紅猫

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《ブランコ》


独りで山の中を歩く。

いつも感じる孤独が自然の中にいると忘れられるから。

気の向くままに、ただ歩いた。




キィ


どこからか聞こえてきた。

金属音。
どこか懐かしさを感じる音。

何。

音がした方に近寄ってみると、あったのはブランコ。
廃墟の近くにポツンとある。

草が絡まってもう使い物にならないほど錆びていた。

ただ独りで風に身を任せていた。



君も独りか。



思い、近づく。



草が邪魔だったが気にせず座る。



漕ぐ。

動かない。

草を無理矢理ちぎる。





キィ

キィ

静かな山の中、ただ響く。



孤独よ、飛んでいけ。

2/1/2024, 3:27:08 PM