『ミッドナイト』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真夜中にこそ咆哮せよ
我らが人の子になったとき
己が叫ぶためのあぎとに
獣のように轡を嵌められ
心中の吐露のすべを奪われた
轡が外される真夜中を
待ち遠しいと思ったのなら
その瞬間こそ
我らが人の子であると
噛み締めるときなのだ
夜中になると、消えたくなる
闇に包まれて
暗いところに沈んでいく
僕の影だけが薄く光って
チカチカしたネオンに照らされた夜の街を、酔いが回った足取りで闊歩する。
周囲は少々煩わしいほどに騒がしくて、けれど嫌いでないほどに馬鹿馬鹿しい。
そして流れる街中の空気は、昼間のものよりもどこかぬるくて艶っぽい。
「あーーーーーーーーーーっ!!!!」
そんなぬるい空気を一掃するような大声で、すれ違う人の迷惑も考えずにひとり叫ぶ。
「やってらんねぇーーーーーーーーっ!!」
お日様が降り注ぐ明るい時間帯にはちょっと憚れるような、口汚い言葉を吐き出して。
「ふざけんなよ、ばーーーーーーか!」
自分の醜さをこれでもかと曝け出す。
「くっそーー、ぜってー負けねぇ」
チッと舌打ち混じりに呟けば、ひそひそとこちらを覗うような視線が突き刺さる。
冷めた己が降りてきたことを、はっと自覚した。いそいそと背中を丸めて先を急ぐ。
ああ、やってしまった。そんなどうしようもない後悔を苦く味わいながら、そんなどうしようもない夜の真ん中を歩いて、明日に向かう決意を固めつつ。
【ミッドナイト】
ミッドナイト
それに出会ったのは、疲れ果てて今にも倒れてしまいそうなときだった。何連勤したのかすら覚えていないくらいに連勤が続き、自宅と会社を行き来するだけで、ろくに何も食べていないこの体はもはや気力だけで動いていた。
街は夜なのにネオンの光がびかびか、と輝いて疲れた目には痛い。そこからそらすように、視線を路地裏へと向けた。
そこには路地裏には似合わないほどに洒落た看板があった。木製の看板がわずかな風に揺れて、誘われているようだった。
『ミッドナイト』そう書かれた看板に自然と体が吸い寄せられるように、動き出す。
こんなことしてる場合じゃない、早く帰って寝ないと。そう思うのに、手は勝手にドアノブを回し開けてしまった。
カランカラン、と低い鐘の音がして、中に入ればそこはなんとも不思議な空間だった。
暖炉がぱちぱち、と音を立て部屋の中を優しく照らす。アンティーク調の家具が異国感を漂わせるが、どこか安心するような、懐かしいような気がして肩の力が抜ける。
いや、でもそれよりも気になるのはさっきからそこら辺を飛んでいる羊みたいな生き物と海月みたいなやつらだ。ふわふわとゆらゆらと縦横無尽に飛び回っている。
疲れすぎて幻覚でも見ているのだろう。そう本気で思えるくらいにはありえないものだったし、疲れていた。
「いらっしゃいませ、ようこそミッドナイトへ」
奥から一人の女性がそう言ってやって来た。人間離れした美貌に見惚れそうになり、その耳が妖精のように尖っているから、やっぱり夢でも見ているのだろう。
「眠れないのですか?」
「へ……?」
「眠れないから、ここへ来たのでしょう?」
「むしろここが夢では?」
「ふふふ、面白いことを言うんですね。夢じゃありませんよ」
そう言われて、なんとなく頬をつねればちゃんと痛かった。別の意味で倒れそうになったのは言うまでもない。
運良く、なのかそのままソファに座り込む形になる。ふかふかのそれは今まで座ったどの椅子よりも柔らかかった。
一匹の羊がふわー、とやって来て膝の上に収まる。クッションのように抱きしめれば、小さくめぇー、と鳴いた。
「眠たいはずなのに、眠れないんです」
気がつけば、そうこぼしていた。ろくに眠れていないのに、いざ寝ようとすると逆に目が冴えて、夜中に何度も目が覚めたりして、満足に眠れていなかった。
ぽつぽつ、とそう話せば、女性は優しく微笑んだ。
「あなたにぴったりな子がいるんです」
そう言って、女性はおいで、と誰かを手招きした。やって来たのは、幼い女の子だった。礼儀正しくお辞儀をして、微笑む顔はどこか大人びている。
少女はランプに手をかざして部屋の明かりをほの暗くした。いつの間にか座っていたソファはベッドへと変わり、あっという間に眠る準備が整えられる。
少女はベッドに横たわり、たしたし、と布団を叩いて同じく横になるように促す。若干おそるおそるといった感じで横になれば、よくできました、と言わんばかりに頭を撫でられた。
