『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ひなまつり」
今年もこの日が来た。
今日は、ひなまつりだ。
母が作ったおいなりやちらし寿司を食べる日。
今年も、今日を迎える事ができて良かったなと思いながら、私はおいしく食べていた。
♪ア゙ガリ゙ヺヅゲマ゙ジョ゙ボ゙ン゙ボ゙リ゙ニ゙ィ゙ィ゙ィ゙
お内裏様のデスヴォイス、お雛様のハイトーンシャウト、三人官女が踊り狂い、五人囃子がエレキギターだのドラムだのを掻き鳴らし、右大臣左大臣がレザーライトを振り回す。
(ひなまつり)
大盛り上がりなのはいいですがちゃんと片付けてくださいね。
雛人形を出すのが遅れたり、片付けが遅れたりすると婚期が遅れる――そんな俗説がある。
けれど結局のところ、語られているのは整理整頓や責任感の有無なのだろう。ただのジンクスというより、「だらしのない者は結婚生活に向かない」という価値観を、象徴的な言い回しで伝えているのだ。
昔の言い伝えは、表現こそ寓意的でも、根底には「人としての振る舞いを見よ」という教訓が潜んでいることが多い。
しかし現代の住宅事情や生活様式を考えれば、往時のような立派な段飾りを毎年出すことは現実的ではない。マンションや手狭な住居では十分なスペースが確保できないし、共働きで忙しい日々のなか、飾っては片付ける作業を欠かさず続けるのは相当に骨が折れる。
かつては家庭内の秩序や生活力が、そのまま結婚の価値基準と結びついていたのだろう。
だが今は、それぞれのライフスタイルや価値観が尊重される時代だ。そうした旧来の基準で人を測ることには、やはりどこか強引さが残る。
そして、「母から娘へ雛人形を受け継ぐのはよくない」という説もある。表向きは「嫁入り前の身を清めるため」「災厄が子に移らぬように」と説明されるが、新調させたほうが経済が回るという事情も透けて見える。伝統を守る顔をした、ある種のマーケティングとも言えるだろう。
もっとも、人形をその子の身代わりとみなすという発想や、その子のために新しく用意するという親心も、理解できないわけでもないのだが。
本質はたぶんそこじゃない。
その人形をどう扱うか。
そこにどんな気持ちが宿っているか。
それが大切なのであって、「新品か否か」は絶対基準ではない。
結局のところ、伝統とは絶対的な掟ではなく、時代ごとに解釈し直される物語なのだろう。
守るべきは形式よりも、その奥にある願いなのだから、難しい話は脇へ置いて、雛あられでも食べて和みましょう。
健やかに育ちますように。
題 ひなまつり
ひなまつり
俺が高校生の頃だろうか、小さくて軽いたった一組の雛人形が飾られなくなったのは。妹が小学生の時は、かわいいかわいいって言いながらお気に入りの人形も一緒に飾ってたっけな。あれから数年の月日が経ち、今じゃソシャゲにばっかり目を向けている。あの、幸せそうな雛人形を気にしてるのは俺だけなのだろうか…?
遠くの方でひなあられが乾いた音を立てた。
【ひなまつり】
ーー灯りをつけましょ。お花をあげましょ。
そんな声と共に、笛と太鼓の音色が聞こえる。
目を開くと、上座に1組の男女が澄ました顔で並んでいるのが見えた。女の近くにはよく似た顔の、しかし服装はいくらか簡素な女が控えている。
…ああ、結婚式か。目出度いことだ。
漠然と理解したものの、なぜ自分がここにいるのか、さっぱりわからない。渡された酒を一口飲む。なかなか美味しい。
2人の後ろにある金屏風で、風に揺られた植物の影が揺れている。酒に弱いのかたらふく飲んだのか、赤い顔をした壮年の男が楽しそうに笑っている。みんなが笑っている。笑って、笑って、笑ってーー
ーー暗転。
