『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
桜の木のそばに
ゆらゆら揺れる
懐かしの公園を
見渡しながら
大人になったなぁ。と
つぶやく
また、あの頃に戻りたい。
押して!押して!と
小さな背中が私を呼ぶ。
小さな背中を力いっぱい押すと
キャッキャッと肩が揺れる。
時が流れ君の背中もとても
大きくなったよね。
小さな背中はランドセルをはじめ
色々なものを背負って大きくなった。
ランドセルよりも大人の責任は重いのかな。
もしも、自信をなくてわたしの所へ帰ってきたなら、公園でそうしたように力いっぱい
背中を押して応援するからね。
__ブランコ
ブランコを漕いで、靴を飛ばして、競い合ったあの遊びが楽しかった頃が、とても恋しい。
夜にこっそり乗ったり
三半規管弱いから酔ったり
冬の間は使用出来なかったり
ラジバンダリ
わたしは帰路につく。腕は軽いが頭が重く、鈍く痛い。どうしてこう、今日に限って、わたしを迎え入れる空は曇天なのだろう。今日はたしか星座占いは3位だった。逆らってもいいラッキーアイテムをなんとなく鵜呑みにして若葉色のハンカチを一心に探した。遅刻した。
1位はシンプルに喜べるし、2位は惜しいって思えるじゃん。でも3位って微妙だね。てか、何にも言えない。
そんなことをいつか、クラスメイトが言っていたことがあったと思った。机としての役割を果たすはずの机に跨って椅子にしていた子だった。ああそう、そうだ。わたしの今日の運気は極端でない。だから、天気予報であれほど言っていたのにもかかわらず傘を忘れ、靴下が色違いだったことはばれなかった。
ふと、雲の蠢きをたしかめる為だけに空を仰ぐと、あげた頬に直接、雨の感触がした。ひとつぶだけ、一方的に冷たい降りはじめの雨。
さて、これはしとしとと弱く降り続くタイプか、はたまた、ざあざあとコンクリートを洗うような一定時間内の雨か。秒速ジャッジタイム。家までもうすぐだから、強力洗浄タイプはまっぴらごめん、そんなことを脳内で考えてみる。がしかし、雨は降らない。さすが3位だ。無駄なことに頭を働かせた反面、ずぶ濡れは回避できるっていう、まったく期待はずれな日だ、少しだけ音のずれた友人のカラオケを聴いているような気分だ。
呆れたように吐き出した息は白く、透明に近しい。わたしの息程度ではここら一帯は暖まらずに、それどころか、曇天に曇天が相まって、空気がどっと冷えていく。影が薄くなる。ただ朗報、手袋を取り出そうと鞄を漁っていると、ひと粒頭痛薬が見つかる。勢いと溜めた唾でこくんと喉を上下して飲む、多少の気休めにはなるだろうと思う。
シックな色合いの手袋はわたしの最近の宝物だ。温もりがよく手に馴染む。嬉しくなってはふわふわのついた指先をぱっぱと胸の中でひらく。こうやって無邪気に子供みたいにはしゃぐのは、人間みな定期的にしていい事だと、そう思う。占いを鵜呑みにして空回りし、迷信じみた順位で一日を自分で振りまわす日があってもいいと。たしかに。
気休め程度の頭痛薬が効いてきたらしい、痛みがすっきりとなくなった。ぽつぽつとつむじの間に雨が差し込まれる。結局降るんじゃないか。急かされるようにして鍵を握りしめる。そこに掛けられたキーホルダーの揺れ、擦れるときの金属音と、昨夜の水溜まりを車が跳ねる音が、よく映えるとそんなことを思い、その混同に胸を温めている。背中を押される。つられて前足、右腕、それから背筋をぴん。わたしは重たいドアをひらく。
「ブランコ」
丘の上にあるブランコで遊ぶのが好きだった。
風をきって段々振り幅が大きくなるにつれ高さも増して景色が広がって、段々と見えてくるあの景色を見るのが好きだった。
それから私は高く、高く、もっと高くと振り幅を大きくしていった。
もうそれは誰にも止められないほどに。
私はただもっと景色が見たかった。
もっと高く上がれば、もっと綺麗な景色が見れると思った。
もっと、もっと、もっと。
欲は止まらない。
前より高く上がれば、もっと高くと足を早める。
満足することは無かった。
どこまでも、どこまでも、求め続けて。
可能性がある限り諦めはしない。
