『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ススキ 「活力」 「生命力」「精力」
あの時、ススキのように強く生きたいと
願ったのは、嘘、だったのだろうか
風が涼しくなってきた今、五感を研ぎ澄ます。
ふわふわとゆれるススキ。
ススキがなびく音。
落ち着く穂の匂い。
さらさらした触れ心地。
食べたくなるがやめておこう。
秋の訪れを感じるススキ。
「私が小人になったらススキでベッド作って」
「寝心地良さそうだね」
どうやら小人になっても私といるつもりらしい。
嬉しいやら恥ずかしいやらで適当に返事をしていた。
「あと、春は桜の花びらね。虫は嫌だからよくみてね。スイカの皮でプールも。笹の葉で船も作るから」
ついに季節を一周してしまった。まったくもって想像力豊かで羨ましい。
「近々なるご予定でも」
「ない。でも忙し過ぎて若干イライラしてる」
なるほど。
明日の帰り道に甘いものでも買って帰ろう。どうせならお団子だろうか。ススキの群生から一本拝借しようではないか。
ススキのベッドも魅力的だがお月見も中々に粋ではないか。
ススキ
«ススキ»
辺り一面に咲くススキが、
白く、美しかった。
#9
薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん)という明治時代の詩人をご存知ですか。
あまり有名ではありませんが、与謝野鉄幹や北原白秋と同時期の、浪漫主義系の人です。
近代文学史の授業で知って以来、植物のススキから真っ先に連想してしまいます。
たくさん生えてると、その分、増します。
ロマンですからね。
【ススキ】
ススキ…
見ると秋だなぁって。
なんか切ない夕暮れ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。昔から使い古された諺はけれども、逆説的に考えることも出来るのではなかろうか。枯れ尾花にこそ魂が絡まり、幽霊になるのではないかと言う私の仮説に、助手であるカガチ君が賛同をしてくれ、実験をすることとなった。
「カヤ博士、実験とは?」
「私が死んで、その魂がススキに定着するかと言う実験だよ!」
驚いた顔のカガチ君を置き去りのまま、私は実験用の劇薬を呷り地に臥した。ぬるり、自分の体から何かが這い出してきた気がした。私は気味の悪さに顔を挙げると、確かにぬるりと粘性の魂が吐き出されていた。しかし魂はススキに絡む前に固まってしまった。さて、どうしようと考えていると、カガチ君が私を腕に抱いた。
「死者を弔うのが鬼灯の仕事ですから」
枯れ尾花と鬼灯、確かに絶妙な取り合わせだ。カガチ君の腕に揺られながら、私は新たな人生を初めるのだ。
ゆらゆらとつきを見上げてひる、
ああ、この時がけふだけでなく、
けふだけで終わることなく、
続けばよいのだ
さうすれば、わたくしは
もつともつとおまえのそばにゐられる、
あすもあさつても、
月がありますよふにと
ねがふのだ、
少しぐらひはよいだろう?
わたくしとおまえの仲なのだから。
よく考えるとススキって数えられるほどしか見た事ない。
見たとしてもそんなに目を惹かれないけど自分が落ち込んだ時とかススキがたくさんあるとことか行くと癒される気がするな
缶ビールを飲んでたら、身体が熱くなった。
ふと、夜風にあたりたくなって、外へと足を向ける。
道なりにフラリと進んでいると
おぼろに浮かぶ月の下
ススキの葉が揺れている。
外に出ようと思わなきゃ、こんな出会いもないだろう。
そう思い、景色を魚にビールを口に運んだ。
緩く流れる川の縁
剥げた地面を囲む
色を無くした草の群れ
女の子の宝物があった(※)
かつて あった
そんな想像を巡らしながら
視点を薄い曇天に向ける
雲が 速く 流れている
空の
カラの
季節
風に揺れて
一斉に穂を飛ばす
手招きしているようにも見える
無色の
骸骨の 手の 群れ
茫々と
亡々と
(ススキ)
(※)岡崎京子の「リバーズ・エッジ」による。
ススキ
昼間は秋桜、夕暮れは薄…秋の好きな景色だよ、って何時か教えてくれたね…どちらも、一緒に觀に行ったけれど、実は、私も、とっても好きな風景だよ…君が、秋桜や薄の中でかくれんぼする姿が、今でも色褪せずに眼の前に浮かんでくる…秋の風に揺れる君の髪と秋桜と薄の穂…
ただのススキを取りに行かされた
最初はただただ面倒くさくて少しイライラもしながらススキのある場所へ向かっていた
その場所へ着いた途端世界が止まった気がした
ススキが揺れてる中に髪を揺らした少女がいた
自分の心もススキと共に揺れていた
これが恋というものなのか
『ススキ』
見上げれば、きらきらと輝く星々。
かぎりなく続く空に、しとやかに浮かぶ月。
