『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
2月29日。
閏年のこの日は特別な日。
この日の黄昏時に、夕焼け堂に、夕日を向いて入る。
すると
もう会えない、愛する人に会えるらしい。
よくありがちな、ありきたりな噂。
その噂を信じて私は、ここに足を踏み入れた。
私の彼は、事故で死んだ。
そんなことは知っている。
だって私もその現場にいたから。
彼の顔は、原形がないほどにぐちゃぐちゃで、見るに耐えない姿だった。
らしい。
その姿が私にとって、よほどショックだったのかもしれない。
私は彼の顔を覚えていない。
知りたかった。
彼を愛していると、会って言いたかった。
夕焼け堂に入った。
見覚えのある、柔らかい歌声が聞こえた。
彼だ。
彼の顔は、夕焼けのオレンジでよく見えない。
でも
彼だという事だけは、理解する事が出来た。
彼が気がつく。
絞り出すような声で、私は言い放った。
大好き。
一生一緒に居たかったよ
ずっと忘れない
彼も言った
俺もだよ
ずっと好きだから
そう言われた時、彼の顔が、頭の中に浮かび上がった。
ああ
なんだ忘れていたんだろう。
安堵の息を漏らす私のそばで
見えない彼の顔が、
ほころんだ気がした。
【たそがれ】
誰そ彼...
夢に出たあの人は誰だろ?
優しかったな
包み込んでくれた
私の全てを
逢いたいな
ねぇ...あなたは誰?
オレンジ色の光の中にいる彼に手を伸ばした。まるでそこにいないかのようにどんどん彼の姿が見えなくなって。片思いの私にはその光がとても眩しくて、近くにいるはずなのに届かないことが辛い。綺麗で宝石みたいな景色も私には派手すぎる。でもいつか黄色い宝石の光を2人手繋いで、綺麗だねって見れることを夢見てしまう。
なんて、ロマンチストなことが起きるわけがないよね。
詩(お題)
『たそがれ』
暗くなった夕方で
顔が見えなくなる景色
誰なの、彼は?
「たそがれ」の語源のひとつ
人生にもある夕方では
老眼鏡をかけ玄関を開ける
照明を、つけて
「たそがれ」を背中で断ち切る
夜へゆく時の流れは
熱を帯びた色を纏い
瞳の中を通り過ぎた
瞬きの間のこと星が
ひとつまたひとつと
輝くよ見つけたかい
僕達は大きな理想を
掲げて生きてるのさ
キミは覚えてるかい
幾度となく夜を越え
今此処に立っている
信念が見えたのなら
どんな風が吹いても
揺るがない軸となる
昼と夜と曖昧な時は
思い出してごらんよ
いつも見ていた空を
大丈夫独りじゃない
『たそがれ』
「笑わぬ村と旅人の道」
ある晴れた午後、旅人はふと立ち寄った村で、異様な静けさに気づいた。風は穏やかで、空は澄み渡っているのに、村の中からは笑い声が一切聞こえない。人々は黙々と作業をしながらも、その顔にはどこか生気がなく、無表情だった。まるで心から笑うことを忘れてしまったかのようだ。
旅人は不思議に思い、村の古びた宿に宿泊することにした。宿の主人にこの村について尋ねると、彼はしばらく沈黙した後、静かに語り始めた。
「この村では、かつて笑いが溢れていたんです。毎晩、人々は広場で集まり、笑い合い、歌い踊っていました。しかし、ある日、一人の魔術師がこの村を訪れ、村の笑いを奪ってしまいました。彼は村人たちに呪いをかけ、誰も心から笑うことができなくなったのです。」
旅人はその話を聞いて、何とかしてこの呪いを解く方法はないかと考えた。翌日、村外れにあるという魔術師の塔へ向かう決心をする。
塔にたどり着くと、魔術師は旅人をじっと見つめ、冷ややかに笑った。「笑いなどというものは一時的な幻想だ。人は笑うことで現実から逃げているだけだ。だから私は、彼らにその逃げ道を断ち切らせたのだ。」
旅人は落ち着いて答えた。「確かに、笑いは時に現実を忘れさせるかもしれない。しかし、それでも笑いには、人々を結びつける力がある。笑うことで人は、悲しみや困難を一緒に乗り越えられるのです。」
魔術師は少し考えた後、静かに言った。「もしお前がそう信じるのなら、試してみるがいい。もし村人たちに再び笑いを取り戻せたなら、私はこの呪いを解こう。だが、失敗すれば、お前自身も二度と笑えなくなる。」