頑固な性格が仇となるとも知らず。
いつか"終わり"が来るその日まで私はブランコを漕ぎ続けた。
終わりは突然に。
なんの前触れもなくやってくる。
その日は今までで1番高く上がった。
景色がとても綺麗に見えた。
しかし、それは一瞬。
綺麗に見えたと思ったら、勢いよく漕ぎすぎたのか空に投げ飛ばされてしまった。
景色"は"それは、それは綺麗に見えた
でも、相応の現実も見ることになる。
上がるのが一瞬なら落ちるのも一瞬
永遠とも思える一瞬の時間。
地面に叩きつけられる感覚。
朦朧とする意識。
あぁ、私は求めすぎてしまったんだ。
満足しとけばいいものを、もっと、もっとと
欲しがってしまった。
可能性が私をここまで突き進めてしまった。
あぁ、可能性というのは、夢というのは残酷だ。
甘い誘惑に誘われてしまった。
誘われてまんまと穴にハマって堕ちてしまった。
気づけばもう、戻れないところまで来てしまった
欲深い者は罰せられる。
強欲は人を突き動かす原動力になるけど、人を残酷にするものでもあるんだ。
失って初めて気づいた。
ただ最初は純粋な気持ちだったのに。
ただ綺麗な景色が見たかっただけなのに。
もうブランコには"乗れない"
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*後書き*
もう2月ですね。早いものです。
最近は時間の流れが早く感じてしまって焦るばかりです。
さて、今回のお題のブランコですが欲をサブテーマに書いてみました。
今回の題材はブランコでしたが他にも色々な物に当てはまると思います。
好きだったものが出来なくなるというのは辛いと思います。
ですが好きだからこそ余計に求めてしまう気持ちも分かります。
1度上手くいくと次も、また次もと、求めてしまいたくなります。
でもそういう時だからこそ慎重に冷静になることが大切なのかなと思いました。
そして最後に先月の目標達成報告とせっかくなので今月も目標を書き記したいと思います。
自分の戒めにもなりますので今年は毎月しようかなと考えていたりもします。
個人的な目標報告ですのでつまらないとは思いますが良ければ。
1月の結果
イラスト毎日達成
小説(ショートショート)書き切り達成
小説の応募は出来ず、投稿もしていないので個人的に書いたのみ。
英語 英検 英単語 復習など
2月の目標
イラスト毎日2枚
小説(ショート外)応募&書き切り
英語毎日
他勉強1月よりもやる事
また3月の頭に結果をこっそり発表したいと思います。
『ブランコ』
……ブランコを見ていた
何時だってブランコは人気で
僕は乗ることが出来なかったんだ
"みんな"が交代交代しながら
楽しそうにブランコを漕いでいる
ぎぃこ、ぎぃこ、ぎぃこ
"みんな"に混ぜて貰えなかった僕は
地面に半分だけ埋まったタイヤに腰掛けて
その光景を冷めた目で見ていた
羨ましいとは言わなかった
別に乗りたくなんて無いと言った
傲慢だった
怠惰だった
狭窄だった
……ブランコを夢見ていた
何時だって愚か者は独りで
ブランコに乗ることが出来なかったんだ
「最近、これに乗ったのいつです?」
彼女は微笑みながらたずねた。
公園に来ることすらめずらしいインドアの私からすれば、思い出せない。
「学校帰りにこれに乗って話すのとか青春じゃないですかぁ!」
彼女は嬉しそうに笑う。
「インドアの私からすればこんなのほとんど乗った記憶がないな。君はいつ乗ったんだい?」
「……忘れちゃったんですね…」
彼女は悲しそうにつぶやいた。
俯いてしまった彼女の顔は見えない。
「え…?」
「好きでしたよ。大好きです。さようなら。」
彼女が揺らいで消えた。
『ブランコ』
揺れる度に錆の音を立てて、一人公園に佇んでいる。曇天の空は鈍色に沈んで、帰るべき時間が到来していたことを理解した。とはいえ、あんな所へ帰っても仕方がないのだが。所在なく揺れるブランコに背を向けて、家路についた。足取りが重いのは母が待っているせいだろう。
