『みかん』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
みかん
何故か優しい気持ちになる
オレンジより柚子よりレモンより
蜜柑
みかん
ミカン
甘くて少し酸っぱくて温かい
〔みかん〕
あの頃のこたつ
三毛猫のミー
少し破れていた障子
朝の石油ストーブの匂い
みかんを食べると甦る
幼い頃、過ごした日々
畳を上げて新聞紙を敷き直したり
障子にパンチして貼り直したり
そんな大掃除してたなぁ
独り暮らしのフローリングには
畳も障子もありません
三毛猫は、
たまにマンションの前でこんにちはします
向こうはいつも無愛想ですけどね
#みかん
みかん好き。でも買うなら他の果物いっちゃうかな。
果物買うときはほぼグレープフルーツ。あとはパイナップルとか値引きされた果物の盛り合わせくらいか。
味だけでいうなら桃が一番好きかな。あとはパイナップル、グレープフルーツ、固い柿、いや、好きな果物をあげたらキリがないな。
でも桃は高いからな。値段を含めたらグレープフルーツが一番なわけだ。
とはいえ果物自体あんまり買わないけどね。
冬
私は
こたつにみかん
の世界だ
こたつむりになって
子供の頃から
変わらないもの
家族で毎年同じ神社へ初詣へ行った
妹と羽子板をして遊んで
宿題は後回し
冷たい空気は
頬をより赤くした
寒さに反して
心は暖かい
みかんとこたつで
ほっとひといき
コーヒーでも入れて
キーンコーンカーンコーン
鳴り響くチャイムの音。張りつめた糸が切れるようにだらけだした生徒たち。小さな溜め息と共に出される授業終了の声。感謝の気持ちなんか欠片もこもっていない形式だけの挨拶。
座りっぱなしで凝った肩をまわし,机の上を手早く片付ける。ざわめきに満ちた教室 人の群れを掻き分け闊歩するように近づいてくる誰か。その影は目の前に落ちた。
「今日はどこにする?」
「······美術室」
約束をしているわけでも何でもないのに,毎日こうして迎えに来るのは何故なのか。馬鹿正直に答える自分も自分なのだけれど。
そもそも授業が終わればすぐに教室をあとにしていた自分がほんの数分とは言えここに居ること自体が,おかしいことなのだけれど。
それ以上なんの会話もせずにただ一人美術室へと向かう。相手に気を使ったりなんかしないし,そもそも着いてきているかどうか視線を向けたりもしない。
ただ静かな足音が聞こえてはいるから,たぶん後ろにいるのだとそう思うだけ。
「失礼します」
誰もいない教室。油絵の具や木材 その他色々な匂いが入り交じった香りに迎えられる。
日の光が当たる席に鞄をおろし,水道で手を洗って弁当を広げる。目の前の人物はこちらにテーブルをくっつけていた。
「いただきます」
「いただきます」
唯唯黙って己の食事を済ませる。その間なんの会話もなく,時折外の景色を見つめたり 視線が絡むだけ。
······本当に何が楽しくてこんなことをしているのだろうか。
「ご馳走さまでした」
「はい,これ」
目の前に差し出されたのは皮の剥かれた蜜柑。状況をうまく理解できずまばたきを繰り返していれば,いつのまにかとられた手にオレンジの果実が乗せられる。
「······なんで?」
「ビタミン。体調よくないんでしょ?」
声を出したわけでもないのによくもまぁそんなことに気がつくものだと思う。妙に勘が鋭くて気が使えて,なのにどうしてこんなところにいるのやら。
「ありがとう。いただきます」
「どうぞ」
ふんわりと弧を描く口。茶葉から丁寧に淹れられたロイヤルミルクティーのような柔らかで甘い瞳の色。それが獲物を狙う獣のような欲を宿したように見えたのは目の錯覚だろうか。
親切心での行為に対してそんなことを思ってしまったのは何故なのか。さりげなく盗み見た瞳はいつも通りだったのに。
「······ねぇ,楽しいの こんなことしてて」
「もちろん。好きでしてるよ」
貰った蜜柑を口にしながら問いかければ間を置かず帰ってくる返答。それは糖度の高い蜜柑と相まっていやに甘やかに聞こえた。
テーマ : «みかん»
冬になると店頭に並びはじめるみかんだが、ただ食べるだけというのが殆どだと思う。私の中でみかんというと、年が明けてすぐ初詣に行って社務所の人から「お供え物のみかんだよ、どうぞ」と貰うみかんが思い出される。寒い中ポケットに入れて家に持ち帰り、家族と「今年もよろしくお願いします」と言い合ってからテレビを見つつ食べるみかんが美味しいんだ。お供え物の効果はよくわからないけど、家族が向き合って食べるみかんは幸せの塊のような気がしてくる。
2022/12/30『みかん』
「みかん」
腐りきって落ちた実、暗いうちに拾って持ち帰る。
腹が鳴って、しゃぶり食いながら歩いた。
腐って落ちたこの実があるから、僕は命を繋げる。
きっとひねくれた僕にも、これみたいな使いどころがあるんだろう。
らしくあろう。
男の子だから、男らしくあろう。
求めてる偶像はそれだろ?
