『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
エイプリルフールだと調子に乗って嘘をついて割とマジで怒られた。
ちなみについた嘘は「背中にニキビできてるよ」
太くて頑丈な彼女の足から繰り出されたレッグラリアートはマジで痛かった。
【エイプリルフール】
新年度の始まりの日に、嘘みたいな出来事が起きて大混乱した挙げ句、大騒ぎしたのは記憶に新しい。
「うへぇ、心臓に悪くてヤバい。」
結果としては、何事も無かったと言う事で落ち着いたのだけれど、心臓自体と精神的な部分のどちらもがジェットコースターやコーヒーカップに乗った時の様な、そんな心持ちさえする。
「…ごめん。本当に、申し訳ない。」
軽い気持ちでぽとりと零れ落ちた言葉が、まさかこんな事になるとは思わなかった。
「良いよ。むしろ、ちゃんと話せて良かった。知らないで、すれ違う方が嫌だったから。結果オーライだって。」
それでも、言葉を交わすことなく離れてしまうには惜しいと、お互いに思えた事が知れて良かったと、あなたは言うのだ。
「サプライズ大盛りのエイプリルフールって事にしよう!これからも、よろしくね!」
喜色満面のあなたが、抱きついて来るのを受け止めて、そっと抱き締め返す。
「こちらこそ。出来れば末永く、よろしくお願いします。ただし、気が変わったら、すぐに教えて下さい。傷は、浅い内に限ると思う。」
まだクヨクヨする弱い自分を、宥めるのが得意なあなた。
「解った。気が変わったら、すぐに話すね。まぁ、話す機会は無いと思うけどさ。オレは死ぬまで、かっちゃんと一緒に居る気だよ。これは嘘じゃないから、信じて欲しいなぁ。」
抱きついて来る温もりと重さに、幸せを感じてしまうあたり、重症だなと思うのだ。
創作 「エイプリルフール」
淡い陽光が注ぐ部屋で僕は目が覚めた。今朝の雨が嘘のように、穏やかな風がレースのカーテンを揺らしている。テーブルに、置き手紙があることに僕は気づいた。
「また来る」
4月1日。エイプリルフール。嘘が有効なのは正午まで。だからあのひとは正午を過ぎても現れない。
おそらくあのひとはもう、この街にも帰ってくることはないのだろう。
部屋の片隅にあるピアノには、あのひとが好きでよく弾いていた楽譜がそのままになっている。 あのひとが目指す街では、かつてのこの街と同じメロディーは流れているのだろうか。寡黙なあのひとは思う存分、音楽を奏でられているのだろうか。
そして、あのひとが追い求める「幻の歌」とやらを聴くことはできるのだろうか。 疑問の答えを知る術はない。ただ、あのひとの道行きを密かに応援するだけだ。
再び手紙に視線を戻すと、呼び鈴が鳴った。僕は深呼吸した後、玄関を出る。
「こんにちは。ここに、この写真の男が来ませんでしたか」
僕は手紙を見せ、あのひとがまたこの家にくると伝える。手紙を信じた彼は、ここで、あのひとを待つと言った。でも、僕は嘘をついた。あのひとが逃げられる時間を稼ぐ為に。音楽を禁じられたこの街から、あのひとがどこまでも逃げて行けるように。
(終)
「エイプリルフール」
3月が終わり、今日から4月に入る。
エイプリルフール、今日は嘘をついていい日だ。
嘘って悪いイメージがあるかもしれないけれど、別にそういう訳じゃない。みんなひとつやふたつ嘘はつくもんでしょ?僕だってそうだよ。
でも、あの時ついた嘘みたいに、後悔することだってある。だから、選択を間違えないように、慎重に、僕は今日も生きている。
エイプリルフールなんて忘れてたよ〜
とっさについた
