『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【 ススキ 】
幽霊の 正体見たり 枯尾花。
要するに、ビビリを指す言葉だと、俺は本気で思ってた。
あの日、彼に会うまでは。
近所に背の高いススキの群生があって、
昼間は子どもたちがよくかくれんぼして遊んでる。
だが夜になると、背の高さが禍して不気味な気配を醸す。
だから夜に通りたくはないんだが、
先輩との飲み会の帰りはやむを得なかった。
ススキの群生前を足早に過ぎようとすると、突然白いものが視界に入り、あ、と思う間もなくぶつかった。
と、思ったが、想定した衝撃は訪れなかった。
代わりに、脳内で誰かの人生が高速で再生されていく。
決して結ばれてはいけない相手との、苦しい恋。
思いが昇華されぬ内に病に蝕まれ、相手にも見放され。
失意の淵に立ち、飛び降りた。
これはきっと、白いもの…幽霊の記憶だ。
我に返った時には、止めどなく涙が溢れていた。
もう俺の中に、彼はいなかった。
きっと、ここのススキの正体は本当に幽霊なんだと、
俺だけが知る枯尾花だ。
静かな夕方。愛犬の散歩をしていると、川の側でススキが日光浴をしている事がある。
オレンジ色の光をあのふわふわいっぱいに吸い込んで、ほんの少し冷たさを含んだ穏やかな風に揺られている。
お月見のときは、月光を溜めてきらきら光るのだろうか。
いつか見てみたい。
ススキ焼き 煤で漉き 好きを生み 海を踏み 文を積み 罪へ向き 無機を憂い 愛いススキ また巡る
【ススキにちなみi,u音の単語でそれっぽい文を作りたかった。結果は怪文書である。
"ススキ"が3文字なのに、文中に登場させる語句で3文字(以上)のものを出すという発想が無かった。我ながら硬い頭、無駄に勝手な制約を付けてしまった事を猛省。もうせえへんを宣誓。これは次に活かしたい教訓也。─"もっと自由な発想を"─】
※無粋ながらメモ代わりにスーパー自己解釈ver.も添えておきます※
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「ススキを焼いたススを使って、私だけの世界を生み出す」
「やがてその"世界"は海を超え、波及し次々と言葉を生み出す」
「私は私の生み出した─最早"罪"と呼ぶべき─世界へ向き直り」
「冷たく無慈悲で無機物の様になった世界を憂いて、愛するススキを手に取る」
「創ろう。もう一度。」と。
ススキは、古くから神様の依代として考えられているとそういう事にやたら詳しい教師が言っていた。
何故、そういう知識をパッと頭から引きずり出せるのかと聞くと、周りから頭良い奴に見えるだろうと如何にも中学生の様な回答が返ってきた。実際は、30代の教師だが心はどうやら中学時代を徘徊しているようだ。
そんなところで、1つ疑問に思った事を聞いてみた。神を信じているのかと、ところが返ってきた回答は見えないものは信じないタチだとドヤ顔で宣言された。あの時の、私の顔はおそらく酷く呆れた顔をしていたのだと思う。
でも、私も同感だ。見えないものに縋り付く人々の心境を理解しようと思った事はない。だって、もし神とやらが存在しているのなら人が殺しにかかろうとするからだ。人は理解のできないものを煙たがり、そして存在を撲滅しようとするのだ。
神を刈り取る。
お終い
追記
ススキ=神
良い風景を見ると鼻がムズムズする。
なんだか落ち着かなくなって、鼻が無性にムズムズする。
古臭い匂いを嗅ぐと、目がしょぼしょぼする。
その場から脱したくなって、目を開けているのが辛くなる。
美味しいものを食べると、眉間にシワがよる。
「なんだコレ、うまっ!」って頭の中で驚嘆して、眉間にシワをよせる。
嫌な気分になると、笑顔になる。
心臓がキュウと締め付けられて、笑顔を繕う。
楽しい時は笑顔になる。
言うまでもなく、笑顔になる。
月の下にいる着物の私は、団子を片手に笑顔。
この笑顔は間違いなく、あっちの笑顔だ。
【105,お題:ススキ】
コトリ、背中越しに聞こえる硬い花瓶を置く音
