『キャンドル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
風呂にアロマキャンドルを持ち込むのが日課だ。お気に入りの香りを風呂場に満たし、湯船に花弁を散らして、チャンネル登録してある配信者の動画を見ながら半身浴するのが、仕事終わりの癒しの時間だった。
と言うと意識高めに聞こえるが、そうでもない。これは元恋人の趣味なのだから。ほかにも、彼女の好きな作家の本を買ってみたり、彼女の好きだったカフェに入って彼女が注文していたコーヒーを頼んでみたり、写真を撮るのがうまい彼女にならってアングルに拘ってみたり。
こうやって彼女の跡を、足跡を合わせるように辿るのが癖になっている。
このキャンドルも、彼女からもらったアロマキャンドルセットの最後の一個だった。あなたにはこの香りが似合う、と言ってくれた彼女の笑顔は、今でも脳裏に焼き付いている。正直、あまり好みの香りではなかったが、彼女が私に似合うと言ったのだから、私は好きになるべきなのだ。これがなくなったら、新しいものを買う予定だ。
もういない彼女の存在を、少しでも感じていたい。二人で住んでいた部屋と同じ配置で家具を設置して、二人で大笑いしたテレビ番組を見て、彼女の好物だった料理を作って、二人で寝ていたのと同じベッドで眠る。
アロマキャンドルの香りに満たされた風呂場には、彼女の姿はない。私の腕の中に彼女はいない。頬を包んでくれる温かい手はない。
それでも──信じていたい。彼女は、私のところに帰ってくると。
黙って部屋を出た彼女の背中を、まだ覚えている。呆然とする私を一人置いて、振り向かずに扉を閉めた背中を。
ねえ、あなたはどこにいるの? なぜ出ていったの? 私を置いて。
動画が終わった。キャンドルを吹き消す。体を拭いて部屋に戻っても、スマホは沈黙したままだ。
今日もまた、冷たいベッドに横たわる。私は虚空を見つめ、そこに彼女の面影を探していた。
#キャンドル -62-
#キャンドル
昔々
振られたとき
キャンドルだけは
暖かかったなぁ
昔話でスミマセン
大切な誰かを祝う時
静かに幸せを祈る時
温もりの中で落ち着ける時
凍えそうな暗闇の中を照らす時
小さく揺れながら立つ灯火に
いつか自分を重ねられるように
強くなくても
大きくなくても
火傷するほどの熱い想いを
わずかな風にでさえ揺らいでしまいそうでも
体すべてで包み守り抜いていく
大好きなあなたへ届ける時のため
#キャンドル
キャンドルって、蝋燭のことだよね?
ゆらゆらと揺れる火を、ボーッと眺めながら、ふと思った。
買い物に行って、軽率にオシャレさに惹かれて買ったアロマキャンドル。
お盆になると、田舎の祖父母の家の仏壇に置かれるソレとは、似ても似つかない。
「アロマ蝋燭」じゃ雰囲気でないしねぇ...「香り蝋燭」とかなら合いそう。
こんなことをグルグル考えてしまうわたしはきっと、オシャレな生活に向いてないのだろう。
アロマキャンドルを焚いてとか
火を使うのなんて
料理をする時か、煙草ぐらいの
自分には、ご縁のない代物だが…
焚火なんかを、ボーッと眺める
時間は好きなのだ。
ただ、そこで燃えてるモノ
揺らめく炎。
それだけのモノだからこそ
何か、受け取る必要性もなく。
疲れない。
メッセージ性のある
生活に潜む、細々とした情報は
何気なく聞き流した所で
いつの間にか、疲れてしまう。
人の心や思考は複雑だからこそ
常に、無機質な癒しを求めている
のかもしれないなぁ。
【お題:キャンドル】
教会に並べられたキャンドルをただ静かに見る。
今年もクリスマスが来る。あと私の誕生日。
誰かに誕生日を祝って欲しくて、
でも家族じゃなんだか物足りなくて、
自分を特別に思ってくれる人からの
「おめでとう」って言葉が欲しいだけなのかもしれないし。
私ってつくづく欲張りでめんどくさい、
クソみたいな人間だなって思い知らされる。
別に誰からもそんなこと言われてないし、
こんなこと考えてる自分もあほらしい。
あーもうめんどくさい。やーめた!
お題〈キャンドル〉
キャンドルの先に火が灯った。
灯りの方に目をやるとベッドに腰掛けている男の背中が見える。
男は台の上のキャンドルを静かに見つめ、ゆっくりと私の方へ振り返る。
火元が男の背にあるからか、男の顔をはっきりと見ることが出来ない。
男がベッドの上を這い、私の顔を覗き込んだ。
近づくにつれ男の顔がはっきりと見える。男は優しい笑みを浮かべている。
私はゆっくりと瞼を閉じ、ゆらゆらと揺らめくキャンドルの火のように身を任せた。
男が私を覆う少し暑みのある布に手を掛けた。
男の腕が身の幅程まで布を持ち上げると、少し冷たい空気が肌に当たる。
舞い上がった布は優しく二人を覆い包み、点いたばかりのキャンドルの火をそっと押し消した。
キャンドル
ゆらゆら揺れるキャンドルの炎を見つめて、彼女がふっとつぶやいた。
「命ってこの炎みたいよね。熱くって、キラキラして、
すぐに吹き消されそうなのに、しぶとくて。結局キャンドルが溶けきってしまったときに消えるんだわ」
目の前のキャンドルを吹き消して、まるで暗い話などしていなかったかのように
「もう寝ましょう」
と言って、彼女はベッドに横になってしまう。
僕は少しためらいながらも、彼女にならって横になる。
ときどき彼女がふいに暗いような話をするのには慣れている。それに意味がないって事も知っている。
ーそれでも、今回の話はなぜか僕の心に焼き付いて、
なかなか離れなかった。
とある夜の男女とキャンドルの話。
マッチひと擦り くゆらせる白煙 共に匂う
ろうそくとルームフレグランスの代わりに
"キャンドル"
正直使ったことない。
キャンドルって、あんまり興味を持ったことがないな
部屋を暗くして、キャンドルの灯りだけで過ごしたりするの?
