『ハッピーエンド』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ハッピーエンド
雨戸の閉まった暗い部屋でまた目が覚める。
暖かい羽毛布団と、枕元に固められたぬいぐるみにブランケット。
いつもみたいに布団を退けて、起き上がろうとしてはたと気づく。
身体が、動かない。
精巧に掘られた彫刻のように、身体が固まっている。
いや、これは固まっているのとは違うんじゃなかろうか。
重いのではないか?固まったと錯覚するくらいに。
布団脇に放ってあるスマホにさえ手が届かない。
思考はぐるぐる流れていくのに体はピクリとも反応しない。
暗い部屋の中、自身の呼吸音と、呼吸による布ずれの音だけが聞こえる。
頭のなかではいつもの耳鳴りがしている。
今日は休みだから、別に動けなくたっていい。
無理をして祟られるほうが問題だろう。
覚めた頭が、温かみと暗闇でまた微睡んでくる。
もう一度眠ったって構わないんだ。別に。
起こす人もいないし、起きる理由だってない。
今日は、もう眠ろう。また、眠ろう。
起きれなくたって、明日は勝手にやってくるんだから。
それじゃあ、夜まではおやすみなさい。
『ハッピーエンド』
これが最良のハッピーエンド。
最高では、ない。最良のハッピーエンド。
○○○
日本は災害の多い国だ。
そんな当たり前の事は知っていたが、まさか自分の身に降りかかるとは思いもしなかった。
大きな地震が起きて、地下に閉じ込められた。
パッと計算したところ、生き残るには——一人分だけ、数が足りなかった。
争いが起こる直前、それは起こった。
「やめてよ。ボク、いらないから」
小さな男の子だった。
母親とはぐれたのだろう。
どこか汚れた衣服を纏い、あちこちに傷を作っていた。
そんな状態でもニコニコして、他者を気遣う余裕のある子だった。
……そう、“だった”。
「ボクにやさしくしてくれて、ありがとう」
階段の一番上から、小さな体躯が舞っていた。
刹那、ガン!って米俵のように重いものが落ちる音がする。
……恐る恐る振り返った先、そこに“ソレ”はあった。
男の子の死体だ。
即死だった。頭部から真っ赤な液体が流れ出ていた。
一瞬でみんなの血の気が引き、争いの気が無くなる。
当然だ、もうその必要は無いのだから。
○○○
これは最良のハッピーエンド。
最高では、ない。最良のハッピーエンド。
胸くそ悪い、最良のハッピーエンドだった。
おわり
ハッピーエンド
待ってろ
ハッピーエンド
その時を迎えるために
幾つもそう思えるように
自分のご機嫌をとることに徹する!
はっとした瞬間に
ピークを迎えた心臓
延々と続いたトンネルの終着
堂々と前進し倒れ込んだ
好きな人と一緒にいれて、友達と遊ぶことが出来る
それが私が望むハッピーエンドだ
今日のお題「ハッピーエンド」
いつの間にか、図書館の窓から差し込む日差しは傾き、赤みを帯びていた。
年季の入った木製のテーブルに読み終わった本を置き、私はふぅ、と小さく息を吐いた。
他愛ない恋愛小説。物語の中で、ヒロインは素敵なヒーローに出会い、ライバルの女の子の妨害にも屈せず、愛を育み、ハッピーエンドに至る。王道の、ごくありふれた物語だった。
でも、物語の中でさえ、ヒロインとヒーローのハッピーエンドの周りには、たくさんのアンハッピーエンドが散りばめられている。
私は、ヒロインにはなり得ない。平凡で、臆病な一般人だ。ライバルの女の子にすらなれないだろう。ヒーローに憧れて、何をするでもなく勝手に失恋するモブ。
窓の外を眺めると、ちょうど校門を出る彼の姿が見えた。豆粒ほどの姿なのに、彼だとわかってしまう自分に苦笑が漏れた。肩のふれあう距離に女の子の姿。
「ハッピーエンド」
つぶやいて、彼らにはエンドではないのだと思う。物語と違って、関係が切れるまで彼らにエンドは訪れない。別れるまでエンドがないならば、ハッピーエンドとは現実にはなんて難しいんだろう。
でも、アンハッピーエンドで終わることはできる。この恋心を小さくまとめて、粉々に砕いてしまえばいい。いつか風にさらわれて、なくなってしまうだろう。
未練がましく彼の姿を見送って、本を返しに席を立つ。
ハッピーにしろ、アンハッピーにしろ、気持ちにエンドマークをつけるのは難しそうだ。
『水平線の光る朝に』
彼は、人に優しくあろうとしていた。