頭を撫でられるなんていつ振りだろう。その小さな手があたたかくて、心地よくて。もっと撫でてほしい、と頭を軽く押しつければ、ころころとした笑い声が聞こえてきた。
久々にこぼれたあくびに、誘われる眠気に逆らわないまま眠りについた。
ぱち、と少し目が覚めてしまって少女の方を向けば、ひそひそ話をするように小さな声で言われる。
「もう少し寝な」
「……ねむれない」
そう少し駄々をこねれば、仕方ないなぁ、と笑いながら知らない子守唄を歌ってくれた。
その不思議な音色に乗って、また眠りについた。
次起きたときはもう朝で、久々にものすごく眠れた気がした。
少女と女性にちゃんと寝ること、と注意されながら、その店を出る。
その日からはちゃんと眠るようになったし、眠れるようにもなった。そのおかげか、あの店を見かけることはない。確かにあったはずの路地裏に行ってもそこには何もなく、あれはきっと『そういう』ところなのだろう。
きっとどこかにある添い寝やさん。でもどこにもない。
それはあなたが困ったときに、あなたの元に現れる。
#ミッドナイト
midnightの日本語訳は夜中。
夜中、ベランダから外を見る。
少ない車通り、人気のない道。
街灯と月だけが目立つ闇空。
この世には私しか存在しないんじゃないか、と思ってしまう。
すぅ、と深呼吸をする。
朝とは違う、でもすっきりとした空気を吸い込む時が結構好きだ。
真っ暗な外を見つめると、思考がぼんやりとしてくる。
「……」
何も考えたくない、そんな時この時間帯はちょうどいい。
日差しに当たってばかりだと疲れる。
風がひゅうと当たる。
「寒いなぁ」
ただ外を見てるだけ。
でもこの時間は私を癒してくれる。
忙しなくて、慌ただしくて、それに心も体も疲れてるから
何も考えない、ぼうっとしているだけが
何よりも私の癒しだ。
「あー明日も仕事めんどくさーい」
叫ぶとぼんやりとした頭がスッキリする。
まぁ、いい。また明日もこう、ぼんやりしてるんだし。
「寝るか…」
ガラリと窓を開けて部屋に戻る。
外の空気が部屋の中にも入る。
とりあえず、おやすみなさい。
ミッドナイトブルーが、端から鮮やかな赤い色に変わっていっている。焼けた地平線から太陽が顔を出す様は、まるで火の鳥のよう。炎から生まれ、炎に死ぬ様は、きっと生命の宿命なのだろう。
これからきっと、雨が降る。生命の炎は、それすらも糧に高々と燃え上がって、地平線を焦がすのだ。
―ミッドナイト―
暗い中、ネオンの装飾だけが
ぼんやりと周りを照らす
窓は無い
ただ、とても広い
一角にあるバーからの光が
1番目立つが、バーには誰もいない
客も、バーテンダーもいない
が、ただ唯一、
人が集まっている場所があった
中央に回転盤がついているテーブル
その周りに置かれた6つの椅子に1人ずつ、
人が座っていて、
その人達を見守るように立つ、
タキシードを着た男性
そして、そのテーブルを
取り囲むように人が集っていた
ポーカーフェイスのタキシードの男性以外は、
みんな緊張に満ちた顔をしていた
例外として、
最近初めてお菓子の味を占めた子供のように、
キラキラと好奇心に満ち溢れた顔で
椅子に座る人がひとりいた
そう、もうすぐその時が来る
ミッドナイト オブ カジノ
ミッドナイトというとネイティブから離れた言語だけあって、自然と言葉にまとわりついた印象がなくて、ただの時間の一つと思えるから良い。真夜中は少し繊細だから時間が過ぎていくことさえも辛いが、ミッドナイトと言い聞かせて安心するのも良いかもしれない。
テーマ:ミッドナイト #75
真実を知りに勝瑠の家を訪れた真とシャドウ。
そこに待ち受けたのは偽勝瑠だったーー
『全く、勘の良いガキは嫌いだよ』
そう言って出てきたのは、ほっそりした男。口にはタバコ…ではなく飴を咥えている。
「誰だ、勝瑠はどこにいる」
『ここにはいないよ』
只者じゃないことは分かる。だが、今のは何なんだ。顔が変形した…。
『ソイツはね、時を操る力があるから』
「……」
男は話す。全て知っている情報だ。しかし、なぜそれを僕にバラす必要があるのか不明だった。
『君にもあるんじゃないの? 時を操る能力』
急に男が低い声を出す。
なんだ…? 雰囲気が変わった。
『真、やべぇぜ…』
シャドウが僕に言った。男にシャドウの声は聞こえていないようだ。ということは人外では無い…?
