『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題:カーテン
後日あげるので、お題とスペース保存しておきます。
[カーテン]
夏は暑い。
太陽の光が俺を照りつける。
今日は雲1つない快晴だ。
こんな日は涼しい室内や海なんかで泳ぎたい。
こういう暑い日に雲が出て欲しいと感じる。
雲と言うなの空のカーテンが。
涼しい風と窓に映る青い空の 間にある
ひらひらと舞う
白いカーテンに いる私
カーテンといえば、開く瞬間が好きだ。
遮光カーテンを朝、そっと開いた時の、目を刺すような光。
レースカーテンを開いた瞬間見える青空。
ブラインドはカーテンに入るのかな。
カーテンは遮る布、もしくは話を遮ることを指すから、布でないブラインドはカーテンじゃないのかもしれない。
【カーテン】
そのカーテンは私の観たい景色を隠す。
そのカーテンは私の真実を隠す。
私にもみせてよ。
・青く、深く
毎週金曜日の退勤後、都内を散策路としている。
秋葉原、新御茶ノ水、上野、田端、新橋……
この羅列通り、山手線の東側が選ばれやすい。
先々週は、神田駅で途中下車。ぶらりと歩き、将門塚らへんを通り、気の向くまま。
皇居外苑へたどり着いた。
ここはいつも走っている人を見かける。平日の夜になりゆく時間帯だというのに。志の強いランナーは、どこからどこへと走るのだろう。
僕は、会社員の格好で、カバンを持って、歩いている。夏の気配が近づいている。汗を吸い、汗を拭った。
しかし、昼に比べたらそうでもない。
日没前の、暗くなりつつある都会のビル群。
南下中。小さく見える霞が関のビル群が、煌々と灯っている。横に目を向けると、皇居を囲むお堀の溜め池があって、表面がゆらゆらしていた。ビル群の背丈が上下反対向きになって、労働する意味の含んだ光が、暗い夜の堀の先に溶けていく。
青く、深く、溶けていく。思わず見惚れて、スマホを向ける。撮った写真を眺めた。ロウソクの炎のように、光が滲んで夜の一部を焼いていた。
・カーテン(2回目)
かぶりだこれ。と思って、過去のものを見たら、お説教をしていた。
締め切り近くになるとお題を取っておく人たちが現れる。なんだ君たち、お題だけ書いておいて、全然書いてないじゃないか。「書く習慣」だと銘打っているのに、君たちは書く習慣がなってない!そんなことを書いていた。
それからどうやってカーテンに紐付かせるのか、気になって読んだら、「自分は自分、他人は他人だ。カーテンを見習え。いつもふわりと揺れている」と書いてあった。
最近のカーテンの様子だが、春は花粉、夏は暑い。秋も暑い。冬は締め切っているので、ふわりと揺れているところを目撃していない。
しかしながら、ずっと閉め切ったままだと室内の空気が淀んでしまう感じがするので、換気のためだ、仕方ない。といって、時々窓を開けることにした。
すると、風を感じる。風鈴よりも風鈴に近い、揺れ方をする。音のしない涼風。
風鈴のように、涼しい音を掻き鳴らす――なんて、ぜいたくだ。と氷入りの麦茶を見て思った。
「ちょっと、じっとしててよ」
「えー」
もう何度目かの注意にも懲りず、ウエストを測ってる最中なのに君はまた左右に体を揺らしている。
「でもほんとにドレス借りなくてよかった の?」
「いいんだって、きらきらしすぎてるのは好きじゃない。」
「そうだとは思った・・・よし、終わったよ」
彼女の腰に回していた腕を解いてメジャーを畳む。仕事で作るのとはまた違う。
大切に、丁寧に・・・。
「できたよ」
一週間かけて作り上げたドレス。純白ではなく、やや温かみを帯びた白の生地に、首周りと袖のレースには小さなダイヤモンドとパールをあしらった。