それは性格というより、ほとんど意志に近いものだった。
出来るだけ嘘はつかないように。
誰かが痛みを感じたとき、それを自分のことのように想像できるように。
そうやって生きていれば、どこかで間違えずに済むと思っていた。
けれど、ある日、彼は知る。
正しさは、ひとつではない。
⸻
誰かを守ろうとして選んだ言葉が、
別の誰かを深く傷つけていた。
気づいたときには、もう遅かった。
言葉は取り消せないし、
選ばなかった方の未来は、もう戻ってこない。
彼はその日から、何かを選ぶたびに、
同時に何かを失っている感覚に襲われるようになった。
それでも、人は選び続けなければならない。
⸻
朝、海に出た。
水平線が、静かに光っている。
あまりに整ったその景色は、
何もかもが正しい形に収まっているように見えた。
そのとき、不意に思い出した。
壊れた約束のこと。
守れなかった言葉のこと。
胸の奥で、何かが崩れ落ちる。
音はしなかった。
ただ、確かに崩れたとわかる感覚だけが残った。
⸻
風が吹く。
崩れたものの欠片が、どこかへ運ばれていく気がした。
彼には、それがどこへ行くのか分からない。
ただ、その先で、
それを「綺麗だ」と言う誰かがいるのかもしれないと、
ふと、思った。
それは、救いなのか、残酷なのか、判断がつかなかった。
⸻
その日の夜、彼は人に尋ねた。
「どうすれば、間違えずにいられると思う?」
相手は少し考えて、首を振った。
「見えないものを、大事にするしかないんじゃない?」
それだけだった。
⸻
心は、見えない。
だから、測ることも、比べることもできない。
それでも、人はそこに何かがあると信じて、
言葉を交わし、手を差し出す。
彼は、ようやく理解する。
自分は、ずっと“見えるもの”で正しさを測ろうとしていたのだと。
結果や評価、形になったものばかりを見て、
そこに至るまでの“見えないもの”を、
置き去りにしていたのだと。
⸻
日々は、静かに重なっていく。
気づけば、会えなくなった人がいる。
理由をはっきり思い出せるわけではない。
ただ、時間の中で少しずつ距離ができて、
そのまま戻らなくなっただけだ。
それもまた、選択の結果なのだろう。
⸻
ある夜、彼は夢を見た。
何かを成し遂げて、
たくさんの拍手を受けている夢だった。
歓声は大きく、
誰もが祝福しているように見えた。
けれど、その中に、
確かにひとつだけ、違う音が混じっていた。
悲鳴だった。
誰にも気づかれないほど小さな、
けれど、確かに存在する声。
彼はそこで目を覚ました。
⸻
答えは、ひとつではない。
それどころか、いくつもあって、
そのどれもが完全ではない。
人は、その中から選び続け、
そのたびに悩む。
その繰り返しの中でしか、
自分というものは見えてこないのだと、彼は思う。
⸻
誰の記憶にも残らない日がある。
何も成し遂げず、
何も変わらないまま終わる日。
それでも、確かにそこに自分はいた。
雑音と足音の中で、
確かに呼吸をしていた。
それを、否定する理由はどこにもない。
⸻
朝が来る。
また、水平線が光っている。
昨日と同じようでいて、
どこか違う光。
彼は、しばらくそれを見つめる。
崩れたものは、元には戻らない。
けれど、消えたわけでもない。
どこかへ流れていき、
形を変えて、
また誰かの目に触れるのだろう。
⸻
彼は思う。
それでいいのかもしれない、と。
⸻
正しさは、揺れる。
優しさも、時に人を傷つける。
それでも、人は願う。
出来るだけ嘘をつかず、
誰かの痛みを、自分のことのように思えるようにと。
⸻
水平線が光る朝に、
彼は静かに立っている。
何も解決していない。
何も終わっていない。
それでも、もう一度、歩き出す。
⸻
やがて彼も、見ることになるだろう。
自分が手放したものが、
どこかで光っているのを。
それが何だったのか、
そのとき、ようやく分かるのかもしれない。
『ハッピーエンド』
ハッピーエンドの向こう側へ行こう。
もう一度世界を覆そう。
勇者が魔王を葬って世界から闇は消え去りました。
それは良かった。大団円だ。世界は幸せに包まれた。
物語はそこで終わりを迎えた。
勇者よ、君が闇を葬ったから。
私の愛する人は消えてしまったんだ。
ならば闇を取り戻しましょう!
私達だけのハッピーエンドを求めて!
例えその結果世界がどうなろうと、
もうどうだっていいよ!
