『ハッピーエンド』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ハッピーエンド
私の周りの好きな人たちがハッピーエンドなら、私も嬉しいし幸せ
他人の事より自分の幸せ考えなさいとよく言われるけど、自分の事は本当に鈍感で1番分からない
私のハッピーエンドって何なんだろう…?
お題『ハッピーエンド』
私が暮らしているのは海に浮かぶ島。
とても穏やかな海に浮かぶ島。
嫁いできて数年が経過している。
私は人がたくさん行き交う都会が苦手なため田舎に嫁いできて良かったなぁと思う。
だが、周りに知人はいない。
もちろん友人もいない。
寂しいなと感じる時もあるけれど、今一緒に暮らしている家族が心の拠り所。
実家は隣県のためすぐに行ける距離ではない。
たまにホームシックになる場合もある。
そう思うとまだまだ私は子どもだなぁと感じる。
いつになれば大人になれるのだろうか。
きっと大人にはなりきれずにこのまま生きていくのかもしれない。
そんなことをたまに想いながら過ごしている。
旦那とは「桜の咲く頃」に出会った。
そういえば昨日、近場ではあるけれどささやかなお花見に連れて行ってもらいました。
「桜が散る前」で良かった。
来年も一緒に桜が見れたらいいな。
ハッピーエンド
「焱はね。幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし、ハッピーエンド…ってのが大の苦手なの。だって、大抵のお話は一難去ったあとの幸せの絶頂で物語を締めているのだけど、どう考えたってそこで終わりなわけが無いわよね?まだまだ沢山困難苦難その他もろもろが押し寄せてくるはずよ。この世はそう優しく出来てはいないもの。困難を乗り越え続けることを人生と呼ぶのよ。だからね、すもも。お前と焱のお話だってこれで終わりってわけじゃないの。ここからが本番、むしろ本編よ。分かってる?ハッピーエンドではなくてハッピーto be continuedってわけ」
浅葱と焱の魔女へ、急に思いついて揃いの指輪を買ってきた李は、指輪を見た途端そう流れるように言う焱の魔女に目を瞬かせた。
「あー…っと?わりぃ指輪やだった?」
「嫌だなんで言ってないでしょう?!今が幸せの絶頂って話をしたのに聞いてなかったのかしらこのすももは。まあ焱に指輪を送るなんてシチュエーション、緊張しない方がおかしいわよね。仕方のないすもも」
ぷりぷりと怒った風を見せながら、李に向かって差し出した左手を早くつけろとばかりにプラプラと揺らす。
「あ、あー…そういう?あんたの言葉は一々遠回しなんだよなぁ」
「ふん。お前はそんな焱が良いんでしょ。物好きな子」
最愛の手で、迷いなく薬指へと嵌められたそれを見ながら。
焱の魔女はくふ、と堪えきれない笑みを零した。
みんなが幸せになって終わる物語はあるのだろうか。
主人公もモブも、悪役も、みんなが幸せになる物語。そんなものはないだろう。
人それぞれに理想があって、幸せの定義がみんな違う。だったら、不可能だろう。
みんな一緒の方へ向かって走って行けるのなら、
全員が幸せになるだろうがバラバラだと、必ずどこかに、不幸の落とし穴がある。
それぞれの考えがあるから、不幸なことは起こるし、不平等なことが起きる。
今もどこかで、不幸に合ってる人がいて、私みたいに変わらない日々を過ごしている人がいる。
不幸なことは、私にもあるし、死にたいと思うこともある。
でも…他の人に比べたら、対したことないのだろう。
時折寂しくなると夢を見るのだ。彼と初めて出会った時の記憶が思い起こされる、そんな夢を。
「へぇ、俺は覚えてないけどなぁ」
「お前は長生きだからそりゃね」
夢、というより出会った頃の話をすると決まって彼はそう言う。僕も毎度同じ言葉を彼に投げ掛ける。彼が寄り掛かる小窓の外はすっかり暗くなっていた。夜はあまり好きではないのだが、彼のいっそ気味の悪い程青白い肌は夜によく映える。
昔の話をする事を彼は嫌った。殆どを覚えていないからだ。人でないが故に死ねない彼は長い時を過ごしすぎて過去の思い出など闇に葬り去られてしまったらしい。だけど僕は何度も何度もその話をする。
嫌がらせのつもりではない。覚えていて欲しいだけだ。彼にとって呪いになってしまうだろう事は分かっていても。
