「銀色と金色の向こう」
午後四時半。
防災行政無線のチャイム。
夕陽に照らされて、銀色と銀色に輝く穂が風に揺れている。
幼い頃、それは自分の背丈よりも遥かに高いと思っていた。
向こう側の景色が見てなかったから。
だけど今は、向こうから彼女が歩いて来るのも見える。
「今帰り?」
「あぁ」
進学した高校が別々になっても、この時刻、この場所でなら彼女に会える。
それを知ってから、色々と調整して偶然を装っているのだ。
「すごい夕焼け」
そう言って彼女はスマホを取り出す。
ススキ越しの空は五分前とは別の色をしていた。
────ススキ
11/11/2024, 8:04:10 AM