『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテンが翻り、春風が桜の花びらを運んできた。
最後に私は長年過ごした室内を見渡した。
色々な思い出が蘇る。
初めての一人部屋にはしゃいだ事。親友達と笑い合ったり、喧嘩したり、恋人と過ごしたりした。
カーテンが翻る度、楽しかった事、悲しかった事が脳裏に過る。
階下から姉の声で我に返る。私は目尻に溜まった涙を拭い、部屋の扉のノブをつかむ。
「じゃあ行ってきます、また帰ってくるよ」
思い出が詰まった部屋に別れを告げ、夢への旅へ出発した。
庭に面した一枚硝子の窓辺。
白く軽やかなカーテンと窓との狭間が、幼い頃の私にとって、密やかな特等席だった。
陽射しが微睡みを誘う午後のひなたぼっこ。
その緩慢な時間の流れを、私は妙に気に入っていて、
幼いなりに「こんな時間が好きだなんて、わたしってちょっと洒落てる」なんて思っていたものだ。
けれど今では、日焼けだの肌荒れだのと、面倒な理屈が先に立つ。ひなたぼっこなど、すっかり遠ざかってしまった。
そんな折、我が家に新たな家族がやってきた。
彼女は、あの頃の私とそっくりに、カーテンの内側へそっと潜り込み、ひとり丸まって陽を浴びている。
鼻の良い彼女はお日さまの匂いを感じるのだろうか。
まるで昔日のわたしを、そこに置いてきたようだった。
またたまには、カーテンの裏で、あのぬるやかな陽に身を委ねてもいいかもしれない。
【カーテン】
それは柔らかい境界線
外から降る光を透過して
チラチラとこちらを誘ってくるような
世界の入り口を担うもの
#2
ウォード様とは、あれから一月に一度は会うようになった。とはいっても、多少茶会をするだけで、大した話はしないのだけれど。
それでも、私はウォード様との時間を好ましく思っていた。
他愛ない会話をして、時折沈黙が続いて。そんな一時に心が安らいだのは初めてのことだった。
カーテンを開いた。
丁度ウォード様が馬車に乗り込む。こちらを向いたので、そっと手を振ってみる。
けれど、ウォード様は手を振り替えしてくれない。
(はしたなかったからしら?)
途端に顔が真っ赤に染まってしまう。あまりの恥ずかしさに窓から身を引こうとしたら、ウォード様はクスリと笑って手を振りかえしてくれた。
そう。笑って。
ウォード様があんなふうに笑うだなんて知らなかった。
婚約者なのに。
私はウォード様の笑顔すら知らなかったのだ。
瞼に浮かび上がるウォード様の笑顔は、とんでもなく優しくて。
顔を押さえてへなへなと座り込んでしまった。
「シェリル嬢。」
耳元でウォード様の名前を呼んでくれる声が聞こえる気がする。幻聴に違いないのに。
あぁ。私、ウォード様のことが好きなのかもしれない。
だってそうでなければ、私、はしたない女性になってしまう。
「お嬢様?入りますよ。」
メイドが声をかけてきたので、慌てて平静を取り繕う。
「…えぇ。入っていいわよ。」
返事をした瞬間、メイドが部屋に入ってくる。けれど、一瞬硬直するものだから私に何かおかしいところがあるんじゃないかと気になってソワソワしてしまう。
「私がどうかしたのかしら?」
耐えきれずに口にすると、メイドは慌てて頭を下げた。
「いいえ。ただ、お嬢様が何時もよりもお綺麗でしたので。」
そうも直球に言われては、不覚にも口元が綻んでしまう。
「…そっそう言えば何の用でここまできたのかしら?」
恥ずかしくなり話題を転換させると、メイドはハっとしたようだった。
「そうでした。お嬢様、今度夜会があるのはお覚えですか?」
「えーと、確か、皇太子様の誕生日パーティーでしたっけ?」
「はい。お嬢様のデビュタント以来初の夜会でもありますね。そこで」
メイドはそこで一度言葉を区切った。
「ウォード様にエスコートされる予定なのですが、お聞きされましたか?」
思考が停止する。ウォード様に?エスコート?好きだと思い始めたばかりなのに?変なことをしてしまう予感しかない。何より、そんなことしてウォード様に嫌われたくない。
それに…そもそも、ウォード様からエスコートの話なんて聞いていない。
「…っいいえ。未だ何も。」
震える口で紡ぐと、メイドは一瞬哀れるような瞳を向け、すぐに素の表情に戻った。
「分かりました。夜会までは未だお時間がございますから、未だ言っていないだけかもしれませんね。話は以上ですので失礼させていただきます。」
謎の空気を読んでメイドは退出していった。こんなときは、でていかずに側にいてほしかったという気持と、出ていってくれてよかったという気持がせめぐ。
ウォード様。次に会うのは夜会の1週間前。話してくださるといいのだけれど。
カーテンの向こう側。
これまでもそこにあったのに、見えてなかった世界。
そこには、光輝くいろんなカタチの可能性があった。
わたしは、カーテンを開けるのが怖かったし、今でもその可能性にふれることが怖い。
けれど、自分でカーテンを開けたこと自体を、誇りに思っている。
自分を信じるって難しい。
だけど、自分には少しばかりの可能性があることを信じてみようと、ちょっとだけ思えた。
____________________________________カーテン_________。
休日の午後、リビングで寝転がっていたら、カーテンが風でハタハタと揺れているのを見た。そして、風が私の腹の上に涼しく軽い足跡を残しながら駆ける。
それだけで十分だ。なんだかいい風景が見れた気がして、そのまま穏やかな気分で午睡に入る。なにも、思い悩むこともなくただ無心に、睡眠の世界へと自由落下していく。
ああ、幸せだ。
……と、平日の仕事中にオフィスの窓にかかる、いやに清潔なカーテンを眺めて休日の香りを思い出すことがある。
本当に嫌になっちゃう。
でも、その時なぜか遠い記憶を眺めるような懐かしい気がするものだ。
【カーテン】
隠れてるよ
早く見つけて♪
スマホ壊れて修理中…投稿ちゃんとできたかなぁ
『カーテン』
白いカーテンが風に揺れると、きみを思い出す。
その隙間から覗く髪が日の光に照らされて、
青く澄んだ目が遠くを見ていて、
ああ、なんて、
―――どうした?