パチリと目を開くと、私は着物を着ていた。このために卸した一等品だという少しどころじゃない重たい着物を羽織って、ティアラのような飾りを頭に着けて、渡された扇子を持って、旦那様になるひとの横に座る。
宴が始まる。目出度い日だ。
目出度い日を、春の陽気に包まれて迎えられた。
嬉しい。嬉しい。うれしいな。
あれ、でも私、ちゃんと笑えてるのかしら。
少し遠くの下座で、誰かが目を開いた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「まつり」って祭り以外にもありますよね。
体が、意識が強く引っ張られている。
まるで別次元へ転送されるように引き摺られている。
息は浅く、口先から空気を吸いながら吐いている。
口内と口外を行き来する小さな風が生まれ、前歯に滲みていく。
貧弱な呼吸を繰り返すことで、心臓が止まりそうなほど豪速に跳ねている。
鼓膜を押さえたり、胸に手を当てたりせずとも迫り来る鈍い音が聞こえる。
切れない感覚が手足を勝手に動かす。
体が求めるままに表出されていく。
やがて興奮は止み、息が深く深く入っていく。
そして瞼を開けないうちに私が暗く重く沈んでいく。
(真昼の夢)
「私が主役だから私から選ぶね。」
そういって姉はお祝いに買ったケーキアソートの一つをぶん取った。
いつも優柔不断で物事を決める時は他人任せな姉の即決。
じゃあ毎日お前が主役でいいよ。
※ホラー注意
ー祖父母の家ー(ひなまつり)
私は毎年決まった日に、祖父母の家へ“連れられる”。
奥の部屋に決まったように並ぶ「ひな人形」。
可愛らしい造形に、胸がざわついた。
こんにちは、今年も来ました。
目を閉じて、手を合わせる。
少し暖かい日差しを感じながら、きれいに正座した。
その部屋は、日の光だけが部屋の構造を浮かばせた。
小さく開けられた窓から、光が振り注ぐ。
それに当たるようにして、ひな人形と台座が置かれているのだ。
細い光に、埃が透けて見えるのがとても好きだった。
少し哀愁の混じる祖父母の家に、変わらずにあり続けるひな人形。
それは、いつだったか、初めてこれを見た時の……恐怖。
それを忘れることを許さないかのように、静かに鎮座していた。
目線は合わない。
どこを見ているのか曖昧な、
まるで消えてしまいそうな、
理想的な顔。
今にもこの家を乗っ取ってしまいそうな、
幼心ゆえに感じた違和感は、それでも年々薄れてきている。
私はいつか、この恐怖を忘れ、このひな人形に取り入られてしまうのではないか。
馬鹿馬鹿しい妄想を広げては、首を振る。
帰り際に、祖父母が悲しそうな顔をして言った。
「ひろ子の墓参り、また行きましょうね」
“ひろ子”。
それは母の名前。
……私は毎年、連れられて…。
奥の部屋から、視線を感じた。
私は決して、そこを見ることはなかった。
――――――――――――――――――
あ、ひなまつりか…。
おやすみなさい。20:55
今日はひなまつりだね。
うちは男の子ばかりだから、関係ないね。
女の子いるじゃん。
ママだよ🫶
うんうん、まだ女の子って言ってくれるの?
ありがとう。
だったら女の子扱いしてくれる?
パンツ一枚でうろうろしないでくれるー!?
ひなまつり
男にはあまり関係がなく
まつりというのに夜店も出ない
でも給食の時、ケーキが出てきたから
これにはぐうの音も出ない
ひなまつり
おへやにたくさんお人形さんがならべられた、
ちょっとこわい…
おかぁさん、これなぁに?
『これはね、ひな人形っていうの』
ちょっとこわいね、
『…そうかしら?』
おかぁさんはにこにこしながらこたえた
そんなおかぁさんもちょっとこわい、
からだがつめたい、
まばたきしてない、
おはだがしろい、
お人形さんだから…?
