『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お雛様も三人官女も、飾られるのは年に一度。
しきたりなんて知らないわ。
今日の主役は、あなたたち全員!
これまでのあらすじ:陽菜ちゃん(5歳)は転んで頭をぶつけたせいで、前世で大好きだった推し、りょーじくんのことを思い出した! 陽菜ちゃんのことが大好きで心配性なパパの協力のもと、日々推し活にいそしんでいるよ! (先月の『ブランコ』『待ってて』『バレンタイン』のつづきだよ!)
「陽菜ちゃ〜ん💕 今日は『ひなまつり』! ひなまつりってのはつまり、陽菜ちゃんのためのお祭りなんだよ〜! ……ん? これは……」
「あのね! ひな、よーちえんで、おひなしゃまつくったの〜」
「そっかそっか! うん、とってもかわいい、上手! ウチの陽菜ってやっぱり、神童なんじゃないかな……と、あれ? こっちのは、」
「りょーじくんの、あくしゅた?」
「うん。これ、りょーじくんのアクスタに、折り紙の着物着せてるのって、」
「えへへっ。あのね、おひなしゃま!」
「えーと、この水色の着物のりょーじくんがお内裏様だよね? 隣の紫色の着物着せたアクスタは、」
「いっぺーくん!」
「そう、いっぺーくん。……りょーじくんと、いっぺーくんの結婚……?」
「あっ、えっとねえっとね、けっこんとか、わかんなくって、んっとね……なかよし、なの!」
「っ、なかよしね、なるほど! なかよしさんだからかー、そっかそっか。結婚とか、陽菜ちゃんにはまだわかんないよなー、うん、わかんなくっていいんだよー、ハハハッ。じゃあ、なかよしさんをウチのお雛様と一緒に飾ってあげようか。でも、他のメンバーのアクスタは、なかよしさんの仲間にしてあげないの?」
「それは、おしかぷ……」
「ん? かぷ?」
「あわわ、えっとねえっとね、パパだいしゅき〜!」
「っっっ! パパも陽菜が大好きだよ〜💕」
君は誰にだって笑顔を振りまいている。
いつだって他人への優しさを忘れない。
そんな君が僕には理解できない。
なんのために人に優しくするの?
そう聞くと君は少し不思議そうな顔をした。
『善意ってさ、巡り巡って自分に返って来るものじゃない?
だからこれは、いつか自分を助けて貰うための先行投資なんだよ。』
君は当たり前のようにスラスラと述べる。
僕にはそれが不思議で、好奇心を唆られて仕方が無かった。
善意が返って来るなんて、考える余地も無く
限りなく有り得ないに近い幻想だ。
だって、人間は自己中心的な生き物だ。
善意を向けても、嬉しいありがとうで終わり。
返そうなんて思考に至る人間は少ないだろう。
この世界は君が言うような素敵な作りにはなっていない。
世界はもっと残酷で、優しく無いクソみたいなものなんだ。
予言しよう、君はいつか利用されるだろう。
今日は君は体育の授業で体調不良を起こした生徒を保健委員でも無いのに保健室まで送っていた。
体調不良の生徒を保健室に送りたいなら保健委員にでも入れば良いのに。
そう言うと君は、もう学級委員に入っているからと
それはそれは素敵な笑顔を向けてきた。
どうしてか僕は言いようのない苛立ちに襲われた。
自分がそんなステキな行いをしている間何と言われているかも知らないで。
君が生徒を保健室に送っている間、体育館では
『でたよ偽善者』
『保健委員の仕事奪うな』
『点数稼ぎお疲れー』
……と散々な言われ様だ。
まぁそうであろう、人は今起きてる現状しか見れない。
関わりの薄い人間の像は目に見える現状の積み重ねだ。
善い行いをしているだけの人間の不可解さが、理不尽な歪んだ解釈になるのも無理はない。
僕も、保健委員の仕事を奪っている暇があるのなら己の学級委員の仕事に専念するべきだとは思う。
しかし何も知らない輩が陰でコソコソと、少なくとも善行を行っている人間を悪く言う姿は滑稽そのものだが。
また別の日君は教科書を忘れた生徒に自分の教科書を貸してやり、自分が教科書を忘れたと名乗り出ていた。
教師にまたかと説教を受けても、笑顔で席に着いていた。
これを君は
『だって忘れ物は成績に影響しちゃうんだよ?
