『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『ブランコ』
母の膝の上に座ってゆらゆらと揺れたり
父に背中を押してもらったり
いつしか立って乗ってたこともあったっけ。
自分の足で強くブランコを漕いだら
どこまでも遠くへ行ける気がした。
21日目【ブランコ】
我が家の目の前にある広場には、ぽつんとブランコがある。
他の遊具はなくて、ブランコだけ。
たまに近くの保育園児がお散歩にやってきて、遊んで行くのだが、彼ら以外に揺られている人を見たことがない。
そんなある日。
スーツ着た若い男性が揺られていた。この辺では見かけない顔だ。
にこやかに揺られているから、悩みを抱えて…的な人ではなさそうた。
だから私も声をかけずにそっとしておいた。
就活中の大学生かな?休憩してるのかな?
ただ揺られている彼を見ながら「可能性が無限大」というのが、うらやましく感じた。
公園のブランコが揺れていた
きっとさっきまで誰かが乗っていたんだろう
吸い込まれるように私はブランコに座っていた
キイキイと情けない音を立てながらブランコを漕ぎ始めた
冬の夜の鎖は冷たくて漕ぎ続けるたびに冷たい風が容赦なく顔を打ちつける
子供の頃は純粋にどれだけ高く登れるか競って、暖かい夕陽に照らされていただけだったのに
いつからこんなにもくすんだ夜空を知ってしまったのだろう あの頃には見えなかった時計台が見えた
やっちゃったなぁ。
近場の公園にあるブランコに乗って呟く。昼間とは違って、誰もいない公園内は少しばかり寂しい。ゆらゆら揺れるブランコはオレの気持ちを表しているかのよう。
情けない話だが、些細なことで喧嘩が始まり家出をしてしまった。いつもは言い合いにならないのに、お互い会社でのストレスや睡眠不足も相まって激しい口論になった。毎回口喧嘩で先に謝るのはオレだけど、今日は折りたくなかった。両方負けず嫌いな性格故にヒートアップしてしまい、軽く後悔している。出てけよ、と言われなかったのが幸いだろうか。未だ眉間に皺を寄せている彼に1時間くらい頭冷やしてくると伝えたから、何かあったら連絡してくると思いたい。
そうして過去の自分達に思いを馳せながら、ぼんやりと夜空を眺めていた。ふと腕時計を確認すると、1時間を大幅に過ぎていた。慌てて携帯のロックを解除するとおびただしい数の着信があった。これだけあればわかるだろうに、過去のオレはマナーモードに設定していた。通りで気付かないわけだ。メッセージもたくさんある。今どこにいるのか、悪かった、電話してくれ、だの10数件確認できた。これはオレが悪い。再度かかってきた電話に出ると焦ったようにまくし立てられる。
「...ッオイ...今どこにいんだよ。」
「...気付かなくてごめん。近場の公園にいる。」
「......今向かうから待ってろ。」
「..わかった。ありがとう。」
プツッと無機質な音を立てながら電話が終了する。出迎えようと入口付近で立っていれば、1分もしないうちに彼が到着した。向かってきた勢いできつく抱きしめられ、ほんの少し苦しい。
何も言わない彼に声をかける。
「..なあ、今さ、星が綺麗だぞ。」
「...知ってる。」
「...多分オレ達考えてること一緒だろうからさ、喧嘩になる前に散歩に行こうよ。」
「...でも、今日は俺が悪いと思う。疲れてるのわかってて口がでちまった。本当に悪いと思ってる。」
「...わかったわかった。今日のとこはオマエが悪い。それでいいよな。」
「...うん。それと散歩も行きたい。」
「.....はいはい。日中でも夜でも行きたけりゃ行くよ。」
あーでもないこーでもないと普段の会話を思い出したかのように話しながら帰った。手を繋ぎながら、な。
その後、記念日とかを気にしないタイプの人間である彼が嬉しそうに”星空デート記念”と日記帳に書き込んだのを見たのはオレだけの秘密だ。