「じゃーん」
振り向くと白いドレスを纏った彼女が両腕を広げている。思わず吐息を漏らしそうになるのを飲み込んで彼女を鏡の前に連れていく。「ちょっと座りなさい」
「はーい」
ぶらぶら足を動かしながらこぐまのように鏡をちらちらと覗き込んでいる彼女のサイドの髪を編み込んで後ろで纏め、仕上げにミント色のリボンをつける。
「こういうの上手だねえ」
「妹がちっちゃい頃やってたからね、
はい、いいよ」
おわった、と肩をぽんと押すと麗らかな日が差し込むフローリングを舞台に彼女はくるくる舞いはじめる。
風を受けて膨らむレースのカーテンが目に入った。
「ベールがあればもっといいんだけどな」
「こう?」
はっとした。
「どうしたの?」
「ウエスト計り直したいだけだよ」
『カーテン』
目を覚ますと周りは白いカーテンだった。
カーテンを通してやわらかな外の陽射しが入ってくる。
「ああ、保健室だった」さやかは自分が保健室で眠っていたことに気がついた。頭も体もすっきりしている。
3時間目の体育の時間、急に頭がクラクラして立っていられなくなった。そのまま保健室のベッドに横になると熟睡してしまったようだ。
昨日の夜読んでいた本がおもしろくて、止められなかった。一気に読み終えて時計をみたら、夜の11時を回っていた。
さやかの目覚めた気配を察して保健室の谷本先生が声をかけてきた。
「橋本さん、目が覚めたの?大丈夫かな?」
「はい」さやかは小さな声で答えた。
「教室に戻れそう?」と先生に聞かれた。
体調はすっかり良くなっているので、授業に支障はなさそうだ。でも、教室には戻りたくなかった。どう答えたらいいか悩んでいると、
「お家の人に迎えに来てもらおうか?」と先生がやさしく聞いてくれた。
ーなんであんな意地悪な事を言ってしまったんだろう。
お母さんが迎えに来るまでの間、白いカーテンを見上げながら考えていた。
3時間目が始まる前の中休みの時間、さやかはとても機嫌が悪かった。クラスの男の子の騒々しさに腹が立ったし、女の子たちのにぎやかな話し声も鼻についた。そんな時、仲良しのかながさやかに話しかけてきた。
「見て、昨日お母さんに買ってもらったんだ」
そう言って髪飾りを見せてくれた。それは、さやかとかなが一緒にお買い物に行った時に2人でかわいいと言い合っていた髪飾りだった。さやかはなんだか羨ましい気持ちと悔しい気持ちがぐちゃぐちゃになって「似合ってない」と言ってしまったのだ。
お母さんが迎えに来て、一緒に家に帰った。
「体調良さそうじゃない?」家に帰るとお母さんに言われた。
「うん、お家に帰ったらなんか元気になった」
お母さんはくすっと笑ってから言った。
「お母さんもお仕事早退しちゃったし、スイーツでも食べに行こうか」
電車で5駅くらい離れたケーキ屋にいく。
私はいちごのパフェ、お母さんはチーズケーキを選んだ。
大好きな苺が沢山のっている。見た目もキレイ。
パフェは美味しいのに、お母さんとのお出かけで嬉しいのに、なんだかとても悲しくなった。心の底の方がずんと重たい。おばあちゃんの家で見たお漬物の上にのっている石が私の体に入ってきたみたい。
パフェを食べ終えて、かなに意地悪を言った事もズル休みをした事も全部お母さんに話した。
お母さんは黙って全部の話を聞いてくれた。
心の中の重石が少し軽くなった気がした。
次の日、かなちゃんが声をかけてきた。
「体調、大丈夫?」
私は昨日事を素直に謝った。
「昨日、意地悪言ってごめんね。髪飾り、とても似合っていたよ」
心の重石がとれた。
————————-
お題:カーテン
気づけば、三方を白のカーテンに覆われたベッドで眠っていた。