家に私の居場所はない。母の再婚相手は、私より少し年上くらいの男性だ。私との歳の差よりも、母との歳の差の方が大きいくらいだ。悪人ではない。しかし、彼は私に興味がない。好きな人と結婚をしたら、付属していたもの、という程度の認識なのだろう。会話は常にぎこちなく、どこか儀式めいている。母もそのことには気がついているとはおもうのだが、彼との関係を繋ぎ止めることに必死で、私のことを気にとめている暇はないようだ。
あの人の前の母は別人のように見えて、3人で顔を合わせる度に知らない人と相席してしまったような不快な違和感が頭を満たしてしまう。家の中から居場所が失われた人間はどこに帰ればいいのだろう。
学校が始まるまで、ここにいようかな。どうせあの人たちは私を探さない。
踵を返してブランコに座ると、座面と連結する金具が軋んだ。曇天模様の隙間から夕焼けが覗いていた。視線の方向から2台の自転車。大きなバッグを肩に提げている。逆光で顔は見えなかったが、1人は自転車を停めたようだ。もう1人に手を振って、その後こちらに歩いてくる。
「檜原さん、こんなところで何してんの」
夕焼けと頭が重なる位置に来て、ようやく声の主がクラスメイトだったことに気づいた。
「井上さん」
井上さんは私のクラスメイトだ。クラスの中でも目立つ方で、常に隅っこを陣取る私とは関わる機会がほとんどない。
頭の中でもっともらしい言い訳を考えるが、思いつかない。慌てる私を見て、不思議そうな表情。
「夕焼けが……綺麗で」
私の回答に一瞬ポカンとして、振り向く。
「ん、たしかに」
隣のブランコにカシャンと座った。
そのままゆっくり漕ぎ出して、少しずつ振れ幅が大きくなっていく。頼りなく感じていたが、ブランコの鎖は意外と丈夫だ。
「井上さんはなんでここに」
「部活帰りはいつもここ通るんだ。遠回りなんだけどね。友達の帰り道がこっちだから。そしたらたまたまウチの制服見っけたから」
「そうなんだ」
「ブランコ、小学生以来かも。懐かしいね」
曖昧に頷くと、井上さんが笑う。
「何その反応、もしかして普段結構乗ってた?」
「漕ぎはしないけど、たまに」
「そっか!私は今日!漕ぎたい気分なんだ!」
そう言って井上さんは前後に激しく振れる。夕焼けに染まる横顔は、普段教室で見えているものとは違う気がした。
「何かあったの?」
「よくぞ聞いてくれた!」
そこで言葉を切って、息を吸い込んだ。
「今日!外部から練習見に来たコーチから!プロは無理って言われたんだ!」
どうして、とは聞けなかった。井上さんは中学の頃から地元では有名なバスケ選手だった。全国大会にも出場して、希望者で応援に行ったこともある。
素人目にも分かるくらい上手く、凄いと思ったのを覚えている。
しかし、それだけでは足りないのだろう。それを生業にするには、プラスアルファで圧倒的な何かが必要なのだろう。
そして、おそらくそれは私には理解できないものだ。
「そっか……」
「自分で言うのもなんだけど、結構バスケには自信あったんだよね。このまま続けてれば、もしかしてプロになれちゃうんじゃないかって思ってた」
ブランコの音が痛いくらいに軋む。
「だけどそうじゃない。きっとプロになれる人はもしかして、だなんて甘えた考えでやってないんだ。さしてきっと、他人に少し言われたくらいで簡単に納得しちゃえるようなものじゃないんだ」
風が強い。電線がヒュウヒュウと鳴っている。
「やりたいことが自分に向いてないってわかった時、どうしたらいいのかな」
ごめんね、愚痴っちゃって。と笑顔を貼りつける井上さんを見ていると、どうしようもなく、寂しい気持ちになった。
膝に温い感触が落ちた。
「え!檜原さん、泣いてる?どうしよう、ごめんごめん」
ブランコを足で止めて、井上さんが驚く。
「ごめん、なんか悲しくなっちゃって」
「ねぇ、そんなこと言われたら、私も、もう」
涙が止まらない私を見て、井上さんも泣き出してしまった。ブランコは風でキシキシと鳴いている。
そのまましばらく、居場所を失った私たちは2人で泣いていた。
「あー、泣いた泣いた。ごめんね、付き合わせちゃって」
井上さんは泣くのに急に飽きたかのように、ふるふると顔を振って立ち上がった。
「暗くなってきたし、帰ろうか。家はこっち?」
「うん、井上さんは反対側だよね」
「うん、じゃあここでお別れだね」
