『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ないものねだりするような顔でこっちを見ないで。そんな顔をされても無いものは無いのよ。貴方が持っていったんじゃない。貴方が抱きしめて一緒に飛んだんじゃない。
悔しかったら生き返ってみせなさいよ。
【ないものねだり】
「この人カッコいッ…」
とあるシンガーソングライターに心を惹かれた僕。
でも会えるわけ…と思っていたがそれは無意味。
僕もバンドとして活動している。明後日の音楽番組に
この人も僕も出る予定があった。これは絶好のチャンス。
ー当日ー
「あ、あの!」
「ぁ、俺?」
「はい、実は僕あなたのことが好きで…」
「本当⁉︎実は俺も君のこと好きなんだ‼︎よく聴いてる!」
「はぇ…」
夢を見ているようだった。手を握ってもらえて少し手汗が滲んでいるような気もした。
・好きな、シンガーソングライターさんとバンドのボーカルがコラボして欲しい欲から作りました。
「真人(まひと)っていいよな~頭良くて」
「陽太(ひなた)もあんま変わらないだろ」
「でも真人の方が頭良いじゃん」
「それは事実」
「だよね!?...あと真人って目がキリッ!ってしてるじゃん?それもいいな~」
「俺は陽太のパッチリしてる目がいいけど」
「ふふん、俺のパッチリな目は誰にも負けないぜ!!」
「あとそういうポジティブなとこ」
「ん?俺そんなポジティブ?」
「ポジティブ。テストの点が悪くても、アイス食べる元気はある」
「アイスは別でしょ!!」
「あとは元気で明るいとこ。誰でも友達になれるよな」
「俺友達100人作ることが夢だからね!でも真人みたいに、ビシッ!クール!みたいになりた~い」
「その顔でなったら皆びっくりだよ」
「んぇ~俺真人になりたかったな~」
「俺は陽太になりかったよ」
「...なんかの拍子に入れ替わりとかしないかな?」
「それは嫌だ」
「なんで!!」
「陽太のキャラを演じきれる自信がない」
「...俺もかな!!俺らはこのままが一番いいかも!」
「俺もそう思うよ」
お題 「ないものねだり」
出演 陽太 真人
あの子は可愛いし、元気だし、素直だし、まあ少し元気すぎて、たまに下ネタなんかも言うけど、あなたと一緒に居ることが多いよね。
そして、別のあの子は、身長は高いし、みんなにとってのリーダー的存在で、面白いから、あなたとの距離が近い。
また別の子は、いつもホワホワしてて、勉強が出来て、運動は少し苦手だと言っていたけど、それを補える分の良いところがたくさんある。やっぱり、あなたとの距離は近い。とても
3人の「あの子」は、あなたと目が合う度に、お互いに微笑んで、とても仲が良さそう。
なのに、私はあなたに避けられて、目が合っても、気まずい沈黙が続くだけ。
ただ、無駄に焦るだけ。微笑み返してくれたり、変顔をしてくれたりしたあの頃は、一体どこに置いてきてしまったのだろう。もし、場所がわかるのなら、その場所へ行きたい。
どんなに疲れてでも、全力で走って、そこへ行くよ。
あなたの元へも行きたいよ。
あの時、あなたの左に居れば、今も仲良しで居られたのかな?
