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【 みかん 】

俺には幼馴染が居る。
家が隣で家族ぐるみで仲がいい。
そいつは明るくて元気で、みかんのような明るいオレンジ色が似合うやつだ。
俺はずっとそんな彼女が好きだった。

今日も彼女はアポなしで俺の家に押しかけてきた。
「やっほ〜!」

「やっほーじゃねぇよ。俺さっきまで寝てたんだけど」

「ごめんごめん。でもさ、今日はいいお知らせ持ってきたんだよ!」

いい知らせ...?
まさか

「人生初の恋人ができたの!」

「...」

言葉が出ない。
予想していた最悪のことが起きてしまった。
そりゃいつかはこいつにも恋人はできる。
でも、俺が勇気を出すまで少しくらい待ってくれてもいいじゃないか。

俺が何も反応出来ないでいると、

「どうしたの?」

彼女は俺の顔をのぞきこんで心配してきた。
こいつは何も知らない、俺の思いを。
悪いのは勇気を出せずに、幼馴染の関係に甘えていた俺だ。

「うっせぇよ。そんなこと言いに来たなら帰れ。」

「釣れないなぁ、でも人生初の恋人だよ?
ちょっとくらい祝ってくれてもいいじゃんか〜」

彼女は口をとがらして言った。
少し間が空いて俺は口を開く

「...良かったな。」

ただ一言だけ。

「うん」

彼女は幸せそうに笑う。

その笑顔は俺に向けられたものでは無い、
ここには居ないこいつの恋人に向けてるんだ。
そう思うだけで胸が苦しくなる。

今、俺はちゃんと笑えているだろうか、
引きつっていないだろうか。

「そうだ、お母さんに言われてミカン持ってきたの、食べよーよ。はい」

「ん」

渡されたミカンの皮をむく。
ミカンなんて何時ぶりだろう
ひと房口に入れると酸味と甘みが口の中で溢れる。
涙が出てきそうだ。
俺の恋もみかんのように甘酸っぱい恋だった。

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最後、無理矢理繋げた感があったかもしれないです...

12/29/2022, 2:24:36 PM