家から歩いて行ける距離に神社があった。
お社の横にブランコと滑り台と鉄棒があって、子供の頃はそこでよく遊んでいた。
ブランコは近所の子供達に人気で、いつも順番待ち。やっと乗れたと思ったら隣にいわゆるガキ大将タイプの男の子が乗って、そそくさと降りて逃げたりもした。
その頃流行っていたアイドルの歌を歌いながらどっちが大きく漕げるか競走したり、「いっせーのーせっ!」で靴を飛ばしてどっちが遠くまで飛ばせるか競走したり。たまに一人で、ひたすら無心に漕ぎ続けたこともあった。
夕方、帰る頃には両手にブランコの鎖のサビがいっぱい付いて、その鉄臭い匂いに笑いながら家路を急いだ。
今、その神社には粗末な木のベンチ以外何も無い。
ブランコも、滑り台も、鉄棒も無くなり、手水舎の水も止まってしまった。
管理が大変だとか、維持費が掛かるとか、そもそも子供がいなくなったからとか、多分そんな理由だろう。ブランコの横に生えていた大きな樹も、いつの間にか伐採されていた。
もうブランコから落ちて怪我をすることも、錆びた鉄の匂いに顔をしかめることも、突如目の前に出てきた虫に悲鳴をあげることも無い。安全で、清潔で、静かな神社は、でもどこか、居心地が悪くなったような気がする。大人になった私の足はすっかり神社から遠のいて、ふらりと立ち寄ることも無くなった。
この神社の神様は、静まり返った境内と神域に、誰もいないベンチに何を思うのだろう?
END
「ブランコ」
空まで届くと思ってた
てっぺんまで行ったら
靴を放る
明日も晴れますように
ブランコ
ブランコは好き。
目をつむって、見たくないものを見なくても遊べるから。
ひとりだけの動いてる空間に閉じこもれるから。
でも、
隣のブランコに君がいたら、
こがなくても、ただ隣でしゃべってくれたら、
学校じゃなくて、
電話じゃなくて、
目を見て、
ふたりだけの止まった空間で、
そんなブランコも好き。
公園で遊ぶ遊具といえば、ブランコだった。
もちろん人気の遊具なので、大きい公園では乗れた試しがない。そんな公園には寄り付かなかった。
神社のそば、穴場の公園はいつでもひとけがなかった。だからそこではいつもブランコを独り占めしていた。
座ってこぐのは早々に飽きてしまった。
座面に立って、膝を中心に全身を使って、びゅんと風を切る。爽快な気分で、薄雲のかかった空を仰いだ。
以前、座面が柔らかいシリコンかゴムのようなブランコを見かけたことがある。あんな座面では、文字通り座ることしかできないなと寂しくなった。
今思えば立ちこぎは危険だし、当時も大人に見られると注意された気がする。大人になった今では理解できる。
とはいえ。
座ってブランコをこぐときには感じられないあの高揚感。爽快感。あの気持ちを味わえたことは、幸運だった。
公民館の前の
寂れたブランコちょこんと座って
買ったお菓子を2人で食べた
うわさ話は行ったり来たり
恋の話は上の空
あの子の好きな子、あの子だよ
ふ〜んと思って、ちょっとだけ
羨ましくて空まで漕いだ
微かな揺れがバレないように
揺らして高く漕いだブランコ
ブランコ
最後に乗ったのはいつだろう
もう、乗ってない時間のほうが長いはずなのに
ブランコという遊具のことは
よく覚えてる
でもブランコってカタカナで見ると
外来語みたい
ポルトガル語っぽい
インターネットで調べたら
ポルトガル語という説が、じっさいにあるようだ
僕はどこかで聞いたことがあったのかもしれない
ブランコ、私が一番好きだった遊具
全身を動かし夢中になってゆ〜らゆら
私が出した笑い声 風にのって遠くへ飛んでゆく
ブランコ 私が好きな遊具
久しぶりに風にのって季節を感じてみようかな
ブランコ
公園にブランコがある。
お友達同士だろう。よく見る光景。
私が乗る、僕が乗る取り合いになる。
順番にねって言ってあげるか
そのままにして、子供だけで解決させるか。
ゆらゆら揺れながら徐々にスピードを上げていく