季節が巡れば僕は死ぬが、彼は幾度季節が巡っても、季節という概念さえなくなってしまっても死なない。
彼はその間に、僕よりも大切な人を見つけるだろう。彼の事だから僕が死んで数十年は引き摺るだろうが、それも彼の人生の内では些細なものだ。それを咎める気も起きないし、咎めた所でそれは自然の摂理なのだから。
でもせめて欠片でも良いから覚えていて欲しい。記憶の片隅に僕を住まわせて欲しい。それはきっと望み過ぎなんて事はない筈だ。だって僕が彼を大切に思う以上に、彼は僕を大切に思っている。
それを彼に言ったら間違いなく嫌な顔をされた後、口を聞いてくれなくなるけど。
僕は知ってる。彼は置いていかれる事をめっぽう嫌う。
けれど僕は置いていく。記憶で彼を縛り付ける。
彼が何度泣いて叫んでもその道は変わらない。
彼にハッピーエンドを渡せるくらい力があれば良かったと何度も願ったけれど、エンディングは変わらない。僕は死んで彼は生きる。可哀想な彼。可哀想で愛おしくて、大切な彼。
傲慢な僕でごめんね。
呆れ返る程長い時の流れの一瞬を、僕といてくれてありがとう。
#ハッピーエンド
スポットライトに大歓声
私は今、舞台に立っている
そう
私の舞台だ
客席からは拍手喝采
あぁ
もっと もっと
まだまだ終わらない
私の終劇(フィナーレ)は
こんなものではない
さぁ 演(み)せてあげよう
私だけの完璧な終劇(ハッピーエンド)を!
『ハッピーエンド』より
物語は必ずしもハッピーエンドで終わっていた
だから私は子供の時は必ずしもハッピーエンドで過ごせる
と思っていたでも人生は辛いことがほとんで嬉しいことなんて辛いことに比べたら嬉しいことの方が多いのかもしれない。
ハッピーエンドなんてひと握りなんだろうなと成長するにつれて大人に近づくに連れて思い知らされる。
お題[ハッピーエンド]
No.13
胸に刃が突き立てられた。
わたしを必ず仕留めんとする、討伐隊員の必死の形相——これが最期の景色となるのだ。
これで、これで良かったのだ。
世に厄災をばら撒くことで、
その原因たるわたしへ目が向けられた。
そして、分かりやすい悪性存在を前に、人々は団結した。
手を差し伸べ合い、今を乗り切り、奴を討てば必ず救われると。
未だ啀み合う人はあれど、それでも以前よりは良くなった。
だから、これで良かったのだ。
これで世は、良い方向へ向かうだろう。
心残りなのは、その世界の行末を、この眼で見ることが叶わないことだけだ。
————————
ハッピーエンド
どこかでみんな、自分を主人公だと思っている
人生とは自分を中心に回っているのであって
だから君の目に映るのは
私だけ
当たり前のハッピーエンドだと思ってた
でも君は
あの人のことが好きなんだってきいてはじめて
僕が中心じゃなかったと知った
ハッピーエンドは
君のために
あったんだね
《ハッピーエンド》
#8
本当にハッピーエンドなのか
判断するため、八百万の神々に集まってもらい
判断してもらう委員会を設立しました。
「ずっと前から好きでした」
「私も」
神々「うーん…ハッピー!!!」
ハッピーエンド
この世界では私がヒロイン。
可愛い顔に綺麗な髪周りから好かれる性格。
そしてイケメンな幼馴染。
こんな設定ヒロイン以外にありえない。
私の幸せな未来は保証された。
はずなのに、
あの子が転校してきてから変わった。
彼の隣の席になって彼と仲良くなって、
いつの間にか彼の隣にはあの子がいた。
それが羨ましくて妬ましくて少しからかった。
私の場所を奪ったんだから少しくらい良いでしょ。
ちょっとものを隠しただけ、
ちょっと無視しただけ、
なのになんで彼はあいつの味方をするの。
私と一緒にいたはずなのに私の彼なのに。
私がこの世界のヒロインなはずでしょ。
ねえ、私のハッピーエンドは何処に行ったの。
きっと、誰かと結ばれるだけがハッピーエンドじゃない。
横を通り過ぎる香り
「えっ?」
思わず声が出た。知らない人だ。
けど何故か追いかけてみる。
真っ直ぐ歩いて右、左、右。止まった。声をかけてみたい。けど…よし
「あのっ」
「はい?」
「あの、えっとその……」
言葉が続かない
「?」
「えっと、あなたに一目惚れしました!」
あれ?こんなこと言うつもりじゃなかったのに!
