『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あ、赤ちゃんの泣き声。
すごい音量だぁ。
あそこの家かな。
家の中から突き抜けてきこえてくる。
ん〜感情がこもってんな〜。
これが、たそがれ泣きってやつか?
これだけ、大声出せるのって、
すごいよな。
俺が今腹の底から大声で泣きわめいても、あんなに、
遠くまで声を届けられない。
そういえば、
子供の頃って漫画みたいな泣き方してたな、
「うわーん」ってね。
ははッ、天真爛漫。俺爛漫。
なんか理由があるから泣いてんだよな。
理由があんだよ。
伝えたい気持ちが、泣き声なんだよ。
な。
夕方のチャイムが鳴り響く。そろそろ帰らなければ、本を閉じて本棚に戻し、図書館を出た。赤く染まる西日を横目で見ながら帰路につく。
鳴り響く烏の声や急いで自転車を漕ぐ子供たち。もうこんな時間になったんだ、と独り言を喋ってしまった。誰にも聞かれていないよね。顔が熱くなった。
そんな事よりも色々な本を読むことができたな、とか。あの本の続きはいつ発売だっけ?とか。お昼のランチ美味しかった、とか。今日の他愛ない出来事を思い出しながら歩く。そういえば今の時間もかっこいい別の表現があった気がするなとか色々と考えながら、鞄を背負い直す。やっぱり知識ってあるほど面白いな。明日はまた別の本を読もうと、守れるかも分からない約束を自分とする。もう日が沈む。先程よりも雲が少なく、赤い光がなんだか眩しかった。
【たそがれ】
誰かの期待に応えるため
誰にも見つけられないように
ずっと奥で隠した僕が
道端の小石蹴って誰そ彼に少し顔を出す
小石と一緒に転がっていく音がただ鳴り響いて
やっぱり周りに誰も居ないことを知らしめる
この少しの間だけ水面に出て呼吸が出来るけど
帰り路の最中にまた影へと押し込んで誰かになる
誰にも理解されないだろうし
誰にも気づかれない
この時間が過ぎたらまた皆んなの望む姿にならなきゃ
伸びてく影に追いつかれないように急ぐふりをする
--きみに出会う前の話
2024-10-01
どこにいても見つけ出す
どんな姿でもすぐ分かる
なんて
そんな無責任なことは
とてもじゃないけれど言えない
でも
ずっと心のどこかにいてくれる
貴方との時間が私を照らす
その姿に魅了される
私は貴方を何度も見つけるのだろう
 ̄[たそがれ]
「夕方」
9際の私は夕方が大っ嫌いだった。
お風呂に入るのも凄く嫌いだった。
何をしてもお母さんに「早く準備しなさい」と急かされる時間。
19歳の今。私は夕方が好きになった気がする。
毎日凄く頑張っていて
急に夜なるには早くてもう少し頑張るには長すぎて。
29歳の私はどんな「夕方」を感じるのかな。
宵空を吸いて吐いてをくれぐれも酸いも甘いも 溶けかけてゆく
「たそがれ」
宵空や蜜柑6個の箱重し
「たそがれ」その2
黄昏に心は一片はがれゆく
「たそがれ」その3
黄昏にゆうづつひとつ一段と西赤らめる弾道ミサイル
「たそがれ」その4
コロリ。