でも、能力を知っていること。そして、さっきからチラチラ見えている首筋にある紫の紋章により、この男が勝瑠の言っていた用心しなければならない男だと言うことを。
シャドウの言った、やべぇというのはさっきから背後から近づいているもう一つの人影のことだろうか。
ずっと考えていた。これは時間稼ぎなんじゃないか、と。余分な話をしてまで彼を背後につかせたかったのだろうか。
僕は第三の目を閉じる。当然のごとく、男たちは動いている。どうして動けるんだ。人外しか動けないはずなのに。
『正体を表したようだね、君』
『もう逃げ場、ない』
後ろから低い声が聞こえる。
「それはどうかな」
僕がそう言うと姿勢を低くする。うまくシャドウと連携を取り、2人を一方向にまとめる。
『な、何だ?』
シャドウが2人に絡みついた。やはりシャドウの姿は見えていない。
『これも能力か!!』
細い男が叫ぶ。
「さぁね」
僕がそう言うとシャドウに縛られている2人に近づく。
「さぁ、勝瑠はどこにいるんだ?」
僕がニヤリとして聞くと、2人は青い顔をした。
『い、言えねぇ!』
細い男が言った途端、シャドウがその男を絞る力を強める。
『ぐぁ…』
細い男が呻く。
「骨が折られるのも、時間の問題かもね」
僕がそう言うと細い男から背後に近づいていた、ガタイのいい男に近づく。男はオドオドしていた。
見かけによらずこっちのほうが情報を吐いてくれそうだ。
『マクロ! 絶対に、言うんじゃねぇぞ!! ミッドナイト組織において、その情報を漏らすことは許さねぇ!』
マクロと呼ばれた男は細い男を見る。
僕が近づくと首を横に強く振る。2人共だめか。強制的に拷問するのはこっちの面倒だし、こいつ等はあまり強そうじゃない。細い男の能力は結構面白かったけど、シャドウの存在に気づけないくらいだから低級だろう。
シャドウと視線を合わせ
『あとは好きにやっていいのか?』
そう聞かれたので頷く。
シャドウはケケケッと笑う。僕は少し離れたところで彼らのことを見ていた。情報吐けばこんなことにはならなかったのに。馬鹿だな。そう思いながら。まぁ、この僕とシャドウを弄んだ時点でバカは確定なんだが…。
ミッドナイト組織。
細い男が言っていた言葉。それが彼らの紫色の紋章を身に着けている組織のことなのだろうか。
あぁ、やっぱり話を吐かせてからやったほうが良かったかなと、後悔するのだった。
・ミッドナイト
夜が深くなる深夜0時。夜中。
夜はゆっくりと過ぎていく。
夜の闇が自分の存在を消してくれる。
優しくない明日から自分を隠すように。
それでも、自分の存在に意味があるのか。
答えなんて見つからないたくさんの思いが。
どんどん深く、暗い方向に沈んでいく。
気づいたらまた、不安定な朝が来ていた。
ミッドナイト
抑えきれないこの気持ちが25時の空から光る雫として降り注いだ。
静寂は苦手だ。
余計なことばかり思い出すし、何より安心してしまうから。
1人が好きなわけじゃない。
ただ、真夜中はとても安心するから抜け出せなくなる。
どんなに嫌な思い出があっても、どんなに嫌な言葉でも、覆い隠してくれる魅力があるだけでいい。
それでも、一番隠したいものは絶対に隠してくれない。
からこそ、真夜中は大嫌いで大好きな世界だ。
ミッドナイト。
日にち超えた時は
最初のカード。
ミッドナイトに
贈るカードは
少し
大丈夫かなって
思うけど、
楽しみにしてそう。
ミッドナイトの
魔力だね。
ミッドナイト
何かが起こりそう
朝起きたら違う人になってるかもしれない
見た目は同じでも
中身は変わってるかも
だって
昨日まであんなに悲しかったのに
起きたら忘れてる
昨日まであんなに好きだったのに
起きたら別に気にならない
昨日まで全然興味がなかったのに
起きたら突然気になって仕方ない
わたしの知らないミッドナイトに
何かが起きてるような気がする
今日と明日を彷徨い続けて
ようやく朝が迎えに来る
たまにはもっと長く彷徨っててもいいんだよ
「ミッドナイト」
わたしがまだ今日に取り残されつづける日々を刻んでいる、その真ん中の秒針。
