『もう一つの物語』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
もう一つの物語があるのなら
どうしても読みたい本がある
私が私らしく生きて
その本を読めたなら
私はまた自分を見つけられるだろう
この世界では決して読めない本
愛する人は変わらない
けれどその本だけは読みたい
この世界の私が愛した
登場人物が書いた本
その本を読めるなら
きっと幸せな物語が紡げるだろう
「もう一つの物語」とかけまして
「立ち寄らない」と解きます。
その心はどちらも「ストーリー/素通り」でしょう。
お題「もう一つの物語」
それは誰にも知られることのない、もう一つの物語。
誰かのために必死で生きて、死ぬ思いでみんなを支えた、名も無き影の英雄。
名前を知られることもなく、ただそこにある事実だけが彼の成し遂げたことを語っていた。
〈もう一つの物語〉
あのとき、母に連れられて服を買うとき、母に渡された服を元の場所に戻して、自分の好きなものを買ってもらうことができたのなら、
あのとき、友の顔を一度浮かべてから、彼女への言葉を綴っていたら、
あのとき、自分に嘘をつくことなく、世間知らずで無いフリをせず、大人の言うことが全てだと思わず、経験者の言うことが全てだと思わず、自分の心に素直になっていたら……
今、どんな世界になっていたのだろう。私の世界は、違ったものであったのだろうか。
その世界は、真に後悔のない世界であるだろうか。
もう一つの物語
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.10.30 藍
「この物語はね、お姫様が死ぬお話なのよ。」
えーなんで?さっき読んでくれたのだと幸せになったって言ってたじゃん!!
「これは、他の人から見たお姫様なの。もう、幸せになった頃には本当のお姫様はもういないの。」
どういうこと?
「まぁまぁ、おばあちゃんが読んであげるから…
この物語はお姫様が自分を大切にして、愛していた頃から、死んでしまうお話よ。さぁ、はじましはじまり…」
もう一つの物語
お姫様はとても元気な子でした。
いつも外で走り回り、剣で騎士ごっこもしていました。
でも、周りの大人は姫として、女の子として完璧なものを求めました。
元気な子ではなくお淑やかな子に、
男の子が着るような服ではなく、ヒラヒラのドレスに
外で元気に遊ぶのではなく、お城の中でお茶や、刺繍を楽しむ女の子に。
お姫様は、自分の好きを全てを否定され、淑女として、
みっともない、こんなのが国の姫だなんて恥ずかしい
そんなことばかり言われました。
それでも、お姫様は笑顔を絶えませんでした。
『だって、私は、、この国の姫だから。
いつか、上に立つ者として、恥じぬようにするの。
私の全ては、姫に相応しくない。
だから、バイバイ。』
その日からお姫様は素晴らしいお姫様になりました。
皆が喜びました。
『これで、良かったのよね。私は正しいのよね。
皆のためになったのよね。』
よくここに来たね。知りたいかい?君のもう一つの物語。
この世界には二つの世界がある。一つは君たちがいる現実世界。もう一つはパラレルワールド、並行世界。君の行動を決めているのは君じゃなくて向こうの世界の君なんだよ。
『よう、オレ。元気か?』
ラインで写真と一緒にメッセージを受信する。
写真はコスプレした家族写真である。
「いいなぁ。僕も池袋のハロウィン行きたかったよ。ボクよ、呪われてしまえ」
俺は、恨みがましくメッセージが返す。
『仕事って言ってたな。頼られる男は大変だな』
相手の返信にちょっとイラッとする。
僕のことを“オレ”と呼び、僕は向こうを“ボク”と呼ぶ。
変な関係だが仕方がない
だって彼は僕の“ドッペルゲンガー”だから。
出会ったのは大学生、卒業旅行の時。
何の前ぶりもなく、ばったり出会った。
これはもう死ぬと直感で感じ、お互い猛ダッシュで逃げた。
そうお互いに。
あちらもヤバいと思ったとあとから聞いた。
向こうも僕のことをドッペルゲンガーと思ったそうだ。
お互い死にたくないので、友人を介し連絡先を交換し、連絡を取り合って出会わないように調整している。