「ありがとうございます?」
困らせてしまった。
「違うんです!いや、違くもないけど……その、あなたから目を離せなかったというかなんというか」
何変なこと言ってるんだ自分!
「ふふっ」
笑ってくれた!嬉しい!
「あっあの、連絡先交換…してくれませんか?」
「いいですよ。」
「あの、夜、連絡してもいいですか?」
「ええ」
「えっと、ありがとうございます。」
「いいえ。待ってますね。」
「はっはい!ではっ!」
「はい。」笑顔で言われる。
心が跳ねる。数時間後が楽しみだ。
題 ハッピーエンド
ヤ、先生、こんにちは。オヤ、ガラクタが片付いている⋯⋯ アァ─奥さんですか、新婚生活が羨ましいですな、ハハハハ⋯⋯ 、 一度、お会いしてみたい⋯⋯。
進捗の方はどうですか⋯⋯ 。 ホオォ─────探偵小説(ミステリ)ですか、いや、意外です。
⋯⋯ ア、そうですか、恋物語はお辞めになる⋯⋯。 いやね、私(ワタクシ)も民草と同じ、あなたの夢世界に魅了された一人ですからネ。先生の物語は、みんなを幸せにできる⋯⋯。 これからも探偵小説を続けるおつもりですか⋯⋯ 少しザンネン。
⋯⋯ イヤァ、ハハハ、ヤハリ、あなたは私が担当した中で、1、2を争う小説家だ。⋯⋯ エ、アァ─、もう一人の天才は、もう書くのを辞めたんです。⋯⋯ 気になりますか⋯⋯ そうですか。
あの有名なQ先生ですよ。⋯⋯ そうです、あの“恋の神様”です。ヘェ──あなたもQ先生のフアンなのですか。どおりで、作風が似ていらっしゃる⋯⋯ ア、エラくスイマセン、失礼ですね⋯⋯。
世に知られるとおり、彼女の書く世界は清廉潔白、極楽浄土、フル・オブ・ラブを体現したものでした⋯⋯。 しかし、しかしネ⋯⋯ ご本人の恋はあまり良いものではなくてね、好い人には話しかけることもできない臆病者だったのですよ⋯⋯。
ある時、物書きの集まりで飲んだことがありましてね、Q先生はそこの若いバーテンダーに惚れ込みまして⋯⋯。 バーテンダーもQ先生に気があるようでして、仕事外でも連絡を取るようになったようです。
私(ワタクシ)、嬉しくってたまりませんでした。だって、アノQ先生が理想(ロマン)を現実にせんとしているのですから⋯⋯。
ほどなくして、お二人は結ばれました。⋯⋯ ズイブン、楽しそうでしたよ。だって、夢の現実世界ですからネ⋯⋯。 私は、お二人が指輪を交わす日を待ち望んでいました⋯⋯。
⋯⋯ しかしネ、そんな日は来ませんでした。バーテンダーは他に女を作っていたようです。Q先生との理想世界を、別の女とも作っていたようです⋯⋯。 彼奴は最期に、Q先生に酷いことを言って、どこかへ消えてしまったようです。
ソウ、“恋の神様”の夢世界は、盗賊の土足に踏み荒らされてしまったのです⋯⋯。 彼女は次第に憔悴していきました。ずぅっと涙を流して、長い髪を毟って、骨が透けるほどに痩せていきました⋯⋯。
私、悲しくてたまりませんでした。もう二度と、彼女の夢世界を見ることは叶わないのですから⋯⋯。 アァ、今思い出してもウラメシイ⋯⋯。 でもネ、もう過ぎ去ったことなのですよ。私は彼奴の行く末をよくよく存じておりますから⋯⋯。
⋯⋯ ある時期から、彼女はもう一度、夢の現実世界を目指し始めました。髪を梳かし、荒れた部屋を片付け、3食栄養のある食事をとるようになりました。元来、彼女は綺麗好きでしたからネ⋯⋯。
私が、
「どういう心境の変化だい。」
と聞けば、彼女は1冊の小説を見せながら、
「やっぱり、こうでなくちゃね。」
と言って、また髪を梳かしました。
その小説も、素晴らしい恋物語でした。まるで、Q先生がもうひとり現れたかのような錯覚を起こしました。ペンネームは忘れてしまいましたが、駆け出しの新人作家だったように思います⋯⋯。
それから暫くして、Q先生はどこかへ越して行きました。今はどこで何をしているのか分かりませんが⋯⋯。