旅人はその言葉を受け入れ、村に戻ることにした。
村の広場に立った旅人は、声を張り上げて村人たちに語りかけた。「みなさん、笑いを思い出してください!どんなに苦しい状況でも、笑うことで希望を見出し、共に歩むことができるはずです!」
だが、村人たちは旅人の言葉に耳を傾けることなく、無表情のままだった。彼らの目には、何か深い虚無のようなものが宿っており、笑いを取り戻す兆しは一向に見えなかった。旅人は必死に言葉を尽くしたが、村人たちは変わらない。
たそがれに染まる空の下、旅人はふと立ち止まり、遠くを見つめた。笑いを取り戻すことができなかったことに対する深い無力感が胸を締めつけたが、それでも旅を終えることはできないと感じていた。どこかで、自分が無力であることを受け入れつつも、前に進むしかないと心の中で呟いた。
村は変わらず静かなまま。笑いが戻ることはなかったが、悲劇的な結末も訪れなかった。村人たちはただ日々を淡々と過ごしていく。旅人は再び村を後にし、夕闇の中を歩き始めた。
空は次第に暗くなり、星が一つ、また一つと輝き始めた。旅人は振り返らず、ただ次の目的地へ向かって歩み続ける。何かを変えることができるかもしれないという期待を抱きつつも、同時に変えられないことがあるという現実を静かに受け入れながら。
この旅は、終わりもなければ、明確な結論もなかった。旅人は次の村でどんな出来事に出会うのか、それは誰にもわからない。ただ、一つ確かなのは、彼はまだ旅を続けるということだった。
君と歩く。
人気の少ない路地をザリ、と砂を鳴らす音を立てながら。
オレンジの光に影が長く伸びる。
何か話すわけでもなく、ただ並んで歩く。
ずいぶん涼しく感じられるようになった風を受けながら、僕は思う。これから、もっと気持ちよく君と歩ける時間が増えると。
そっと君に手を伸ばす。
君は暑いからと手を跳ね除けることなく、柔らかく指を絡めてくれた。
嬉しい。
心なしか歩調が浮きだった。
明日はどこに行こうかな。
仲間と語り合い笑い合ったときはあんなにも照らされていたというのに、徐々に闇が差し、気が付けば皆帰るべき場へと向かう。
懐かしむことも侘しむこともなく、今はただ、電気を消した小部屋であのグラデーションを思い出している。
世界は少しダイレクトだから
カラーレンズで見るのがちょうどいい
黄昏時の薄紫に
曖昧なココロを求む
たそがれ
だんだんと暮れていき
燃えるような夕焼けともお別れし
皆ともお別れをして
帰宅の途につくからか
なぜか少し寂しく感じる
寂しさが苦手なので
少し音楽のボリュームを上げる
冴子は芯の細い女だ。
心持ちで体調さえ簡単に壊してしまうような女である。
音に大変敏感で、世間に溢れる生活音をすぐ階名に置き換えて歌ったりする。それは人みんなが普通にするものだと思っており、デタラメだろうと笑われた頃から脳内だけでするようになった。
「…デタラメじゃないもの。」
『蒼の軌跡』
きっと神の腹の中はこんな色をしている
いっそ恐怖すら覚えるほどの
禍々しい赤が世界を蹂躙する
誰が誰でも、そんなことに意味はない
わかったところでどうにもならない
きっと、これから消化される物になど
赤の主は興味がないだろう
『たそがれ』
誰そ彼
燃え上がる街並みに溶ける君は
まるで知らない、他人のようで
雨も火も銃弾も
神の名のもとに平等は約束されない
なんの罪を犯して
何の責を負って
それでも、時間だけが平等だ
君も、僕も、故郷も、思い出も、
世界すらこの赤に溶けて消えても
もう君ともわからぬ影を追って
僕ももうすぐ、この赤に溶ける
【たそがれ】
誰そ彼
あれは誰だ
確認しちゃうくらいの時間を
たそかれ時と呼ぼうって、誰が決めたんだろ。
それとも勝手に何となくそうなっていったのかな。
黄昏時って当て字もお洒落。
「たそがれ」
たそがれ
西の空が赤く染まる、
夕暮れ時は、何処か物悲しくて…。
塒に帰る烏達の鳴き声に、
二度と帰れない故郷を思い、
零れそうになる涙を堪え、
大きく息を吐きます。
黄昏。赤から橙、
そして、紫のグラデーション。
その刹那な時間に、
何故か悲しみが溢れます。
まるで黄昏泣きをする赤子の様に、