...ああ、また来やがった
チッと心の中で舌打ちをして悪態をつく
白いシーツにくるまって狸寝入りをしていると、当たり前のようにアイツが話しかけてきた
「ねえ、起きてるんでしょ」
「...」
「今日ね、みんなでサッカーの試合を観に行ったんだよ」
「...」
「応援頑張ったんだけどもう少しってとこで、なんと猫ちゃんが乱入してきてね!...そのまま負けちゃった
運も実力のうちってこの事だよね~次こそはーってみんなで運気を上げるおまじないを試してるんだ~」
うるさい、早く帰れよ
そんな言葉を発する気力もなく、ケホッと小さく咳き込んでぼんやり壁のシミを眺めた
そんな楽しい話は別の誰かに聞かせてやれ、俺はもう...何にも期待したくない
「蓮くん、ススキの花言葉って知ってる?」
「...?」
ごう、と強い風
外から吹き込んだ空気の渦が、病室を滅茶苦茶に荒らしていく
埃が舞ったのか、喉がへばりつくように締まった
「ゲホッ、っおい!げほっけほっ窓、閉めろ...ゼェッ」
気道が狭まる感覚に喉を押さえて起き上がる
「は...?おいッげほ、お前...ッ!」
「ススキの花言葉はたくさんあってね、《活力》《生命力》《なびく心》《憂い》
...このほかにもいくつかあるんだよ、それでね」
風に靡くカーテンを背に、窓に腰を掛けたアイツの姿
ここの病室は5階柵やベランダは付いていない、落ちたら怪我どころじゃすまない
「その中一つがね、《悔いのない青春》」
「なん、なんだよ、戻れ!危ねえだろ!」
ベットから降りようにも点滴が邪魔だ、それにずっと寝たきりだった身体は、思うように言うことを聞いてくれない
「病室で寝たきり、なんてあんまりだよねぇ?せっかく一度の人生なのに」
ずるり、身体が前にずれる、重心が傾く
「私の送るはずだった人生、運命を全部君にあげるだから、悔いのないよう生きて」
ずっ
アイツが消える、その数秒後重い何かが落ちたような音が下から聞こえた
その後には、アイツが持ってきたんであろうススキの穂が風に揺れていた
『ススキ』
涼し気な風が吹く
今日も変わらず立ち続ける
周りと同じように風になびかれ
周りと同じように静かな音をたてる
なんの変哲もなく
なんの違いもないのに
君は僕を選んで
小さく笑ってみせた
当たりが強くて…
海面へグイグイ引き込まれてく…
シーバス…
スズキ…?
エスクード?ワゴンR?
SUZUKI?
札幌の繁華街?
すすきの?
アリスの妹?
すず?
そろそろ始まる?東大寺の大掃除?
すす払い?
すすきが広がる仙石原…
夜風の月夜を君と…
いつか、ふたりで…
ススキ
ふわふわした穂先が揺れると、
なんだか穏やかな気持ちがうつる気がするね。
お久しぶりです
お元気ですか
長らく投稿していませんでしたすみません
私は全然元気です
言い分としては
進路が忙しかった
その一言に尽きます
その進路についてですが
無事に 親、学校、先生 を押し切り
就職の内定を頂きました
いくつも衝突し 自分自身でも訳が分からなくなり
爆発したこともありました
先の見えない月を抜け出し
今は余白のある日を過ごしています
4月からは社会人として
ひとりの人間として成長しつつ
私のやりたいこと、やれなかったことを
思う存分やり切ります
と同時に
色々な場で言葉で描きたいとも思っています
とはいえ きっとここに留まってばかりになると思います
どうぞ、これからもよろしくお願いします
追記: ♡2004になりました皆いつもありがとう
_ ₁₃₃
ススキ
昔、理科のテストで
「春の植物を四つ答えなさい」
と言う問題が出たことがある。
3つは思い浮かんだのだが、
あと1つが出てこない。
色々な場所を思い出して、
あと1個必死に考えた。
その時、家の近所の川と土手が頭に浮かんだ。
「あっ、ススキ生えてた!」
やったとばかりに書き込んだ。
…そうです。ススキは秋です。
そうなんです。
テストは案の定バツだった。
私が見たのは、
ススキによく似た「チガヤ」という
植物らしい。
でも、私の中では、今もススキなのだ。
paki
ススキ
ススキってあのススキ?