でも幻想だろ?
別に最後は僕じゃなくてもいいんだろ?
求めてるのはボクじゃないだろ、、、?
その好きは本気?
僕の好きとあなたの好きは一緒?
重みは一緒?
想いは一緒ですか?
男らしくなればいいの?
僕らしさはなくなればいいの?
この時間はなんのためにあったのだろう。
何に向かって成長したの。
ただ、立ち向かって、いそしんで来ても
結局、手のひらに溜めた想いは、
さらさらとした砂のように。
風が吹いたらサッと消えていくように
あっさりと残らないんだ。
それでいいんだ。
もう忘れよう。
自分自身を見つめよう。自分に恋をしよう。
好きになろう。自分を愛せるのはボクだけなんだ。
静かに目を綴じて、胸が音を立てて。
生きててくれて、ありがとう。
#生きてる
『みかん』
食事を終えて、洗い物をして、私はダイニングテーブルでうとうとしていた。
お風呂からあがってきた彼が、眠っている私を見て、頭に何か丸いものを乗せる。
「……?」
私が起きると、コロンとみかんが転がった。
彼はベッドで寝ている。
私は彼に近づき、額の上にみかんを乗せた。
フフッと、目を開けずに彼が笑った。
みかんを持ち上げて見つめる。
「一緒に食べる?」
「うん!」
彼は起き上がって、私を膝の上に乗せた。
「はい、あーん。」
「え、あーん。」
剥いたみかんを一房口に入れる。
フフッと私も笑って、
「はい、あーん。」
彼の口元にもみかんを寄せると、パクッと食べてもぐもぐ。
「今度は口移しかな。」
「えー。」
「えーって。」
彼がみかんを一房口にくわえて、口唇を寄せる。
私はパクッとみかんだけ食べた。
彼は笑って、
「今度はお前を食べたいな。」
私に口唇を寄せる。
「私は食べ物じゃありません!」
言うと、彼は目を閉じたままフフッと笑った。
「お前は甘酸っぱいな……」
口唇を合わせる。
甘酸っぱい味がした。
前の僕にはなかったこんな暮らし。
みかんを食べることは出来ないけど暖かいこたつ暖かい家に暖かい家族、それだけで僕は十分かな。
無意識にゴロゴロと喉がなり、瞼が重くなる。
これが幸せっていうんだね。
子供の頃家族みんなでこたつに入って
みかんを食べるのが好きだった
いつからだろう、歳を重ねるごとに
それをしなくなったのは
忙しくてそんな余裕もない
あの温かかった記憶は
もう記憶のままなのだろうか
寒い日に こたつに入って みかん食う 草摩信乃
みかん
みかんを一つ。
みかんを二つ。
みかんを三つ。
皆で、食べれば、美味しく、あっという間になくなる。
みかん、されど、みかん。
みかんの美学は、いずこに。
みかん色
雰囲気がだいすき。
オレンジ色とはちょっと違う
やっぱりみかんいろ
みかんのヘタの裏を見ると
ふさの数がわかる
白い筋はアルベドといって
栄養価が高い
みかんを揉むと甘くなるのは
細胞修復にクエン酸が使われるから
色々な人が教えてくれた豆知識
みかんを囲むと 話題が弾む
みかんは冬の大切な
コミュニケーションツール
みかん
みかんはどうも好きにはなれなかった。においといい、味といい、食感といい、なんだか苦手なのだ。
だから、ずっと避けてきた。それなのに、君が言うから。
「冬はこたつにみかんだろ」
さも当たり前かのように、当然といったような表情で君がそう言い切るから。
君のためだけに普段買いもしないみかんを買う。良さなんて何もわからないけど、君が満足そうにしているから、それでいいか、と思っていた。
それなのに、君が急に別れを告げるから。食べもしないみかんが大量に残っていて、せめて持って行ってよ、と言えば、買ってなんて頼んでないし、なんて言われてしまう。たしかに、と返す言葉もなかった。
ああ、さらにみかんのことが嫌いになりそう、そんなことを思った。
「みかん、食べすぎると手が黄色くなるのって本当かなぁ?」
「えっ、何急に。」
「この前おばあちゃんから大量のみかん送られてきてさーここ最近、毎日私みかん食べてるからさぁ〜比べさせて?」
手の色なんて気にしたことないんだけど…とは言えない。
まぁでも、比べてるみるのは面白そうだ。
お互い、手のひらを比べ合う。
「……手って手相の見え方とか質感?とかも結構違うものなんだね」
「確かにー。でも、私の手割と乾燥してるからますますそう見えるのかも」
まぁ、でも、
「色は違うけど、これ何色?一言で言えない感じがする」
「肌色でいいんじゃない?」
「いや、なんでそこだけ適当なのよ」
彼女の手は黄色い感じは確かにある。
でも、黄色かと言われたらわからない。
そもそも私と比べただけじゃ参考にはならないだろう。
「結局、よく分からなかったなぁ」
「良いんじゃない?人の手の色気にする人なんていないでしょ。それに、もし黄色くなるにしても1日7個とか8個とか…食べ過ぎなければ平気でしょ」
「私多くても1日3個」
「なら大丈夫だよ…って1日3個ってまさか」
「あぁ、お弁当にあるよ。みかん」
「えぇっ、お弁当のみかんだけは私無理…」
「えー何でー?」
「なんか、感覚的に?わからないけど」
「どうゆうこと?あ、〇〇いるじゃん。おはよーねぇ、突然だけどお弁当のみかんどう思う?」
…その後もその質問をして説明をするの繰り返しだった。
あれ、私今日、みかんの話しかしてなくない?