起き上がり、あれ、と首を傾げる。少し前の記憶を辿る。
本を読んでいたはずだ。
寝付けずベッドから抜け出し、夜の音を聞きながら。
いつの間にか眠ってしまったのか。それで様子を見に来た父にベッドへと運ばれたのか。
それにしても、このカーテンは何だろう。
月に照らされているのか、その仄かな光を白が強調し、まるで映画のスクリーンのようにも見える。
ぼんやり眺めていれば、不意に目の前のカーテンに影が浮かび上がる。
曖昧なその形は、次第に輪郭をはっきりとさせ、髪の長い女性の人影を取った。
「眠れないの?」
小首を傾げて、影は聞く。
「今日はたまたま、だよ」
答えるが、きっとばれているのだろう。
「俺を運んでくれたのは、誰?」
「お父さま。ずっと起きていたから、桧にお願いして香りを届けたの。眠ってしまったあなたを運んでもらったのよ」
ごめん、と謝ろうとすれば、それを遮るように影が首を振る。
謝るのは違う。そう言われたような気がして、出かけた言葉を呑み込み、改めて口を開いた。
「いつもありがとう」
「どう致しまして。あなたが元気で笑っていてくれるのならば、それでみんなが幸せになれる」
影の歌うような囁きに、何だか照れくさくなってしまって、思わず視線を逸らした。
庭にいる、人ではない彼らはいつも優しい。
その優しさに返せるものはあるのかと、優しさをもらう度に少しだけ不安になる。
「何かお返しが出来ればいいのに」
「言ったでしょう。笑ってくれていればいいの」
「それだけで、本当にいいの?」
「そうよ。でも、そうね」
影が背後を振り返る。
ひそひそと話す声に、皆いるのかと小さく笑ってしまう。
何を話しているのだろう。声は小さくうまく聞き取る事が出来ない。
暫くして影がまたこちらに向き直る。
影の表情は分からないけれど、何故か笑っているような気がした。
「あなたがもっと我が儘になってくれれば嬉しい。我慢をしないで、何でも話してくれたらいいのにといつも思っているの」
そうだそうだと、影の背後でたくさんの声が同意する。
「どんな些細な事でもいいの。嬉しいとか、楽しいとか。感じた事を話してくれたら、みんなも嬉しいし楽しくなる。寂しいとか、悲しいとか。吐き出してくれれば、安心するのよ」
「迷惑じゃない?」
「まさか。一人で耐えているのを見ているだけの方がつらいわ」
「言ってもいいの?」
「言って。何でもいいから。どんな些細な事でもいいから、みんなにお話しして」
そっか、と言葉を溢す。
うまく言葉に出来ない気がしたが、それでもいいよと言われているようで。
皆に促されるようにして、口を開いた。
「目を閉じると、母さんが出てくる。あの日の、寝ているような母さんを思い出す。寝ているんだって思って声をかけても、全然起きなくて。肩を触ったらすごく冷たくて」
涙は出ない。悲しい訳ではない。
それでも思い出してしまう。その自分でもよく分からない溜まった思いは、分からないからこそ名前をつけられず、誰かに話す事も出来ないと思っていた。
「このまま寝たら起きられるのか、とか。一人は寂しいだろうな、とか考えて。考えるから、目が冴えて。そうすると眠れなくなる。ずっと」
「そう。考えてしまうの。じゃあ、」
――考えなくてもいいように。
しゃん、と。どこからか、鈴の音。
音に合わせて、影がくるりと回る。
くるり、ふわり、と綺麗なステップを踏んで、踊り出す。
「きれい」
影が舞うのに合わせて、笛が高らかに音を響かせる。
鈴と、笛と。それから、左右から聞こえる弦の音は三味線か。
気づけば、左右のカーテンに様々な影が現れ、緩やかな曲を奏でていく。
曲に合わせて影が舞う。
ひらり、くるり、と影の舞に目を奪われて。
