庭に面した一枚硝子の窓辺。
白く軽やかなカーテンと窓との狭間が、幼い頃の私にとって、密やかな特等席だった。
陽射しが微睡みを誘う午後のひなたぼっこ。
その緩慢な時間の流れを、私は妙に気に入っていて、
幼いなりに「こんな時間が好きだなんて、わたしってちょっと洒落てる」なんて思っていたものだ。
けれど今では、日焼けだの肌荒れだのと、面倒な理屈が先に立つ。ひなたぼっこなど、すっかり遠ざかってしまった。
そんな折、我が家に新たな家族がやってきた。
彼女は、あの頃の私とそっくりに、カーテンの内側へそっと潜り込み、ひとり丸まって陽を浴びている。
鼻の良い彼女はお日さまの匂いを感じるのだろうか。
まるで昔日のわたしを、そこに置いてきたようだった。
またたまには、カーテンの裏で、あのぬるやかな陽に身を委ねてもいいかもしれない。
6/30/2025, 2:56:21 PM