『ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の家は、伝統文化を好む方ではないかと思う。
1月には七草粥、冬至には南瓜が食卓に並ぶ。
冬にはゆず湯に浸かる。
習慣化しているのだ。
上記を企画するのは、いつも母だ。
ではなぜ母が伝統文化を好むのか考えてみると、
そこには母の母、つまり私の祖母の影響があるからだろう。
祖母は自然が大好きな人だった。
お年寄りに自然が好きなイメージはあるが、祖母はその程度ではないような気がする。
毎日山に登っていたし、家の小さなベランダはたくさんの花や野菜で埋め尽くされていた。
聞いたこともないような野菜を買ってきて、晩御飯に出されたことだって一度や二度ではない。
祖母が買ってきた野菜の多くは独特な味がして、正直私は好きではなかった。
冬にはゆずを、夏にはみかんの皮を乾燥させ、湯船に入れて温もった。
湯船に方まで浸かり、10秒数えてから上がるのが、祖母の習慣だった。
私は5秒ほどで上がりたくなって、いつもうずうずしていた。
でも、今となってはそれでもいいのだ。
好まない野菜をいくら出されたとしても、湯に10秒きっちり浸からせられたとしても、
そこに祖母の暖かさを感じられるだけで十分なのだ。
最後の最後まで、自分でよりすぐりの果物を選び、彼女は食べていたそうだ。
私の習慣を作ったのは母。
母の習慣を作ったのは祖母。
祖母の習慣を作ったのは曾祖母。
もしかしたら、私の生活の一部に、
着物を着てお香を焚き、髪を伸ばした人の習慣が潜んでいるのかもしれない。
そう思うと、地味で面倒に見える伝統文化に浸るのも、案外悪くはないのかもしれない。
ゆずの香り
ちょっとした小物に
黄色いものが多い君は
ただ黄色が好きなだけじゃなかった。
あの日貰ったハンドクリーム
ずっと使いきれていないよ
喉がかさつく頃になると
まだ残っているのに
何故か同じものを探してしまう
これが無くなってしまったら
君がいなくなるような気がするから。
私は好きだよ。
黄色も、また手を繋げたような感覚も。
柚子の香り
デート中。彼女からふわりと柚子の香り。
彼女が黙ってうつむきながら
ハンドクリームを手の甲に塗っていた。そして、クリームは手のひらにも念入りに塗られていく。
そしてその横顔は、退屈と語っている。
「ああ…」僕は察した。「脈ナシ」だな。
せっかく予約してとりつけた彼女とのディナーデートだった。
でも、彼女にとって僕は恋人対象にはなれなかった。
これからこのレストランを後にする。
差し出した手を「さっきハンドクリーム塗ったから」と笑いながら拒否する彼女の顔がイメージできてしまったから。
今夜こそは手を繋ぐつもりだったのに。
焦ってはいけない。まだ試合は終わったわけじゃない。
でも、ほんの彼女の仕草ひとつで
僕はこんなに心をえぐられている。
ふぅーと
息をついて
はぁー
息を吐く
適温の温もりに包まれて
雅なゆずの香りを吸い込めば
一年の中で一番長い夜に
心を募らせて目を瞑った
☆ゆずの香り☆
私はゆず胡椒が大好きだ。
何にでもゆず胡椒を入れる。
豚汁、味噌汁、うどん、鍋、カツ丼。
ゆずの香りが口の中に行き渡り最高に美味しい。
唐揚げも下味をつけるときに隠し味でゆず胡椒を使う。
ゆずの香りがほのかに香り、品のある唐揚げができる。
これがまた、美味。
餃子の時は、二種類作る。
普通の餃子とゆず胡椒入りの餃子。
(ゆず胡椒いりには、ニンニクはいれない。)
ゆずの香りでさっぱりして凄く美味しい。
我が家は、私以外イカの塩辛がみんな苦手だった。
だが、ゆず風味のイカの塩辛に出会い。
みんなそれなら食べれるようになった。
ゆずの香りが嫌な臭いを全部消してくれる。
ゆずは、最高の食材だ。
ゆずの香り
ご近所さんのお裾分けから
今の季節の香りがする。
晩の時間が一番長い季節
この季節が来た時
懐かしさとともに
寂しさが込み上げてくるものだ。
今日は
ぶくぶくぶくぶく
ぷはぁ!