あの子進学希望だーって言ってたからさー』
とまた笑った。
全く意味のわからない奴だ。
僕の常識が尽く覆される。
普通、忘れ物は自己責任だ。
それで進学に影響してしまったなら、自業自得だ。
黙って結果を受け入れるべきなんだ。
どうして君はそんなにお節介焼きなんだ。
今度はクラスで大切にされていた
卒業生からの贈り物の花瓶が、割れてしまう事件が起きた。
先生は大きく怒鳴り散らす。
『犯人が名乗り出るまで今日は帰れないからな』
そう言われたって名乗り出る奴はいないだろう。
しばらく静寂が続く、誰も何も言わない。
発見されたのは本日の授業が全て終わった、帰りのホームルームのときだった。
静かな教室の中で、ポツポツと少しずつ
『あんたがやったんじゃないの?』
『お前の方こそ忘れ物取りに行くとか言ってたじゃねーか、そんときに割ったんじゃねーの?』
皆早く帰りたくてイライラしているんだ。
ちらほらと犯人探しが始まる。
その声を一瞬で黙らせるような怒号がまたも響く
『さっさと名乗り出なさい!自分のやったこともわからないのか!』
担任だ、教室は一気に静まり返る。
『はい!』
教室の端の方で、一人の声が静かな教室に響く
『ごめんなさい、花瓶割ったの私です。』
声を震わせながら名乗り出たのは、君だった。
やっぱり君は名乗り出ると思っていた。
本当におかしな奴だ、花瓶を割ったのは僕だというのに。
教師は浅くため息をつき言った。
『じゃあ、君はあとで職員室に来なさい。他はもう帰っていい。』
君は言った。
善意は巡り巡って自分に返ってくる。
そんなのはやっぱり嘘だ。
僕が花瓶を割ったとき、君が保健室に連れて行った生徒も、教科書を貸してやった生徒も見ていたんだから。
やっぱり、世界は優しくなんか無かった。
君の言動を見て揺れていた僕の世界が、もう一度確定された。
最後教室を出ていくとき、目が合った君はやっぱり笑顔だった。
【ひなまつり】
3月3日
今日はひなまつり
特に何かするわけでもなく
淡々と1日が過ぎていく
小さい頃
お雛様達を飾ったことがないから
特別な日とは思わない
だけど今回だけは
ひなまつりケーキを食べた
甘かったけど美味しかった
たまに
こういう日があってもいいな
そう思えた日だった
「ひなまつり」
娘が小さい頃は、毎年お雛様を飾っていた。
2人で箱から出して、飾り付けて。
ちょっと甘酒も飲んだりしながら、ひな祭りの歌も歌ったなぁ……
片付けもまた大変だったけど、2人でああだこうだ言いながら片付けるのも又楽しかった。
でも、もう今では娘も大きくなって、数年前から飾らなくなってしまった。
でも、家のお雛様は母が私に買ってくれた物だから、このまま片付けっぱなしは淋しい。
母子家庭で、生活も苦しかったのに、母は七段飾りのお雛様を買ってくれた。
自分の為にはお茶1本買う事のない人だったのに、私の為にはこんな高価な物を買ってくれた。
値段じゃないけど、母の想いが嬉しかった。
いつかもし娘が結婚して、女の子の孫が生まれたら、このお雛様を飾りたい。
もしそんな機会がなかったとしても、いくつになっても自分の為に飾ってもいいかも?
物には思い出が宿る。
その時その時の気持ちが蘇る。
いつかお雛様を飾る時に、思い出すのは母の事だろうか?娘の事だろうか?
