大狗 福徠

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ハッピーエンド
雨戸の閉まった暗い部屋でまた目が覚める。
暖かい羽毛布団と、枕元に固められたぬいぐるみにブランケット。
いつもみたいに布団を退けて、起き上がろうとしてはたと気づく。
身体が、動かない。
精巧に掘られた彫刻のように、身体が固まっている。
いや、これは固まっているのとは違うんじゃなかろうか。
重いのではないか?固まったと錯覚するくらいに。
布団脇に放ってあるスマホにさえ手が届かない。
思考はぐるぐる流れていくのに体はピクリとも反応しない。
暗い部屋の中、自身の呼吸音と、呼吸による布ずれの音だけが聞こえる。
頭のなかではいつもの耳鳴りがしている。
今日は休みだから、別に動けなくたっていい。
無理をして祟られるほうが問題だろう。
覚めた頭が、温かみと暗闇でまた微睡んでくる。
もう一度眠ったって構わないんだ。別に。
起こす人もいないし、起きる理由だってない。
今日は、もう眠ろう。また、眠ろう。
起きれなくたって、明日は勝手にやってくるんだから。
それじゃあ、夜まではおやすみなさい。

3/30/2026, 12:31:03 AM