ただ貴方に会うために。
もう一度貴方の声を聞くために。
魔王だって復活させてみせる。
ハッピーエンドを見つけに行こう!
映画も小説もドラマもアニメも全部安っぽいハッピーエンドばっかり
私のそれはどこにあるんだろう
何もかも幸せな結末を迎えられば
みんな、笑顔で居られるのに
ハッピーエンド
最期の幸せ 君の胸 腕の中
抱きしめられて ねむりたい
世界中の人々に祝福されて死んだとしたら、
なんという名前の終幕になるのだろう。
「ハッピーエンド」
今にも雨が降りそうな厚い雲が支配された空。
……なんとか、鬼ヶ島から逃げることが出来た。
まさかお供で一緒だった犬、猿、雉が僕を置いて逃げるなんて……。
一緒に戦うって約束じゃなかったのか?
おかげで僕は鬼達に殺されかけた。
『あなた方は鬼達を倒し、ハッピーエンドになります』
鬼ヶ島へ向かう途中で寄った町の占い師にそう言われていたのに、これじゃ真逆だ。
文句を言いに再び町へ行き、占い師の元へ向かう。
占い師は僕の顔を見ると、真っ青な顔をして震える。
「ああ……なんてこと……。何者かがこのお話を改変している……もう終わりだ……」
そう言うと、占い師は慌てて去っていった。
意味が分からず、僕は去っていく占い師の後ろ姿を見ることしか出来ない。
……帰ろう。お婆さんとお爺さんの元へ。
鬼達をこらしめると意気込んで家を出たのに、逃げ帰ることになろうとは。
家へ向かう途中、道に大きな足跡がいくつもあった。
嫌な予感がし、急いで家へ向かって走る。
「……え」
家を見て、唖然とする。
家は潰されていて、近くにお婆さんとお爺さんが血だらけで倒れていた。
呼びかけても反応はなく、息をしていない。
おそらく、鬼達の仕業だろう。
お婆さんとお爺さんを殺すなんて……。
許さない……許されるものか……絶対に……!
これも全て、逃げていった犬、猿、雉のせいだ。
まずは、あいつらを始末やろう。
フフフ……どうやって始末してやろうかな。
じっくり苦しめながら始末してやるか。
腰に付けていた鞘を強く握る。
ぽた……ぽたぽた……。
空の厚い雲から雨が降ってきた。
鞘から刀を抜き、再び来た道を駆けていく。
僕はいつの間にか、復讐の鬼となっていた。
ハッピーエンドよりバットエンドの方が泣けると私は思ってる。
ヒロインと主人公が結婚したり付き合ったりするよりどちらかが切なく亡くなっていく方が私は泣ける。
そう思う私は性格が悪いだろうか。
ずいぶん昔だが
「摩利と新吾」という
マンガのことを
思い出した
主人公は摩利と新吾
戦前の学園ドラマ
いろいろな脇役の学生が
登場する
物語のなかで
脇役ひとりひとりの
それからの人生
誰と結婚して
どう亡くなったかが
描かれる
ハッピーエンドばかりではない
それでも
脇役たちにも
それからの人生があったはずと
その描き方がやさしかった
くるくる、クルクル。
世界は回る。
みんな笑顔のハッピーエンド───。
忠勇義烈な正義の味方。
消えた誰かは置き去りにして、
悪因悪化の自業自得。
望む悲劇は訪れないで、
笑顔の花は世界を覆う。
嬉しいのかな、楽しいのかな。
騒ぐ子どもに笑顔を返す。
さらりと撫でる。
冷たい十字が、手に染みる。
あぁ、どうせ
幸せなんてわからないクセに───。
「ハッピーエンド」
私は今を生きるどんなに辛くとも
幸せの為に生きる
街の喧騒に飲まれ
人波に襲われ
辛い事も忘れたい事も沢山ある
でも幸せの為なら仕方ない
これが私にとってのハッピーエンド
わたしにとってのハッピーエンドが、
君にとってもハッピーエンドだったらいいのに。
あいつにとってのバットエンドが、
君にとってはハッピーエンドだったらいいのに。
世界にとってのトゥルーエンドが、
わたしにとってのバッドエンドじゃなければいいのに。
けんたんと会えなくなってもういちねん。
早いようで遅かった。
遅いようではやかった。
でもまた会いたい…。
きっといつか絶対会えるって
信じてもいいよね?
王子様とお姫様は
幾多の苦難を
乗り越えて
結ばれて
ハッピーエンドに
なりました
はい
おしまい
その後も
色々ある事は
わかってる
だけど
一旦ハッピーで
少しの間
酔いしれたい
✨709✨ハッピーエンド