まぁいっか…面白かったし。
みかん、明日食べよっかな。
【 みかん 】
俺には幼馴染が居る。
家が隣で家族ぐるみで仲がいい。
そいつは明るくて元気で、みかんのような明るいオレンジ色が似合うやつだ。
俺はずっとそんな彼女が好きだった。
今日も彼女はアポなしで俺の家に押しかけてきた。
「やっほ〜!」
「やっほーじゃねぇよ。俺さっきまで寝てたんだけど」
「ごめんごめん。でもさ、今日はいいお知らせ持ってきたんだよ!」
いい知らせ...?
まさか
「人生初の恋人ができたの!」
「...」
言葉が出ない。
予想していた最悪のことが起きてしまった。
そりゃいつかはこいつにも恋人はできる。
でも、俺が勇気を出すまで少しくらい待ってくれてもいいじゃないか。
俺が何も反応出来ないでいると、
「どうしたの?」
彼女は俺の顔をのぞきこんで心配してきた。
こいつは何も知らない、俺の思いを。
悪いのは勇気を出せずに、幼馴染の関係に甘えていた俺だ。
「うっせぇよ。そんなこと言いに来たなら帰れ。」
「釣れないなぁ、でも人生初の恋人だよ?
ちょっとくらい祝ってくれてもいいじゃんか〜」
彼女は口をとがらして言った。
少し間が空いて俺は口を開く
「...良かったな。」
ただ一言だけ。
「うん」
彼女は幸せそうに笑う。
その笑顔は俺に向けられたものでは無い、
ここには居ないこいつの恋人に向けてるんだ。
そう思うだけで胸が苦しくなる。
今、俺はちゃんと笑えているだろうか、
引きつっていないだろうか。
「そうだ、お母さんに言われてミカン持ってきたの、食べよーよ。はい」
「ん」
渡されたミカンの皮をむく。
ミカンなんて何時ぶりだろう
ひと房口に入れると酸味と甘みが口の中で溢れる。
涙が出てきそうだ。
俺の恋もみかんのように甘酸っぱい恋だった。
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最後、無理矢理繋げた感があったかもしれないです...
「みかん食べたら爪きいろくなるー!」
にこにこしながらそう言ってみかんを頬張る娘をみると心が暖かくなったり。
私にもこんな時代があったんだなぁ。
冬になるとなぜかいらない記憶が蘇るんだよね。
未来
「みかんってさ、家族で食べるものじゃない?」
伏し目がちにみかんの皮を剥きながら、彼女はそう言った。
「…そうかな?」
「そういうイメージがある」
僕の曖昧な返事に、彼女はみかんを剥き続けながら答えた。
「こたつに入ってさ、このみかん酸っぱいねーとかこっちは甘いよーとか言ってさ、…食べてたなぁ昔。冬になるといつもこたつの上に置かれてあったし」
…たしかにそう言われてみれば、そんな思い出もあるような気がする。僕が昔の事を思い出していると、
彼女は剥き終えたみかんを一房口に放り込んでいた。
「うわ、酸っぱい」
大袈裟に顔をしかめて言うもんだから、思わず笑ってしまった。
「ね、そっちのみかんも酸っぱいの?」
彼女は僕が食べていたみかんに視線を移してそう尋ねた。
「ううん、こっちのは甘い」
そう答えると、なんだか彼女は照れたように笑った。