『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
少し暗い黄昏の中。
自転車を走らせる。
夕方の生温い空気を掻き分けて進む。
オレンジに染まった海を見ながら。
この時間が好きだ。
「たそがれ」
私が1日の時間の中で最も好きと言って過言ではないのが、黄昏時だ。
燃えるような夕焼けから、段々と静かな夜に変わっていく様子は、終わりの前の、最後の足掻きのように感じる。
ある日部活が終わって昇降口を出たとき、思わず「あっ」と声が出るほど美しい夕焼け空が広がっていた。
周りのみんなもきれいだと思うのは同じだったようで、「きれい」と口々に言いながらスマホを取り出して写真を撮っていた。
私もこの景色を切り取りたいと思って真似して撮ってみたけれど、なんだか違うような気がした。
写真も確かにきれいだったのだけれど、私が美しいと思った夕焼け空ではないような、そんな気がした。
写真は嫌いではないし、美しいと思う写真にも何枚も出会った。
けれど、撮影した人が感動して、シャッターを切ろうと思ったその瞬間は、もっと美しかったのだろうなあと思ってしまう。
もしかしたら、レタッチする前は、私が写真で見るのとは違った景色が広がっていたんじゃないか、と。
テレビのCMを見ていたとき、「AIが笑顔にしてくれる」「半眼をなおしてくれる」「被写体の大きさを変えられる」「背景を変えられる」と謳っているスマホを見て、写真ってなんのためにあるんだっけ、と考えてしまった。
笑顔じゃないのも、半眼なのも、被写体の大きさも、背景も、全部込みで切り取りたかった瞬間だったのではないのだろうか。
最近は黄昏時に外にいることが少ない。
「おいで、夕焼けがきれいだよ」と雨戸を閉める前にわざわざ私を呼んでくれた母は、今では夕焼けが見える時間に帰ると「もっと勉強してきなさい」と言う。
今度の休日は、窓から外を見てみようかな、と思ったけれど、多分次の休日はずっと先だ。
※たそがれ
たそがれに うなだれるは サラリーマン
酒を片手に 明日を 憂う
まず憂うべきは
己の行動であることも 知らずに
安酒で悪酔いする輩が多いからね
そういう奴は絡み酒が多くてね
欧米のように超強化規制して欲しいんだ
道端で飲んで車道で寝てんじゃねーよ
第肆作「たそがれ」
夕暮れ時、本日の終了へと時が進む。
宵闇とともに溺れる。鬱たる感情。
明日が来ればリセットされたる鬱。
鬱たる感情を含んだ微睡み。
その感情を抱え、今日もまた1日生きる。
(中学時代、学校が辛くて仕方なかった自らを思って。)
あなたが西陽に隠したその顔を、
たとえあなたを傷付けてでも見たかった。
それが何かの答えになるような気がしたから。
たそがれどき、あなたが待つ駅へ急いだ
あなたはもういないけど、あの頃の笑顔が焼き付いたこの駅は私の宝物
怒り、憎しみ
私たちは感情を表に出してはいけない
秘密こそがこの任務の鍵だ
でも何故だろう
貴方と過ごす度、何かが生まれている気がする
人に干渉してはいけないとわかってる
でも「明日何しようか」って
君と話したいんだ
黄昏時の窓を眺めながら
踊る軋むベットで
考えてしまう
たそがれ
綺麗な夕日を見てぼーっとする
そしたら大好きなあの人に名前を呼ばれた…。
なんて妄想、少し頭に残ってしまう。
明日のあの人は何をしているのかな
好きな人、できてないといいな…なんて
想いを胸に今日もあの人に伝えられない
どうすればいいのかすらもわからないこの心が
どうも焦ったくて
あーぁ…
いつになれば私、伝えられるんだろうな
「げほっ、げほっ!うぇえ…よく吸うよなぁこんな煙ったいの」
初めて吸った煙草のケムリに咽せて涙が出た。恨めしげに睨んでも赤い点からは細い煙が立ち上るだけで、諦めたように空を見上げた。
現在時刻はたそがれ時、荒野の夜はすぐに冷えるから寝床選びが肝心だ。今回は運が良く、小さな無人小屋を見つけられた。久々に屋根と壁がある所で寝られるなんて贅沢だ、と相棒のバイクを撫でて喜んだ。
そんな感じにテンションが上がったからか、普段は吸いもしない煙草にチャレンジした結果がコレだ。憧れの人の仕草を真似したかったが為に買った煙草は、思いの外苦かった。