あの時、ペンを拾っていなければ、あの時、ホルンではなくトランペットを奏でていれば、あの時、絵なんて描いていなければ、あの時、「ありがとう」と伝えていれば、あの時、もっと素直だったら、あなたともっと、ずっと、これからも、一緒に笑い合って居られたのかな。
あなたと居たいよ。会いたすぎて、胸に溜まった涙が溢れちゃいそうだよ。
その涙を拭けるハンカチなんてないよ、あなた以外。
あなたがいなきゃだめなの。
あなたがいないと、1日やりきれないよ。
この痛みをいなす方法。あの憎しみを永遠にする方法。吠える魂に餌をやる方法。ないがしろにされた君の前に立ち、護る方法。ないものねだりを続けている場合ではない。この身で、この不才の体で。粘れ、ただ粘れと。過去の私が望み続ける。
いい加減、現実を見るようにしようと気づけた三十を過ぎてからだった。それに気づくまで長い時間がかかった。自分でも、今思えば恥ずかしくなる。
私は幼い頃からないものねだりをするのが癖のようなものだった。常に人を羨んでは、嫉妬して、悔しくなって泣いていた。どうしてあの子にはあって私にはないの、と。
それは持ち物や兄弟、家族に限らず、才能にまで及んでいた。よく言えば負けず嫌いだったのかもしれない。悪く言えば、ないものねだりばかりするわがままな娘だ。
だから周りの人にも嫌われていたし、仲の良い友達なんて一人もいなかった。
だが、現実を見るようになってから気持ちが楽になった点がいくつもある。誰かを羨むことがなくなったおかげで、私は私を認められるようになった。自分のない才能に憧れるのをやめたおかげで、自分にできることを探せるようになった。そのおかげで私には文才があることを知った。それを機に、私は編集者に転職してライターとして仕事を始めた。
そうすると、見事その仕事が肌に合っていたのか、みるみる成果をあげていった。今まで人を妬んでばかりいた時間が本当に無駄に思えた瞬間だった。
それから昇進はしたものの、ライター一本で仕事がしたいを奮起してフリーライターとして、新たな一歩を踏み出した。
それから数年して、エッセイの仕事もらった。私はなにを書こうかと悩んでいた。せっかくだから、この仕事を始めた経緯でも書こうか。そう思って人生を振り返ると、全てが変わったのはないものねだりをしなくなってからだと気づいた。だから。タイトルにはこう書いた。
「ないものはない」
「ないものねだり」
私は容姿端麗。この世に性を承ってから十五年。何不自由なく親から育てられてきた。生まれたときから美人だと村中で騒ぎになった。子供の時から私に逆らう人は誰ひとりいない、そして今もみんな私の虜。子供の時から欲しいものはすぐに回りの大人が私のために買ってくれるし、私のためなら身を持って守ってくれる。私は天賦の才を与えられたのだ。いや、空から舞い降りた天使とも言えるかもしれない。だが私はただ天賦の才を与えられただけの人間ではない。私は努力を怠らない。私はこれまでにピアノ、書道、英会話と様々な習い事をしている。それに人間関係も良好。私の周りには常に人が取り囲んでいる。いままで友達に困ったことはない。そうだ、私は完璧なのだ。完璧でなくてはならない。私は与えられた才能に頼りっきりの非凡に見せかけた凡人とは違うのだ。
「おはよう!美香ちゃん」
自己陶酔中だったので話しかけるられるまで遥の存在に気づかなかった。
「あっ、おはよう!遥ちゃん、あれ?その花の髪飾り私のとおそろいじゃない?」
「あっ!気づいた?そうだよ、美香ちゃんのその髪飾り可愛いと思ってたから昨日買ったの」
私は普段から赤色の花の髪飾りを付けて学校に通っている。私の中の最近の流行りだ。真似されるということは尊敬されている証だ。悪い気はしない。
「なんか私達双子みたいだね」
「美香ちゃんと双子だなんて私にはふさわしくないよ」
そう思っているんだったらなぜお揃いなんかにするんだ。
「自分のこと卑下しちゃだめだよ。もっと自分のこと大切にしなきゃ!」
こういうことを言って欲しかったんだろ。謙遜をしているつもりなんだろうけど欲が丸見えだ。
「えへっ。そうだよね。だめだよね」
案の定の反応だな。本当は慰めの言葉が欲しかっただけなんだな。
「えーてかなにそれー。すごいかわいい」
筆箱のことを言っているのか?そういえば数日前に新調したんだったな。
「あー筆箱のこと?数日前に新しく買ったんだー。前の筆箱チャック外れちゃったから」
「すごいかわいいよ。それどこで買ったの?」
「駅前の文房具屋さんで買ったの。他にもいっぱいかわいいの売ってたよ」
「あっ!もうそろそろで次の授業が始まるから席戻るね」
「うん」