ドボンと熱いプールに入って息継ぎ
体という体から汗がふきでる
白い湯けむりに視界はゆれ、だんだん力はぬけていく
チャポン ピチョン
ユラユラ スイスイ
ほら、嗅いで
爽やかでちょっと酸っぱい
今日はゆずの日
#ゆずの香り
柚子の香り
柚子の香りが好きなんだ。前にそういったのを覚えていたのか、彼からは彼がいつも身にまとっている香りではなくほのかに柚子の香りがした。
聞くと柑橘系の香水を買ったらしい。
理由についてはどれだけ問いただしても教えてくれなかったけれど。
店頭で、とても好きな香りの香水を見つけた。
私は普段香水をつけない。そのままの香りが好きと言われることが多いから
でもこの香水はずっと身にまとっていたい、これを私の香りにしたいと思えるほどに好きな香りだった。冬の寒い日を感じさせる、柑橘系の香りがほのかにする香水
「いつか付けていくね」なんていったけどそんな日は永遠に来なかった。
私ももう、彼の身に纏う香りを忘れた。柚子の香りなんて忘れてしまった。
冬は気温が寒いから、香水と体温が反応してより香りを纏いやすくなるのだと私は思う。
隣に座って一緒にバスに揺られる彼からは、紅茶の香水の香りがした。
「紅茶の香りする、香水?」
「そう。よくわかったね、家出る時にほんの少し身にまとったくらいだからもう取れてると思うんだけどな笑」
「私鼻は誰よりもいい自信あるんだ笑いい香りだね」
「君もいい香りだね笑なにか香水つけてるの?」
地雷を踏まれた。この人はどれだけ私の地雷を踏んだら気が済むのだろう。
「ううん、つけてないよ笑」
女の子の恋心は上書き保存、なんて世間では言うけれど私は違うみたいだ。
香りの記憶も何もかも上書き保存はされなかった。
ゆずの香るお風呂のあと、みかんの置かれたこたつに潜り込む。
むかしむかしの思い出はいつまでもキラキラで暖かい。
だから今日も頑張ろう。
今の時期しかできない特別な幸せ。
まんまるい宝箱がひとつ。
あなたも、たまにはゆっくりしませんか。
2022.12.23 -ゆずの香り-
『ゆずの香り』
私はあまりゆずの香りが得意でない
けれど
母方の祖父が
ゆずをきざんで
砂糖にまぶして
お湯で溶いて飲んでいた
背中を丸めて
不器用にきざんでいた
その姿をよく思い出す
あー、ゆずの香りがする。
自分の大好きな匂いのゆず。たまに湯船に浮かべてお風呂場を彩る。
ゆずを湯船に乗せるのって、とっても綺麗だし、いい匂いしない?
そんなことを友達に言ったとしても、いつも微妙そうな顔をされる。友達曰く、湯船にゆずを浮かべたことがないらしい。絶対人生の半分損をしている。だって、本当に、本当に美しいんだもの。だから明日は、友達にゆずのいいところをいっぱい教えてやるんだ!
私の名前は、ゆず 生まれたとき、ゆずの香りが、したからゆずだっそうだ。ママとパパが、言ってた。
私は、その名前が、きにいっている。
ある日遊んでいると、ゆずの香りがした。 香りをたどってみると、ゆずの木があった。
ありがとう…ゆずが、いった。
ゆずの香り
温泉に行けないかわりに、入浴剤で温泉に行った気持ちになる。
情緒がないと言われれば、それまでなんだけど。
とても良い「ゆずの香り」。
楽しいよ。
これで貴方がいれば、最高なんだけど。
ここは混浴ではないから、無理ですね。
最近、柚子の香りがする。
何故かと言ったら隣の人が、柚子で何かを作っているからだ。ベランダに出ると包丁とまな板がぶつかる音がする。きっと何か切っていて、それが柚子と言うことだ。
少し時間が経って、ぐつぐつと煮込む音がし、甘い柚子の香りがする。
そして、それが数日ぐらい続いているのだ。
大量の柚子でも貰ったのだろうか、それとも柚子好き?