ふわり、くらり、と意識が揺らぐ。
いつしか微睡んで。体が揺れて、瞼が重くなっていく。
「眠る事は怖くはないでしょう。大丈夫、明日は必ず訪れる」
背中を暖かな手に支えられ、ゆっくりとベッドに寝かされて。
大丈夫、の言葉に、抵抗する事なく目を閉じる。
母の姿は見えなかった。
――おやすみなさい。可愛い子。
誰かの声。
ありがとう、と心の中で呟いた。
20241012 『カーテン』
カーテン
カーテンの奥から、子どもがひょっこり顔を出した。
「…君、時々そこにいない?」
此処は自分が金の力にものを言わせて買った屋敷で、自分しか住んでいない。スタッフも全員通いである。間違っても、夜中の二時に子どもがいる場所ではない。だが時々、カーテンが膨らんでいることがあるのだ。
「…食べる?」
子どもの視線が、卓上のミルクとスコーンに向いているようだったので聞いてしまった。
その子はふるふると首を振り、またカーテンの中に引っ込んだ。駆け寄って布地をめくったが、何もいなかった。その日は、酔っていなかった。
スタッフ諸氏に訊いてみたが、子どものいる者はゼロ。「此処で亡くなった子どもの噂」も訊いてみたが、誰も知らないという。
「出たとしても、それ込みで買い取ります」
オスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」に倣い、そう大見得を切ったのだが、もしかしたら本物かもしれない。希望が出てきた。
検証したところ、時間に関係なく、スコーンを置いているとカーテンが膨らむことが分かった。ちなみに今も膨らんでいる。食べたいならそうさせてやりたいのだが、さてどうするか。申し訳ないが今は午後四時、少し腹が減っている。
「いただきます」
手を合わせると、目の前にミルク、スコーンその他がもう一揃い現れた。
「お供え」とは死者のためのものだ。もしかして、今のはお祈りにカウントされたのだろうか。
「…食べる?」
カーテンの向こうから、五歳くらいの子どもがひょいと顔を出した。髪は真っ黒で、深緑の目をきらきらさせている。
椅子をもう一脚引っ張ってきて座らせ、高さが足りないので冬物のコートとクッションを積み重ねた。
彼はお行儀良く手を合わせると、主の祈りか何かを唱えた(声はまったく聞き取れなかった)。食べ方も、とても綺麗だった。
彼は喋らないが、首を振ったり頷いたりはできる。あれこれと質問をしたところ、以下のようなことが分かった。
気がついたら此処にいた。
昔のことはあまり覚えていない。
此処に見覚えはなく、多分知らないところ。
ほかに「見えないはずのひと」はいない。
スコーンはおいしい。
彼は次第に、スコーンがなくても出てくるようになった。おとなしく、本棚の一角に作った絵本コーナーの本を読んでいる。買ってきたぬいぐるみと遊んでいることもある。お気に入りはシロイルカとあひるだ。
彼を見ていると、弟が小さかったころを思い出す。久しぶりに、仕事をしたいと思い始めた。
「これはね、お話を書こうとしてるんだよ。僕はもともと、お話を書くのが仕事だったんだ」
彼が卓上の、一際古びたノートを指さした。小学生らしい、力の入ったたどたどしい字で書かれたお伽話である。
鬼退治に行ってみたら実は鬼が超いい奴で…というところから始まる、まあ贔屓目に見てもありふれたお話で、途中までしかない。ここからわずかでも良きものを見つけ出し、読むに堪える物語にし、そして何よりも完結させること。それが、今の自分の目標である。
一段落したところで見ると、彼が絵本を抱えてこちらを見ている。手招きして抱き上げると、『ピーターラビットのおはなし』だった。絵を見るのが好きだから、少し時間がかかりそうだ。ゆっくり読み終えると、彼は嬉しそうに笑ってくれた。
