続ければ、いつか神が気づいて奇跡を与えてくれる?
馬鹿だ。現実は都合よく展開する物語じゃない。敢えてそんなふうに表現するとしたら「初めから未来は決まっていた」んだ。
雨音と混ざってお決まりの四文字を何度も告げる声がよみがえる。涙か雨かわからない水を頬に滑らせながら向けられた揺れる双眸を思い出す。苦しみしか生まないぬくもりに最後包まれたことを
力のままに窓を閉める。膝から崩折れた。目の奥が熱い、顎の奥が痛い、身体が震える!
――早く、早く過去にさせてよ。いつまで縛られないといけないの!
ふたたびあの四文字が、頭の中でこだました。
お題:ミッドナイト
〔進化(?)〕
私の部屋には遮光カーテンがある。
昔は真っ暗でなんにも見えなかったはずなのに、
今は机の上にあるものもしっかり見える。
遮光カーテンが弱くなって光に負けたのかな?
私の目が進化して夜目がきくようになったのかな?
そんなことをぼんやり考える深夜。
#ミッドナイト:15
午後0時、暗い部屋あなたと目が合う僕はあなたの麗(うるわ)しき眼に吸い込まれる
指先が触れ合い絡め合うインスタのストーリーに口付けをしているシルエット写真を載せるハッシュタグは、、、「あなたとの時間midnight」
ミッドナイト
ミッドナイト
夜更けに入っていく時間帯。
できれば、日付けが変わる前に眠りにつきたい。って思ってるのだけれど。
なかなかこれが、、、
なんだかんだで、結局、12時まわってしまうこともしばしば。
そんな自分も許すよ。
Good Night
真夜中にこそ咆哮せよ
我らが人の子になったとき
己が叫ぶためのあぎとに
獣のように轡を嵌められ
心中の吐露のすべを奪われた
轡が外される真夜中を
待ち遠しいと思ったのなら
その瞬間こそ
我らが人の子であると
噛み締めるときなのだ
夜中になると、消えたくなる
闇に包まれて
暗いところに沈んでいく
僕の影だけが薄く光って
チカチカしたネオンに照らされた夜の街を、酔いが回った足取りで闊歩する。
周囲は少々煩わしいほどに騒がしくて、けれど嫌いでないほどに馬鹿馬鹿しい。
そして流れる街中の空気は、昼間のものよりもどこかぬるくて艶っぽい。
「あーーーーーーーーーーっ!!!!」
そんなぬるい空気を一掃するような大声で、すれ違う人の迷惑も考えずにひとり叫ぶ。
「やってらんねぇーーーーーーーーっ!!」
お日様が降り注ぐ明るい時間帯にはちょっと憚れるような、口汚い言葉を吐き出して。
「ふざけんなよ、ばーーーーーーか!」
自分の醜さをこれでもかと曝け出す。
「くっそーー、ぜってー負けねぇ」
チッと舌打ち混じりに呟けば、ひそひそとこちらを覗うような視線が突き刺さる。
冷めた己が降りてきたことを、はっと自覚した。いそいそと背中を丸めて先を急ぐ。
ああ、やってしまった。そんなどうしようもない後悔を苦く味わいながら、そんなどうしようもない夜の真ん中を歩いて、明日に向かう決意を固めつつ。
【ミッドナイト】
ミッドナイト
それに出会ったのは、疲れ果てて今にも倒れてしまいそうなときだった。何連勤したのかすら覚えていないくらいに連勤が続き、自宅と会社を行き来するだけで、ろくに何も食べていないこの体はもはや気力だけで動いていた。
街は夜なのにネオンの光がびかびか、と輝いて疲れた目には痛い。そこからそらすように、視線を路地裏へと向けた。
そこには路地裏には似合わないほどに洒落た看板があった。木製の看板がわずかな風に揺れて、誘われているようだった。
『ミッドナイト』そう書かれた看板に自然と体が吸い寄せられるように、動き出す。
こんなことしてる場合じゃない、早く帰って寝ないと。そう思うのに、手は勝手にドアノブを回し開けてしまった。
カランカラン、と低い鐘の音がして、中に入ればそこはなんとも不思議な空間だった。
暖炉がぱちぱち、と音を立て部屋の中を優しく照らす。アンティーク調の家具が異国感を漂わせるが、どこか安心するような、懐かしいような気がして肩の力が抜ける。
いや、でもそれよりも気になるのはさっきからそこら辺を飛んでいる羊みたいな生き物と海月みたいなやつらだ。ふわふわとゆらゆらと縦横無尽に飛び回っている。