あなたへのウソ
ドキドキ
「エイプリルフール」
『エイプリルフール』
そういや今日は、嘘をついてもいい日か。そう思ってまわりを伺っても、なんの変化もない。
バレンタインだの、節分だの、いろんなイベントがあっても、エイプリルフールは特に何も無く一日が過ぎるだけだ。
寝起きに見たSNSで、企業が可笑しな投稿をしていて笑えた。
それだけで、個人が何かをするにはハードルが高いようにも感じる。
「エイプリルフールだから言いますね。好きになりました、未和さんのこと」
「ん?」
「もうすぐバイト終わりますよね、俺もなんで。コンビニで春限定のもの買って、近くを歩きませんか?」
「歩くのはいいんだけど」
「じゃあ、外で待ってますね」
エイプリルフールだからって何。そもそもエイプリルフールって何よ。
バイトの合間にさらっと言ってきて。
好きと言われたことが頭に残って、今さら身だしなみを整えるとか。色付きのリップクリーム、無いよりましか。
バイトの終わりが合えば、互いに共通してる話題で笑い合って帰ってた。
好きって言ってきて、コンビニで買い物しようって、近くを歩こうって。いつも通りになれないんだけど。
買い物をしてるとき、コンビニを出るとき、スマホを何度も見る。見るのは一瞬だから、時間を気にしてる? でも何で? あー、午前中までだっけ? 嘘をついてもいいのは。え、嘘、好きって言ったのって。
「午前が終わったから言いますね」
「エイプリルフールだからって言ったよね」
「言いました」
「じゃあ、好きって言ったのは?」
「好きになったのは本当です。去年のバレンタイン、貰えたので」
「本命じゃなくて義理だよ?」
「 嫌いな相手に渡せますか?」
「そうだね、無理だ」
「嫌われてないのは確実なんで、言いました」
だからって、四月一日に言わなくてもいいじゃない。でもまぁ、かなり印象には残ったか。
エイプリルフール
今日で何度目だろう。
『本当はキライだよ』と言って騙されるのは。
他愛無い嘘だと分かっていても、限度があるよ。
僕の心もいい加減に限界なんだ。
君の口から、例えウソだとしても、
『嫌い』という言葉が出てくるのは、
あまりにも耐えられない。
『やっぱり好きだよ』
ようやく僕の聞きたかった言葉が聞けたのは、24時を回ってからだった。
今日はエイプリルフール。
君に抱くこの感情も、
張り裂けそうな胸の痛みも、
全部嘘なら良かったのに。
テーマ『エイプリルフール』
楽しかった記憶だけで
包まれていればいい
悲しかった過去は
消してしまおう
忘れてしまおう
貴方が
私の頬を撫でながら
お前だけだよなんて言ったのも
悪気のない嘘なんだから
せめて1年に1度だけの
台詞にして欲しかったわ
エイプリルフール
別れましょ、と言って午後にそれを撤回しなかった。
私のエイプリルフール。
「4月1日です、みなさんおはようございます。早速ですが速報です。地球にいまだかつて無い大きさの隕石が迫っており、世界各国は協力して対応を急いでいます。今のところ到着推定時刻は明日の――」
あした世界が終わるなら、ゆっくり深呼吸をして。
あした世界が終わるなら、この世界を目に焼き付けて。
あした世界が終わるなら、今から何をしちゃおうか。
バイトにも行かなかったけど別に連絡も来ないし、たぶんみんなそれどころじゃないよね。
お砂糖入りのカフェラテ片手に、チョコレートを探す。もうダイエットとかどうでもいいし。
なんか外騒がしいね、みんなちょっとやばい感じ?やだなぁ最後くらい楽しく過ごそうよ。平和がいちばんでしょう?