それ以外にも、色々話し合った。
姿以外にも趣味やクセ、好きなアニメは全部同じだった。
違うところもある
もう一人のボクは売れない作家で、僕は会社勤めのサラリーマン。
僕も作家になりたかったが、才能の限界を感じ大学生の時筆を折った。
その選択に後悔はない。
でも彼の方はあきらめずに頑張っているらしい。
つまり彼は、もしあの時違う選択をしていたら、というIFの自分である。
なので身の上を話し合ってると、僕にあったかもしれないもう一つの物語を聞いているような、奇妙な感覚になる。
『オレよ。仕事ばっかしないで家族サービスしろよ』
「分かってる。ボクも遊んでないで仕事頑張れ」
『うるさい。今この瞬間が大事なんだよ』
というメッセージを送ったっきり、反応しなくなった。
いつものやり取りである。
ふと仕事机の上に立ててある写真をみる。
僕が写った家族写真だ
この写真を見るたびに、人生は面白いものだと感じる。
実は、もう一人のボクと同じことが一つある。
それは家族である。
どういう理屈か知らないが、“僕”の妻と子は、“ボク”の妻と子と、ドッペルゲンガーの関係にあるらしい。
あまりに似ているので、会わせてみたら案の定である。
あの時はお互い大笑いし、お互い説教食らった。
やり過ぎと言われれば、たしかにそうだ。
だけどホッとしたこともある
だってそうだろう。
僕と妻と子の間には、彼女たちに出会わないという、もう一つの物語なんて存在しないんだから。
・もう一つの物語
〜「空が泣く」より〜
初めて、恋をした。
コロコロ変わる君の表情が、愛しくて。
お日様を集めたみたいな、君の金色の毛が、大好きだった。君のふさふさのしっぽを見ていると、心が洗われる気がした。
君が嬉しいと、僕も嬉しくて、空はどこまでも高く青くなった。
君が悲しいと、僕も悲しくて、空は曇って世界は暗くなった。
堪えきれなくなって君が泣くと、僕も泣いた。雨が降った。
君が、結婚するらしい。僕は嬉しかった。空は晴れた。それはもう、澄み渡る
くらい、青く、美しく。
僕は不思議だった。幸せそうな君が、雨に濡れていることが。
***
幼い頃、私は晴れ女と呼ばれた。遠足も、誕生日も、いつも晴れだったから。
修学旅行の日、友達は言った。
「絶対休んじゃダメよ。晴れてくれなきゃ困るんだから」
休みがちになっていた私への、遠回しな優しさ。
参加するつもりはなかったけど、彼女がそういうなら。軽い気持ちで参加した修学旅行は、最悪だった。私を嫌う人たちと、三日間。
記録的な大雨になった。
私のあだ名は、雨女になった。学校でも、会社でも。空が憎かった。
「結婚式は、晴れるかな?」
愛する人が、何の気無しに呟いた一言。我に返って、私は微笑んむ。たぶん雨だろうな、と思いながら。
私の予想は的中した。
予想と違ったのは、彼の予感も的中していたことだ。
雨。そして晴れ。
キラキラ、キラキラ。
雨粒は無数のスパンコールのように、エフェクトのように、彼の上に、私の上に、降り注ぐ。
濡れて色が変わったドレス。仕方がないから屋内に避難させた豪華な料理。
「いい天気だね」
愛する人は、そう、微笑んだ。
【もう一つの物語】
高校生のころ、僕には居場所がなかった。
学校では、クラスメイトに執拗にからかわれたり持ち物を隠されたりした。僕にとっては、およそ居心地の良い場所ではなかった。
家に帰ると、その事情をまったく知らない家族が楽しそうに談笑している。一家団欒の輪の中に入りたくても入れず、すぐに自分の部屋に籠ってしまう日常だった。
ある日、どうしても眠れなくてラジオをつけてみた。いろんな番組をザッピングする中、気になる言葉が耳に入ってきた。
「がんばってもいいし、がんばらなくてもいいじゃない。前向きでも後ろ向きでも、どっちでもいいんだよ。明日も明後日もここで3時間くらい話してるから、よかったら好きな時に聴きにおいでよ」
それは、月曜から金曜の深夜2時から5時まで1人のパーソナリティが進行している番組だった。おそらくは番組に寄せられたメールへの言葉だったんだろうけれど、それはまるで僕に向けて話してくれたように思えた。
