無窮月

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残業した後の帰り道

疲れすぎて、半分寝ながら歩いていた

外はいつもより寒くて

僕はポケットに手を突っ込みながら

ポツポツと歩いている

ちかっ ちか、、、 音が鳴っている

あれっ?ここどこ

ボーとしながら歩きすぎたせいか

いつの間にか知らない道に来てたみたいだ

周りを見ると

等間隔に設置された電灯のみで

他には、暗闇と
監視しているのかってぐらいのたくさんの星達

あれもしかして死んだ?

なんだか怖くなって自分の頬を強く捻ってみる

いっ痛い

これゆめじゃないんだ

〇〇くん  
線が細くて綿菓子みたいなあまい声が聞こえた
ーーーちゃんだ

高校の頃からずっと好きだった
ーーーちゃん

1年前から連絡が取れなくなったから
もう会えないと思ってた

嬉しい
嬉しい
嬉しい
嬉しい

ーーーちゃんが僕に笑いかけてくれてる

体温が一気に上がっていく

僕に近づいて
手を引いて暗闇に連れて行こうとする

手が触れるだけでもどうにかなりそうなのに
距離が近い

あぁーやばい

やっぱりずーーーと陰から見守って良かった
電話を毎日かけてて良かった
毎年彼女の誕生日に、僕の血が入ってるお菓子を
渡して良かった

ーーーちゃんは
一時期、僕を避けてるみたいだったけど
照れ隠しなんだよね?


そんなことを考えてたら
僕の手をひいて歩いていたーーーちゃんが振り返った
その後

僕を

抱きしめた


シアアセな気持ちでいっぱいになる
幸せすぎたのかなんだか眠くなる

幸せすぎてドーパミンが出たのかな?

意識が徐々に遠のいていく


ーーーーーちゃり


完全に意識がなくなる前

僕のポケットから五円が落ちた




五円玉はくるくるまわる




電灯と暗闇と星達に見守られながら





ずーーーーーと回り続ける

1/26/2023, 2:44:34 PM