忙しない小娘だな。最近よく私に話しかけるようになってきた。あまり言いたくないが入学当初は陰気くさい子だったのに最近になって雰囲気が変わりつつある。髪型もいままでクセがあったのに今ではストレートだ。縮毛矯正をしたのだろうな。印象がガラッと変わった。垢抜けというやつか。だがそういうのは入学する前に済ませておくものだと思うが、真相はよくわからないな。
次の日〜
教室の扉を静かに開ける。するとあたりから挨拶が飛び交う。もちろん私に向けてだ。わざわざ私から挨拶するまでもなくみんなが挨拶をしてくる。
「美香ちゃんおはよう!」
「おはよう」
「これ何かわかる?」
「私の筆箱?」
なぜ私の筆箱を持っているのだ?まさか昨日教室に置いていってしまったのか?いやそんなはずはない。
「違うよーw美香ちゃんと同じの買ったの」
「そ、そうだったんだねwびっくりしたよ」
どうやら垢抜けするために私を参考にしているようだな。それはいい判断だな。だって私は一番の美貌を持ちみんなの憧れの存在なんだから。
「びっくりさせちゃった?可愛くてつい同じの買っちゃった」
「またお揃いだね。同じのをかわいいって思うから私たち感性が似てるね」
「そうかも、私たち似てるね」
そう言い遥はにっこり笑った。その笑顔に私は一抹の不気味さを感じた。
ピアノ教室〜
今日はピアノの日だ。学校終わりにピアノ教室へと足を運ぶ。習い事が忙しく部活は入っていない。習い事でも私が一番だ。あまり人を称賛しないタイプの先生でも私だけべた褒めだ。本来ならそんなことすればみんなが私に嫉妬するのだろうけどみんなはしない。それは単純で私が圧倒的な実力を有しているからだ。まぁ、家で死にものぐるいで練習しているからなんだけどね。
「あれ?なんで遥ちゃんいるの?」
そこには遥がいた。
「私ピアノ始めてみようと思ってるんだ。」
「へ、へぇーそれは良いことだね。なんでも教えてあげるから困ったことがあったら言ってね」
「ありがとう!これからよろしくね」
流石にゾクッとした。この娘に感じていた不気味さが顕著にでてくるようになってきた。こいつはどこまで私の真似をしようとしているんだ。習い事まで真似してくるのは尋常ではない。髪飾りや筆箱までなら許容範囲だったがこれは洒落にならない。この娘とはすこし距離をおいたほうが良さそうだ。だが変に距離を置けば避けているとまわりに勘づかれ私のイメージが悪くなってしまう。この娘は厄介だ。
その後、英会話教室にも書道教室にも遥は居た。それだけでなく彼女の私物をよく観察すると私と同じ物だらけだった。この異変に気づいているのは私だけでなく友達も気づいているようだった。友達によると口癖まで似せているようだ。口癖まで似せてくるとなるといよいよ恐怖を感じる。尊敬して似せてきているだけなのかわからなくなってきた。もしかしたら私への嫉妬により恨んでいるのだろうか?
ある日の放課後〜
「どうしたの?突然呼び出して。怖い顔しないでよ」
「ねぇ、私のこと真似するのはいいけど、度が過ぎてないかしら?」
私はとうとう耐えられず直接話すことにした。あのまま真似され続けるのは気持ちが悪い。
「嫌だな〜。真似だなんて、偶然だよ。」
「偶然?とぼけないでくれる。私の私物、習い事、口癖、挙句の果てには私のインスタの投稿まで真似してるじゃない!」
そうなのだ。遥は美香がインスタを投稿するとすぐに全く同じようなものを投稿していた。
「ねぇ、今どっちが本当の美香だと思う?」
「え?」
何を言っているのだ?どっちが本当の美香?私に決まっている。そうだ、間違いない。間違いない!間違いない?あれ?目の前にいるのは私?
「ねぇ、私の真似しないでよ遥ちゃん」
これは、ないものねだりから始まった。みんなのあこがれであった美香ちゃんが羨ましくて羨ましくて仕方が無かった。容姿端麗、それでいて何でもできる。勉強も運動も芸術も、どの分野でも勝てるところがなかった。欲しい。美香ちゃんの全部が欲しい。だから、私が美香ちゃんに、美香ちゃんが私に。
『ないものねだり』
私には昔から、何も出来ない。
勉強も、運動、他のことも、何もかも。
今まで努力して来た。学校の休み時間は勉強をし、放課後は勉強や運動、友達に遊びに誘われても断って勉強をし、スマホなどを与えられても触らずに自分磨きに費やして来た。客観的に見てもかなり努力したと思う。
でも、実らなかった。予習復習、問題集などをやっても点数はあまり上がらなかった。毎日ランニングを続けたのに、何も変わらなかった。
そのせいで親からも冷たい目で見られている。
どうしてなんだろう。何が駄目なんだろう? 努力が足りない? こんなにしてきたのに? こんなに頑張って来たのにまだ足りないと?