「街まであとどれくらいかな…」
もう一回、煙草を吸ってみる。今度は短く吸い込み、口に含んだ煙を細く吐き出した。苦い。でも、少しだけ近づけたような気がしないでもない、かも。
あの人もこんな感じだったのかな。
顔はイイのに声がうるさくて、金勘定はやたらと早い人だった。でも、誰よりも周りを照らしてくれた人だったな。
「…明日は少し早めに出るかぁ」
ぎゅ、と地面で火を押し潰し、水の入ったアルミ缶の中に放った。口直しにドロップ缶から飴を出して舐める。
それでも苦い味は、あの人のようにしばらく残っていた。
何もかも上手くいなく、全てのことが嫌になった。 そんな日に公園のベンチに座っていると、上から葉っぱが落ちてきた。気になって手に取ると“貴方の思い通りに”ただそれだけが書かれていた。それは普通の葉っぱよりも分厚くて、意外とやわらかくて、軽い。 最初は誰かのイタズラだろうと思っていたが、その日から本当に自分の思い通りになる日が続く。だって、テストだっていい点がとれるし、友達関係だっていい。家庭内の環境もよくて、なりたい自分になれる。それから月日が経ちある日の夕方。例のベンチに座っていると、また上から葉っぱが落ちてきた。手に取ってみると、“貴方は大丈夫”と書かれていた。意味が分からない。その時は何のことか分かりもしなかった。今思えば、私や他の人のために神様が与えてくれたものなんだと考える。昔のことは覚えていないがこの物語はよく覚えてる。本当のことは誰もわからない。
そう、これはたそがれ時にあった、ある物語。
私はたそがれ時の時間が好きだ。緋色と青色のハーモニーがとても素晴らしく感じる。また、心も穏やかになり、ストレスを軽減してくれるように感じる。私は色々な場所でたそがれの太陽を見てみたい。
夕焼けであたりをオレンジ色に染めていた。
丘の上で、あたり一面を見渡す。
雲が流れ、星々が現れ始める。
夜がやってくる。
“たそがれ”
思えば僕はあの日からずっとお前に救われていた。端から見ればお笑いで天下を取るというお前の無鉄砲な夢に振り回されていたようだったと思う。実際、大変じゃなかった訳ではない。時には疲れてお前を恨んだりもした。ただ、苦労だけじゃなくてしっかり楽しかったのも確かだ。
今になってこそ分かるが、僕はきっとお前に手を引いて貰うくらいが丁度いいんだろう。昔からテンプレのような夢も意思もないつまらない人だったから。
つまりな、お前が手を引いてくれないと僕が困るんだよ。
「いつまでたそがれてんだよ。お笑いで天下取るんだろ?お前が笑えてなくてどうする」
僕の声に反応して君はゆっくりと赤い空か。
「……大炎上してるんだ、もう無理だろ。お前も、俺の夢に巻き込んでごめんな」
気味が悪い。そんなしょぼくれて勢いのないお前は見たくもない。だから、さっさと目を覚ましてやらないと。
「その炎上は事務所の不手際だろうが。大体、お前の夢がお前一人のものだと思うなよ。僕だって嫌だったらここまで来ずにやめてるさ。」
僕の言葉にお前は目を見開いた。だろうな、僕だってお前がこんな情けない姿になってなければ言うつもりなかったんだよ。
「ほら、帰りにコンビニよってつまみと酒買って帰ろう。世間への釈明はその後だ」
「……」
「今日は特別に奢ってやる」
「…っははっ!そうだなぁ、俺、お前と見たい映画があったんだ、それも見ようぜ!」
「あぁ、いいぜ。先に寝るんじゃねぇよ」
「あたりまえだ!」
ほら、やっぱりお前はそのくらいおバカで明るいのがちょうどいいんだ。
たそがれ
たそがれどき
人生の、ではなく
いずれ訪れるであろう
この星の
黄昏時に
知的生命体は存在しているだろうか
ちきゅうと呼ばれていた過去を
この星は覚えていてくれるだろうか
向こうから誰かが手を振ってるのが見える
たそがれどきの時間帯
日が落ちてきて顔が影になって全然見えないけれど、僕に大きく手を振ってくれるのは君しかいないって分かってる
誰そ彼時、彼は誰時、月の光に照らされてた真夜中
君が僕に手を振ってくれるのなら
僕はいつでも君に手を振り返すよ
たそがれ
嫌な気分で帰宅の道を歩く。