僕は薄暗いのが苦手でさ
あと、キャンドルを燃やすと、部屋の酸素が薄くなりそう、なんて
ごめん
僕ってロマンチックのかけらもないよね
『蝋燭の下で』
揺らめきの下で考える 私の小さな罪が何処へ行くのか 懺悔するたび 世界のどこかで記念日がひとつ消える気がした 静かな夜ほど犬は吠える ただただみんな 寂しいだけだ せめて蝋燭の揺らめきよ 朝が来るまで消えないで
なんとなく君っぽくて
なんとなく君らしくて
なんとなく君が好きそうで
なんとなく君に似合いそうだから
気付けば手に取っていたキャンドルは
雪降る今夜には明るすぎるだろう
2人用のソファに腰を掛け
無邪気な笑顔を思い出す
煙の道を辿って会いに行こう
君に叱られるだろうか
私はまだ
君以上を見つけられない
君のいないこの部屋で
今日もまた涙を流す
『キャンドル』
突然真っ暗になる
「え?何?」
年齢と同じ数の火
HappybirthdaytoYouと家族の優しい歌声
目の前には美味しそうなホールケーキ
歌が終わりふー と火を消し
パッと光がつき
家族が拍手をしながら「おめでとう!」
「ありがとう」と言うと、一滴の雫がぽたり
「泣いてる〜」と笑われた
1つ1つに感謝しながら、いただくケーキ
美味しくて、優しくて、嬉しいくて、楽しい、
1番大好きな時間
揺らめく
炎が静かに揺らめく
まるでそれは命のように輝いていた
息を吹きかければすぐ消えてしまいそうな
弱々しいそんな炎
だけどそれが美しい
蝋が無くなるまでどのように揺らめくのか
それを楽しむのが人生なのだろう
お題『キャンドル』
お風呂上がり
お部屋にアロマキャンドル‥
日々の疲れを癒してくれる
ほんのり甘い香りが眠気を誘う
今日も1日お疲れ様です
さて‥眠りにつく前に
あの人へ「おやすみ」のメッセージ‥
『お休みなさい』
菜の花
『キャンドル』2023.11.19
ロウソク。オシャレな言い方をするとキャンドル。
若い子にはロウソクよりキャンドルのほうが、耳馴染がいいかもしれない。
しかし、そこを変えてしまうと、噺の良さが消えてしまう。新作ならもしかしたらうまいこと工夫をすればウケるかもしれないが、名跡を背負っているてまえ、そういうわけにもいかない。
なかなかどうして、この名前を背負うというのは窮屈なものである。
「このキャンドルの火が消ぇると、お前は死ぬよ」
試しに言い換えてみるが、違和感しかない。何度も唇に載せているから、たった一つの言葉を言い換えるだけでこうも違うのか。
チャラ男だパリピだと言われている自分であるが、古典を重要視している。時間によって、場面を端折ったりすることはあるが、基本的には先代や他の師匠方から教わったままをかけている。
そもそもなぜ、ここまでロウソクとキャンドルで思い悩まないといけないのかというと
『言葉が難しくてわからない。もっとわかりやすい言葉を使ってほしかった』
というような内容の、メッセージをもらったからだ。送り主は今日、自分の高座を聞いてくれた学生さん。学校の授業の一環としてでの落語会だったので、そういう声もあるだろうとは理解していた。
しかし、難しい言葉や耳馴染のない言葉だからこそ、落語というのは光るのである。
なので、ロウソクをキャンドルに変えてほしいと言われても、どうすることもできないのである。
「アジャラカモクレンモモネギマテゲレッツノパ」
パンパン、と柏手を打つ。
まとわりついてくる嫌な気持ちを、そんな呪文で振り払った。
目の前では『キャンドル』の火が今にも消えそうになっている。
3.キャンドル
キャンドルが置いてある僕の部屋。その部屋こそ、
1番落ち着く場所で居心地がいい。
僕はいつも嫌なことがあったりすると部屋を暗くしてキャンドルに火を灯す。
そして音楽を聴いたり、本を読んだりする。
それがいつもの楽しみ。
ある日、とても仲の良かった幼なじみと大きな喧嘩をした。一生仲直りのできない喧嘩だった。
僕の心は酷く、傷つかれていた。
辛かった。だから全部忘れようと部屋のキャンドルをつけて、幼なじみと撮った思い出の写真を燃やした。
この傷ついた思い。楽しかった思い出。
全て全部燃えた。
「さようなら、僕の思い出。」
クリスマスシーズンの街は
まるで宝石箱
キャンドルの灯りのもと
作り笑顔を纏って
安っぽい愛を囁くのは
12月限定の恋人たち
こいびとよ
あなたはいま
どこで
なにをしているのでしょうか
クリスマスの夜だけは
たとえ
一日限定でも
あなたの微笑みを
もういちど
冷たく凍える
わたしの手に
届けて欲しい…
# キャンドル (325)
【キャンドル】
側から見たら、ケンカップル。
事情を知っている人から見たら、バカップル。
いつも喧嘩ばっかりの日々だけど、ちゃんと謝罪だって出来るしお礼だって言える。
でも、なぜか君との距離を感じてしまう。
近いのに遠のいてる感じ。君は何も気にしていないかもだけど、自分はずっと気にしている。
2人を灯すキャンドルが溶けてなくなる前に
この関係を終わらせてしまったらどれだけ楽だろうか。