「…なんでもないよ。」
カーテン
私の部屋のカーテンは茶色のチェック。
何でこの柄にしたかというと、
1番安かったから。
『カーテン』
部屋の彩り、気分転換、
視線を避ける、光を遮る、
音を遮る、風を通す、
その役割は結構あって
私の生活をそっと
支えてくれてるような存在
私はそのどれもがお世話になってる
こういうのも、影の立役者って
言っていいのかもしれない
……ぁ、
たまには洗濯してあげなきゃ
〜シロツメ ナナシ〜
「カーテン」
満員電車に揺られながら
今日も1日なんのために働く
頭の中に広げるカタログ
1ページ目には 君の姿
カーテン/悠馬
カーテンが風に吹かれて、あの人をさらってしまうような気がしたんだ。
開けなければ、まだ朝じゃないと言い聞かせて。
【カーテン】
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします
書く気力が減ってる気がする
窓から差し込む光が眩しい。夏は特にそう思う。遮光カーテンを買うべきか、脳内で検討を繰り返す。しかし、買わないまま半年が過ぎた。
「おはよう、陽向」
俺の挨拶に返事はない。それもそのはず。この部屋に陽向はいないから。
陽の光のように明るくて、一緒にいると心がぽかぽかと温まる存在。陽向の眩しい笑顔なら、脳裏に焼き付いている。
朝の光を甘んじて受け入れているのは、陽向を想うから。
今日は昼までバイトして、それから図書館で勉強する。なんてことのない、学生の休日だ。
陽向が一緒だったら、うるさくて勉強にならない。それどころか、図書館を追い出されそうだ。
隣にいない友達を思って、クスっと笑った。
「いってきます」
癖のような挨拶をして、家を後にした。
「ねぇねぇ青司くん。今日空いてる?」
「すみません。これからバイトです」
隣の部屋に住むお姉さんに声をかけられて、誘いを断る。これも、今では生活のルーティンだ。何度断ってもめげない姿勢は尊敬するが、こちらの迷惑も少しは考えてほしい。
「えー、残念。青司くんと予定合わなくて寂しいなぁ。次の休みがいつか、そろそろ教えてよぉ」
「急ぐんで、もう行きますね」
綺麗なお姉さんからのアプローチは、健全な男子なら嬉しいのだろう。フィクションにもよくあるシチュエーションだ。そのまま良い関係になって、絆が深まっていく。そういうことに興味がない訳じゃない。ただ、俺が選ぶ相手が決まっているだけの話。
陽向との将来のために、安定した職に就きたい。その一心で進学を決めた。だけど俺たちは、いまだに友達のままだ。それどころか、都会に出てきて以降は連絡もしてない。
なんとなく、陽向のほうから連絡を寄越すと思っていた。
――そろそろ、遮光カーテンを買うか。
ふと、そんな考えが過る。
朝の光に飛び込めば、いつだって会える気がしていた。眩しくて暖かい光の、その黄色の中で陽向を思い出していたのだ。
告白はおろか、連絡する勇気もないなら、明日からは朝の光を遮断した方がいいのかもしれない。
カーテンのように透き通ってふわふわと軽い心で
ありたかった
『 人を照らす人』と「照らされる人」の
仲介役でありたかった
現実は甘くなくて照らされる側だけどいつか成長して、
双方の心を理解できたらいいな
カーテンさん、今日は何色のドレスにするの?
もうすぐ夕暮れだから、オレンジ色かなぁ。
ひらり、ふわり、風に揺れながら。
やわらかな生地は、それでもしっかりと外界と私を隔てる。
ここにあるのは私だけの花園。
逃げ込んで作り上げた理想郷は、誰の目にも晒されない。
薄く透ける太陽の光。わずかな隙間からそよぐ風。
今の私はこれで十分。
いつか思い切り開け放つその日を待つように。
包まれて、守られて。
レースの内側で、私は浅く息をする。
【カーテン】
教室へ帰った
移動教室の後だった
とても暑い昼だった
やけに蝉の声が大きく聞こえた
カーテンが翻った
今にも消え入りそうな君がいた
【後で書きます…!】
2025/6/30 「カーテン」