あぁ、全然平和じゃないから終わるのか。
あした世界が終わるから、ゆっくり深呼吸をして。
あした世界が終わるから、この世界を目に焼き付けて。
あした世界が終わるから、ただここにいる。
「この突如として現れた隕石に果たしてこの星は対応出来るんでしょうか?なぜこんなに接近するまで何のレーダーにもかからなかったのか!本当に、これがエイプリルフールの嘘であればどれほど良かったかと――」
あした世界が終わるから、ゆっくり今を生きよう。
〉エイプリルフール
第三惑星地球。自らの星を三番目と名乗る謙虚な星に、何百光年先からの来訪者がやって来た。
「ようやく水の惑星を見つけたと思ったら嘘つきの星じゃないですか!」
水色の髪はジェルのような光沢を持ち、触るたびに触手のように跳ね返る。紫の瞳はマゼンタの瞳孔を携え、幼い体躯は百メートルきっかり。
人らしい形の人らしからぬ色彩の少女は、卓袱台をバンバン叩く。
「嘘つきの星?」
「そうですよ! 恐竜が復活したとか、歴史上の偉人の会談in太平洋とか! 私全部見に行ったのに!」
「朝からバタバタしてるのはそれか……」
コイツは宇宙人。透明な球状の被り物のお陰で移動速度が化け物で、今朝、俺のマンションの窓を突き破って来た馬鹿野郎だ。
「ここの星の人たちは何でこんな無意味な嘘ばっかり!」
「あー今日はエイプリフールだからな」
「……は? 何ですかその奇妙な名前は」
お前の本名ほどじゃないだろ、とクアレコ・アンクレー・ヴェル・サリアンバーに言うと、私の星では貴族しか許されない高貴な名前です! と返ってきた。
「エイプリルフールってのは嘘をついて良い日のことだ。四月馬鹿〜ってな」
宇宙人はしばらく固まって、マゼンタの瞳孔のみを忙しなく動かしていた。そして、ぱち、とまばたきをした瞬間にきらり、と瞳が光る。
「なんて誠実な星なんてしょう!」
「……は?」
「だって嘘をついていい日があるなら、それ以外の日に嘘をつく人はいないのでしょう? 素晴らしいです! 私の星に持ち帰らなくては……」
そう言って端末に何かを入力し始める宇宙人。翻訳機が切れているので、呟きは全くもって理解できない。
ああそうか。そういえば、嘘が許される日は、年に一回なのだ。
【エイプリルフール】
昨日結婚した山田裕貴と西野七瀬が離婚した……っていう嘘をつかれました
新しいことの始まり。
2024/04/01㈪
昨日のお題。
多くの作者さんが他者の幸せを
願っていて 気持ちが和らぎました。
日本人って精神力が高いって
言うけれど こういう事なんだなあ、
と思ったよ。
新年度が始まったね。
僕も今日から新しいことを始めた。
前に書いていた3ヶ月計画で。
3ヶ月で目標を達成するには
1ヶ月でこれだけ達成して
1週間でこれだけ達成して
1日でこれだけ達成して
と分解して計画すると上手く行くらしいよ。
1年は長すぎなんだって。
明日は、あることを終わらすつもり。
終わらす事も始めた事と同じだって
聞いた。
それだけで何か、変わりそうな気がする。
もう春なのに、どうしてか今頃に
なって焼き芋にハマっていて、
今日はドラッグストアで買った。
今の所、1番よく行くスーパーが
安くて密があって美味しい。
いつまで売っているのかな。
5本あった焼き芋は、あっという間に売れたから、まだ少し有余は
あるかな。
おやすみ。
危ない!!
ギィーーー、ガッコン。
頭上から鈍い音がした。遠くにいるサラリーマンがこちらに向かって何か叫んでいる。見上げると巨大な塊がゴンゴンと、ビルの壁に体当たりしながら迫ってきていた。塊は明るい緑色をしていた。このビルの4階にある歯科クリニックと同じ色。そういえば半年前くらいに、虫歯の治療でかかったことがあった。貰った診察券を見て、この色ダサいなあと思った覚えがある。最近になって今度は反対側の奥歯が痛み出したから、近いうちまた行こうと思っていたんだ。
ああこれ、看板か。
そこのクリニックの看板なんだ。
4階から落下してきているのか。
僕に向かって。
「ははは、嘘だろ。」
この後待ち合わせなのに、どーしよ。
穏やかな昼下がり。
春を知らせる強風の中、
重たく、それは酷い轟音だった。
きっと明日は、
みんなおいしいご飯を食べて、
大切な人と笑いあって、
幸せな1日を過ごす。
そう、きっと私も。
2024/4/1/12:01
「どうせ合わなくなるんだから!当たって砕けろ!」
そう言って送り出した後、身体の力が抜けていくのを感じた。
