キャンドルの先に火が灯った。
灯りの方に目をやるとベッドに腰掛けている男の背中が見える。
男は台の上のキャンドルを静かに見つめ、ゆっくりと私の方へ振り返る。
火元が男の背にあるからか、男の顔をはっきりと見ることが出来ない。
男がベッドの上を這い、私の顔を覗き込んだ。
近づくにつれ男の顔がはっきりと見える。男は優しい笑みを浮かべている。
私はゆっくりと瞼を閉じ、ゆらゆらと揺らめくキャンドルの火のように身を任せた。
男が私を覆う少し暑みのある布に手を掛けた。
男の腕が身の幅程まで布を持ち上げると、少し冷たい空気が肌に当たる。
舞い上がった布は優しく二人を覆い包み、点いたばかりのキャンドルの火をそっと押し消した。
11/19/2023, 1:22:10 PM