ひなまつり
「おばあちゃんおばあちゃん!このお人形さんはどこに置くの?」
箱からおもむろに雛人形を取り出した私は大好きだったおばあちゃんの元へ駆け寄った。
「それは『右大臣様』だね、右大臣様はおひな様から向かって右側に座らせてあげようね」
「うだいじんさま…?」
「そうだよ、『すこし白酒 めされたか 赤いお顔の右大臣〜♪』ってね、将来どんな風におあんたを祝いしようかね?その時には私にも白酒を用意しておくれよ」
「んー、なんだかよくわからないけど、楽しみにしててね!」
…
「白酒か…」
外国語が並べられたハイカラな都会の喧騒の中で一際目立つビルのディスプレイに飾られた雛人形。
この時期になると無性にあの頃を思い出してしまう。
社会の波に飲まれながら早5年。
出会いなんてひとつもなかった。
「ごめんおばあちゃん…約束、果たせそうにないや」
仕事の帰りに寄ったコンビニで買った缶ビールが「ぷしゅ」と音を立てる。
「白酒じゃないけど…召された気がするよ」
『ひなまつり』
ああ、今日はひなまつりでしたか
外出は高齢のわんこの病院のみだったし
テレビをつけても、タイムリーな情報番組は見なかった
娘が家を出てから、雛人形も出さなくなった
季節を感じる行事、例えば菖蒲湯や柚子湯、
クリスマスさえ、やらなくなった
そうか、全て子供のため、
お母さんの仮面を長らくかぶっていたらしい
いろんな経験をして、喜怒哀楽、今振り返ればおおむね楽しかった
でももう充分だな
還暦とともにますます解放されて
本来の自分を取り戻しつつある
いつか自分のために雛人形を出す心のゆとりをもてるのだろうか
私はまず、もうひな祭りの時期か?と自分の目を疑った。この時期が近づくと、小さい頃は学校などで「明かりを点けましょ雪洞に」と陽気に歌っていたものだから、必然的にひな祭りというものを意識してたし、この時期は何かとソワソワとしていたのだが、少なくとも小さいとは言えない歳になり、そもそも男な事もあり、もはやただの平日として形骸化していた。それでも、店先に雛人形とかを飾っている、気合いの入った店を見かけると、(あの店のひな壇は随分と豪勢だな、)とか、(この雛人形は手のひらサイズで素朴だな、)などと、妙に風情を感じることもあるのだ。
ちらし寿司
夜中に作ると
太ってまう
ひなまつり
『あかりをつけましょ ぼんぼりに』
私は帰ってきた暗い部屋の電気をつける。
『お花をあげましょ 桃の花』
写真に手を合わせて、私はさっき買ってきた花を隣に置いた。
『五人囃子の 笛太鼓』
何もない空間を、ただただ見つめる。
かつてはそこに、毎年のように五人囃子まで出ていた雛人形は、ここにない。
いつも嬉しそうに飾ってたあの人が、亡くなってから、毎年ここを見つめてしまう。
ひな祭りが雨ってちょっと悲しい。
そのせいか知らないけど、次の日おかんが、天罰?として蔵で頭打ってました。
学校帰ったら寝てた。
(ひなまつり。)🦜
あのね
優しい、叔父しゃん。のお家へ
ひな祭り。だから
御呼ばれ。したんだね。🦜
・お家には
歴史の有る立派な
雛壇。が有ったんだよ。
《僕が、見惚れて居ると。》
❣其の様子を観て、句を
叔父、しゃん。が句を
詠んだんだね。🦜
【雀らの 讃える人形 ひな祭り。】
❣其れに、応えて僕が・・
句を詠んだんだよ。🦜
【飾られて 雀に観らる お雛様。】
(其の後に)
「叔父、しゃん。が面白がって
娘すずめ、しゃん。に
着物。を着せて、お姫様。の
処に座らせたから、僕が
また句を 詠んだんだね。」
【娘すずめ。や 恥より赤き、
着物。着て。】
《其の後、の 僕に対する
娘すずめ、しゃん。の態度は
説明する迄も有りません。》
🦜🦜🦜
#ひなまつり
―――
あかりをつけましょ
ぼんぼりに
おはなをあげましょ
もものはな
楽しげに謳う子供の声
画面上には、高く華やかな祭壇
味噌汁を片手に、今日が世で言う所の”ひな祭り“だと言う事を思い出した
『おめでとう』
そう祝われていたのは学校があった頃迄で。
こうして一人暮らしをする様になって
子供もいない身としては
随分縁遠いものになったと思う
自分には関係ないよなぁ...つか時間やべ
眺めている場合ではなかったと、慌ててご飯を搔き込む
「ひな祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを願い、お祝いする行事なのですよね」
「そうですね、ちらし寿司やひなあられ、甘酒を楽しむのも良いですね」
では、次のニュースです。
少し話して、画面上のキャスターは次の話題について話し始めた
......帰りに、ちっちゃいちらし寿司でも買うかな
食べ終えた皿をシンクに下げながら、私は少し帰りを楽しみにすることにした
『ひなまつり』
ひな壇に雛人形...じゃなくてお菓子を並べて
ぼんぼりの明かり...の代わりにリンゴを添える。
娘はこっちがいいらしい。
娘が真ん中に座るとただの食いしん坊だ。
それでも普通のひな祭りをしていた頃よりかは
満面の笑みを浮かべるようになった。
イレギュラーだろうか。
男である俺には縁の無かった季節行事で、
嫁は毎年お腹を抱えて笑っている。
家族円満ならそれでいいだろう。
そう思いながらカメラを構える。
ひし餅を美味しそうに頬張る娘の表情は
未来でいい思い出として蘇るといいな。
語り部シルヴァ