太陽が眠る間、地上を静かな光で包みつづける。
その光を辿れば、冷ややかな風にそよぐススキ。
所狭しと茂るそれの中に、たおやかに佇む君。
私が眠る間、君は何を思うのだろう。
ススキの葉に切られた手を見る君。
君を受け入れられるのは自分だけだ、と月は君の腕を引き寄せる。
君の白い腕を流れる赤色は月の光に淡く照らされる。
確かに君はこの世に実在しているのだから、かの蓬莱の玉の枝などは必ずどこかに垂れているに相違ない。
君はこの世のものとは思えないほどに美しいのだ。
だから私はこの時判ったのだ。
君はこの地の者ではないことに。
君と月は切れない関係であることに。
私はこの言葉に驚くことはなかった。
「私は月に帰らなければなりません。」
11.ススキ🌾
風に吹かれて
ススキの穂が揺れる
澄み渡る青空に
白穂が映える
夕焼けに照らされる
橙に染まった
ススキの穂が広がる
遠くの山々は
夕陽に背を向け
悠然とそびえる
夜空にキラキラ光る星
まあるいお月さまは
優しい光で照らす
ススキの穂が銀色に光り
神秘的な夜を演出する
しらたま
不意に足を止める、わざとらしく「ああそういえば……。」
っと、特に意味もないようなことを口ずさみながら、方向
転換をする。
深い意味はない、それに他意はない。ただ、拭いきれない心
を染めた黒いシミと、古傷が足を奪わせる。
ここはなんの変哲もないよくある土手。すぐ近くで歓声が聞
こえる、草野球だろう。何も知らないで楽しそうに……。
小さくため息をこぼして寝っ転がる。
小さな石を3.4つほどミルフィーユのように積み重ねた墓石の
上に寝転び頭をうずめる。
しかし、痛みはない、感覚もない。まるで私がそこには実在
しないかのように、頭を貫通させる。
ゆっくり目を閉じる、忘れもしないあの日のことを思い出
す、掻っ切られた頸動脈はまだ痛む。
カキーン、遠くで甲高い音が響く、そう思った時には何かが
頭の中を通っていくような奇妙な感覚があった。
悪寒が走り、勢い良く上体を起こすと積み上げられた墓石が
壊れていた。
一人の少年がこちらへ走ってくる。
心配そうな、だるそうな顔をして草むらを掻き分け始めた、
「ねぇ、君、これ、落としたよ……。」
少年は驚いた表情をしていたがすぐ笑顔をこちらに向けて感
謝の言葉を述べた。しかしその表情がどんどん曇っていくの
がわかった。
少年は理解したようだこの5畳半の草原のルールを、私は歩
き出した。少年は私を掴もうと追いかける。
その手は空を切る、それもそのはずだ立場が変わったから。
私は歩き道へ出た、この時間帯はよくウォーキングしている
人がいる、ただこの日は誰一人としていなかった。
少し下を見る、ススキに足を取られてその場から動けなくな
ってしまった一人の少年がいた。
風に揺られ、秋を感じさせてくれる植物ススキ。
そのススキには、古くから神の依代と考えられていた。
茎の内部が空洞になっているため、神の宿り場になると信じられて来た。
また、ススキの鋭い切り口は、魔除けになると考えられた。
そのため月見のススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められている。
私は趣味として小説を書いているが、ある意味そこにススキを加えても良いかもしれんと考える。
早口言葉みたいに「ススキが好き」って繰り返した。
バカみたいだね。
あの時、ちゃんと「君が好き」って言えば良かったんだ。
夕方・朝焼けのごとき仄明るい光に照らされたススキの原に立ち尽くす私は一人きり、一人きり、一人きり⋯⋯
ここは宇宙の中に固定されたある一点です、私はその点にうまいこと嵌ってしまった、これは偶然ではなく必然、私は自ら進んでこの運命に嵌りこんだのです、この一点に永久に射止められることを望んだのです、ああ、ススキが私を撫でている、光が私を照らしている、私の感覚は冴え渡っています⋯⋯
幽霊の正体見たり枯尾花、と言ってお前は笑うが生憎ここで揺れるススキはすべてただしく幽霊である。猜疑と呪いが蔓延っていて、それでもどうにもあたたかい場所である。かつて命であったものの溜まり場なので不思議ではない。
「連れて帰るのか」と言う。俺が。枯れた声が出る。お前の前には深く深くこうべを垂れたススキがあり、轟々と揺れる風にピクリとも反応しない。「死にたてほやほやだから揺れ方ってモンが分かんねーんだな」とお前は笑う。それから「連れて帰らない」と続く。ならどうしてその鎌を持ってきた。死神が持ち歩く鎌よりよっぽど粗末ではあるが、どうして。
「俺は生きてるから」
お前は三度笑う。
「分からねーだろう、生きてるから、持ち帰らないと決めて会いに来たって鎌を持ってきちまうんだ」「お前はもう風の乗り方も覚えてしまって、そんなことをとうに忘れたんだろうな」