「お別れって、明日も教室にいればいるじゃない」
たしかに、と井上さんは笑った。
自転車を漕ぎ出そうとして、少し止まる。
振り向いた顔は暗くてよく見えない。
「明日もここ来ていいかな」
辺りはすでに夕闇に没して、自分たちの影もよく分からない。
「あ、でもいつもいるわけじゃないのか。ごめん、忘れて」
そうつけ加えて、去ろうとする井上さんの背に触れた。
え、と困惑した声で振り向く。
「いいよ。井上さんが来るなら、いつもいてあげる」
困惑した顔が笑顔に変わるのが見えた気がした。
「ありがと、じゃ、また明日」
遠くなっていく背中を見送って、今度こそ家に歩を進める。足取りはさっきよりも軽い。
いていい場所がどこかにあるだけで、私の足はこんなにも弾んでしまうのだ。
#ブランコ
【日が沈む頃に帰る】
子供たちが遊び疲れ帰り始めた夕暮れ時、
公園近くの防災無線から夕焼け小焼けが鳴り響く。
仕事が早く終わり家に帰る途中、公園のブランコが私の目に映った。
何を思ったのか公園の敷地に足を踏み入れていた。
公園内のトイレのすぐ横に設置されていた自販機で缶のおしるこを買ってブランコに乗る。
鎖が錆びているのか、ブランコを漕ぐたびに
ギィーギィーと音がする。
缶の蓋を開け、おしるこを飲むと涙が溢れてきた。ああ、仕事で疲れているんだな。と思い涙を拭って
日が沈むのを錆びたブランコの音と共に待った。
ブランコに乗ってるとき、私の心は落ち着く。
両親が喧嘩した日も、叱られた日も、無視された日も、母から打たれた日も、罵倒された日も、陰口を叩かれた日も、私は近所の公園のブランコに座っていた。
流れる雲を見ながら、「私は悪くない」と心の言い続けた。
今も変わらない習慣。何か辛いことがあると公園に立ち寄る。ブランコに座ってぼーっとする時が少し落ち着く。
「栗原さん。何してるんですか」相棒で大学の先輩の小塚さんが公園に来た。珍しく休みなのにお出かけ用の服に着替えていた。いつもならボサボサの髪も、今日は整えてあった。
「小塚さん?なにか分かったんですか?」
「いえ。ただ、栗原さんがお腹空いたかなと思いまして。」彼の推測は、悔しくもあっていて、私はお腹が空いていた。
「お腹空きました。誰かさんのせいで朝食べてないので」あたっていたのが悔しかったので、今朝のことをいじってあげた。すると小塚さんは、顔を真っ赤にした。
「く、栗原さんだって乗り気だったじゃないですか。」
「その気にさせたのは先輩ですよー」とブランコを前後にふった。少し早く、高く、ブランコが振れた。
「はいはい。そんなことより、何食べますか?繁忙期も開けたので、久しぶりに外食でも行きません?」少し着飾った服に納得ができた。
「行きたい!…ですけど、今はちょっと…」彼がキレイな格好をしていても、私が普段着のパーカーでは外食にはいけない。同僚に会ったら大変だ。
「そうですか…では外食は夜にでも。」そう提案する彼に、私は提案をした。
「ねぇ小塚さん。私、小塚さんのおにぎりが食べたいです。ここで」
「ここでですか?」
「はい。ここで」
「分かりました。栗原さんも手伝ってくださいね」
「分かりました。」
彼の持っている赤色の小さな箱には、気づかないふりをした。
ギーコ、ギーコ……
古びたブランコから、錆びた金属が軋む音が聞こえる。ここは、かなり前から誰からも使われない、廃公園になってしまった。すぐ隣に、新人さんがやってきて、みんなは、その新しい方で遊ぶようにになってしまった。今や、この廃れた公園で遊んでいる――いや、慰めてもらっているのは、ただ一人、私だけだ。そんな中、私のお気に入りは、このブランコ。4つ並んでいて、よく友達と、どこまで高く漕げるか競争をしていた。今となっては、ほんの少しの風が相手。私も社会人になって、みんなもそれぞれの道に進んで。
「……はぁ、またみんなと一緒に遊べたらなぁ」
なんだか、哀しくなってくる。今頃みんなは何をしているんだろうか。
ギーーーコ……
一際大きな音を立ててから、ブランコをおりる。すると、枯葉とともに秋風が流れてきて、私の頭を優しく撫でていった。
〜ブランコ〜
今ブランコに乗ってみたら、どんな気持ちになるんだろう?