その日から、僕はその番組を欠かさず聴くようになった。次の日の朝、起きるのは辛いけど番組を聴く前より心は少しだけ軽くなっていた。逆に、学校で起こる問題は日に日に増していた。先生側も、寡黙で暗い僕にも原因があるかのような口ぶりで、自分ではもうどうしようもなくなっていた。
僕は、生まれた初めてラジオ番組にメールを送った。この番組が心の支えになっていること、今はどこにも自分の居場所がないこと、生きてるのが辛いけど番組を聴きたくて生きている、でも辛い、どうすればいいのか…とにかく今、自分が思っていることを全て書き連ねて伝えたい。そんな気持ちだった。
その日の夜、いつものように番組を聴いていると何処かで聞き覚えのあるラジオネームが呼ばれた。あの、僕の拙いメールを放送中に紹介してくれたのだ。しかも、今度こそ本当に僕に向けて、あのパーソナリティさんが語ってくれたのだ。
「この番組を聴くためにどうか生きていて欲しい。君が生きるためにここが大切な場所だというのなら、僕はそういう場所で在り続けるように精一杯努力する。君にはその道のりを見届けて、いや、聴き届けてほしいんだ」
涙が止まらなかった。こんなふうに、僕の気持ちを真正面から受け止めてくれる人は、家庭にも学校にも周りのどこにもいなかった。そして、見ず知らずの僕のために「精一杯努力する」なんて言ってくれる人は、この先もう現れることはないだろう。
この日、僕は誓った。たとえ辛いことが多くても、この先もずっとずっとこの番組を聴くために生きていく。
そしていつか、あのパーソナリティさんに直接会ってお礼の言葉と、いつか僕もラジオの「そちら側の人」になって、あなたと一緒に番組を作りたいって夢を伝えるんだ。
※2023年9月3日付【心の灯火】のもう一つの物語です
俺達が通っていた高校の被服室にはシンデレラがいた。なぜいたのかはよく分からない。考えたって、正解かどうかすらもう知りようがない。シンデレラは天野と一緒にどこかへ行ってしまった。
天野はバスケ部に所属していて、顔も整っていたので女子からモテた。しかしよく笑いよく喋る気さくな奴で、俺達男子からの嫉妬の的になることはなかった。クラスの中心にいた。今思えば、当時俺の姉が読んでいた少女漫画の王子様に似ている。王子なのだからシンデレラと恋に落ちるのは当然だったというわけだ。天野は彼女の美しい見た目よりも内面に惹かれたらしかった。
全員で参加すると決めた体育祭の次の朝。天野はシンデレラに手を引かれて被服室の鏡の中に消えていった。天野のいなくなった教室は寂しさでしんみりとしていたが、俺達は感傷に浸るよりもあの二人の幸せを祈るよう努めた。シンデレラは日本語が話せたけど天野はいつも英語で赤点を取っていたから、向こうで苦労していないか今でも少し心配だ。
誰と話して誰と過ごしていても
本当の自分で居れたことは無くて
その人が好きな私でいよう
嫌な気持ちにならないようにしよう
ってそんなことばかり考えてる。
でもそれが全部偽りの私って言う訳でもない
どれも本当の私。
私は人間がとても好きで
だから嫌われないように一生懸命なだけなんだ。
そんな私が1人でいる時
それが私のもう一つの物語。
お題 もう一つの物語
この星にもう一人の僕がいたとしたら、その僕はどんな暮らしをしているのだろうか?どんな服を着て、どんなものを食べて、どんな人と関わっているのだろうか?
「そんな事考えるなんてバカげてるな」
独り言ちた。どうやら僕は日々の忙しさに疲れているようだ。もう一人の僕がいたとしたら、この僕と代わってほしい。僕はどこか違うところへ逃げたい。とにかく助けてくれ。
「そうか。そんなにこの僕と代わりたいかい?じゃあ、代わってやろう」
突然天上から、僕そっくりの声が轟いた。まるでこの世以外からおりてきたかのような。
そして辺りの風景が一変した。見渡す限り虹色の花々で彩られた景色だ。
「ここなら誰にも邪魔されない。花咲き乱れる楽園だ。ここで暮せばいい。永遠に」
なんだって?永遠にだと?美しい風景だが、永遠に過ごすなんて地獄じゃないか!
僕は元の世界へ戻る方法を求めて、当て所なく彷徨う事になった。こんなところへ連れてきたもう一人の僕が見つかればきっと……探し出してやる!
