『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『ススキ』
揺れる
揺れている
揺れていた
こんなに日が差していたんだ
こんなに夜が早まっていたんだ
冬至はまだ遠く
ススキ
ス スス スー ススーー
ス ススキデス!
お久しぶりです、弘人です。
広樹は かなり精神的に参っている。
ずっと 主人格代理をしてきたが
ここ数日 全く 起きていない。
不安定になっていたようで、歌を聴いたり
些細なことで、泣くことが増えていたらしい。
元々 マリちゃんとは 違い
感受性が強く 歌で泣いたことは
前に 何度かあったらしいが
最近は やたらと 涙が出て
自分で かなり戸惑っていたようだ。
広樹の代わりに 和樹がかなり出ている。
広樹の 素直で まっすぐな所に
マリちゃんや 俺らは
どれだけ 救われてきたことか。
広樹 どうも ありがとう。
今まで 頑張ったな。
ゆっくり休めよ。
「ススキの穂はキツネのしっぽ♪」
こぎつねたちが楽しそうに歌いながら、ススキ野原にやってきた。
「何して遊ぶ?」
「おにごっこ!」
こぎつねのソウタは誰よりも素速い。誰もソウタに追いつけない。おにごっこしてもソウタはいつまでもつかまらない。
「ススキの穂はウサギのお耳♪」
こうさぎたちも楽しそうに歌いながら、ススキ野原にやってきた。
「何して遊ぶ?」
「かくれんぼ!」
こうさぎのフワリは誰よりも隠れるのが上手。誰もフワリを探し出せない。かくれんぼしてもフワリはいつまでもみつからない。
今日もソウタはひとりで駆ける。ひとりで駆けて風になる。
その時、ソウタはみつけた。一匹のこうさぎを。
「ウサギだ!みつけたらみんなに教えるんだった。でも、みんな僕を追いかけてこないしな…そうだ。ススキの穂を耳につけよう。しっぽは出来るだけ小さくして…。僕はウサギ!」
一方、フワリはひとりで隠れる。ひとりで隠れて風になる。
その時、フワリはみつけた。一匹のこぎつねを。
「キツネだ!みつけたらみんなに教えなくてはいけない。でも、みんな私を探し出せない。そうだ、ススキの穂をお尻につけよう。耳は出来るだけ小さくして…。私はキツネ」
ソウタはフワリに声をかける。
「何しているの?」
フワリはドキドキしながら答える。
「かくれんぼ。でも、誰もみつけてくるないの」
ソウタはフワリが答えてくれたので、自分がウサギに見えるんだと自信をもった。
「あなたは何をしているの?」
フワリもソウタが話かけてくれたので、自分がキツネに見えるのだと自信をもった。
「おにごっこ。でも、誰も捕まえてくれないんだ。一緒に遊ぼうよ」
「何して遊ぶ?」
「風遊び!」
ソウタとフワリは風になる。
風になってススキの野原を駆け回る。
ふたりで遊ぶのが楽しくて、時間を忘れて駆け回る。
「ソウタ〜、どこにいるの?帰るよ〜」
こぎつね達が呼んでいる。
「フワリ〜、どこにいるの?帰るよ〜」
こうさぎ達が呼んでいる。
「じゃあ、またね」
ふたりは声をかけあって、手を振りあって別れる。
「誰と遊んでいたの?」
こぎつね達がソウタにたずねる。
「知らないキツネの子」とソウタ。
「誰と遊んでいたの?」
こうさぎ達がフワリにたずねる。
「知らないウサギの子」とフワリ。
秘密の友達。秘密の遊び。
ソウタもフワリも秘密がちょっと嬉しくて、にこにこしながら帰っていった。
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お題:ススキ
私の会社の近くの小さな丘には、ススキが群生している。
夜、残業を終え、窓の外を見ると、その丘が見えた。
月は丸く明るく、丘を照らしている。月の光に照らされて風に揺れるススキは、夜の海のさざ波のようだった。
私は何となく目が離せなくて、しばらくそれを見ていた。
疲れた心が優しく風に撫でられるような錯覚があった。
会社を出て歩きながら、月とススキって秋っぽい組み合わせだな、と考えて、今日が中秋の名月の日だと思い出した。昨夜から今朝にかけて、その話題を何度も目にしたのに、すっかり忘れていた。どうりで月が丸くて明るいわけだよ、と独り納得する。
毎日仕事に追われて、そんなニュースも頭の隅に追いやって……。余裕のない日々を送っていたことを実感した。
今日はお団子を買って帰ろう。
そう決めて、私はコンビニへ歩いた。
ススキに濁点をつけて
スズキさん。
スズキシイサク。ぼくは、すずきになりたかっし、すずきっていいな
と思った。
でも、本名がすずきだったから、それで
幸せだった。
狸小路で市電を降りて
甘い煙草をお土産に少し南へ
ススキなんてどこに生えてんだろう
キレイなお姉さんを見るのは好きだけど
お話合いそうもないし
キレイなお兄さんは架空の生き物だ。
徒歩圏内のパラダイス
すすきのに「考える葦」集まりて
パスカルさんも予想外だと思うのよ
「ススキ」