疲れすぎて幻覚でも見ているのだろう。そう本気で思えるくらいにはありえないものだったし、疲れていた。
「いらっしゃいませ、ようこそミッドナイトへ」
奥から一人の女性がそう言ってやって来た。人間離れした美貌に見惚れそうになり、その耳が妖精のように尖っているから、やっぱり夢でも見ているのだろう。
「眠れないのですか?」
「へ……?」
「眠れないから、ここへ来たのでしょう?」
「むしろここが夢では?」
「ふふふ、面白いことを言うんですね。夢じゃありませんよ」
そう言われて、なんとなく頬をつねればちゃんと痛かった。別の意味で倒れそうになったのは言うまでもない。
運良く、なのかそのままソファに座り込む形になる。ふかふかのそれは今まで座ったどの椅子よりも柔らかかった。
一匹の羊がふわー、とやって来て膝の上に収まる。クッションのように抱きしめれば、小さくめぇー、と鳴いた。
「眠たいはずなのに、眠れないんです」
気がつけば、そうこぼしていた。ろくに眠れていないのに、いざ寝ようとすると逆に目が冴えて、夜中に何度も目が覚めたりして、満足に眠れていなかった。
ぽつぽつ、とそう話せば、女性は優しく微笑んだ。
「あなたにぴったりな子がいるんです」
そう言って、女性はおいで、と誰かを手招きした。やって来たのは、幼い女の子だった。礼儀正しくお辞儀をして、微笑む顔はどこか大人びている。
少女はランプに手をかざして部屋の明かりをほの暗くした。いつの間にか座っていたソファはベッドへと変わり、あっという間に眠る準備が整えられる。
少女はベッドに横たわり、たしたし、と布団を叩いて同じく横になるように促す。若干おそるおそるといった感じで横になれば、よくできました、と言わんばかりに頭を撫でられた。
頭を撫でられるなんていつ振りだろう。その小さな手があたたかくて、心地よくて。もっと撫でてほしい、と頭を軽く押しつければ、ころころとした笑い声が聞こえてきた。
久々にこぼれたあくびに、誘われる眠気に逆らわないまま眠りについた。
ぱち、と少し目が覚めてしまって少女の方を向けば、ひそひそ話をするように小さな声で言われる。
「もう少し寝な」
「……ねむれない」
そう少し駄々をこねれば、仕方ないなぁ、と笑いながら知らない子守唄を歌ってくれた。
その不思議な音色に乗って、また眠りについた。
次起きたときはもう朝で、久々にものすごく眠れた気がした。
少女と女性にちゃんと寝ること、と注意されながら、その店を出る。
その日からはちゃんと眠るようになったし、眠れるようにもなった。そのおかげか、あの店を見かけることはない。確かにあったはずの路地裏に行ってもそこには何もなく、あれはきっと『そういう』ところなのだろう。
きっとどこかにある添い寝やさん。でもどこにもない。
それはあなたが困ったときに、あなたの元に現れる。
#ミッドナイト
midnightの日本語訳は夜中。
夜中、ベランダから外を見る。
少ない車通り、人気のない道。
街灯と月だけが目立つ闇空。
この世には私しか存在しないんじゃないか、と思ってしまう。
すぅ、と深呼吸をする。
朝とは違う、でもすっきりとした空気を吸い込む時が結構好きだ。
真っ暗な外を見つめると、思考がぼんやりとしてくる。
「……」
何も考えたくない、そんな時この時間帯はちょうどいい。
日差しに当たってばかりだと疲れる。
風がひゅうと当たる。
「寒いなぁ」
ただ外を見てるだけ。
でもこの時間は私を癒してくれる。
忙しなくて、慌ただしくて、それに心も体も疲れてるから
何も考えない、ぼうっとしているだけが
何よりも私の癒しだ。
「あー明日も仕事めんどくさーい」
叫ぶとぼんやりとした頭がスッキリする。
まぁ、いい。また明日もこう、ぼんやりしてるんだし。
「寝るか…」
ガラリと窓を開けて部屋に戻る。
外の空気が部屋の中にも入る。
とりあえず、おやすみなさい。
ミッドナイトブルーが、端から鮮やかな赤い色に変わっていっている。焼けた地平線から太陽が顔を出す様は、まるで火の鳥のよう。炎から生まれ、炎に死ぬ様は、きっと生命の宿命なのだろう。
これからきっと、雨が降る。生命の炎は、それすらも糧に高々と燃え上がって、地平線を焦がすのだ。
―ミッドナイト―
暗い中、ネオンの装飾だけが
ぼんやりと周りを照らす
