Yushiki

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 チカチカしたネオンに照らされた夜の街を、酔いが回った足取りで闊歩する。
 周囲は少々煩わしいほどに騒がしくて、けれど嫌いでないほどに馬鹿馬鹿しい。
 そして流れる街中の空気は、昼間のものよりもどこかぬるくて艶っぽい。

「あーーーーーーーーーーっ!!!!」

 そんなぬるい空気を一掃するような大声で、すれ違う人の迷惑も考えずにひとり叫ぶ。

「やってらんねぇーーーーーーーーっ!!」

 お日様が降り注ぐ明るい時間帯にはちょっと憚れるような、口汚い言葉を吐き出して。

「ふざけんなよ、ばーーーーーーか!」

 自分の醜さをこれでもかと曝け出す。

「くっそーー、ぜってー負けねぇ」

 チッと舌打ち混じりに呟けば、ひそひそとこちらを覗うような視線が突き刺さる。
 冷めた己が降りてきたことを、はっと自覚した。いそいそと背中を丸めて先を急ぐ。

 ああ、やってしまった。そんなどうしようもない後悔を苦く味わいながら、そんなどうしようもない夜の真ん中を歩いて、明日に向かう決意を固めつつ。



【ミッドナイト】

1/26/2023, 2:22:51 PM