今回のテーマ、ススキかぁ。
植物とかって、車を運転していると、あんまり意識して見ないな。あちこち見回すわけにいかないもんだし。
そう思っていたら、今日の運転中、堤防沿いに差し掛かった時、そこにススキが集中して生えているのが目に入った。
しかも、通勤で使っている道じゃないの。
今まで全然気づかなかったよ。頭にテーマがあるのと無いのとじゃ、気づき方が違ってくるんだね。
この道を通ったのは、ほんとに偶然。こんなこともあるんだなぁ。
「ススキ」
ススキ、すすき、君と、ススキ、と君、
「続きは?」
すきと言ってしまえよ
No.172『ススキ』
ススキ…秋を想像するけど正直寒さは冬。
「銀色と金色の向こう」
午後四時半。
防災行政無線のチャイム。
夕陽に照らされて、銀色と銀色に輝く穂が風に揺れている。
幼い頃、それは自分の背丈よりも遥かに高いと思っていた。
向こう側の景色が見てなかったから。
だけど今は、向こうから彼女が歩いて来るのも見える。
「今帰り?」
「あぁ」
進学した高校が別々になっても、この時刻、この場所でなら彼女に会える。
それを知ってから、色々と調整して偶然を装っているのだ。
「すごい夕焼け」
そう言って彼女はスマホを取り出す。
ススキ越しの空は五分前とは別の色をしていた。
────ススキ
【ススキ】
ススキなんてなくても、
だんごなんてなくても。
あなたと見る月が、世界で一番綺麗だよ。
「月が綺麗だね」
「…死んでもいいわ」
fin.
風に身をまかせ、ゆらゆらゆれてるまるで、ながれるように
「ススキ」
ススキを手折るときは節を折れば綺麗にポッキリ折れる
節ってどこやねんと思うが、よく見てみれば案外わかるもので
この知識を得てから、ススキを手折るのがめちゃくちゃ上手くなった
花札の8月の札、ススキ。
特に「芒に月」は何とも圧倒的な存在感だ。いい。
11月のカス札。雨のやつ。
あれもいい。見てるだけで衝撃が走る。
ん…?色合いが好きなだけか?
(ススキ)
「脳裏」(一行詩)
何を食べても眉間に皺を寄せながら食べる君の姿
「ススキ」(一行詩)
朝寒の風揺れるススキの群れ
【ススキ】
土壁に覆われた私室は暗がりに包まれている。藁を適当に敷き詰めただけの簡素なベッドでは熟眠することができず、私は天井をぼうっと見つめていた。
半独房とも取れる私室は、アジト(私を捕まえた自称人狩りのキジ男はそう呼んでいる)の奥まった場所に位置している。間取りは独房そのもので、簡素な藁のベッドと便所がある程度、吊るされた裸電球はゆらゆらと所在なさげだ。
ただし、アジトの中であれば移動は自由だった。そこが半独房と私が呼ぶ由来である。捕らえたいのか、自由にさせたいのか、キジ男の魂胆は読めないが、私は眠れないとよくアジトの中を探検した。
私は暗がりの中、壁伝いに土の廊下を歩く。数部屋先に明かりが点いているのが見える。あれはキジ男の部屋だ。
部屋を覗き込むと、キジ頭に麻のシャツを着たキジ男が、テーブルに向かって何かをしていた。私は物音を立てないように細心の注意を払い、忍び足で彼の背後へ近づく。
「おじさん、なにしてるの?」
「うわっ! が、ガキかよ、驚かすな!」
「だって眠れないんだもん」
「眠れないだ? 目つむって羊でも数えとけ」
「あの部屋寒いし、ベッドはあんなだし、それに──」
「わかったわかった、囚われの身にしては文句が多いな。金が入ったら替えてやるから、今は我慢してくれ」
「それで、なにしてたの?」
私はキジ男の影に隠れた、テーブルの上のものに目を移す。
そこには数十枚のカードが規則正しく並べられていた。四枚の似たような柄のカードが計一二セット、四八枚はあるだろうか。それぞれに花らしき模様があり、サクラやモミジ、あれは……バラ、だろうか。他にも私が見たことがないものも描かれていた。
「これは花札っていうんだ。お前を拾ってきたところ──ニホンで、ニンゲンのお宅から拝借したもんだ」
「ふぅん。これはバラ?」
「惜しい。牡丹っていうんだ。綺麗だろ」
バラではなくボタンという花らしい。絵の中では周りに蝶が飛び交っており、さぞ魅惑的な香りがするのだろう。
「これはおじさん?」
私は別のカードを指しながらキジ男に問う。
「全く違う。桐に鳳凰。これは俺じゃなくて鳳凰っていう伝説の鳥だ。一緒にするとバチが当たるぞ」
キリと呼ばれた小さな花を、頭上からキジ男のような鳥が翼をはためかせて見下ろしている。彼はバチが当たると言うが、私には違いなぞわからない。彼はやけに花札というカードゲームに詳しいようだった。
花札を眺めていると、一際目立つカードがあった。赤を背景に、坊主頭の上に大きな満月が昇っている。
「おじさん、私、これが好きかも」
「いいじゃないか。これは芒に月。桐に鳳凰と一緒で光札って言うんだ。ゲームの中で重要なカードなんだぞ」
「下のはニンゲンの頭?」
