お題 もう一つの物語
この星にもう一人の僕がいたとしたら、その僕はどんな暮らしをしているのだろうか?どんな服を着て、どんなものを食べて、どんな人と関わっているのだろうか?
「そんな事考えるなんてバカげてるな」
独り言ちた。どうやら僕は日々の忙しさに疲れているようだ。もう一人の僕がいたとしたら、この僕と代わってほしい。僕はどこか違うところへ逃げたい。とにかく助けてくれ。
「そうか。そんなにこの僕と代わりたいかい?じゃあ、代わってやろう」
突然天上から、僕そっくりの声が轟いた。まるでこの世以外からおりてきたかのような。
そして辺りの風景が一変した。見渡す限り虹色の花々で彩られた景色だ。
「ここなら誰にも邪魔されない。花咲き乱れる楽園だ。ここで暮せばいい。永遠に」
なんだって?永遠にだと?美しい風景だが、永遠に過ごすなんて地獄じゃないか!
僕は元の世界へ戻る方法を求めて、当て所なく彷徨う事になった。こんなところへ連れてきたもう一人の僕が見つかればきっと……探し出してやる!
10/30/2023, 9:16:03 AM