どちらにしろ、きっと幸せな思い出だと思うし、そんな思い出を更に作る為にも、楽しい、優しいひな祭りを過ごしたい。
ひなまつり
娘がいない3月3日は、これで何年目だろう。
独り立ちしている娘を褒めてやらないといけないのだろうが、お雛様を見ると、ふと淋しくなる。
昔、お雛様を見て、これが自分のお雛様なんだと無邪気に喜んでいた姿。
成長していくにつれ、お嫁に行き遅れるから早く片付けろとばかり言うようになった。
3月3日が近づくと、いつも思い出す。
まだ娘が幼い頃、トイストーリーを見て、
「あのお雛様も、私が寝ている時に、箱の中から出してって喋ってるのかな?」と言った事を。
今年も箱の中から出してあげるよ。
ひなまつり
そういえば、コロコロ、カラカラしている大きな箱。ゼンマイを巻くと鳴る童謡。最後に思い出したのはいつだろう。中学生までだろうか、お母さんが妹のために身体を半階ほど登らせ押入れの奥からひなまつりと書いてある段ボールを引っ張り出した。
はいからなアラレに心躍らせたのはもっと昔。おばあちゃんが持ってきてくれた桜餅を食べて、初めての美味しさにほっぺが落ちる感覚を覚えたのは、そのさらに前の話だ。
思えば、この頃はやけに拗ねてみたくなっていた。自分が祝われるのは2ヶ月先のこと。兜に鯉のぼり、柏餅。この時期なのに頭の中はそのことでいっぱい。妹は早くていいなーなんて。一緒におんなじもの食べるくせに、当時はそれよりも、祝ってくれる事に妬いていたのだろう。今になって思えば、誰かが祝ってくれることの貴重さを知って思えば、なんて羨ましい境遇だろう。
もう私は些細なあのお菓子の甘さでさえ胸が焼ける
ヨタヨタとおぼつかない足取りで俺の元に飛びついてくれる、可愛い俺たちの天使。
満面の笑みを向けながら受け止めると、そのまま抱き上げた。
キャッキャと喜ぶ天使。
この可愛さプライスレス。
愛しい人との初めての子供だから、可愛くて仕方がない。
愛しい娘が、この先も健やかに過ごせるよう願いを込める日だから、今は妻が娘のために色々用意してくれている。
「ぱぁ〜あ?」
「なぁに〜?」
妻に似た無垢な瞳が俺をとらえる。
ああ、愛しい天使がこの先も健やかにありますように。
おわり
六五六、ひなまつり
両側の官女は未婚らしいって叔母の視線は内裏を刺した
題-ひなまつり
うちの姫様は目標に向けて
ラストスパートをかけてます
なのでほっといておりますが
勉強中の姫様へ
ばあば母がLINEしてしまいます
普段から姫様は愛想は全く御座いませんが
言葉も冷たく聞こえてきそうな姫様ですが
全て終えてたらばあば母を浜名湖に連れてき
鰻を食わせると申しております
優しい我が家の姫様なのでした…🍀
頑張れ!!🍀(笑)
しまうのが遅れたらお嫁さんにいけなくなるんだって。へえそれはいいね、なんて。言えたらどれだけよかったか。対の雛が二つ並ぶ姿はなんだか不気味で。ほんとうにそうだったらいいのにだなんて思ったわたしは罰当たりだね。
【滑稽な祈り】
いつから出さなくなったっけな。
七段の飾り雛、精巧なお道具、煌びやかな籠
桃の匂いのしなくなった節句
小さな私が微笑む絡繰音箱
かちりかちりとゼンマイを回して、あかりをつけましょう
呆然と立ち尽くす俺を振り向いた同居人は「あ、おかえり〜」と笑った。
同居人の手の中のものを指差して「なんだそれは」と訊けば、同居人は「雛人形だけど」と答えた。見たらわかるでしょとでも言いたげな様子だ。あまりにも当然のような顔をしているから、一瞬、おかしいのは俺の方かと錯覚しそうになる。
いや、どう考えてもおかしいのはこいつだ。だって成人男性のふたり暮らしの家に、雛人形があるはずがない。
「そんなんどっから持ってきた」
「メルカリで買った」
「なんで買った」
「せっかくのひなまつりだし」
スーパーで売ってるひなあられが美味しそうだったからつい買っちゃった、とかいうのはまあ、まだわかる。クリスマスに「せっかくだから」と言ってチキンやケーキを食べる、みたいなものだ。
けれどもこいつの「せっかく」は意味がわからない。クリスマスのノリで雛人形を買う奴があるか。あと、メルカリで売ってる雛人形って、なんかわからんけどちょっと怖い。
「こんなもん買ってどうすんだ」
「女の子の健やかな成長を祈る」
「気色悪っ」
「ひどいな、お前の分も買ってやったのに」
ほら、と言って、もう一体の雛人形を渡される。なんで俺の分があるんだよ、いらねえよ、と言いたくなったがそれよりも、俺は恐ろしいことに気づいてしまった。
「いやお前これ、三人官女!?」
「そうだよ」
「なんでお雛様とお内裏様じゃねえんだよ!?」
「お雛様とお内裏様のセットより、三人官女のセットのほうが安くてお得だった」
