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2/13/2023, 3:15:22 PM

【 待ってて 】

※女の子同士の片思いです

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「ずっと好きだったの。」

「え」

学校からの帰り道、私は突然友人に“告白”された。
私は必死に頭を巡らせる。
あれ、今日ってエイプリルフールだっけ?
エイプリルフールにしては寒すぎる季節だ。

そんな私を見て友人は

「なんて言われても困るだけだよね。」

困った顔で笑った。
だから、本気では無いのだと思った。
いつもの軽い冗談なのだと

「なんだ冗d」

「でも、私は今言ったことを忘れて欲しいとは言わないよ」

もうそういう冗談やめてよと言おうとしたら言葉を遮られた。
頭が真っ白になる。
告白されたことが嫌なのではなく、関係が崩れるのが嫌だった。
私たちが長い間紡いできた関係が、恋愛という感情に一瞬で壊されてしまいそうな気がして。

まだ理解に追いついていない私をよそに友人は話を続けた。
その目は私を、私の瞳をじっと見ていて今なら何もかも見透かされてしまいそうだ。

「私決めたの、もう待ってるばかりの自分にならないって。
ねぇ、私のこと、友達じゃなくて恋愛対象に入れてよ」

あまりにも寂しそうな声で言うものだから私は断れなかった。
代わりに

「ダメって言ったら?」

ずるい言葉で返した。自分でもわかってる、卑怯だって、逃げてるって。
でも今の私にはこれが精一杯だった。
どんな答えが返ってくるのか、怖くなった私はぎゅっと目をつぶった。
すると、友人の暖かい手が私に触れる。

「それでも私の想いは変わらないよ。
私を見てくれるまでアプローチし続けて、無理やり恋愛対象になってやる!
だからさ」

「恋人作るのはちょっと待っててよ」

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1/17/2023, 10:06:25 AM

【 美しい 】

「この世でいちばん美しいものってなんだと思う?」

「さぁ?景色、とか…?」

「景色も正解かもね。でもね私はこの世でいちばん美しいのは時間だと思うの。」

「時間?」

「そう、時間が経って景色が変わっていくから私達はその時を美しいと思える。
花だって枯れてしまうから咲いているときを綺麗だと思える。
それって時間が美しいからだと思わない?」

「はぁ、そんな難しいこと僕に聞かないでよ」

「ふふっ、お子ちゃまの君にはやっぱり難しかった?」

「お子ちゃまって、1つしか歳変わらないでしょ」

「いつか分かるといいね」

君は時間を美しいと言ったね、僕も確かにそうだなとも思ったよ

でも、それ以上に何かを真剣にしている君は美しいんだ。

なんて、君には言わないけどね

1/15/2023, 9:51:32 AM

【 どうして 】

休み時間。
どうしてだろう
君が他の人と話す度、心がもやもやする。
君が他の人と楽しそうにしてるだけで、耳を塞ぎたくなる。
君が他の人に笑顔を向けた時は、あと少しで奪い取ってしまいそうだった。

だめだ、もう考えるのはやめよう

視線を逸らし、自分の席に戻ろうとした。

その時、突然誰かにポンっと肩を叩かれた。
振り返ると先程の君がにこりと笑って立っていた。
何でここに?と戸惑っていると

「嫉妬、した?」

耳に顔を近づけ小声で囁いてきた。確信犯だ。
図星をつかれた僕は直ぐに君から離れ、顔を背ける。

「す、するわけないだろっ」

嘘だ、本当はめちゃくちゃ嫉妬した。おかしくなってしまうくらいに

でも、ここで本当のことを言ってしまえば、君は僕を笑うに違いない。
それは僕のプライドが許さなかったんだ。

今、後ろを振り返れば小悪魔のように微笑む君がいるだろう。
だから僕は絶対に振り向かない

そんな僕の心に気づいたのだろうか
君は少し考えたあと、僕の方に近づいてきて無理やり視線を合わせる。
そして

「意地悪してごめんね」

なんて上目遣いでじっと見つめてきた。
こんなの…ずるい。反則だ。
これで許さないやつなんていないだろ

「…いーよ、別に」

僕は恐らく真っ赤になったであろう顔を隠しながら小さい声で言った。
すると

「!ありがとう」

先程、他の人に向けていた笑顔とは全く違う満面の笑みを君は僕に見せてくれた。

不思議だ。
ついさっきまで嫉妬という感情が頭の中をぐるぐると回っていたのに、今は幸せで溢れてる。
もやもやしていた心が消えて、まるで暖かい春の日差しに包まれているかのようだ。

どうして、君といると色んな感情に振り回されてしまうのだろう。
それは、きっと僕が答えを出すことなんて一生できないのだろうな

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【 after story 】

「あ、そういえば」

「君が嫉妬して泣きそうになってる時の顔、結構可愛かったよ」

「っ!お前絶対反省してないだろ!!」

やっぱり、僕の彼女は常習犯の小悪魔です。

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ちょっとツンデレな男の子と、確信犯の小悪魔ちゃんの話でした。

12/29/2022, 2:24:36 PM

【 みかん 】

俺には幼馴染が居る。
家が隣で家族ぐるみで仲がいい。
そいつは明るくて元気で、みかんのような明るいオレンジ色が似合うやつだ。
俺はずっとそんな彼女が好きだった。

今日も彼女はアポなしで俺の家に押しかけてきた。
「やっほ〜!」

「やっほーじゃねぇよ。俺さっきまで寝てたんだけど」

「ごめんごめん。でもさ、今日はいいお知らせ持ってきたんだよ!」

いい知らせ...?
まさか

「人生初の恋人ができたの!」

「...」

言葉が出ない。
予想していた最悪のことが起きてしまった。
そりゃいつかはこいつにも恋人はできる。
でも、俺が勇気を出すまで少しくらい待ってくれてもいいじゃないか。

俺が何も反応出来ないでいると、

「どうしたの?」

彼女は俺の顔をのぞきこんで心配してきた。
こいつは何も知らない、俺の思いを。
悪いのは勇気を出せずに、幼馴染の関係に甘えていた俺だ。

「うっせぇよ。そんなこと言いに来たなら帰れ。」

「釣れないなぁ、でも人生初の恋人だよ?
ちょっとくらい祝ってくれてもいいじゃんか〜」

彼女は口をとがらして言った。
少し間が空いて俺は口を開く

「...良かったな。」

ただ一言だけ。

「うん」

彼女は幸せそうに笑う。

その笑顔は俺に向けられたものでは無い、
ここには居ないこいつの恋人に向けてるんだ。
そう思うだけで胸が苦しくなる。

今、俺はちゃんと笑えているだろうか、
引きつっていないだろうか。

「そうだ、お母さんに言われてミカン持ってきたの、食べよーよ。はい」

「ん」

渡されたミカンの皮をむく。
ミカンなんて何時ぶりだろう
ひと房口に入れると酸味と甘みが口の中で溢れる。
涙が出てきそうだ。
俺の恋もみかんのように甘酸っぱい恋だった。

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最後、無理矢理繋げた感があったかもしれないです...