そんなことを考えながら空を見る。
すると、インターホンが鳴りすみませーんと声がした。
私はベランダから玄関へ歩きだし、はーいと返答する。扉を開けると柚子の香りがまた強くなった。
湯船に浮かぶ橙色
ふわりと香る
誰の邪魔も入らない2人だけの時間
『ゆずの香り』
No.21『すだちの香り』
散文 / エッセイ風掌編小説
今日も19時に書く習慣アプリのお題が発表された。通知バーに表示された今日のお題は、ゆずの香りとのこと。
(なんでゆずの香り?)
と、一瞬考えたが、いつものように文章を書くために検索をして、発表された12月22日は冬至だということを思い出した。
わたしは徳島生まれの徳島育ちで、柚子にあまり馴染みがない。徳島県内でも柚子の産地の地域もあるが、基本的には徳島で柑橘類と言ったら『すだち』だ。
徳島県民は庭にすだちの木があったり、ご近所さんからお裾分けして貰ったりして、収穫時期はほぼ毎日のようにすだちを使う。収穫時期にはスーパーに山積みされるし、それほどまでにポピュラーなものなのだ。
お酒だと、すだち酎にすだち酒もある。勿論、すだちジュースも。アイスクリームは勿論、すだちシャーベットなんかのスイーツも馴染み深いものだ。すだちハニーは所謂ホットすだちで、焼き魚は勿論、味噌汁に果汁を搾って入れたりもする。こうしてこれを書いている時点でも、ゆずの香りと言うよりも、すだちの香りが鼻腔をくすぐっているような気がしていたり。
そんなこんなでわたしは今、何も浮かんでいない湯舟に浸かっている。
お題:ゆずの香り
#ゆずの香り
部活終わり、家に帰宅
バトミントンの試合は結局勝てなかった
「ただいま…」「おかえりお風呂入っちゃいな」
一番風呂はお母さんが沸かしてくれた
湯船にはゆずが浮いてる
私は湯船に浸かる
プカプカとゆずの香り
頬が濡れる
「明日は負けない」
私はお風呂を出た。
君の実家から送られてきた
冬至の組み合わせ
カボチャ尽くしにしようって
色んな料理を作ってくれた
コロッケはホクホクで甘くて
とても美味しかった
湯船には沢山の柚子が浮かんでいる
カボチャ料理で膨らんだお腹の僕を
優しく包む
ゆずの香り
ゆずの香り
今年もあとわずかになった12月22日。
我が家では、毎年恒例のゆずの砂糖漬けが出てきた。
蓋を開けると広がるゆずの爽やかな香り。宝石みたいな瑞々しい果実。
そのまま食べても美味しいけれど、紅茶に入れるのもおすすめだ。
このゆずが、冬の健康のお守りになりますように…。
―ゆずの香り―
恵方巻きだとか、
雛人形だとか、
精霊馬だとか、
日本の伝統なるものは、
子供の頃こそ積極的に行っていたものの、
私のように成人にもなると、なかなか
手をつけようとは思わない
ましてや私はなりたてほやほやの社会人
季節の行事に気を配れる程のゆとりはない
今日が冬至であることすら、
今朝、ニュースで取り上げられているものを
見るまで、気がつかなかった
ショッピングモールに行く予定があったため、
「冬至」、「ゆず湯にぜひ」などと
書かれた紙と共に陳列されたゆずを見てみたが、
3個入で600円、ひとつ200円するそうだ
ゆず湯に使ってから、他の何かに使えるほど
私は器用でないので、
買うのは勿体ないという考えに至り、
購入は諦めた
でも、ゆず売り場に漂うほのかなゆずの香りを
忘れることができなくて
考えた末に薬局へ赴いた
辿り着いたのはハンドクリーム売り場
商品棚を見てみると…
『ビンゴ』
過度な主張などはなかったものの、
心做しか他の商品より広いスペースを
割り当て、並べられているのは、
ゆずの香り付きのチューブ入りハンドクリーム
あまりにも思い通りだったので、
ビンゴ、と思わず口に出してしまった
たくさんあるハンドクリームの中から、
ひとつを手に取り、レジで会計を済ませた
帰路につき、就寝前に
ハンドクリームを塗ってみた
手を近づけるとふわっと香る、ゆずの香り
沈みかけていた日常に、
ほんの少しだけ、光が差したような気がした