そして今度はあひるをご所望らしい。
十年前、家族が事故に遭った。
五年間、裁判で争った。
こういったケースとしては破格の金が支払われたが、自分はどこかが壊れてしまい、何もできなくなった。それから五年、何も書いていない。
気づくと、彼が子どもらしからぬ顔でこちらを見ていた。
「…君みたいな子は、みんなこうしてどこかのお家にいるのかな」
彼は側に置かれた絵本を開くと、書かれた文字のいくつかを指さした。
「ど う し た の」
「…君がいてくれてとても嬉しい。ただ、もし会えるなら会いたい子がひとりいるんだ。会えないならせめて、幸せにしていてほしいと思って」
彼は腕を精一杯伸ばして、頭を撫でてくれた。
「いつか、その子のためにお話を書きたいと思ってたんだ。書き上がったら、一番に読んでくれないかな?」
彼はあひると一緒に抱きついてきた。
弟は十年前、八歳で死んだ。
あのノートのお話は、弟が書いたものである。
カーテン
世間にはカーテンの上部の隙間漏れを埋めるカーテンまでもが存在するらしく好みではあるがいよいよ朝に嫌われそうだと思い手元にはない
カーテンの先が風で動く
その度に私はぼんやりとそれを見た。
カーテンの向こうに人影が見えたような気がした。
でもここには何もないのだ。
空を写す大きな鏡しかないのだ。
自分でもわかっている。
私の心は、10年もの月を過ごしているのに何もないことは、心はもうウユニの水と塩ほどしか残っていないのだ。
カーテンがある窓は私がただ作り出しただけのハリボテに過ぎないのだから
◎カーテン
#33
空を見上げると日光が分厚い雲の隙間から差し込むのが見えた。
カーテンのようにも見えるが、
「天使の通り道だ」
小さく呟いた言葉に、弁当をかきこんでいた手を止めてケイは目を細めた。
「此処に降りてきたのか、天使様」
今日の最高気温は何度だったろうか。
猛暑日だったかもしれない。
ライブのアンコールや演劇のカーテンコールが好きだ。
公演が終わってしまう名残惜しさはあるが、素晴らしい公演だったと拍手で伝え、ステージの方達と感謝を伝え合えるこの時間は何ものにも変え難い。
昨日部屋にいる時ふと視界の端に光輝くものが映って、なんだろうと思って光の方へ顔を向けたら、カーテンの隙間から覗く月だった。それがまるで小説の一場面のようで、凄く文学的な月に見えた。
目覚まし時計の鳴る音
揺れる白いカーテンと冷たいすきま風
指した日差しに目が眩む。僕は一息吐いてから伸び、下へ降りた。コーヒーを飲んでから僕の朝が始まる。家具の少なくなった僕の部屋。今日は残りの段ボールを運ぶだけだ。ピンポーンとインターホンが鳴る。宅配業者さんだ。続々と荷物が運び出されていき、新居のようになった部屋の壁に触れる。
ふうっと一息吐いて、僕も荷物をまとめて家を出た。ふと振り返ってもいつもの白いカーテンはない。燦々と光る太陽に照らされ、僕は歩きだした。
カーテン
朝、カーテンを開ける
眩しい太陽の光
今日も一日が始まる
就寝前、カーテンを閉める
今日も一日、お疲れ様
大きい花柄の華やかなスカートでデートに行ったら「カーテン巻いてきたんかと思った!」と笑われた。別れた。
カーテンがかすかに揺れて、微量ながらも風が入っているのがわかる。
起きたらもう夜。
今日は一日中眠ってしまったことになる。
これを睡眠負債と呼び、休日になるといつもそれの返済をしているような気がした。
毎日規則正しい生活を、というからそのような生活を目指しているものの、その進捗率はいまいちである。
しかし、そんなものでへこたれたらあかん!