口の中の甘露飴を舌で転がせば、とろりと溶けて甘くまろやかな味が口いっぱいに広がる。
よく似た色をした黄昏色の君の瞳も、頬張れば蜜のように甘いのだろうか。
2つしかない宝石は、大切に食べないといけないようだ。
暮れる日に揺蕩う紫煙(けむり)の向う側 わたしの知らぬあなたの横顔
「たそがれ」
我が家は近頃カラスの会合の場になっている。いつも同じ時間に同じ電線にこの大群。これから帰るために点呼を取っているらしい。そんな大切な場所をここにしてくれてありがとう。
カラスたちがこれから帰るのはどこだろう。きっとあの山のあの林の中に向かって一斉に飛び立つのだろう。そして向こうに着く頃にはこの黄昏時もすっかり夜になって、烏羽も闇に溶けていくのだろう。
この前まで
あんなに
暑かったのに
もう秋だ。
陽が
落ちるのも
早くなって
仕事帰りの道も
だいぶ
暗くなった。
もう10月。
あと3ヶ月で
今年が
終わってしまう。
早いなぁ。
#たそがれ
黄昏の時にたそがれる、ははっ。
そんな事を考えながらパックジュースを飲む。
我慢できない衝動が身体を乗っ取る。
連絡を全て拒否して、落ちようとする。
「止まって!」と腕を引かれて転ぶ。
私を止めたのはこの世の者とは思えないほど綺麗な人。
「今井さんだよね?」と聞かれ、頷く。
「ライン交換してなかったから、聞きたくて。」
いや、そんな理由か!とツッコミたくなった、笑った。
遠くまで来たその人の努力を無碍には出来なかった。
ぐるり輪る 誰ソ彼
どろり影に 零レ堕
ぽたり雫は 鉛ノ朱
光さえ呑むその夕闇から
魑魅魍魎はヤイヤイと
這い出て踊り踊りゃ
境界は潰え
宴がはじまる
さあ
さあ さあ
化かし化かされ
愚かな生を嗤おうじゃないか?
たそがれ
独り、黄昏乍ら…
カーテンを閉めて、薄暗い部屋で夜を過ごす…口から溢れるのは、あなたの名前ばかり…
テーブルの向かいには、あなたの姿が無くて…勿論、あなたが、この部屋にいた事なんて、無かったけど…1人で食べる御飯は、味気無くて、スマホで適当な動画をみながら、コンビニ弁当を食べるだけ…そんな時は、誰も座る事も無い、向かいの椅子に、あなたが、いることを、妄想しながら、話し掛けている…そして、そんな自分に嫌気がさして、また、黄昏て…
私の家のペットたちは、たそがれている。
文鳥2羽、オカメインコ1羽、犬1匹。仲は良くも悪くもない。互いに「なんかいつもそこにいるやつ」としか認識していないようだ。
しかし夕方になり、ペット達がいるひとつの部屋が、電気をつけてもつけなくてもいいような暗さになった時、みんな揃ってたそがれている。きっと、考えていることはそれぞれ違うだろう。
飼い主が手を振ってくれた、飼い主がおはようと挨拶してくれた、飼い主が可愛いと言ってくれた、飼い主が撫でてくれた、飼い主が好きなおやつをくれた、おいしかった、隣の気の弱いあの鳥が今日も驚いていた、あの鳥は寂しそうだ、どうしてあの人間に愛想をふれるのだろう、歌が上手く歌えた、何もしてないのに怒られた?