同僚の背中は見えてるのに、特に話すことも無いから一緒に歩くこともない。
不思議な距離感だと思う。
変な会社。
頑張りたいと思いつつ、頑張れないなと、そう思った。、
たそがれどき、君は悲しげな顔になる。
「どうして?」
と訊くと、
「あたしは耳が聞こえないから、あなたの口の動きや表情を見て何が言いたいのかを知れる。でも、この時間帯になると、暗く翳って見えなくなる。それがなんだか切ないの」
ゆっくり、僕にわかるように大きく口を動かして伝える君。声にならない声で。
手話を覚えようと懸命に頑張っていた僕だけど、たそがれには勝てないのか。
悔しいなぁ。僕たちは太陽の光が失われると、気持ちのやりとり自体が危うい。
でもね、と僕は思いなおし、君の肩を抱きしめる。そっと。
そして、
「暗くなったら、こうやって話をしよう。こうすればからだを通じて僕の声が響くだろう?」
微かな震えが届くといい。君に。
すると君はいったん身を離して「何を言ってるか、わからないよ」と首をかしげた。
でもどこか、嬉しそうに目を細めて。
僕は言う。宵闇を背負いながら。
「わかるよ、何をどう言ってても、基本、僕が君に伝えたいことは一つだから」
もう一度君を抱き締めて、
好きだよ。
そう言うと、僕の背に腕をギュッと回して君は泣いた。声を殺して。
それ以来僕は、たそがれどきは、そんなに嫌いじゃない。
#たそがれ
「声が聞こえる4」
家々の窓光り出す帰り道
ラッシュに物侘しさ差し込む
♯たそがれ
(たそがれ。)🦜
あのね。
すずめ、の間ではね。🦜
・黄昏の時間帯は、
逢魔が時。や
暮れ六つ時。
と、言って
とっても、危険で
危ない時間
なんだって。🦜
(理由は、知らない。)
「そんな、怖い時は
優しい、叔父さんの
お家に逃げ
込むんだよ。」🦜
✣叔父さんは、
食べ物をくれたり、
✣お家に泊めて・・。
くれる。🦜
【とっても、
頼りになる
人なんだよ。】🦜
『 あめ 』
夏が来た。
夏休みももう少し。
いくら誘ってもうんと言わない君が、
珍しくいいよと言った時は驚いた。
プールへ行こうと思ったけれど、この時期は人が多いからやめておくことにした。
代わりに、海へ行くことにした。
潮の匂いがする海風。
近くでにゃーにゃーと鳴く海猫。
時折、蟹や宿借が動いているさまが見える。
君が揺れた。
君の周りを舞う花弁がとても綺麗で、
でもどこか寂しげで。
きっと今まで1度もこんな所へ来たことがないんだなと思った。
砂。真っ白でサラサラしている砂。
君がせっかくの花柄ワンピも気にせずに寝転ぶものだから、思わず私も寝転んだ。
すぐ隣。
君が話しかけてきた。
もし、私がいなくなったらどうする?って。
でも、その時私はたそがれていたものだから、聞き取れずにえ?と聴き返してしまった。
君は、少し、苦痛で歪んだような顔を見せた後、なんでもないよと言った。
そっかと素っ気なく返したのが間違いだったのか、君は立ち上がって何も言わずに帰ってしまった。
こんなことになるなら黄昏なきゃよかった。
君を、帰らせるつもりなんてなかったんだけどなぁ
今度会った時にまたなにかお詫びをしよう。
そんな暗く見苦しい気持ちとは裏腹に、
空は真っ青に光り輝き、雲ひとつなく綺麗で、
晴れやかで、君に似ていた。
ベランダから煙草を吸う。
良くないと分かりつつもやっぱり吸ってしまう。
あの時、なんて言うのが正解だったんだろう。
私はまた黄昏ながら考える。
ふと、ぽつぽつという音がしたから、空を見上げてみた。
雨が降っていた。
雨は私を包み込む。
今日はもう、君のことなんて忘れた振りをして早く眠りにつこうと思った。
これでもかというほどに君の髪色に憧れて染めてブリーチしてを繰り返した髪。
君のようなブロンドになりたくて、何度も何度もブリーチしたけれど結局すぐに黒髪へ戻ってしまう。
少しパサついた髪は私の気持ちのように黒く暗く。
そんな髪をきつく縛っている青色のゴムをほどいた
でも、なかなか外すのに手こずった。
どこかで絡まっているみたいだ。
まるで、私が君へ向ける気持ちのように。
むかついた。もう今日はこのまま寝ようと思った。
その次の日から、きみをみることはなくなった。