もう一つの物語なんて、漫画や小説やドラマやアニメでしか見聞きする事ができない。それは、私達の想像力で生み出された産物であって、現実では無いからだ。
だから、私は人生においての重要な選択肢を可視化できるようになればいいのにと考えている。普段から、私達が選択する際にパネルが浮かんできて、その中から自分に合う選択を周りにも見える形で選択する。
そうすれば、多少は心が救われる気がする。傷ついた心も体もいつか糸で縫い付けられたボタンのように切り離さなければと思ってしまうこの脳ミソににも微かな選択肢を与えて欲しいものだ。
自分を救える、物語があるのなら。
お終い
◤勇者の裏側◢
「物資の搬入は?」
「終わってます!」
「明日の分の御者は?」
「手配しました!」
「雑魚モンスターの間引きは?」
「担当の者が現在行っております!」
「早く終わらせろ!」
これは魔王討伐の裏側で働く人たちのもう一つの物語
テーマ:もう一つの物語
もう一つの物語
君と別れてだいぶたって、
私は告白されたよ。
でも、全然喜べない
君は未だに思わせぶりをしてくるよね
こっちの気持ちも知らないのに。
元の関係に
戻りたいのか
戻りたくないのか
さっぱり分からないよ。
でも、一つ言えるのは
もうそろそろ
もう一つの物語が始まっちゃうよ 。
山合の湖が広がるこの場所に、昔、
だいだらぼっちが護る村がありました。
「違います、今は地龍に出世しましたっつぅの。なのに何でこのボクが、恋敵の女狐のお守りをしなきゃならないんだよ…」
最愛の部下、カマレが拾って来たのは、本来なら討伐するべき妖怪の“失敗作の合成獣の少女”だった。
この女狐、最初の頃は人形の様に意思がなかったのに、最近は心が在るように見えてきた、ボクのカマレが愛情を注ぎやがったせいだ。
女狐は、今さっきカマレが仕事に行った方角の夜空を無表情で見上げている。
「日の出まで帰って来ないぞ…はぁ、言葉解んないか………間抜けのどこが良いんだか…」
女狐が顔だけ動かしてこちらを見た。
無表情の紅い瞳をボクに向けたまま、足が使えない女狐は腕の力だけで動いて、部屋の隅にあるカマレが作った縫いぐるみを口に咥えて、こちらに迫って来た。
「何?何?何~~~!?」
角に追い込まれた。勿論余裕で迎撃出来るのだが、それをするとカマレは、女狐と村を出る。とか言い出すの高確率。
ボクの目の前の女狐は、どっこいしょ…という具合で拙く座ると、縫いぐるみを口から両手に持ちかえ……。
縫いぐるみでボクを叩き始めた。無表情で。
「てっ…とっ…うおっいっ…痛くねぇけど……うぅあ何なんっだぁぁぁ~……」
日の出まで続いた。
桃之介 「おじいさん、おばあさん。
桃之介は鬼ヶ島に鬼退治に行きます」
お婆さん「おお、行くか?黍団子持って行きなさい」
お爺さん「桃左衛門は戦闘力に全フリして
猛獣三匹を家来にしたもんだから
道中食費がかさんで途中で解散してしまったのだ。
桃之介よ、お前なら家来の三匹を如何にする?」
桃之介 「ふふふ、抜かりはありません。
牛、豚、鶏を家来に連れていきますゆえ」
お爺さん「・・・」
お婆さん「なるほどのぅ。では黍団子を可愛い袋に入れてと。
メスを連れて行きなされよ」
桃之介 「メスを…は!乳に卵。食肉にとのチョイスでしたが。
ありがとう、おばあさん。では行って参ります」
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お爺さん「桃太郎に期待するかの…」
【もう一つの物語】
一つどころじゃない
もしこうしていたら
あれをしなければ
なんて腐るほどある
でも
存在しない未来もない
未来は全て決まっていて
私たちは自分で選んでいるようで
全ては定められた命運
とも私は思わない
未来は私の選択で変わる
それは確かな事実だ
あなたの選択で私の未来が変わる
私の選択であなたの未来が変わる
自分の命運が誰かに握られた時
それで人のせいにできるなんて甘えるのも愚かだ
未来の選択は
たとえそれが
朝起きるか二度寝するかなんて小さな選択でも
ひとつの重い大事な選択
繰り返される日々の中で
その重圧から逃げた気になっているだけ
だから
運命とか宿命とかそんな無責任な言葉で終わらせない
全ての事は
私が選んだ私だけの大切な“使命”
わたしが生きる世界は
使命という選択に満ち溢れている
わたしのもう、「ひとつ」の物語
それは究極の二択
今、わたしが息をしていない世界
なのかもしれない。
私の人生にも、もう一つの物語があったら?
私はどうなっているだろう。
運動が得意かな?友達100人いるかな?それとも男の子に生まれているかも?
もしかしたら鏡の向こうの世界とか、夢の世界とかもあるかもしれないね!
そうだとしたら面白いよね!
ね、私。
私の体は相槌の代わりに、頭を撫でてくれた。
ふふ、ありがとう、大切な私の体。