今日は前に受けた期末テストの結果が張り出される。私は441人中50位。
あんなに努力して来たのに50位? 私の上の49人は私以上に努力をしてきたと? この私に勝ると?
「やっぱり1位の煌驥君凄いよね〜」
「本当にね〜。今までずっと一位から落ちた事ないもんね。私達とは格が違うよね〜。いっつも他の男子達と遊んでたり夜も家に居ないで外で遊んでて勉強してないって噂だし。やっぱり才能かな〜?」
そんな会話をする女子達が視界に入る。
ふざけるな。才能? そんな物に私は負けたのか?
何も努力していないくせに。生まれつきに得た力で私の今までの積み重ねてきた努力が負けたのか?
「ねえ、なんかこっち見てない?」
「こわっ! なんであの子睨んで来てるの?」
「し、知らないよ。き、聞いてみる?」
ありえないありえないありえない。そんな事はあってはならない!
「あ、あの〜? なんか顔が怖いよ?」
「黙れ! 黙れ黙れ黙れ! 失せろ!」
「は、はい! ごめんなさい!」
「な、なにあいつ! きもいんだけど!」
そう言って女子達は去っていく。
欲しい。その才能という物が。私の努力を一瞬で上回るほどの力を持つそれが。
「あ、」
あの人、スタイルいいな。
顔も良いし、メイクするの楽しそう。
あのキーホルダー、限定のやつだ。買えたんだ。
街に出ただけなのに、ないものねだり。
「ないものねだりはやめましょう。僕らは、このまま、受け入れるしかないんだ。」
「でも…」
「大丈夫。僕が君を護る。」
だから。
その先を、私は聞くことは無かった。彼の背を見ているしか無かった。
「叶わないって、分かってるよ…」
でも、願わせてよ。平和も、なにも。ねぇ。
「ないものねだりって、分かってるから…」
妻は、嫉妬しない。
例え、僕が他の女と寝ようとも…。
例え、僕が他の女と付き合ってても……。
全く、嫉妬しない。
というか、寧ろ僕に興味が無い。
僕は、見合いの席で必ず聞いていた。
「結婚後も、女遊びして良い?」って。
今までの女性たちは、僕との縁談を断った。
しかし、彼女…後に妻となる人は違った。
「私には恋愛感情?を理解できないから、別に良いよ。
私を束縛しないなら、不倫も浮気も歓迎するよ。」
と、平然と…至って真剣に応えた。
その応えを聞いた時、この人だ!と思った。
だから、僕は彼女と結婚した。
現在も妻とは、互いに束縛しない、良好な関係が続いている。
改めて、人と人との心地良い関係は十人十色だと感じた。
もしも自分が女だったら
もっと華奢な体つきだったら
貴方の隣に、立てたのだろうか
涙を見られないように上を向いて
教会の中で愛する人と笑い合うあなたに拍手を送る
[ないものねだり]
センスがほしい、才能がほしい、あの子の全てがほしい、…そんなないものねだり…、叶うわけがない…
(短すぎる、…)
魅力
可愛らしさ
色っぽさ
器用さ
女っぽさ
あげたらキリがないし
欲しいものばかりだけど
持ち合わせてない私でも
彼に出逢えたってことは
そのままでも良いってことかな?