同居人はそう答えてから、こっちに残りの奴いるよ、とダンボール箱からもう一体取り出した。
俺はもはや、こいつが怖い。三人官女だけをメルカリで買う意味がわからない。普通、主役の二人を買うだろ。もしくは全員セットになってるやつを買えよ。いやそもそも雛人形自体を買うなよ。馬鹿野郎。
【テーマ:ひなまつり】
... 嫌いだなぁ 笑
願われたって何も変わらないし ... 笑
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ひなまつり→毎年3月3日に女性の成長、健康 、幸せを願う日本の伝統行事
2026/3:3/(火)
「ひなまつり」
《ひなまつり》
3月3日ひなまつり
幼いことはひな人形が玄関に飾られていたのに
いつからか無くなった
今までは気にしてなかったのに
ふと気づいて少し寂しい
ひなまつり(オリジナル)
ひな祭りには家族総出で7段の雛壇を組み立てる。
おばあちゃんがくれたものらしい。
古風で立派な雛人形達は嵩張るので、普段は分解して大事にしまわれている。
箱から出す時、人形の頭と胴が繋がっておらず、子供心にとても不気味だった。
それでも、着せ替え人形のようで楽しい。
お父さんは7段の骨組みを、お母さんと妹と私は、ワイワイ言いながら人形や飾りを組み立てた。
いつも出来上がると満足して、あまりかまわなくなるのだけれど。
今日は目についた。
幼い妹とのかくれんぼ中、雛壇の後ろのスペースに隠れられるのではと思ったのだ。
雛壇の後ろを見ると、子供がかろうじて通り抜けられるくらいの隙間があった。
親に怒られるかもと思い、ちょっと周りを見回して、えいやっと中に潜り込んだ。
雛壇には赤い布が敷かれているので、中は真っ赤だった。
なんだかとても不思議な空間だ。
赤い光が私を照らし、私も赤くなる。
私は楽しくなって、クスクスと笑った。
入り口から姿が見えないよう、奥に身を押し込み、丸くなる。
「もーいーよー!」
別室にいる妹に聞こえるように叫んだ。
「お姉ちゃーん!」
私を探す妹の声が、徐々に近づいてくる。かくれんぼなので返事なんてしないのに、ずっと呼んでいて可笑しかった。
やがて、雛壇のある部屋に、妹の足音が入ってくる。
私は見つかるまいと、一層息をひそめた。
視線をチラリと前に向ける。
すると、雛壇の奥まで身をひそめて目の前にはこれ以上隙間などないはずなのに、なぜか、もっと進める空間があった。
妹に見つからないようさらに前に進もうとして、しかし動いたら逆に見つかるかもしれないと思いなおしてその場にとどまった。
「お姉ちゃん?」
後ろの方から声がして、ああ見つかった、と思った。
身体を起こそうとするが、どういうわけか、びくとも動かない。
(え?何で?)
焦るものの、動くのは両腕だけ。
私は丸くなったまま、腕を妹の方に精一杯伸ばした。
「お姉ちゃん、いるの?」
「いるよ!ここにいるよ!動けない!助けて!」
妹の疑問の声。まさか見えないはずがない。
私は恐ろしくなって、腕をブンブン振り回した。
「ママー!」
妹はパタパタと足音をたてて部屋を出て行った。
助けを呼びに行ってくれたのか。
それとも。
不安に押しつぶされそうになった時、お母さんの声が聞こえてきた。
「まゆ?」
「お母さん!出られなくなっちゃった!助けて」
安堵のため、私は泣き出していた。
「え?まゆ、いるの?本当に?」
「いるよ!!お母さん!助けて!」
雛壇の隙間から、おそるおそる手が差し込まれた。
その手が私の手に触れ、ぎゅっと握られる。
「まゆ!」
「まゆ!しっかりしろ!まゆ!」
お母さんとお父さんの必死な声がして、腕が取れるんじゃないかというくらいぎゅうぎゅう引っ張られて。いつしか、私の身体はスポンと音をたてて、雛壇から外へ飛び出していた。
世界が白く光っていて眩しい。
私はゆっくりと目を開けた。
そこは病室だった。
私は布団に寝ていて、両手を父と母に握られていた。
「え?」
「まゆ!!」
ふたりがガバリと私に覆い被さってくる。
両親は泣いていた。
戸建ての2階子供部屋の窓から外の屋根に出て、足を滑らせて落ちたらしい。
今日まで意識不明だったが、妹と両親の声かけで現世に戻ってくることができた。
両親は涙を流して喜んでくれたが、その後、屋根に出た事を散々叱られた。
医者と両親が病室を出て行ったあと、妹が残っていたので声をかけた。
「きみちゃんもありがとね」
妹は椅子に座って、届かない足をブラブラさせながら、にっこりと笑った。
「かくれんぼ、楽しかったね」
今日はひなまつり。
まっ新な青きスリッパ春動く
入院前に投稿した俳句。
『まっさらなあおきスリッパはるうごく』