今日を愛しく思う気持ちより、明日を忙しく過ごす気持ちが普通に勝ってしまうのはなぜか孤独でちょっと味気ない。
真夜中くらいほんとうの気持ちでゆめみたいなあ
ミッドナイト____
最近、友達の愚痴を言うようになった。
愚痴を言ったあと罪悪感が残り、
更にストレスになる。
だから、愚痴も悪口も言えなく、
更にストレスになる。
でも、思いっきり、
理不尽で
身勝手で
わがままで
どうしょうもなくて
キモくて
クズみたいな
悪口を言う。
そして、思いっきり、
理不尽で
身勝手で
わがままで
どうしょうもなくて
キモくて
クズみたいな
自分の悪口を言う。
そうすると罪悪感も消えてストレスもなくなった。
私のストレス解消法は3つになった。
・小説日記
・泣く
・友達への悪口のあと自分への悪口を言う
ミッドナイト
真夜中を色で表すとしたら、真っ黒、漆黒、ネイビー、海底…だと思う。
黒っていうのはいつだってすべてを飲み込むように、塗りつぶしてしまう色だ。
たとえ、きれいな景色だったとしても、素敵な色だったとしても、黒はすべてを黒く暗く、塗りつぶしてしまう。
真夜中の景色はそんなどこか暗くて静かで、どんよりとしている色たちで埋まっている。
だからこそなのか、それがすごく神秘的で、洗練されているようなイメージにも見えるのだ。
頭の中を整理したり、何も考えずにぼーっとするにはもってこいだと思う。
時には、何も考えずに海底のような色をした黒の中に沈んでみるのもいいかもしれない。
宵闇に移り変わる空の色。帳に覆われた世界で光を放つのは微かな電球と空に輝く星々のみ。
時折通りすぎる車のヘッドライトは眩すぎて目が眩む。正面から迫ってくる白い波は一瞬にして消えては妙な寂寥感だけを胸に残す。
「寒い」
わずか数時間で白く染った世界。ついさっきまで降り注いでいた雪は嘘のようにやみ,劈くような寒さのみが漂う。
車に踏み固められた雪は凍りつき時折足をとられる。ざくざくと少し軋んだ独特な音が凍えそうな鼓膜を揺らし吹き付ける風が熱を奪う。
辺りを見渡しても光はほとんどない。大雪の直後まして夜も耽けるこんな時間に出歩く物好きはそうそういないらしい。
「痛いな」
かじかんだ指先が 風に晒された耳朶が 水が染み込みつつある足が
······何より 荒んだ心が。
なんでもない幸福なはずの日々を過ごしていても,噛み合わない歯車のような軋んだ音が降り積もる。小さな小さな音を響かせふとした瞬間に 言葉にできない違和感となってこの身を襲う。
一人になった時 特に月明かりすらささない街が寝静まった深夜はどうしようもない苦しさに見舞われ 息が出来なくなる。
そんな時は決まって闇の中をさまよい歩く。目的もなくただ足の動くままに,冷たい空気を肺に収めながらひたすら歩を進める。
時間も忘れ何処までも。行き着く先もわからぬまま帰り道も知らず歩く。
「······公園」
白銀に包まれた遊具のシルエットだけがぼんやりと浮かぶ空間。昼間の賑やかな様子とは一変していっそ厳かな雰囲気すら纏う結界。
誰にも穢されぬその閉ざされた白の中へと吸い寄せられるようにして近づいていく。
屋根に覆われた椅子から自らが入ってきた場所を見つめれば一人分の足跡だけがはっきりと残されている。
ぼんやりと眺めた空からはまたチラチラと舞い降りる白い花。手を伸ばせば消えてしまうそれは通ってきた道を覆い隠し,この身をこの小さな空間へと閉じ込める。
「帰れない」
なぜだか降り積もる雪をもう一度踏み締めることは出来そうになくて,ただただ音もなく舞うその小さな花を飽きることなく見つめ続けた。
誰もいない。何も聞こえない。白に包まれた世界。
どうしようもなく冷たくて恐ろしい程に静まったそこは,不思議と息がしやすくて。
本来なら不安に思うこの状況が,凄く心地よかった。
テーマ : 《ミッドナイト》
ミッドナイトは真夜中って意味だけど、真夜中って意外と早い時間らしい。感覚的に0時過ぎてからが真夜中なイメージなんだけどな。それはわたしが夜更かしし過ぎているせいか
夜更かしじゃなくて、時間が過ぎるのが早いだけ。
ミッドナイトはまだこれからでしょ。
ミッドナイト