今日起きれたという奇跡を褒め称えよう。
どうしてこんなつまらない文章なのかというと、さっき気づいたからである。あっ、書いてないや。そういうわけである。
みんなの投稿とかを見てみると、夜六時台というのは、お題保存の名目で、「とりあえず投稿」をしているやつが大半てある。
僕と同じくテイタラク。
そういうヤツほど、過去の投稿とやらを見ると、だいたい書いていない。
なんだ貴様らは。お題集めに夢中で、「書く習慣」が身についてないじゃないか!
そういうのはな、長い小説や長い文章を書こうとしてるから書けないのだ。
短くてもよい。どうせ小説なんて書けないんだから、という風に、そのプライドを捨てろ!
そんな感じで、不特定多数に向けてなんか書くのはストレス発散になる。
カーテンはいつも揺れている。
それを見るとそうだった、と思わざるを得ない。
僕はカーテンにならなければならない。
揺れる、という存在。
僕たちは何かしらの知見を得るために、このアプリをダウンロードしたはずだ。
お題集めに夢中な他人など、どうでも良い。
僕はふわりと揺れることにする。
気に入らないからと適当な理由を作り、今しがた差し出されたプレゼントを窓から投げ捨てた。
あっけなく地面へ放り出された箱は、落下した先できっと歪に拉げているだろう。
何が入っていたかは見るまでもない。
出来れば中味が全部ぐちゃぐちゃになって、潰れていてくれればいいのだけれど。
「なんて酷いことを・・・・・・」
私の背後からいたく驚愕めいた、中年のメイドの声が聞こえる。
私が振り返ると、やはりそこには目を剥いた彼のメイドが立っていた。そのメイドの他にも数人の使用人たちが、みな同じような表情になって固まっている。
「あれは母君様と妹君様、お二人がお嬢様の誕生日を祝うため、贈られたものですよ」
「それが、何?」
私は心底つまらなさげに呟いてやる。周囲の者たちが、まるで異様なものを目にしたかのように青ざめていく。こっちの様子のほうがまだ面白みがあるというものだ。
「・・・・・・貴方様は異常です。どうしてこんな所業ができるのですか?」
「そう思うなら早くあの落ちたゴミを回収しに行きなさい。それともお前はあの中味が何か知っているのかしら?」
異常と言うならどちらが異常か。
私の問い掛けに中年のメイドが肩を揺らした。
やはり、知っていたようだ。
だとしたら、迂闊に母様と妹からのプレゼントだなんて、みんなの前で言うべきじゃなかったわね。
「いくら私がすぐに投げ捨てたからって、動揺しすぎじゃなくって? お前のような無能なメイドしか雇えないなんて、お母様たちもお可哀想に」
私の考えが正しければ、あれは何らかの毒物だ。さすがに触れただけで侵されるような強力なものではないと思いたいが、毒を仕込んだのがもし食べ物だとしたら、庭園に舞い込んだ野鳥が無闇に食べかねない。
私の言葉に、中年のメイドはようやく己の過ちに気付いたようだ。血相を変えて立ち上がると、こちらに挨拶もなしに勢いよく部屋を出て行った。
私はひとつ溜息をこぼす。まったく暗殺されかけたというのに、私ってばまだまだ甘いわね。
私は部屋に留まる使用人たちを一瞥する。
彼らからの奇異な視線を受け流し、私はまるで何事もなかったかのように、ニコリと微笑んでやる。
「失礼なメイドの対応をして疲れたわ。少し休みたいからみんな出て行ってくれる?」
慌てた使用人たちが次々と部屋を退出していく。彼らが今後私をどう見るのか、どう評価するのか、そんなことはどうでもいい。
せいぜい意地の悪いワガママ令嬢とでも思っていればいい。どうせ面と向かって指摘してくるような度胸がある者なんていないだろうし。
私は開け放たれていた窓を閉める。ようやく終わったこの茶番劇に幕を下ろすかのように、傍らのカーテンを静かに引いた。
【カーテン】