ひなまつり
そういえば、コロコロ、カラカラしている大きな箱。ゼンマイを巻くと鳴る童謡。最後に思い出したのはいつだろう。中学生までだろうか、お母さんが妹のために身体を半階ほど登らせ押入れの奥からひなまつりと書いてある段ボールを引っ張り出した。
はいからなアラレに心躍らせたのはもっと昔。おばあちゃんが持ってきてくれた桜餅を食べて、初めての美味しさにほっぺが落ちる感覚を覚えたのは、そのさらに前の話だ。
思えば、この頃はやけに拗ねてみたくなっていた。自分が祝われるのは2ヶ月先のこと。兜に鯉のぼり、柏餅。この時期なのに頭の中はそのことでいっぱい。妹は早くていいなーなんて。一緒におんなじもの食べるくせに、当時はそれよりも、祝ってくれる事に妬いていたのだろう。今になって思えば、誰かが祝ってくれることの貴重さを知って思えば、なんて羨ましい境遇だろう。
もう私は些細なあのお菓子の甘さでさえ胸が焼ける
3/3/2026, 12:50:05 PM