⋯⋯ エ、何をしているのですか。アァ、探偵小説(ミステリ)が跡形もない⋯⋯。 ⋯⋯ エ、〆切ですか、三日後ですが。⋯⋯ 書き直すって⋯⋯ ハハ、承知しました、編集長に掛け合ってみましょう。ハハハ、新作が楽しみですなァ⋯⋯ ハッハッハハハハハハハ⋯⋯。
ハッピーエンドというと大抵の作品はそうなるな。バッドエンドで終わる作品もままあるけど。
ああ、ゲームだとハッピーエンドとバッドエンドがある作品も多いか。
昔はバッドエンドを普通に見れたしなんだったら笑えたくらいだけど年取ったらだめだね。バッドエンドどころか途中できつい展開があるだけでも見るのが辛くなった。
これは年を取っていろいろ経験したから共感性が高まったとかそういうのなのかな。感受性といったほうがいいのかな。
でも面白い作品はそういうの気にならないで読み進めるパワーがあるな。鬼滅とか終盤に味方が死にまくったけど気にならなかった。
まぁハッピーエンドであれバッドエンドであれ面白ければそれでよしってことだな。最近時間ないからこれくらいで。
はじまればおわるものだと誰がいう
おわりなき夢ぼくはさがそう
#ハッピーエンド
ワン・モア
部屋の窓辺から光が差す。
色とりどりの光。
カラフル。
窓を開ける。
人々の喧騒、そして輝く摩天楼。
瞬間。
荒波が部屋の家具を流してしまう。
私はボートに乗る。
窓から外へ出ると果てしない海原。
珊瑚の大陸。
摩天楼は巨大な珊瑚と石灰岩だった。
真っ赤な夕日が世界を染める。
西の空には私が出てきた窓。
カーテンが揺れ、お気に入りの観葉植物が見える。
その窓から見下ろす目。
私だ。
世界を覗いているのは私。
じゃあボートの上にいるのは誰だ?
水位が上昇する。
手が窓に届きそうなほど近くに。
目は私を見続けている。
そうだ、世界を砂時計みたいに逆さまにすれば。
もう一度。
【ハッピーエンド】
むかしむかしのお話。
近未来的なお話。
海辺のお話。
家出してきた人のお話。
その人を拾ってきた人のお話。
ある国の平民のお話。
「このお話は…わたしには難しいなぁ。」
ゲームの悪役のお話。
モブ役のお話。
1人の少女は1冊づつ大切に掃除をして、綺麗にして、本棚にしまいました。
「まあ、こんな感じだね!」
物語がたくさんある、広くて少し寂しい部屋に1人の少女がいました。
少女は産まれた時からこの場所にいました。
最初は、たくさんの人がいました。
けれど、この場所にはたくさんの本しかないことに嫌気がさしてしまったのか…人々は、少しづつ少しづつ部屋から出ていきました。
少女に声をかけてくれる人もいました。
けれど、もう、なんて言ってくれたのか、覚えてません。
少女も、出ていこうかなと考えたこともありました。
けれども、少女が出ていくとこの本たちはどうなるのか。いつかボロボロになってしまって、読めなくなるのではないのか。読めなくなった本は、捨てられてしまうのではないか。
そう思った少女は、出ていくことをやめました。
「……ひとりでも、寂しくないもん。」
誰もいない寂しい部屋にひとりぼっちの声。
少女は、気分転換させようと1冊の本を取り出して声を出しながら読むことにしました。
こうすれば、寂しくない。
そう思いながら。
……何冊か読み終わって、少しだけ休憩することにしました。
この部屋は、何故かお腹を空かせることも喉が渇くこともなかったので、物語に出てくる〝食べ物〟に少しだけ興味がありました。
ひとりぼっちなので、〝誰かを想うこと〟や〝誰かとケンカ〟や〝誰かに恋をする〟なんて知りませんでした。
少女は、〝カラッポ〟でした。
いつの間にか少女は寝ていたみたいで、ゆっくりと起きていつものように辺りを見回すと、1人の少年がいました。
…少年というか、なんというか、大人??