自信を持たせてくれる
彼に感謝です…
----------------------------------------ないものねだり
これを読んでくれているあなた。
私はあなたの文才が欲しい。
あなたの語彙が、
センスが、
観察眼が、
知識が、
ひらめきが、
書き続ける向上心が、
欲しくてたまらないのです。
(ないものねだり)
急募:タコ焼きを完璧に焼ける人
やはりシャバシャバな液では固まらず、プレート上は未だに平らなままだ。
加熱された生地を竹串で弄くるも、クリーム色のベチャベチャと青ネギが引っ掛かるだけ。
どういうことだ、話が違うじゃないか。
生地の上に散らしたネギやキャベツが、ひっくり返すのを邪魔しているようで、なんだか憎たらしくなってくる。
温度が低いからか、とタコ焼きプレートのツマミを調整していると、ガチャっと玄関のドアが開く音がし、次いで複数の賑やかな声が廊下から漏れ聞こえてきた。
テーマ「ないものねだり」
ないもの?ねぇ、ダーリン
あなたにないものなんてない
失敗して端っこが焦げた目玉焼きも
四角いお部屋をまぁるくお掃除するのも
駅の改札をクレカで通ろうとして止められちゃうのも
不機嫌な膨れっ面も
あれもこれも欲しいくせに、結局手が出せない臆病なとこも
全部、全部、
大好きよ
お題
ないものねだり
俺には可愛い恋人がいる。
年上の幼なじみで、一目惚れだった。
何度も何度も幼い俺は拙いプロポーズをし、彼女は困った顔をしながら、「大きなったらね」と頭を撫でてくれた。
そんな様子を見ていた俺にとって兄のような人ーー彼女の兄の苦い顔を忘れられない。
いつものように彼女を部屋に招き、紅茶を入れてあげる。
彼女のお好みは無糖のアールグレイ。俺も彼女もあまり甘いものが得意じゃないので、お茶請けはカカオ75%のチョコレート。
チョコレートを1粒食べると彼女がため息をついた。
「また女の人ちゃうかった……」
「また?2日前の人とちゃうん?」
「ちゃう、身長全然ちゃうかった……ヒール履いておにいと身長変わらんかったもん」
「モテるなぁ、女途切れたことないんちゃう真島くん」
「たつくん、口が悪いで」
そりゃ、お家デート中に他の男の話されたら機嫌も悪くなる。
他の男って兄でしょ?と思われるかもしれないが、俺にとってはライバルなのだ。
「でもほんまの事やん。大学入ってからますます女遊び酷なったよな真島くん」
「うちも真島やねんけど……。昔はキミくんキミくん言うて懐いとったのに……いつからこんな反抗的になったんやろか」
『うちも真島』で結婚した後もついつい苗字で呼んでしまって、もうお前も同じ苗字やろ?みたいなくだりが頭に過ってイラついた。彼らは兄妹なのだから当然なのだが。末期だ。
「ひなちゃんはひなちゃんやし。それに絶対に『倉橋』にするからええの」
「就職するまではあかんで?」
「そんなカイショーナシとちゃいます」
いつか、俺は王子様からお姫様を奪うのだから。
ーーひなちゃんは実の兄に恋している。
そして、二人は両想いだ。これは俺だけしか知らない秘密。
もちろん言うつもりなんてない。言ったところで幸せになんてなれないのだから。
ひなちゃんはきっと喜んで幸せを投げ捨ててしまうだろう。
それは真島くんも俺も望んでいない。同じ人を愛してしまった同士だから分かる。
真島くんも自分じゃ幸せに出来ないことを知っている。
だから俺は託されたのだ彼に、愛する人を。
なぁ、きみくん。ひなちゃんのことを堂々と女性として愛せる俺が羨ましい?キミくんが女の子取っかえ引っ変えしてしてるコトをひなちゃんに出来る俺が憎い?
ひなちゃんな、キミくんに新しい女が出来た話する時、
失恋したみたいな顔するねん。恋人の前で。
ベッドの中で抱きしめてキスして愛してるって言ったら、うちも好きやでって言ってくれるねん。好き、やねん。
俺は愛してるって言わんでも、女の子取っかえ引っ変えしてても、幸せに出来なくてもひなちゃんの心を独占してるアンタが殺したい程憎い。
『ないものねだり』
作者の自我コーナー
いつもとは似て非なるもの
やっぱり関西弁が大好き。
ここに王子様はいない気がします。騎士と悪い魔法使い。
でもお姫様は女の敵になりそうな兄を案じているだけってオチ
骨格ウェーブの私はスキニーが似合う細い足が欲しい
イエベ春な私は黒髪ストレートが似合う人になりたい
顔タイプフレッシュな私はたまには全身黒で外出したい
お金や努力じゃ限界がある。でも欲が溢れる
私は今絶賛片思い中
好きな人は私の3つ上の姉と付き合っていて相思相愛。
周りからみても私から見ても幸せそうで
私はそんな2人が嫌いなだった。
いつ終わるかも分からないこの恋
結ばれるのはいつだろうか。