十五夜のススキだよね。
急にススキって‥‥
身近に生えすぎてて
珍しさも、情緒も風情も何も感じない
でも、住んでる場所が違えば
きっと、見方や感じ方も違うんだろうな
ただ、ちゃんと季節は感じてます。
ススキに想いを託して、
今年の秋は死に季節は繰り返されていく。
季節が繰り返されていくのは当たり前なんかじゃないんだと
もっと早く知りたかったと
僕は思えるようになりたい。
"ススキ"
スーパーからの帰り道、途中の野原に生えているススキが視界に入ってきて、目を向ける。綺麗な夕焼けに照らされ揺らめくススキが優雅で美しい。が、ふと思い出す。
「確かそろそろだな…」
悲しげな声色で思った事を口に出す。
以前、気になってススキについて調べた事がある。ススキの見た目は草に見えて、それまで花という認識が無かったので驚いたが、ススキの先についている《穂》という部分は、花が集まったものらしい。見頃は確か、十月から十一月半ば。もうそろそろ、枯れる時期だ。
心做しか、揺らめく様が儚げにも見えてきた。
「……」
ありがとう。また来年。
ススキに向かって、心の中で呟く。足を前へ一歩、また一歩と動かし、帰路に着いた。
【ススキ】
風が吹く秋の夕方。
私はいつものススキの野原へ行く。
手にはスケッチブックと色鉛筆。
いつもの場所に行くと、野原に寝転がる彼。
寝転がっているからか、遠くから見ているからか、彼の姿は幾分か小さく見える。
でも彼は私よりとても大きな体躯をしている。
若いからか筋肉質な体と逞しい腕。
寝転がる彼と、夕方特有の青と紫に染まった色がとても綺麗で、思わず息を呑む。
『お!百合香〜!』
私に気づいたのか、遠くから大声で私を呼ぶ。
私は嬉しくなり、そこにかけて行く。
『優希さん!』
途中でローファーが突っかかって転びそうになるが、慌てて体制を立て直して優希さんの元へ行く。
『大丈夫か?!』
心配してくれる優希さんに頬が緩む。
『今日もスケッチ、よろしくお願いします!』
『おう!』
夕日の中、佇む彼をスケッチするのが私の放課後の楽しみだ。
毎日違う彼を見ることもできるけど、何より魅力的な彼をスケッチブックに納めるのが好きだ。
今日は彼を斜めアングルから見た姿。
まずはアタリから。
鉛筆で大体の情景を描き、そこから鉛筆線を薄く練り消しで消して本描きをする。
『なあなあ、、俺なんか描いて楽し?』
『ん〜?楽しいですよ?ほら動いちゃダメですよ。』
私が注意すると慌てて横を向く彼。
『できました!』
『おー!やっぱりいつ見ても上手いなぁ。』
私と彼が出会ったのは、放課後の教室だった。
いつも片隅で絵を描いている目立たないタイプの私と、忘れ物をしたと教室に戻った彼。
私達はそこで出会い、スケッチを頼んだのだ。
彼の体がとても魅力的だったから。
『よし、これで完成です!』
最後に色鉛筆で色をつけてから絵を渡す。
『どうぞ。』
『おう!ありがとな!』
笑顔でお礼を言う彼にまた胸が締めつけられる。
『じゃあ、私はこれで、、、』
これ以上彼の姿を見てドキドキしていたら心臓が持たないので帰ることにする。
『待って!』
パシリと手を掴まれ、後ろに倒れそうになる。
『え、な、何ですか?!』
『あっ、、ごめん、、』
いつになく顔も赤く、とてもモジモジとしている様子の彼。
『?』
不思議そうに首を傾げると、彼はキリッとした顔になり、私にまっすぐ向き合った。
『あの、、す、好きだ!!百合香のことが!』
『はぇっ?!』
突然の告白。
『返事、聴かせてくれないか?』
シュン、、とした子犬のよう。
『、、私も、、好きです。』
パァッと途端に明るくなった彼の顔。
私達は茜色の空の中、笑い合い、抱きしめ合った。
ススキをすぅっと通り抜け消えるようにして 居なくなったあなた
かつての当たり前の日常の懐かしさ
秋の木の葉を風にまとわせ
冬のかおりを漂わせる
しんと静まり返った空はうすく張り詰めた氷のように危うい均衡を保っている
肌寒く人肌こいしくなるあなたからのお便りは
ひとときの未読のままに
ぎこちなく動く体をもどかしく感じても尚
乾燥した細い指先が絡む音を幸福と呼ぼう
(ススキ)
3,ススキ
ススキって前はよく目にしたんだけど。
最近はあんまり見れないなって思ってたんだけど、でも。
本当はそこにあったけど、見ようとしなかっただけってことに最近気づく。
大人になるにつれて、みれる幅がもしかしたら、子供の時よりずっと狭くなっていくのかもしれないと思った、今日この頃。
大切なことは見落とさないようにしたいな。
ちなみにススキの花言葉は、「活力」、「生命力」、「精力」、「なびく心」、「憂い」、「心が通じる」、「悔いのない青春」とかたくさんあるらしい。
ススキの花、今まで見たことなかったかも。
見てみたいな。
2023.11.10
気づけばもう秋の空
実りの季節である秋だけれど
すすきを見ると
なんだか少しだけ切なくなる
秋は色鮮やかな紅葉の季節でもあり
枯れた落ち葉が虚しさを感じさせる季節でもある
もう秋なんだなと
私の時間はずっとあの日から止まったまま
置いてけぼりで
でも季節はまた次の季節に移り変わる準備を始めていく
時間は待ってくれない
さよならの準備はできた?
#ススキ
草花は揺れることなくまっすぐ立つ
私たちはいつも揺れてばかり
スズの音が吹いて
やっと少し動き始めた
あぁ、私は生きている!
貴方は私を解ってくれたのです