それでも、少女は嬉しかったのです。
この部屋に誰かが居るなんて何年ぶりだろう!
そう思って、少年?に声をかけました。
「ねえ!どうしてここにいるの?ここは本の部屋だよ!本好きなの?おすすめの本があるの!あっそうだ物語に出てくる人はおもてなし?をするって言ってた!何しよ」
『……うるさい。』
…少年に怒られました。少女は、少ししょんぼりしてしまいました。
それを見た少年は、ため息をついて
『…なんでここにいるんだよ。リア。』
「え…えっと、わたし名前なんてないよ。その人、だぁれ?物語に、そんな人いたっけ?」
『物語じゃなくて、お前の名前。…遅かったのか?いや、でも……』
そう言って少年は黙ってしまいました。
り、あ
どこで聞いたんだろう。聞いたことあるような?たくさん誰かが呼んでくれたような。
『とりあえず帰るぞ。ここは夢の中なんだよ。アイツが言うにはその扉から出れば、まだ間に合うから。このままだとお前、本当に、消えて……』
そう言って少年は泣いてしまいました。
わたしが消えるってなんだろう。
そういえば、元々ここにいた人達はみんな〝帰らなきゃ〟〝家族に会いたい〟〝キミもはやく帰らないと〟って言ってたのを少女は思い出しました。
「ねえ、お兄さん。わたし、ここを離れたら本たちが可哀想だよ。誰も掃除してくれない。綺麗にしてくれないの。可哀想。」
『……お前は、いつもそうだったな。人にも物にも優しくて、物を落としたら泣きそうな顔して謝っててさ。でも、もう、だめなんだよ。はやく帰らないと。リア、頼むから俺を置いて行かないでくれよ。』
お兄さんの言ってることが、何故かわかる。少女は、わたしは、思ったの。
「…本たち、わたしが掃除しなくても大丈夫なの?」
『あぁ。』
「絶対?」
『絶対に、大丈夫だ。』
わたしは、初めて会ったはずのお兄さんの言うことが信用出来た。なんでだろう。
『じゃあ…帰るぞ。』
そう言って手を出す。
わたしは……
・手を握ってお兄さんと扉の向こうへ行く
・やっぱり、ここにいる。
リア。
『リア!』
…誰かの声。
ピッ……ピッ……っていう音が聞こえる。
目を開けるのが、大変。
ゆっくりとゆっくりと目を開けると、真っ白な部屋に、涙でぐちゃぐちゃな私の兄さんの顔。
たった1人の家族の顔。
『良かった……どこか痛いところあるか?』
私の声は出なかったから、首をゆっくり振る。
どこも痛くないよって安心させるために、何度も何度もゆっくりと振る。
大きな事故が、あったみたい。
そこに私は巻き込まれて、ほかの患者さんたちは目が覚めるのに…私だけ、ずっとずっと起きなかったみたい。
大怪我をしたけど、奇跡的に、みんな無事。
そんなニュースが流れてるのを、兄さんと一緒に病院の病室で、みていた。
私が知っている
“理想的な結末"は
誰かの物語
歩きやすい道と
私が進みたい道が
異なるとしても
私は私に誇れる選択を重ねながら
新たな門をくぐって
螺旋のように続く道を
一歩、一歩、進んでいく
私が望むフィナーレを胸に抱きながら
『ハッピーエンド』
愛する者と結ばれる。
なんてハッピーエンド、ステキね。
わたしもいつか、そんな夢みたいな出来事が起きないかしら
なんて燻る紫煙の合間から覗く月明かりに溜息をこぼした。