たろ

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【エイプリルフール】

新年度の始まりの日に、嘘みたいな出来事が起きて大混乱した挙げ句、大騒ぎしたのは記憶に新しい。
「うへぇ、心臓に悪くてヤバい。」
結果としては、何事も無かったと言う事で落ち着いたのだけれど、心臓自体と精神的な部分のどちらもがジェットコースターやコーヒーカップに乗った時の様な、そんな心持ちさえする。

「…ごめん。本当に、申し訳ない。」
軽い気持ちでぽとりと零れ落ちた言葉が、まさかこんな事になるとは思わなかった。
「良いよ。むしろ、ちゃんと話せて良かった。知らないで、すれ違う方が嫌だったから。結果オーライだって。」
それでも、言葉を交わすことなく離れてしまうには惜しいと、お互いに思えた事が知れて良かったと、あなたは言うのだ。
「サプライズ大盛りのエイプリルフールって事にしよう!これからも、よろしくね!」
喜色満面のあなたが、抱きついて来るのを受け止めて、そっと抱き締め返す。
「こちらこそ。出来れば末永く、よろしくお願いします。ただし、気が変わったら、すぐに教えて下さい。傷は、浅い内に限ると思う。」
まだクヨクヨする弱い自分を、宥めるのが得意なあなた。
「解った。気が変わったら、すぐに話すね。まぁ、話す機会は無いと思うけどさ。オレは死ぬまで、かっちゃんと一緒に居る気だよ。これは嘘じゃないから、信じて欲しいなぁ。」
抱きついて来る温もりと重さに、幸せを感じてしまうあたり、重症だなと思うのだ。

4/1/2024, 1:39:41 PM