理由もなく、悲しみに支配され、
何の衒いも無く、
声を上げて泣くことが出来たなら。
ですが、貴方には、
本当の私を見せたく無いのです。
何故なら、貴方の前では、
私は理想の私で在りたいから。
だから、私は。
黄昏に、独り、
心の中で、泣くのです。
何時か…。
刹那な黄昏の時間に、
貴方の胸の中で、泣いてみたい。
そんな、気恥ずかしい願望は、
心の奥に鍵を掛けて、
無かった事にしましょう。
『たそがれ』
春は朝で、夏は昼で、秋は夕方、冬は夜。
四季は、1日の時刻に相似している。
春は芽吹き、夏は成長、秋は成熟、冬は枯れ。
人の一生にも相似している。
黄昏時は逢魔が時。夜には幽霊が出る。
異界、霊界と繋がる時間だ。
夜に寝るのは死ぬのに相似している。寝ている間に霊界に行ってるらしい。異界の夢を見る。
毎日死ぬ。そして朝に、生まれ変わっている。
(死にたい 早く死にたい 今すぐ死にたい
苦しい 苦しい 産まれたくなかった
きっと、死ねば不安や苦しみは無くなってくれる)
─そこで考えたんだけど、こうして相似するものを矮小化して行くと、毎秒、毎瞬、私は死んでるし、産まれている。
そして、それは事実かもしれない。だって、そんな気がするんだもん。似てるもん。
証拠は無い。証拠が無きゃ駄目なら、あなたが存在するという証拠を出してみて?
あなたは私の作った幻影かもしれない。
私にとって、この世の全ては私の五感からしか受け取れ無いし、私自身の意識しか、感じ取れない。
私しか、いないのかもしれない。
何も確かじゃないのに、証拠なんて意味が無い。
悟りって一気に雷鳴の様に開くとは限らず、
少しずつなのも有るらしいです。
悟ると、悩みや苦しみが無くなるらしいので、
なんとしても、辿りつかなくては。
ここまで読んで下さった方々には、申し訳ありません、訳が分から無いかも知れません。私もです。
たそがれ
今日飲みに行かないか、という声が広がり始めたのを察知して早々に職場を出る。自分もお呼ばれするかは甚だ疑問だが、建前が得意な会社だ。一声かけるくらいはするかもしれない。断ればマイナスポイント。聞かれなければプラスマイナスゼロ。僕は数学が得意だ。
10月の空は高くて薄い。すぐに色移りして闇に染まる。日光性変形症の僕には油断ならない季節だ。黄昏時は近い。
家に帰る余裕がないので、冬の砦である河川敷に向かう。到着を待っていたかのように日が沈み始める。何度見ても、夕日は日中より大きいと思う。錯覚だと主張する科学者は観察することからやり直した方がいい。
川を覗き込むと、揺れる水面の向こうで僕の顔が少しずつ崩れていた。体から力が抜けていくような感覚が伴う。日が沈む速度で僕の顔かたちが変形していく。
真っ暗になった河川敷で、僕は大きく伸びをした。ずり落ちそうなズボンを押さえて、ベルトを締め直す。袖が長いから捲っておく。シャツは少し大きいけれど、ご愛嬌ということで。スマホに映した僕の顔はすっかり幼い。我ながら、こんなにスーツが似合わない男も珍しい。居酒屋なんか入れるもんか。
朝日の呪いを夕日が解く。そんな体質だか病だかが増えているらしい。巷では配慮だの何だの言われているが、僕としては放っておいてほしい。この体はそんなに不便じゃない。
足取り軽く河川敷を出る。帰ったらシリーズものの続きを読むんだ。
たそがれは
人も自分も顔がわからない
時は夕方と限らない
ただ、
その瞳が青かったことだけを
覚えていた
……笑わないでよ
_たそがれ
たそがれ
「あー!やっと補習終わったぁ、、」
「何で僕まで、、、」
「まぁええやん??」
「まぁ、そうやけど、」
僕はコイツの補習に、付き合わされた。本間。先生ビックリしとったわ。
「はよぉ帰んで。」
空は少し薄暗い夕方だ。
「なぁ紅葉!今の空って確か黄昏やったよな?」
「せやで。おうてる。」
「っしゃ!合っとったで!」
「さっきやったから覚えてるだけやろ。ドヤんな。」
「なんやえらい冷たいやん!!?そんな嫌やったん??!」
「冷たぁないわ。普通や普通。」
「絶対違う!!」
そんな他愛もない会話しながら僕らは
黄昏
の空に足を踏み出した。
黄昏使い方合ってるのかわかんねぇ、、、