「お前、物騒なこと言うなよ。これは坊主頭じゃなくて、芒っていう植物だ。いつか見せてやる」
私はススキに月と呼ばれたカードを手にとった。風に吹かれてススキが揺らめいているようだ。その絵柄を見つめながら、久しく感じることのなかった故郷への羨望と、嗅いだこともない故郷の香りを、胸の内に思うのだった。
ここに来るのも久しぶりだ、と目的の場所に着いた私は思った。
そこは私が今住んでいる場所の近くにある小高い丘の上にあった。目の前にはあの頃の中で一番思い出深いススキの群生地が変わらず存在していた。
小さな頃、この場所は私の秘密基地だった。季節によって色の変わるこの場所が、私は大好きだった。
私の住んでいる村は、明るくて元気な人が多く、私はそんな村の村長の一人娘として生まれた。周りのみんなはとても優しくて、村の誰もが差違はあれど赤みがかった髪をしているのが特徴だった。
しかし、どんなに優しい村の人でも唯一怖くなることがあった。それが、隣の村に住んでいる人達に関することだった。
隣の村に住んでいる人達に幼い私は会ったことが無かった。でも、彼等は愛想がなく、とても冷たい人達なのだと物心つく頃から教えられていた。大人は皆口を揃えて、青い髪の奴らには絶対に負けるな、と言った。
ある日、幼い私は小高い丘の秘密基地に泣きながら来ていた。村の他の子供たちに「あおいやつらはうんどうがとくいなのに、おまえはちっともうんどうができない。おまえといるとあおいやつらにばかにされるから、あっちいけ!」と言われたのだ。
だから私は、沢山のススキの中に埋もれるように座り込んで、声を殺して泣いていた。すると、ススキをかき分けて一人の少年が現れた。
少年は青みがかった髪をしていた。そして、私と同じくらい目を真っ赤にして泣き腫らしていた。
私達はお互いに見つめ合い、しばらく動けなかった。実のところ、私は初めて見る髪の色に見とれていたのだ。しかし、誰かが泣いているときにハンカチを渡すお母さんを思い出して、慌ててポケットからハンカチを出して、それから目を丸くした。
なんと、目の前の少年も同時に持っていたカバンからハンカチを取り出して渡してきたのだ。私達はお互いのハンカチをまたしばらく見つめ合い、そして同時に吹き出した。
それから、彼と私は仲良くなった。
会うのはいつもこの丘の上。ここで私達は色々な話をした。
それぞれの村のこと。好きなことや苦手なこと。二人だけの内緒の話をしたりもした。
それだけじゃない。おいかけっこやかくれんぼ、ピクニックや木のぼりなんかをして遊んだりもした。
彼とすることは、何だって楽しい。きっとあれが、私の初恋だったのだろう。
「あれ、おかーさん?」
物思いにふけっていると、目の前のススキからひょっこりと顔を出す影があった。
「あら、こんなところに隠れていたの?」
「うん!なにかおもしろいものがかくれてないかなって、さがしてたの。」
「そう、何か見つかった?」
「ううん、ススキしかなかったー。」
「それは残念ね…でも、きっとあなたもいつか、良いものが見つけられるわよ。」
「おかーさんは?なにかみつけたの?」
「ふふっ。お母さんはね、ここでお父さんを見つけたのよ。」
「えっ、ほんとに?」
「ホントよ。家に帰ったら、その時のことも話してあげるわ。」
そうして私は、息子の頭や体についたススキの穂をはらい、その手を優しく握った。
秋の少し涼しくなってきた風に息子の薄紫色の髪がサラサラと揺れるのを見て、私は幸福を感じながら二人で帰り道を歩き始めるのだった。
▶10.「ススキ」博士のルーツ
9.「脳裏」
8.「意味がないこと」✕✕✕の目的
:
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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「この土地は✕✕✕には良い所だが、ススキが無いのが残念だ」
「ススキ?煤けた木ですか?」
「お前、それ外でやるなよ」
博士が言うススキは、
野原にたくさん生える草で、
頭に金色とも銀色ともつかぬ箒がついてて、
長いから風に揺れる。
博士の故郷にしか無いらしい。
人形は目覚めたばかりで学習が追いついていないため、記憶データの再生がロックされている。
博士の話からイメージを作るしかないが、それが正しいか見てもらう手段もない。
「それは、見に行くことができるのですか?」
「遠いからなぁ」
私は無理だな、と博士は軽く笑った。
「私の生まれた国で人形づくりは盛んだった。その技術を持った私が、こんな所まで流れてきたから✕✕✕は作れたんだ」
お前の髪色はススキの穂に似せたんだ。
風になびいたら綺麗だろうってね。
そう言って博士は人形の頭を撫で、話を締めくくった。
ススキ
黄金色の穂を歩いて
あなたに会いに
行けたらいいのにな
風にそよぐ穂
どっちつかずのあなたのよう
もう諦めて
わたしに決めて
くれないかな