気持ちがずっと、同じところを往復している。
前に進もうと意気込めばやっぱり怖じ気づいて、でもこんなんじゃダメだと奮起して、また尻込みしてしまう。まるで永遠に、ブランコに揺られているみたい。
いっそ、思いきって飛んでみようか。
——手が離れない。足がすくむ。
昔は恐れず、一番遠くを目指して何度も何度も飛んでいたのに。大人になって知恵がついて、無駄な未来を選ばないようになってしまった。
目指すべき着地点が見えない。
わたしは今、どうしたいのだろう。
お題:ブランコ
ブランコ
ブランコに揺られながら、お互いに質問を交わす。
「好きな食べ物は?」「好きな映画は?」
まだお互い知らないことが多かった。
穴をどんどん埋めていける感覚が、とても楽しかった。
物静かで。真面目な君。
しばらくあってない間に随分変わったね。
「それな」とか、「だるい」とか、
君の口からそんな若者言葉が発せられる度に、
驚いてしまう。今では当たり前なのに。
あいつに流されて性格変わったね。
正直、今の君は嫌い。
他の子を冗談でちょっといじると、本気で「可哀想」と止めにかかったり。
そんなバカ真面目なとこ好きだった。
今の君の笑い声、耳障りだよ。
またバカ真面目な君と、ブランコに揺られながら話したかった。
私はある日病にかかった入院中はほんとに暇だった
病院の庭にはブランコがある誰も使わないブランコだった私はいつもそこに座り本を読んでいた、ある日「隣良いかな?」見たことないけどきっと私と同い年ぐらいの男の子だった
「えぇ、勿論いいわよ」時を重ねるごとに私達は仲良くなっていった私の病院生活最後の日ブランコに乗った今日は来なかった、当たり前だった
看護師に聞いたときには、もうその子はこの世にいなかったもの、、、
ブランコ
【ブランコ】
最近乗ってないな、
よくお父さんに押してもらってたっけ
あの頃は元気だったな〜
夢もいっぱいあったな…
(あ☶☷☱はも☳☰れな☲)
・・・。あははッ(笑)
よーし!あの頃に負けないように!
頑張るぞ!夢も早く見つけなきゃ
・・・それでいいのか?
違うものに目を向けなくてはならないのではないか?
もっと☴☳☱☱☵なくてはならない
それでいいのか?
―ブランコ―
ボクはブランコ
ボクの所へは色んな人たちが遊びに来る。
昼間、小さな女の子とお父さんがやって来た。
お父さんは女の子をボクに乗せ「ちゃんと掴まってるんだぞ」と言って、後ろから揺らした。
女の子は嬉しそうに笑っている。
それから、二人の男の子たちが来て「どっちが早いか競走だ!」ってボクをブンブン漕いだ。
夕方になって、制服を着た三人組女の子達が現れた。一人はボクに座って、あと二人は立った状態で談笑していた。どうやら恋愛話のようだ。
日が暮れて、辺りがシーンと静まり返る。
今日はもう誰も来ないと思っていたら、とぼとぼと誰かが近づいてきた。男の人だ。
その人はボクにそっと腰かけて、ため息をつく。
しばらくすると、女の人がやって来た。
「探したよ。さっきはごめんね」
「俺の方こそ言い過ぎた。ごめん」
「帰ろっか」
「うん……お腹空いたな」
「もう、ご飯出来てるから……」
二人は手を繋いで帰っていった。
ブランコ
小さい頃、空と地面が逆さに見えるくらいやった。
そのまま空に向かって飛び出して、バーン!と地面に着地。まるで、鳥になったみたいに自由で、不思議な達成感みたいなものがあった。
振り返ると誰も乗っていない、大きく揺れるブランコ。
大人になって、同じことをやろうとした。
身体がフワリと浮くだけで、自分の中から何かが出て行ってしまいそうな感覚。全身から「危険」のサイン。
あぁ、鳥になっていたあの頃は、無知で無敵だった。
僕は「大人」に足を踏み入れて、身を守る術を身に付けて、飛べない鳥になったんだった。
振り返ると、少し寂しい音を立てて、ブランコは小さく揺れていた。
どこへやら行って帰ってくるまでに、何度いってきますと言うのか、おかえりと言ってもらえるのか、わからないと思う。何度あなたのいってきますを聞いて、おかえりを言えるのかもそう、地面を蹴ると前傾姿勢からぐぐっと体はくの字に曲がって、全身に風を受け、自分が少し離れるような錯覚が響く。新しい空気とともに好きなものが心を満たしていく感覚があった。胸がどきどきしていた。強く届きたいと願う気持ちが湧いてくるような気がした。これからもまた何度も、いってきますとおかえりを何度も繰り返しながら
『ブランコ』