私の家は、伝統文化を好む方ではないかと思う。
1月には七草粥、冬至には南瓜が食卓に並ぶ。
冬にはゆず湯に浸かる。
習慣化しているのだ。
上記を企画するのは、いつも母だ。
ではなぜ母が伝統文化を好むのか考えてみると、
そこには母の母、つまり私の祖母の影響があるからだろう。
祖母は自然が大好きな人だった。
お年寄りに自然が好きなイメージはあるが、祖母はその程度ではないような気がする。
毎日山に登っていたし、家の小さなベランダはたくさんの花や野菜で埋め尽くされていた。
聞いたこともないような野菜を買ってきて、晩御飯に出されたことだって一度や二度ではない。
祖母が買ってきた野菜の多くは独特な味がして、正直私は好きではなかった。
冬にはゆずを、夏にはみかんの皮を乾燥させ、湯船に入れて温もった。
湯船に方まで浸かり、10秒数えてから上がるのが、祖母の習慣だった。
私は5秒ほどで上がりたくなって、いつもうずうずしていた。
でも、今となってはそれでもいいのだ。
好まない野菜をいくら出されたとしても、湯に10秒きっちり浸からせられたとしても、
そこに祖母の暖かさを感じられるだけで十分なのだ。
最後の最後まで、自分でよりすぐりの果物を選び、彼女は食べていたそうだ。
私の習慣を作ったのは母。
母の習慣を作ったのは祖母。
祖母の習慣を作ったのは曾祖母。
もしかしたら、私の生活の一部に、
着物を着てお香を焚き、髪を伸ばした人の習慣が潜んでいるのかもしれない。
そう思うと、地味で面倒に見える伝統文化に浸るのも、案外悪くはないのかもしれない。
12/23/2022, 7:41:04 AM