最初は高く、もっと高く、もっともっと高く
と、思いながらこいでいく
いつしか一回転出来るんじゃないかと
次は高くではなく、一回転を目指しながらこぐ
もう少しで回れる、あともう少しだと
そうすると、途中でだんだん怖気付いてきてやめる
それを何回も繰り返すと最後は飽きる
ブランコ
僕は落ちた。高く、大きく、そのために精一杯漕いだ。楽しかった。でも、落ちた。
もう一回漕ぎ直せばいいだけなのに、座って、蹴って、漕ぎ始めればいいのに。
そのブランコに乗るには僕は大きくなりすぎたのかもしれない。
《ブランコ》
独りで山の中を歩く。
いつも感じる孤独が自然の中にいると忘れられるから。
気の向くままに、ただ歩いた。
キィ
どこからか聞こえてきた。
金属音。
どこか懐かしさを感じる音。
何。
音がした方に近寄ってみると、あったのはブランコ。
廃墟の近くにポツンとある。
草が絡まってもう使い物にならないほど錆びていた。
ただ独りで風に身を任せていた。
君も独りか。
思い、近づく。
草が邪魔だったが気にせず座る。
漕ぐ。
動かない。
草を無理矢理ちぎる。
キィ
キィ
静かな山の中、ただ響く。
孤独よ、飛んでいけ。
後悔なのか憧れなのか もう取り戻せない輝き
杖になる時もあるけど 鎖のように絡まる事もある
進んだらその分だけ戻って 疲れたら止まって休憩
そうやってここまで来たんだよ
これからも きっと ずっとそう
未来にブラン
過去にブラン
未来に過去に思いを馳せる
帰るときは地面に足をつける
今はここ
ここだよ
足をつけて今を生きてるよ
[ブランコ]
三日月の端と端に底板付きのロープをくくりつけて、夕暮れに沈む空をひとこぎしたいなあ。
夢のブランコ。
揺れて揺れてブランコ
いつかあの三日月に触れさせてよ
あたしのココロをぶら下げるから
〈ブランコ〉
ブランコ
「人間は群れて弱い者をいじめる」ブランコを漕ぎながら僕は呟く。だがその声は錆びれた鉄の音で誰にも聞かれてはいない。僕はそう思っていた。
だがその声はある一人の女子に聞かれていた。
「何それ、アニメのセリフ?」僕は彼女を無視し、下を向く。
僕は彼女が新倉奈々が嫌いだ誰にでも優しく、誰からも好かれている。八方美人という言葉は、彼女の事を表しているような群れに媚びているそんな嫌な女なのだから。
「じゃあ、連君は疑心暗鬼だね。いや、天邪鬼か?」僕は思わず目を見開き新倉のいる方向を向いた。彼女は真っ直ぐ見つめていた。視線の先には人間の群れがいた。
ギィ…ギィ…僕のブランコから音がする。彼女からは音がしない。漕いでいないというよりも漕がないことが当たり前のようにまるで漕いでいる僕がおかしいかのように彼女はただそこに座っていた。
そんな彼女を新倉奈々という人間を目から離せなくなっていた
「私ね、心を読む力があるの」理解が出来なかった…いやそれは違う意味も分かる、言葉も分かる、じゃあ何故僕は理解ができなかったかのかそれは、
何故それを僕に話すのかそれが理解できなかった。
「理解できない?理由は簡単だよ、連くんは誰にもこの事を話さない、いやそうじゃないね話しても誰もその話を信じ無いのほうが正しいかな」
「じゃあ何で僕に話すの」
「君が群れから外れているから情をかけただけ私ってほら、八方美人だから」
「…」八方美人と言った事を根に持っていたらしいそして、俺は新倉奈々に悪口を言われた
「嬉しかったから悪口言ちゃった」
「嬉しい?」
「八方美人してると悪口は言えないから関係が悪くなっちゃうからね」
群れの中心に居るやつの苦労話を聞かされても…
「人が群れを作る理由知ってる?」
「?」
「人が群れを作る理由はね同じ敵を攻撃するときに群れを作るんだよ」
「…何が言いたいんだ」
「私は本当の仲間なんていない。それと、これから仲良くしよって事」
ギ…ギ…いつの間にか僕のブランコは勢いを失い彼女と同じスピードで僕はそこに群れを成していた