アイツがあの子を好きなことも、両思いなことも知ってる。
本当は、引き止めたかった。『当たって砕けろ』、なんて。
「自分は出来ないくせに、偉そうに…」
嘘だよ行かないで、私でいいじゃん、って、言えたら良かったのかな
それができないからこんな事になってるのに、未練がましい。
『やばい付き合えた…マジで奇跡なんだけど!前から好きだったから嬉しい!』
LINEの文面を見て、余計に辛くなる。
私の方がずっと前から好きだったよ。
そう打って、留めておいた。だから、指が送信に触れてしまったのは、間違い。一縷の望みにかけたなんて事じゃない。
画面に既読の文字がついて、数秒。
『え?笑エイプリルフールだからって騙されねーよ笑笑』
ああ、こいつは本当に。
この鈍さが憎くて、愛しくて、どうしようもない。
「も〜そこは騙されろよ!リア充おめでと!笑」
こんなの、本心とは真逆だ。
いや、これが本心なんだ。そう思わないと、辛い。
文字の私は、アイツの恋を応援する良い幼なじみ。本物の私は、好きの一言も言えない意気地無し。画面の中の私になれたら、どんなに良かっただろう。
「嘘だよ、ばーか」
スマホの画面が、ぼやけて見えた。
お題『エイプリルフール』
嘘をついても良いですよ。今日が何月何日だったって、嘘をついていい。貴女はどう生きても良いんです。
俺たちは、貴女のすることに文句をつけたり、罰を下したりはしません。貴女が人を欺き、人を傷つけ、人を殺めたとしても、俺たちは貴女を見守り続けます。
ただ、悲しくはなるかもしれません。貴女の美しい魂が歪んで傷だらけになるのを見ているしかないのは、確かに俺たちにとってつらいことです。
それでも、貴女は貴女の生きたいように生きてください。それが貴女の幸福だと思うのなら、どうかその道を選ぶことを恐れないでください。
貴女のその道は、貴女にしか見えないのですから。
「おばあちゃんなんか、死んじゃえー!」
おばあちゃんは、少し悲しそうな顔をしていたが、すぐにいつもの笑顔に戻り、
「エイプリルフールかい?人が傷つくような冗談はおばあちゃんにだけ言いなさいね。他の人には言っちゃダメだよ」
小学4年先だった当時の私は、冗談で言ったことに対して叱られた気がして、ムスッとした。
本当に、冗談のつもりだった。
その日の午後、おばあちゃんは事故に遭い、そのまま亡くなった。
私はおばあちゃんが大好きだ。
後悔しても、何度後悔しても、後悔しきれない。
ちゃんと謝れなかった。仲直りしてない。
10周忌の日、私はおばあちゃんの仏壇にボソリと呟いた。
「おばあちゃん、ごめんなさい。大好きだよ。戻ってきてよ…仲直りしたいよ」
今は午後14時30分。嘘をついていいのは、午前中だけ。
私の気持ちをおばあちゃんに伝えたい一心だった。
仏壇の前で泣いていると、一枚の紙が落ちていた。
開くとそこには、
「私の大好きな孫へ、おばあちゃんも大好きだよ。
おばあちゃんは怒ってないよ」
どうしてこんな紙が落ちていたのかは分からない。
10年前の私がおばあちゃんに言ってはいけないことを言ってしまったことは誰も知らないし、話してもいないから、誰も知り得ないこと。
そして、この特徴的な字は明らかにおばあちゃんの字だった。
私は、この紙を抱きしめながら泣いた。
10年越しに、おばあちゃんと仲直りできた気がしたから。
それから20年が過ぎたが、今でも忘れられないエイプリルフールのエピソードだ。
あの時のおばあちゃんからの手紙は、大事にとってある。
「エイプリルフール」
エイプリルフール
「実は私、空を飛べるの!」
無邪気にそう笑う隣の席の君にちょっと意地悪したくなった。
『ねえ、エイプリルフールで嘘ついていいのって午前までなんだよ。知ってた?』
「あれれ?それ知ってたんだ。残念。」
次の瞬間、君の背中に翼が生えて空を飛んでどこかに行ってしまった。
隣の席に白い羽が一枚落ちた。
「さっき一緒に自習してた子どこ行ったの?」
トイレから戻ってきた友達がそう聞いてきた。
『空飛んでどっか行っちゃった。』
「あはは、今日エイプリルフールか。しょうもない嘘つかないの!」
嘘だったらよかったのに。
私は白い羽をそっと抱きしめてあの子の体温を必死に思い出そうとした。
忘れてた。
ぜんぜん私の中でイベントじゃない。
それよりリクルートスーツ姿の新社会人らしき
若者を道端で見るほうがよっぽどイベントだった。
頑張ってね。
辛いこともたくさんあるだろうけどそれもいい経験だから。
【エイプリルフール】