玉響

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『ススキ』
見上げれば、きらきらと輝く星々。
かぎりなく続く空に、しとやかに浮かぶ月。
太陽が眠る間、地上を静かな光で包みつづける。

その光を辿れば、冷ややかな風にそよぐススキ。
所狭しと茂るそれの中に、たおやかに佇む君。
私が眠る間、君は何を思うのだろう。

ススキの葉に切られた手を見る君。
君を受け入れられるのは自分だけだ、と月は君の腕を引き寄せる。
君の白い腕を流れる赤色は月の光に淡く照らされる。

確かに君はこの世に実在しているのだから、かの蓬莱の玉の枝などは必ずどこかに垂れているに相違ない。

君はこの世のものとは思えないほどに美しいのだ。

だから私はこの時判ったのだ。
君はこの地の者ではないことに。
君と月は切れない関係であることに。

私はこの言葉に驚くことはなかった。
「私は月に帰らなければなりません。」

11/10/2023, 2:58:05 PM