本当はスリッパは、室内で履くもの春動くの季語には合わないかもしれない。
でも、春だから少し明るめの青いスリッパで、日が伸びてきた台所を忙しく動き回る自分をイメージした。
だけど、人によってはトイレスリッパをイメージしたかもしれないし、カチカチのビニールのスリッパを思い浮かべたかもしれないし、病院のスリッパかもしれないし、子供が欲しがったキャラクターのスリッパかもしれないし。
今日は体調も良く、点滴針も外れて1階から7階までを3往復できた。ステロイドによって暴れる免疫を抑えているから、回復しているように思えているだけなのだけれど、やっぱり大丈夫なんじゃないか、と錯覚してしまう。
力が入らなかった指先に力が入るようになり、ペットボトルの蓋を開けられるようになった。不思議だった、こんなにも不便な状態なのに、力が入らない事が可笑しくて笑ってしまった。仕方ないから、洗面所の水道水を飲んで、うちの水道水よりかなり不味かった。でも、不味いなど言ってられない、平気になった。ペットボトルの水は必要ないかもしれない。
スクワットや壁押し、ラジオ体操など、少しずつ強めの運動をして、退院したらすぐに職場復帰したい。とにかく、今まで以上に鍛えていかないと。薬に負けないように。過去の自分に負けないように。
というより、完全に1回死んでるし、公費で賄われる薬によって、それは誰かの血と汗がわたしの命になる。その事を決して忘れないようにしないと。
「ひなまつり」
うぶな乙女の照れた頬のような梅が咲いている。
幼い頃は梅の木なのに梅干しの匂いがしないのを不思議に思っていたものだ。
逆に甘くて官能的な香りと梅干しが結び付かなくて、この私の予想を裏切ったとして好きな花ではなかった。桜の花の方が人気だし綺麗だし。
大人になってから、春の訪れを知らせてくれる香りが梅の花なのではないかと気付いた。
立派に花びらを伸ばして堂々と咲く桜と比べて、しおしおな梅の花弁はむしろ若々しさを感じる。
桜じゃなくて梅の花みたいな女の子になるべきだったなあ……。
量産型の桜ではなく、甘美な香りを発していながら顔を必死に隠すような梅の花に。
きっと世間的に好かれるのはそういう女の子なのだ。
スマホには結婚式のご招待サイトが開かれている。
今の時代は紙の招待状ではなくサイトを使って出席のアンケートを取るらしい。合理的で効率的だ。情緒はないけど。
「ちょっと手伝って」
押し入れから母親のくぐもった声がした。
「なにー?」
スマホの画面を下に向けて母親に声をかける。
押し入れに頭を突っ込んで尻をこちらに向けている姿は滑稽だ。
「おひなさま出すの手伝って」
「え?いいよ。もう何歳だと思ってるの」
母親は少し照れたように言った。
「娘が生きてる限りよ」
そんな伝統守るタイプだったっけ?と子供な私は不思議に思った。
お題「ひなまつり」(雑記・途中投稿)
とか言われてもここ数年何もしていないしな。
と思っていたら、ニュース記事で雛飾りを持っていても飾らずちらし寿司を食べるだけの家庭が大半って書いてあってめっちゃ納得した。(本文は読んでいない)
まあ私は実家にいた時からそもそも七段飾りをほぼ自分で出していなかったんだけど。母方の祖父母から贈られた物だから、祖父が死んだ年に母がせっせこ出していたのは覚えている。そこから数年は母が飾っていた。祖母が死んだ時にはもう実家を出ていたから知らないんだけど、段ボール箱の中に更に箱が入っている、収納としては駄目なタイプだから、お雛様を入れる桐箱を通販で買おうかという話を実家にいた十年近く前にはしていたけど、結局買っていないはず。
お雛飾りを置いていた部屋が今は父の寝室と化している(二階から一階に移動した)からもう出す機会はないだろうな……。
戸建てで家業の関係で引っ越す事はないから七段飾りを贈られたんだろうけど、あれはほんと飾らなくなるよ……。同じ理由で五月人形も今は飾られていないはず。なぜか兄がせっせこ出していた記憶が残っているけど、鯉のぼりはどうした。(1mぐらいの小さいやつだけどある)
そういえばこちらも十年以上前の話なんだけど、どこかの突っ張り棒メーカーが実施した、「突っ張り棒コンテスト」という突っ張り棒を使った写真を送る事事だけが条件のコンテストで、見事大賞に選ばれたのが七段飾りのお雛様だった。
引っ越して飾る場所がなくなったとのことで、横幅一畳(幅50cmとか?)の狭い物入れの中に耐荷重10kgの突っ張り棒を一段につき二本使って、ちょっと肩身狭い雛飾り(ぼんぼりとかはなかったはず。照明がないから薄暗い)を完成させていて、恐らく審査員満場一致の選定だったんだろうな、という使われ方だった。
ひなあられ一年中店に置いて欲しい。
「ひなまつり」