窓は無い
ただ、とても広い
一角にあるバーからの光が
1番目立つが、バーには誰もいない
客も、バーテンダーもいない
が、ただ唯一、
人が集まっている場所があった
中央に回転盤がついているテーブル
その周りに置かれた6つの椅子に1人ずつ、
人が座っていて、
その人達を見守るように立つ、
タキシードを着た男性
そして、そのテーブルを
取り囲むように人が集っていた
ポーカーフェイスのタキシードの男性以外は、
みんな緊張に満ちた顔をしていた
例外として、
最近初めてお菓子の味を占めた子供のように、
キラキラと好奇心に満ち溢れた顔で
椅子に座る人がひとりいた
そう、もうすぐその時が来る
ミッドナイト オブ カジノ
ミッドナイトというとネイティブから離れた言語だけあって、自然と言葉にまとわりついた印象がなくて、ただの時間の一つと思えるから良い。真夜中は少し繊細だから時間が過ぎていくことさえも辛いが、ミッドナイトと言い聞かせて安心するのも良いかもしれない。
テーマ:ミッドナイト #75
真実を知りに勝瑠の家を訪れた真とシャドウ。
そこに待ち受けたのは偽勝瑠だったーー
『全く、勘の良いガキは嫌いだよ』
そう言って出てきたのは、ほっそりした男。口にはタバコ…ではなく飴を咥えている。
「誰だ、勝瑠はどこにいる」
『ここにはいないよ』
只者じゃないことは分かる。だが、今のは何なんだ。顔が変形した…。
『ソイツはね、時を操る力があるから』
「……」
男は話す。全て知っている情報だ。しかし、なぜそれを僕にバラす必要があるのか不明だった。
『君にもあるんじゃないの? 時を操る能力』
急に男が低い声を出す。
なんだ…? 雰囲気が変わった。
『真、やべぇぜ…』
シャドウが僕に言った。男にシャドウの声は聞こえていないようだ。ということは人外では無い…?
でも、能力を知っていること。そして、さっきからチラチラ見えている首筋にある紫の紋章により、この男が勝瑠の言っていた用心しなければならない男だと言うことを。
シャドウの言った、やべぇというのはさっきから背後から近づいているもう一つの人影のことだろうか。
ずっと考えていた。これは時間稼ぎなんじゃないか、と。余分な話をしてまで彼を背後につかせたかったのだろうか。
僕は第三の目を閉じる。当然のごとく、男たちは動いている。どうして動けるんだ。人外しか動けないはずなのに。
『正体を表したようだね、君』
『もう逃げ場、ない』
後ろから低い声が聞こえる。
「それはどうかな」
僕がそう言うと姿勢を低くする。うまくシャドウと連携を取り、2人を一方向にまとめる。
『な、何だ?』
シャドウが2人に絡みついた。やはりシャドウの姿は見えていない。
『これも能力か!!』
細い男が叫ぶ。
「さぁね」
僕がそう言うとシャドウに縛られている2人に近づく。
「さぁ、勝瑠はどこにいるんだ?」
僕がニヤリとして聞くと、2人は青い顔をした。
『い、言えねぇ!』
細い男が言った途端、シャドウがその男を絞る力を強める。
『ぐぁ…』
細い男が呻く。
「骨が折られるのも、時間の問題かもね」
僕がそう言うと細い男から背後に近づいていた、ガタイのいい男に近づく。男はオドオドしていた。
見かけによらずこっちのほうが情報を吐いてくれそうだ。
『マクロ! 絶対に、言うんじゃねぇぞ!! ミッドナイト組織において、その情報を漏らすことは許さねぇ!』
マクロと呼ばれた男は細い男を見る。
僕が近づくと首を横に強く振る。2人共だめか。強制的に拷問するのはこっちの面倒だし、こいつ等はあまり強そうじゃない。細い男の能力は結構面白かったけど、シャドウの存在に気づけないくらいだから低級だろう。
シャドウと視線を合わせ
『あとは好きにやっていいのか?』
そう聞かれたので頷く。
シャドウはケケケッと笑う。僕は少し離れたところで彼らのことを見ていた。情報吐けばこんなことにはならなかったのに。馬鹿だな。そう思いながら。まぁ、この僕とシャドウを弄んだ時点でバカは確定なんだが…。
ミッドナイト組織。
細い男が言っていた言葉。それが彼らの紫色の紋章を身に着けている組織のことなのだろうか。
あぁ、やっぱり話を吐かせてからやったほうが良かったかなと、後悔するのだった。