狼星

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テーマ:ミッドナイト #75

真実を知りに勝瑠の家を訪れた真とシャドウ。
そこに待ち受けたのは偽勝瑠だったーー

『全く、勘の良いガキは嫌いだよ』
そう言って出てきたのは、ほっそりした男。口にはタバコ…ではなく飴を咥えている。
「誰だ、勝瑠はどこにいる」
『ここにはいないよ』
只者じゃないことは分かる。だが、今のは何なんだ。顔が変形した…。
『ソイツはね、時を操る力があるから』
「……」
男は話す。全て知っている情報だ。しかし、なぜそれを僕にバラす必要があるのか不明だった。
『君にもあるんじゃないの? 時を操る能力』
急に男が低い声を出す。
なんだ…? 雰囲気が変わった。
『真、やべぇぜ…』
シャドウが僕に言った。男にシャドウの声は聞こえていないようだ。ということは人外では無い…?
でも、能力を知っていること。そして、さっきからチラチラ見えている首筋にある紫の紋章により、この男が勝瑠の言っていた用心しなければならない男だと言うことを。
シャドウの言った、やべぇというのはさっきから背後から近づいているもう一つの人影のことだろうか。
ずっと考えていた。これは時間稼ぎなんじゃないか、と。余分な話をしてまで彼を背後につかせたかったのだろうか。

僕は第三の目を閉じる。当然のごとく、男たちは動いている。どうして動けるんだ。人外しか動けないはずなのに。
『正体を表したようだね、君』
『もう逃げ場、ない』
後ろから低い声が聞こえる。
「それはどうかな」
僕がそう言うと姿勢を低くする。うまくシャドウと連携を取り、2人を一方向にまとめる。
『な、何だ?』
シャドウが2人に絡みついた。やはりシャドウの姿は見えていない。
『これも能力か!!』
細い男が叫ぶ。
「さぁね」
僕がそう言うとシャドウに縛られている2人に近づく。
「さぁ、勝瑠はどこにいるんだ?」
僕がニヤリとして聞くと、2人は青い顔をした。
『い、言えねぇ!』
細い男が言った途端、シャドウがその男を絞る力を強める。
『ぐぁ…』
細い男が呻く。
「骨が折られるのも、時間の問題かもね」
僕がそう言うと細い男から背後に近づいていた、ガタイのいい男に近づく。男はオドオドしていた。
見かけによらずこっちのほうが情報を吐いてくれそうだ。
『マクロ! 絶対に、言うんじゃねぇぞ!! ミッドナイト組織において、その情報を漏らすことは許さねぇ!』
マクロと呼ばれた男は細い男を見る。
僕が近づくと首を横に強く振る。2人共だめか。強制的に拷問するのはこっちの面倒だし、こいつ等はあまり強そうじゃない。細い男の能力は結構面白かったけど、シャドウの存在に気づけないくらいだから低級だろう。
シャドウと視線を合わせ
『あとは好きにやっていいのか?』
そう聞かれたので頷く。
シャドウはケケケッと笑う。僕は少し離れたところで彼らのことを見ていた。情報吐けばこんなことにはならなかったのに。馬鹿だな。そう思いながら。まぁ、この僕とシャドウを弄んだ時点でバカは確定なんだが…。

ミッドナイト組織。
細い男が言っていた言葉。それが彼らの紫色の紋章を身に着けている組織のことなのだろうか。
あぁ、やっぱり話を吐かせてからやったほうが良かったかなと、後悔するのだった。

1/26/2023, 1:58:37 PM