幽霊の正体見たり枯れ尾花。昔から使い古された諺はけれども、逆説的に考えることも出来るのではなかろうか。枯れ尾花にこそ魂が絡まり、幽霊になるのではないかと言う私の仮説に、助手であるカガチ君が賛同をしてくれ、実験をすることとなった。
「カヤ博士、実験とは?」
「私が死んで、その魂がススキに定着するかと言う実験だよ!」
驚いた顔のカガチ君を置き去りのまま、私は実験用の劇薬を呷り地に臥した。ぬるり、自分の体から何かが這い出してきた気がした。私は気味の悪さに顔を挙げると、確かにぬるりと粘性の魂が吐き出されていた。しかし魂はススキに絡む前に固まってしまった。さて、どうしようと考えていると、カガチ君が私を腕に抱いた。
「死者を弔うのが鬼灯の仕事ですから」
枯れ尾花と鬼灯、確かに絶妙な取り合わせだ。カガチ君の腕に揺られながら、私は新たな人生を初めるのだ。
11/10/2023, 3:20:46 PM