とまあ、犬も鳥もこんなところだろう。
そんなことを考えているうちに日が沈み、空は太陽が海のすぐ下にあるといっても過言ではない綺麗な赤を映し出し、黄昏時になる。
私たち人間はたそがれているとき、なんとも言えない気持ちになる。それは賢いのにみんな完璧じゃないからだと思う。
動物たちはたそがれているとき、赤い空を綺麗だなと思うと思う。それは特別でもなんともなく、時間の流れに沿った、一日の動きのひとつだと捉えると思う。それはとても単純だからだと思う。
「たそがれ」
夕焼けを見ながら、私は、たそがれた。
たそがれているその横顔が、どうにも自分には神聖なもののように見えて。
つい手を伸ばしてしまった。
あ、と思った時にはもう遅くて。
ぴくりと反応した君はたそがれるのをやめて、嬉しそうに自分の手を頬に寄せた。
この手で神聖な器を壊してしまったけれど、あふれた中身はこの上なくかわいい、とは。
本当に、この存在への愛しさは募るばかりだ。
【たそがれ】
あそこに見えるは誰そ彼か
逢魔が時に見える影
ふらりふらりと寄せられて
魔が差したなら戻れない
おいでおいでと招かれて
つい うらうらと浮かれたら
悔いても泣いても離れずに
影の向こうに連れられる
あぁ淋しいか哀しいのは
私を忘れてしまうこと
夕暮れ 黄昏 逢魔が時に
出逢うは危うし 誰そ彼
✼•┈┈たそがれ┈┈•✼
今年の夏も、朝から晩まで暑かった。
そんな毎日でも、少し気温がゆるむ時間帯がある。
真っ赤に染まった夕焼けを、
見ているような、見ていないような。
何かを考えているような、いないような。
幸せな時間を過ごしているうちに、
体と心もゆるんでいる。
お題 たそがれ
黄昏時にはエドワードを思い出す。
エドワードは、私の愛読書『Twilight』に出てくる
登場人物の中で一番お気に入りのキャラクター。
『Twilight』は、中学生、高校生の時に夢中になっていたシリーズの本で、何回も繰り返し読んでいた。
家の近くに図書館があったので本は買わない主義だったが、この本だけは大切に持っておきたくて全巻お小遣いで買い揃えた。
社会人になってからはめっきり読まなくなっていたけれど、最近は入院するたびに現実逃避になるので読んでいる。
どの巻の話も好きだけれど、やはり私は最初の1巻が大好き。
主人公ベラとエドワードが出会い、惹かれあっていくのだが、初めて読んでから10年以上経った今でも、エドワードがとにかく格好良すぎて読むたびにドキドキする。
出てくるセリフもシーンもほぼ頭の中に入っている。
ところで、なぜ黄昏時はエドワードかと言うと、本のタイトルはもちろん、彼はたそがれの時間が1日の中で一番大好きなんだって。
なぜなら、吸血鬼のエドワードは昼間は太陽光に当たるとダイヤモンドのように光り輝いて正体を隠せなくなってしまうので、自分らしく生きられる夜との境目の時間としてほっとするらしい。
好きな人が好きなものは、自分も好きになる。
それは相手が誰でも、例え小説の中に出てくる人であっても、同じみたい。
♯たそがれ
秋の日は釣瓶落としというが、最近は本当に日が暮れるのが早い。
夏の頃は、職場を出るとまだ明るい空を拝めていた。最近は、夕暮れの名残もない空が広がるばかりだ。
紫から紺のグラデーションも美しいと思うが、やはりこの時期は、金色の夕日が無いと物足りなさを感じてしまう。
金色の夕日は、秋から冬にかけて見られる現象だ。
条件は、空気中の水蒸気とチリやホコリなどの不純物が少ないこと。
故に空気が乾燥しやすい秋から冬にかけて見ることが出来る。
金色の夕日は、思い出もあるから一等好きだ。
きっと、思い出フィルターというのがあるのだろう。
記憶の中の夕日は、いつも美しい。
そんな金色の夕日の次に、好きな現象がある。
ブルーモーメント。
空が濃い青で包まれる美しい現象だ。
季節問わず、日の出30分前と日の入り30分後に見られる現象なのだが、綺麗なブルーモーメントを見るためにはいくつかの条件がある。
1.晴れて快晴であること。
2.空気が澄んでいること。(秋から冬が綺麗)
金色の夕日もブルーモーメントも、秋から冬が気象条件的に見やすくかつ美しい。
故にこの時期は、金色の夕日が沈む姿と世界が青のフィルターに包まれるブルーモーメントを堪能しなくてはもったいない。
これからますます日の暮れる時間は、早まっていくだろう。
金色の夕日と青いフィルターの空を早く眺めたい──。
黄昏時をとうに終え、夜の帳が下り始めた空を見る度にそう思ってしまう。
────────────────────────
たそがれ